最終兵器彼女

Last-modified: 2015-04-04 (土) 04:39:57

最終兵器彼女/高橋しん

525 :最終兵器彼女1 :04/03/20 09:39 ID:???

北海道の片田舎、水族館と自衛隊しかない町の長い坂の上にある高校に
通う男子高校生「シュウジ」に最近かわいい彼女ができた。
彼女「ちせ」はかわいいけどのろい、長い坂を一緒のペースで歩けないくらい。
彼女ができたばっかりの「シュウジ」は女の子との付き合いがわからず、
「ちせ」も同様で友達と相談した結果交換日記をはじめることにした。
シュウジは流石にゲンナリして、付き合うことを無理だと感じて
(女の子と付き合うこと自体苦手な事を悟り)自分の秘密の場所、自衛隊敷地内の
町と海を見晴らす展望台で別れを告げるが口論となり、互いの心の内を初めて知る。
打ち解けた二人はもう一度やり直すことを決め、展望台でキスをする。
互いの心臓の音を確かめ合い、ふたりで恋していくことを誓う


彼女と上手くいき始めたシュウジはたちせに生傷があることに気付くが
単にドジな女の子だから・・・としか考えていなかった


ちせにドタキャンを喰らって男友達と札幌で買い物をしていると地震、そして
異様な音がする。外に出てみると空を被い尽くすような戦闘機たち─そして始まる爆撃
応戦に来た自衛隊機の中に一つ小さくて速くて次々と敵機を撃墜するものがあった。
群集が逃げ惑う中その機は敵に墜とされる。その機に胸騒ぎを感じていたシュウジは
墜落した場所に駆けて行く。そこで見たものは背中から機械を早し腕を兵器と化していたちせ


ちせは告白する「ごめんねシュウちゃん・・・私こんな体になっちゃった」
抱きしめた体からはかつてのような心臓の音はしなかった


526 :最終兵器彼女2 :04/03/20 10:10 ID:???

ちせは「札幌空襲」から相変わらずのろく、一緒に坂を登るのにも必死だ。
みんなも進路のことを考えたり、一見以前と何ら変わらない日常のようだ。
しかし二人にとって徹底的に変わった事についてシュウジはおっかなびっくり問う。
「私最終兵器になっちゃったんだけど─」
「で、元に戻れるのか?」
「分からない」
「ちゃんと聞いておけよ」
話を聞いてもちせもよく事情がわかっていないらしく、気がついた時には
自衛隊に移され体を改造されたと言う事ぐらい。イマイチのんきなちせに
シュウジは本当にキズ付いているのか、という事すら分からない。


ポケベルが鳴る──ちせに自衛隊から支給されたものだ。有事の時、
戦争が起きている。ちせが「召集」されたのだ。「ちょっといってくるね。」
との言葉にシュウジは笑顔で答えるしかない、何をしに行くのか分かっていながら。
別れ際に渡された交換日記を家に帰って読むとそこにはちせの本当の心内
が書いてある。「無理して笑うシュウちゃんを見るのは辛い」
「誰にもヒミツで相談できなくて辛かったけど、じつはちょっとほっとしている」
「見て欲しくは無かったけど、シュウちゃんには悪い事をしてる私を叱って欲しかった」
そして最後には別れの言葉と「ごめんなさい」で終わっていた
それを読んだシュウジは居ても立ってもいられずちせの家へ駆けて行く。
そこに音も立てず「高性能の何か」を背中から突き破って生やしたちせが降りてくる。
シュウジに気付き申し訳なさそうな顔をするちせに、シュウジは交換日記の事を思い出し叱る。
辛い現実から目をそむけることでちせを傷付けることに気付いたシュウジはちせに
最終兵器って結局どーゆーことなのかと問う。詳しくはヒミツでいえないというが
親にも友達にも内緒の「二人の秘密」にしようと・・・・・恋愛問題のように考えていった


つづく



361 名前:最終兵器彼女[sage] 投稿日:2006/05/03(水) 16:25:22 ID:???

眼鏡っ子のシュウジの彼女のチセはドジでのろまでチビっ子だが可愛い。
交際をはじめた二人はすれ違いの末に別れようとしたりもしたが、仲直りしてキスをする。


シュウジは友人たちと共に札幌に遊びに行く。
そこに現れた飛行機が突然街を砲撃してきた。逃げ惑う人々。
死体と破壊された建物の間で、シュウジは光る小さな何かが飛行機を墜落させたのを見た。
何かを予感しながら走ると、瓦礫の中に、背中に機械的な羽を生やしたチセがいた。
「あたしこんな体になっちゃった」
チセがいうには、日本は今どこかの国と戦争をしているのだという。
日本はほぼ壊滅状態で、東京もとっくになくなった。
チセはある日の帰り道に自衛隊に連れていかれ、
敵に対抗するための最終兵器として改造されたのだった。
チセからはもう心臓の音がしなかった。


はじめの頃は札幌空襲についてテレビで騒がれたが、すぐにテレビは映らなくなった。
街角で戦争反対運動をしていた人たちもいつのまにか見えなくなった。
季節は冬のはずなのに異様に暖かくタンポポが咲いていたりした。


チセは戦闘を経験するごとに進化していく。
シュウジといる時も常に敵の気配を感じ、敵を倒す事ばかり考えていた。
地震が起きた時に誤作動を起こして誤爆してしまう事もあった。
そんなチセにどう接すればいいかわからず、
シュウジは始めての相手であるふゆみ先輩といい感じになる。
ふゆみは自衛隊に所属する夫・テツの身を案じる不安を打ち払うようにシュウジを欲する。
自衛隊に属して戦うチセは、兵器である自分を女性として見てくれるテツに惹かれていく。
戦いの中で死亡するテツ。兵器として進化するうちに生命体としては「死んだ」状態になりながらも
チセはまたシュウジと恋しあう。


戦争の果てに崩壊する地球
宇宙船のような状態に変態したチセは唯一生存したシュウジを保護する
既に食物を必要としなくなったチセは、シュウジのための食糧を持ってくるのを忘れていた
「チセらしい」とシュウジは笑った