リョウ

Last-modified: 2008-09-21 (日) 20:18:47

リョウ/上田 倫子

714 名前:リョウ1[sage] 投稿日:2006/01/19(木) 20:10:19 ID:???
「リョウ」  上田倫子  全13巻  集英社


女子高生・遠山りょうは修学旅行で京都にやってきた。
友人や幼馴染の平賀葵と京都を楽しむりょうだったが、五条大橋でいきなり薙刀を持った
謎の僧侶に襲われる。「何故あの時逃げた」と意味不明の問いかけをする彼。
葵が傷つきながらも助けてくれたので、りょうは事なきを得る。


旅行から帰ってきたりょうは、祖父の源一郎が営む剣道道場で入ったばかりの門下生だが
めっぽう強い男と対面する。しかしその門下生こそ京都で自分を襲ったあの僧侶だった。
「弁慶」と名乗った彼にびっくりしながらも美形なのでちょっとドキドキしてしまうりょう。
しかし弁慶はりょうに本物の刀を差し出し「勝負しろ」と言う。
りょうが剣道未経験者だと知っている源一郎やその他の門下生は弁慶を
止めようとするが、彼は再びりょうに襲い掛かった!「あの時の軽技は見せないのか!?」
とすごむ弁慶にりょうは防戦一方。大事に伸ばしていた髪まで切られてしまう。
やっとりょうが女だと知った弁慶は手を引こうとするが、
「女で何が悪い!」と先程とは一変した様子のりょうに結局敗北。
呆然とするりょうを源氏の御曹司と呼び、自分を家来にしてくれ。
そして平家を共に倒しましょうと言うのだった。



715 名前:リョウ2[sage] 投稿日:2006/01/19(木) 20:10:52 ID:???
にわかには信じられないが「命をかけてお守りします」と言われると、
理想の恋人が出来たみたいとこっそりうかれるりょう。だが弁慶の意味不明な言動は相変わらず。
どうやって平安時代からやってきたのかを聞いてみると彼はこう言った。
「平家打倒の誓いを立てて日々千本の刀を集めている時に、牛若丸と名乗ったりょう殿に出会った。
一戦を交えたが、一度落ちれば二度と現世に戻れないという鞍馬山の『神隠しの谷』に彼は自ら
落ちていった。自分も後を追ってこの世界にやってきて3年もの間りょう殿を探していた。
五条大橋にいたのは、あそこで待っていれば必ずまた会えると思ったから」
リョウは自分があの「源義経」な訳がないと、笑い飛ばした。
そんな二人の前に「弁慶の昔の女」を名乗る虎子という女性が現れる。
虎子は京都で芸者をやっていたが、弁慶が忘れえられず追っかけてきたのだ。
所構わず弁慶にべたべたする彼女にりょうは面白くない。
そんなある日源一郎の道場に元門下生の男性がやってくる。
男性はりょうの姿を見て驚いた。
「『りょう』ちゃんは7歳の時に事故で亡くなられたはずでは…」
激しくショックを受けるりょうに源一郎は弁慶ともども一枚の着物と写真を見せた。
写真にはその着物を身にまとって倒れているりょうの姿が映っていた。
そして弁慶はその着物は御曹司が着ていたものだと証言する。
源一郎は二人に真実を語り始めた。


3年前、青木ヶ原樹海で妙な着物を纏った少女が発見された。
少女は自分は清和源氏の御曹司・牛若丸だと名乗り、平家を倒すと繰り返した。
警視総監であった源一郎は、彼女を7歳で死んでしまった孫の「りょう」の
代わりに、引き取り育てる事にした。
医者に頼んで一切の記憶を「遠山りょう」のものにし、合成写真などで思い出を作り変えたのだ。



716 名前:リョウ3[sage] 投稿日:2006/01/19(木) 20:12:10 ID:???
自分は「遠山りょう」じゃない偽者だったんだ、とりょうは泣くが「りょうが私の孫で
あることに変わりはない」と源一郎に諭され、りょうは「遠山りょう」のまま
生きていこうと決意する。
だが、いつものように学校に行っても自分の場所が見出せない気がした。
一方りょうにとって邪魔な存在でしかない弁慶は、源一郎の手によって捕まってしまう。
虎子から顛末を聞かされたりょうは、弁慶に会いに行く。一度は「自分はもうりょう殿にとって
必要がない」と退ける弁慶だったが、「いつもそばにいて欲しい」と言われ、脱走する事に。
その際に、刑事であるりょうの父親が弁慶の胸をピストルで撃つ。
虎子と共に傷ついた弁慶を連れ、葵を頼ったりょう。
真実を聞かされ、ショックを受ける葵だったが
実は自分が平賀家の養子である事を明かし、家来になると言う。
一行は葵を連れて青木ヶ原樹海に向かった。
樹海を進むと地面が大きく裂けている場所に出た。平安時代と現代を繋ぐ場所だ。
追い詰められたりょう達は、突如現れた狼に導かれるがまま裂け目に身を投じた…。


