町でうわさの天狗の子

Last-modified: 2015-08-04 (火) 21:31:27

町でうわさの天狗の子/岩本 ナオ

225 :マロン名無しさん:2010/11/03(水) 12:52:24 ID:???
過疎ってるんで、未解決リク消化してみる

町で噂の天狗の子 岩本ナオ 1~7巻(以下続刊)

現代日本だが、天狗の存在が住民に普通に許容されてる田舎町・緑峰町。
そこの緑峰山には康徳神社があり、康徳坊という格の高い天狗がいる。
その天狗と人間がある祭りの日に恋に落ち、生まれたのが秋姫(あきひめ)だ。

人間と天狗のハーフの女の子・秋姫は、見た目は普通の少女だが、異常に怪力で
トラックも簡単に持ち上げてしまったり、妖が見えたり、やはり普通ではない。
しかし本人は人間として生きたいと思っており、緑峰町で母親と暮らし、学校に通っている。
週に一度だけ父親に会いに山を登る秋姫。父親の康徳坊や、幼馴染で今は天狗に
なる修行をしている榎本瞬は、秋姫に天狗になってほしいと思っているが、秋姫は
天狗修行を受けたがらない。力をつけて天狗になってしまい、天狗の風貌になるのが
心の底から嫌なのだ。

しかし康徳坊の娘であるため、なにもしなくてもそっちの世界での格付けは高く
「太郎坊」という天狗名がある。瞬は次郎坊で、その他動物出身で神の眷属になるために
修行している三郎坊・四郎坊・五郎坊…といる。
潜在的な能力の高さと、それに見合わない自衛力のなさから(修行してないから)
変な妖怪に狙われることの多い秋姫。瞬は仕方なく普通の生活をしたがる秋姫の
サポートに回っている。

そんな秋姫が長年想いを寄せているのは、秋姫にも偏見なく接してくれるクラスメイトの
タケルだ。天狗の娘ということで、色々言われることの少なくなかった秋姫はタケルの
優しさに何度も救われている。高校もタケルの進学先を選び、中学を卒業する。



235 :マロン名無しさん:2010/11/07(日) 00:41:16 ID:???
群青高校に入学した秋姫だが、高校ともなると中学時代と違って皆が同じ町出身という
わけもなく、別の中学校から来た子達には「は?天狗?なにその迷信」て感じで奇異な
目で見られてしまう。
タケルは相変わらず優しいが、運良く同じクラスになったのに、イケメンで気さくで優しい
とあれば他の女子がほっとくはずもなく、中学時代から引き続きモテモテ状態で近づく
こともなかなか難しい。

本当は修行に専念したいのだが、秋姫を心配する康徳坊の願いでやっぱり同じ高校に
入学した瞬は、タケルのことを最初は軽視していたが、接してみて良い奴ぶりに感心。
以降割と仲良くなっていく。

親バカの康徳坊は秋姫に想い人がいると聞き、超ショック。呪ってやるとか思うも、
タケルの神谷家は康徳坊と深い繋がりがあってずっと守っていくと約束しているのだった。
康徳神社もタケルのご先祖が建てたものなのだ。
タケルの一族は代々大工(元は仏師?)なのだが何代かに一人、特殊な人が出る家系
で変な妖怪に狙われやすいらしい。
そしてタケルはその何代かに出る特殊な一人らしく、頻繁に物の怪に取り付かれて
具合が悪くなったりしている。

秋姫は他の中学出身の子とも少しずつ馴染むようになり、タケルの話で盛り上がったり
している。タケルが「彼女がほしい」と言ったのを聞いた女子達は騒然。
フリーと判明するや否や、告白が殺到状態に。たまたまタケルと電車の中でいい感じに
二人きりになった秋姫も思い切って告白してみるが、微妙に困ったような顔をされてしまう。



227 :マロン名無しさん:2010/11/03(水) 21:44:40 ID:???
お姫さまが主人公か


228 :マロン名無しさん:2010/11/03(水) 23:22:19 ID:???
姫っちゃ姫ではあるけど秋姫ってのはそれで一つの名前


229 :マロン名無しさん:2010/11/05(金) 18:48:09 ID:???
天狗の風貌になるのは女の子は嫌だろうな

でも女の天狗ってどんな姿になるんだ
鼻デカなのか
それとも「からす天狗 うじゅ」とか「射命丸 文」みたいな羽が生えてるだけの可愛い系か


230 :マロン名無しさん:2010/11/06(土) 03:43:08 ID:???
作中で出てきてるちゃんとした天狗は主人公の父ちゃんくらいで、父ちゃんは鼻でかい
(正面顔は伏せられて横顔とかばかりで正確な顔はわからないが)
女天狗がどうなるかはわからんけど、主人公は天狗化したらそんな風になるかもとgkbrしてる