りょうは牛若丸時の剣の師匠である陰陽師・鬼一法眼に助けられ、自分が八百年前の
平安時代にタイムスリップした事を知る。しかしここにいるのは自分一人で仲間はいない。
都におりたりょうは、弁慶と再会を果たす。
喜ぶりょうだが、弁慶が「妻にしたいと思っていた女」である
「うた」という女性の存在に自分の弁慶への恋心に気が付く。
とりあえず自分に関する事を聞きたいと、鬼一法眼の協力で実の母である常盤の元へ行く事に。
かつて平清盛の妻だった常盤は清盛に捨てられ、現在は藤原一成のもとで暮らしているという。
道中りょうは清盛の孫であり、平家の御曹司の平維盛と偶然にも知り合った。
見ず知らずにも関わらず優しく接してくれた維盛を優しい人だと思うりょう。
一方弁慶は平家の維盛が気に食わない。
そうこうしている間に、りょうと常盤は再会する。
が、喜びも束の間常盤は「都を去れ」と忠告する。
平治の乱の後、清盛の前に出された常盤はりょうが男であると嘘をついた。
それは力を強化を目的とした 維盛とりょうの結婚を阻止するためであったが、
既に清盛はその嘘を見破っていたのだ。



717 名前:リョウ4[sage] 投稿日:2006/01/19(木) 20:13:32 ID:???
神隠しの谷に落ちて行方知れずだったりょうが都に戻ったとなれば、
平家の追っ手がすぐにやってくる。途方にくれる最中、りょう達は葵と再会する。
彼の引き合わせで奥州へ行く商人と知り合ったりょうは
源氏と懇意である藤原氏を頼る事にした。
が、その晩身を寄せていた鬼一法眼の家へ平氏がやってくる。
常盤とのやりとりを見ていた使用人が密告したのだ。
絶体絶命の中、りょうはあえて「牛若丸」に変装し維盛と会う。
子供の頃から夢見ていた結婚相手に出会えた事を素直に喜ぶ維盛だが、
りょうに「男だから結婚できない」と言われ愕然。
しかしりょうに渡した薬を持っているのを見破り、昼間に会ったのがりょうだと知る。
また、りょうの持つ自由さに惹かれ彼女を妻にしたいと思う。
そこに弁慶の助けで逃げおおせたりょうは奥州へ。
旅路の途中、りょうの従兄弟に当たる木曽義仲の館の元で虎子と再会する。
彼女に「主君と家来が恋人になれる訳がない」と言われ、弁慶への想いを募らせていた
りょうは悩む。
ようやく奥州・平泉に到着した一行。源一郎そっくりの藤原秀衡に暖かく迎えられる。
しかしそこには維盛に生き写しの笛吹きで「桜梅」と名乗る青年が…。
弁慶は桜梅こそ維盛だと激昂するが、当の本人をはじめ周りは信じる訳もない。
だが、りょうが桜梅と話すと彼は自分が維盛だと言う。
りょうを忘れられなかった彼は一人都を出て平泉まで追ってきたのだ。
「りょうを妻に出来るなら平家の跡取りという地位も名も捨てる」という維盛。
戸惑うりょうに維盛は口付けをして去っていった。



718 名前:リョウ5[sage] 投稿日:2006/01/19(木) 20:14:05 ID:???
その頃、平泉では牛若丸であるりょうが女だと言う噂が立ち始める。
正体がばれてはいけないと「男だ」と宣言し、成人の儀式である元服を行い
りょうは「義経」になった。が、その後秀衡から結婚を勧められ困り果てたりょうは
自ら女であると告白し、皆を騙していた非を詫びる。
追い出されるかと覚悟したが、寛大な秀衡はりょうに綺麗な十二単をくれた。
「女だと言ったと言う事は私の妻になってくれると言う事なのか?」という維盛に
りょうは「力ずくで私を手に入れようとするなら戦う」と宣言。
同時に「優しくしてくれたから傷つけたくない。都に帰って」と言うが
維盛は「私はもうとっくに傷ついているぞ」と悲しそうに笑った。
自分の想いを守り貫くために強くなろうと、剣の修行を始めるりょう。
そこに平家の追っ手であり、弁慶とは旧知の仲である海尊が現れ、りょうに襲い掛かろうとする。
海尊を逃がした維盛は藤原家に疑われ、弁慶は秀衡から維盛の暗殺を頼まれる。
水死させられそうになった維盛を、りょうは黙って見逃せずに結局は助けてしまう。
瀕死でもりょうを想う維盛に心から「生きて欲しい」と願う。



813 名前:リョウ6[sage] 投稿日:2006/02/10(金) 23:48:09 ID:???
維盛の一件や、新たな家来の登場にりょうと弁慶の関係がぎくしゃくしてしまう中
ついにりょうは思いを打ち明ける。
しかし主君と家来の関係や過去に囚われ、弁慶はなかなか自分の胸のうちを明かせない。
そんな不安やとある事件により精神が不安定気味になったせいか、
ある日今まで封じ込められていた「義経」の人格が出現する。
先日の女であるのは嘘だったと言い、平家打倒を謳う「義経」に秀衡をはじめ皆が感心する中、
弁慶と葵はりょうを案じるが「義経」は「りょうは消滅した」と冷たく言い放つ。
平泉に白拍子の一行が訪れる。その中には将来「義経」の妻になるはずの静がいた。
歴史通り動こうとする「義経」は静に近付き、我々は夫婦になる運命なのだと結婚を迫る。
途中、りょうの人格が現れるが「義経」に押さえ込まれ
あまつさえりょうを目覚めさせる存在である弁慶を殺そうとする。
「義経」の刃を受けながらも弁慶は、自分を男だと想う
「義経」の上に女として育ったりょうがいる、りょうと一つになれと説得する。
「ならばこんな私を愛せるのか」と問う「義経」にあなたのために死ねるなら本望だと答えた。
そして、りょうの想いに応えて唇を重ねた。
弁慶を恐れた「義経」は静と無理矢理祝言を挙げようとするが、りょうを慕う彼女に
「これでは清盛様があなたの母上様にしたのと同じだ」と言われる。
ショックで倒れた「義経」は心の中でりょうに「お前のようになりたかった」と訴える。
「ずっと一緒だよ…」りょうは「義経」を抱きしめ、二人はひとつになった。
りょうの回復を見届けた弁慶は、傷ついた体で平泉から姿を消した。
二人の想いは二人の別れを意味していたのだ。



814 名前:リョウ7[sage] 投稿日:2006/02/10(金) 23:49:24 ID:???
今すぐにでも彼を探しに行きたかったが、秀衡に止められかなわなかった。
頼りもないまま月日は無常にも過ぎてゆく。
塞ぎこむりょうを見かねた葵は、自分が「義経」として奥州に留まると言ってくれた。
りょうは静達の一行に混ざって弁慶がいるという噂の都へ戻ることにする。
道中、義仲とその妻になっていた虎子と再会し、りょうの実兄である
頼朝が鎌倉で兵を挙げる準備をしていると聞く。
また、都では奥州から逃げ延びた維盛が盗賊を捕まえたら正式に平泉へ
行くのを許してやると言われ、日々奮闘していた。
りょうは都で平家追討のため盗賊に加担していた弁慶と再会。
離れていた事で互いの存在の強さをそれぞれ思い知らされた。
二人は平家の追っ手から逃れるために弁慶の故郷である熊野へ旅立つ。
現地入りしたりょうは、海尊の母から弁慶の過去を聞く。
平家の傘下を迫られた当時、弁慶をはじめ熊野の若者達はそれに反対。
その中には彼の恋人で海尊の妹だったうたがいた。
彼らは熊野の独立のため、平家と戦うが多人数の攻撃には適わず大敗を喫する。
うたも戦いの最中弁慶をかばって命を落としたのだった。
弁慶はそのために平家を憎み、またうたの存在を忘れる事が出来なかったのだ。
りょうの助けもあり、弁慶は過去の因縁とやっと和解。二人の思いはようやく通じ合う。
しかし熊野の別当であり弁慶の父でもある湛増がりょうと弁慶を引き離す。
湛増は熊野を守るためにりょうを都へ差し出そうとするが、
豪雨による危機の中でも必死で皆を励ます彼女に心を打たれる。
そして軍を率いてやってきた維盛、平宗盛らに「義経など来ていない」と嘘をつき
二人を逃がそうとするが、これ以上の戦を避けるため、弁慶が維盛との一騎打ちを申し出た。
りょうを賭けたその勝負は拮抗し、ついに業を煮やした
平家軍の大量の矢を受け弁慶は断崖絶壁の崖から転落してしまう。



815 名前:リョウ8[sage] 投稿日:2006/02/10(金) 23:52:32 ID:???
湛増から弁慶の死を聞かされたりょうは茫然自失。
だがこれ以上湛増達に迷惑をかけられないと自ら維盛の元へ。
悲しみにくれつつも半ば強制的に維盛と祝言を挙げさせられる。
維盛は後ろめたさを感じつつも、大事に思うりょうの愛し方がわからない。
真摯な言葉で愛を打ち明けても両者の関係は平行線のままで、戸惑うばかり。
そんなりょうを助け出したのはなんと海尊だった。熊野の一件の最中に母を殺された恨みから、
彼は平家打倒のためりょうを兄・頼朝のいる伊豆へと誘う。頼朝、その妻の政子との出会いや
平泉から帰ってきた葵との再会により弁慶を失った悲しみはほんの少しずつだが癒えてゆく。
同時にりょうの中で平家打倒の思いが芽生え始めつつあった。


ある日りょうはとある漁村で、死んだはずの弁慶と再会する。
ところが彼は記憶を失っており、今は漁太という新しい名でしかも妻子までいた。
実は彼は妻・なみの死んだ夫の代わり(子供もその時の子)として暮らしているのだ。
りょうは彼に必死で自分の事を思い出してもらおうとするが、
最終的には彼の幸せのために身を引く決意をする。
一方りょうに冷たくあたりつつも彼女が気になる弁慶。
その言葉を聞くたびに自分が漁太ではなく弁慶なのではと疑い始める。
ようやく全ての記憶を取り戻した彼は、戦のため出陣するりょうの元へ舞い戻り、
平氏との戦いが終わったら熊野で祝言をあげようと約束を交わす。
決戦前夜、平氏と源氏がにらみ合う富士川でりょうは維盛と再会する。
彼はりょうに去られてから自暴自棄の生活を送っていた。
りょうに刃を握らせ、自分の思いによってこれ以上苦しませたくないから殺せと言う維盛。
平氏の将である彼を殺せば全てが終わる…。
一瞬躊躇うものの結局は殺す事が出来ずに陣へ送り返す。
維盛が軍に退却を命じた事により戦わずして源氏は勝利するがりょうの心には苦いものが残った。
続く倶梨伽羅峠の戦いで彼女は維盛の影武者に襲われ深手の傷を負ってしまう。
止めをさされそうになったその時、背後から影武者を襲ったのは本物の維盛だった。
動けないりょうとそれを助けた維盛は山奥の洞窟で共に過ごす事に。
最初は早く皆の元へ返せと叫ぶばかりだったが、維盛の優しさに頑なだった
りょうの心も少しずつ開き始める。



816 名前:リョウ9[sage] 投稿日:2006/02/10(金) 23:53:38 ID:???
二人の間には確かな絆が芽生え始めていた。
しかし荒んだ生活によって病んでしまった維盛は、何度も吐血を繰り返す。
りょうは彼を死なせまいとするが病状は日増しに悪くなるばかり。
二人で一緒に春を向かえ、下山しようという約束はとても儚いものに思えた…。


一方で行方を消したりょうを案じて、弁慶らは彼女を探し続けていた。
ようやく雪がとけ、山に入った彼らはりょうをみつけるがそこには死んだはずの維盛が…。
「維盛を平家の元に返したい」というりょうの願いを聞き入れた弁慶は、
衰弱しきった維盛を連れ平家が落ちた西国を目指す。
しかし自らの死を悟った維盛は吉野に向かって欲しいと願った。
彼は好きだった満開の桜の木の下でりょうを思いながら眠るように静かに逝った…。
頼朝の元へ戻ったりょう。次の戦のため着々と準備を整えるがとある事件により、
木曽義仲と頼朝の妻・政子が殺されてしまう。最愛の妻を失い、深い悲しみにくれる頼朝。
誰の言葉にも反応せず、食事も取らず、ついには臥せってしまう。
りょうは状況を打開すべく、平氏が陣を敷く一の谷へ静達白拍子の一行に紛れ、
単身乗り込んだ。そして谷川から奇襲をしかけた弁慶らと合流し、
自らの思いを守り貫くため剣を振るい続けついに平氏を倒す。
これで兄さまもきっと元気になる…。
そう信じて疑わず鎌倉にもどったりょう達が見たのは、吉報を聞いても
「わしには関係ない」と臥せったままの頼朝の姿だった。
悲しみからいまだ立ち直れない彼は、源氏の頭領の座をりょうに譲り
仏門に帰依したいと望んでいたのだった。そんな中、
家臣の梶原景時・梶原景季親子らを中心に謀反の計画が持ち上がっていた。
景時はやはり頼朝を裏切れないと計画をりょう達に密告。
りょうは兄をかばい斬りつけられてしまうが、激昂した頼朝により謀反は阻止された。
その一件がきっかけとなり、頼朝はかつての勢いを取り戻すが
同時にりょうに対して妹以上の歪んだ感情を向け始める。



817 名前:リョウ10[sage] 投稿日:2006/02/10(金) 23:54:47 ID:???
だんだんとエスカレートしてゆく彼の異常な思いを危ぶんだ弁慶は、熊野での祝言の許しを請う。
表向きには承諾する頼朝だが、出立の日を狙って弁慶に謀反の疑いをかけて二人を引き離す。
そして兄から蹂躙されかけたりょうは命からがら逃げ出すが、ショックで声が出なくなってしまう。
頼朝の追っ手から逃れるため景時の助けを借りて、りょう・弁慶・海尊・葵らは再び平泉を目指す。
辛い旅路だったが皆の絆を再確認し、りょうは仲間のすばらしさをかみ締める。
平泉へたどり着き、藤原秀衡の計らいでようやくりょうと弁慶は祝言を上げ結ばれた。
しかし幸せな日々はそう長くは続かない。
りょうを差し出すよう書かれた鎌倉からの手紙が幾度となく届き、
頼りの秀衡も病により亡くなってしまった。
そう遠くない内に頼朝の手が追ってくるのを予感したりょうは、平泉の防備を固める。
その最中彼女が妊娠した事が判明し一同は喜ぶが、自ら軍を率いた頼朝がついに攻め込んでくる。
抵抗するも適わず、りょうを逃がそうとした葵が殺されてしまう。
「もう誰も死なせやしないわ」
自ら剣を取り、頼朝に一騎打ちを迫るりょう。
愛する対象を失い、狂ってしまった兄を悲しく思いながら一太刀を浴びせる。
「血を分けたたったひとりの兄を斬ると言うか!?」
脳裏に優しかった頃の頼朝の姿が次々と思い浮かんで、止めを刺すことが出来ない。
その場を去ろうとするがまだ頼朝はりょうを諦めてはいなかった。
馬を走らせる一行の背に大量の矢が迫る。そしてついに一本の矢が弁慶の喉元を貫いた……。
泣き叫ぶりょうを連れ、海尊は弁慶の亡骸をそのままに追っ手から逃れるほかなかった。


数年後。人里はなれたある村で、りょうは身分を隠し海尊を共に生きていた。
あの時身ごもった子供-葵-も大きくなった。
「すっかり立ち直られましたね」と言う海尊に「本当にそう見える…?」と暗く答えるりょう。
彼女はまだ弁慶が忘れられなかった。
平穏な暮らしも束の間、隣村に追っ手が入ったと聞かされ、りょうは再び逃れようとする。
が、目を離した隙に葵が狼に攫われる。
その狼は現代から平安へやってくる際、樹海の中の裂け目で出会った狼だった。
運命の導きを感じ、りょうは狼の後を追って崖に身を躍らせた。



818 名前:リョウ11[sage] 投稿日:2006/02/10(金) 23:56:13 ID:???
りょう達が目がさめたのはやはり現代の青木ヶ原樹海だった。しかし近くに葵の姿は見当たらない。
聞いてみると数年前に樹海で葵と同じくらいの子供が発見されたという。
身につけた太刀などを売り、戸惑う海尊を連れてりょうはかつての葵の実家を目指す。
そこで少し成長した葵と再会するが、養母に邪魔立てされ立ち去るしかなかった。
源一郎なら話せばきっとわかってくれるはず…一抹の望みをかけて今度は遠く盛岡を目指す。
源一郎、そして母と再会し懐かしく思うりょう。
その時、りょうの目の前に7歳の時事故で死ぬはずの本物の『りょう』が現れる。
剣道なんかしたくない!と駄々をこね、道に飛び出した『りょう』に車がせまる。
思わずりょうは彼女をかばい飛び出していた。
「弁慶の…ところへ…行きたい……」
傷ついた体でただそれだけを望んだりょうを海尊は背負い、歩き出した。
その目にはただ静かに涙が一筋流れていた………。



京都の五条大橋のたもとに修学旅行中らしい男女の高校生がいた。
葵という名の男子高校生はりょうという名の幼馴染の女子高生に自らの生い立ちを語っている。
その手には本当の両親である弁慶とりょうの姿が映された写真があった。
そして、そんな二人を僧となった海尊が見守っている。
「あの人、葵のお父さんに似てるね」
笑いながら駆けてゆく二人を穏やかな表情で見届けると、彼は都会の喧騒の中に一人歩いていった……。



819 名前:@自治スレにて板設定変更議論中[sage] 投稿日:2006/02/11(土) 00:04:00 ID:???
以上です。今回はかなりはしょった部分もありますがお許し下さい。
とりあえず「リョウ」は源平ものなのに、実際の史実とは全然違うし、
りょうはやる事めちゃくちゃだし、出てきたサブキャラのその後は忽然と書かれて
ないしなどツッコミだしたら本当にキリがありません。
でもそれを上回る場面ごとのよさがあると思います。
維盛の死や頼朝が狂っていく展開、そして何よりラストシーンなどなど…。
絵も非常に細かく丁寧に描かれているので一見の価値くらいはあると思います。



820 名前:@自治スレにて板設定変更議論中[sage] 投稿日:2006/02/11(土) 01:40:05 ID:???
リョウの人乙!
ところで本物のりょうと義経のりょうと葵との人間関係が分からん。
誰が誰と親子?



821 名前:@自治スレにて板設定変更議論中[sage] 投稿日:2006/02/11(土) 14:48:33 ID:???
人間関係はこんな感じです。


りょう(義経)→7歳で事故死した遠山りょう(本物)の記憶を植え替えられる。
        しかし正体は源義経(女)。ラストで7歳の本物のりょうと出会い
        自らの命と引き換えに彼女を助ける。  
りょう(本物)→7歳で事故死。しかし最終回でりょう(義経)に助けられ、死ぬはずの
        運命を変えられる。ラストシーンでは成長した彼女が登場。
葵→りょう(本物)とは幼馴染。その後りょう(本物)が盛岡に引越し離れ離れになるが
  高校でりょう(義経)と再会する。


葵に関してなんですが、作中で彼の体にウサギ型の変わった痣があるという話が出てきます。
りょうと弁慶の子の葵にもその痣はあり、葵≠(リョウと弁慶の子である)葵ということを暗示させる
複線…のはずなんですが詳しくは語られていません。
また、弁慶とりょうの子の葵が平賀家の養子になったなら、りょうといた葵は…?ってなります。
「義経がリョウとして生きる本編の世界」と「本物の遠山りょうがそのままりょうとして生きる世界」
の二つのパラレルワールドがあるのかなと解釈しています。
わかりにくかったらすみません。



822 名前:@自治スレにて板設定変更議論中[sage] 投稿日:2006/02/11(土) 14:56:03 ID:???
乙。
すごい展開だ。


政子が死んだら尼御前は誰がやるんだろう、とちょっと思った。



823 名前:@自治スレにて板設定変更議論中[sage] 投稿日:2006/02/11(土) 15:00:25 ID:???
それもちょっと解説を…。
政子の死後、頼朝の看病を虎子(義仲の死後、頼朝の館に身を寄せていた)が甲斐甲斐しく行い
一時いい雰囲気になったため、りょうたちがくっつけようとするのですが
虎子は義仲一筋なのでグダグダに終わります。
もし虎子と頼朝がうまくくっついたら、あんな展開にもならなかったと思うと深いです。
ちなみに虎子もそれ以降本編に出てこずその後も書かれていないので
平安時代に残って息子と暮らしたと思われます。