231 :マロン名無しさん:2010/11/06(土) 14:36:01 ID:???
天狗って神社でまつったりするのか。意外だ。
どっちかというと悪なイメージだし、神社と言うより寺なイメージあるけどな、天狗って。


232 :マロン名無しさん:2010/11/06(土) 16:29:34 ID:???
けっこうリアルワールドでも天狗を祀った神社はあったりする
人間が下法に墜ちた結果としてなるものだという考えもあったりするから正統派の神さまではないと思うが



236 :マロン名無しさん:2010/11/07(日) 01:13:17 ID:???
>>231
リアルに天狗がいる世界なんで現実と比べないほうがいいかも。
祀ってるというか住んでるという感じ?
康徳神社は神の領域で人間が入れない。という設定。
瞬も天狗の面つけないと入れない。(半人前だから)
ちなみに天狗で有名な鞍馬山も話には出てくるんで、神社限定とかでなく
むしろ山が単位って感じ。



257 :マロン名無しさん:2010/11/14(日) 20:53:55 ID:???
タケルに告白した秋姫。結構仲が良かったのに微妙な顔をされてしまった。
とりあえず返事待ちの状態になるが、今まで全く恋愛対象と思われてなかっ
たことが分かりショック。
しかし翌日OKの返事を貰い、憧れの人が自分の彼氏になることに。

話が前後するが、高校受験まで秋姫は、康徳坊の守護する地域から出たこと
がなかった。しかし寄ってくる「低位の者」に対抗できないことで困ることが
分かった秋姫は、タケルが物の怪を引きつけてしまうこともあり、高校入学を
機に「徳」を高めるためにも週末に天狗修行を受けることに。

タケルと付き合うことになったものの、一緒に帰ると思っていたら先に帰られて
しまったり、変なセンスの服でのんびりしてるところを目の当たりにしたり、
今まで知らなかったユルい部分を知って意外な気がする秋姫。
付き合うことを、「お互いに頑張ろう」というタケルに秋姫は首をかしげる。

恋人になったのだからデート!と意気込む秋姫だが、週末には百年に一度の
天狗のイベントである修験堂(しゅげんどう)が行われることになっており、
太郎坊の秋姫も出ないわけにはいかず、ひとまずお預けとなる。
山登りにも嫌な顔ひとつしないタケル。相変わらず優しいが、その優しさが
周りにも遺憾なく発揮されるので、自分を特別視してほしいという気持ちが
芽生え、モヤモヤとしてしまう。

タケルはどうして自分と付き合おうと思ったのかと聞くと、彼曰く、自分と
いると安心するということと意外とはっきりものを言うとこが決め手になった
らしい。女の子は自分の気持ちを言わずに分かってもらおうとするから、と。

258 :マロン名無しさん:2010/11/14(日) 20:56:22 ID:???
秋姫もタケルの言動から薄々勘付いてはいたのだが、タケルには秋姫は初めて
の彼女ではなかった。しかし思い切って尋ね、今まで付き合った人数が6人と
聞いて驚き、ショックからタケルを困らせてギクシャクしてしまう。
落ち込む秋姫は八郎坊にぽつぽつとタケルへの気持ちを溢す。
以前学校生活でで浮いてたこと。タケルに優しくしてもらったこと。
「あたし、3日に1回でいいから
タケル君におはようって言ってもらえるなら
お父さんや瞬ちゃんに迷惑かけても同じ高校に行きたかったんだもん」

八郎坊との会話を戻ってきたタケルに聞かれてしまい、重い言葉を
聞かれてしまったと秋姫は焦るが、ささくれ立ってた空気は和らぐのだった。

その頃、「山伏問答の相手役を務めるため」と、鞍馬山の三十八郎坊を名乗る
鳥天狗の娘・烏丸紅葉が瞬の前に現れる。

体験修験道という一般の人にも天狗修行を体験してもらうイベントで
天狗とタケルの家の深い繋がりを知った秋姫は、タケルが秋姫といると安心
すると言った言葉が気になっていた。受験のときに、寄ってきた物の怪を
追い払ってあげたりしていたし、(タケルには当然ながら見えてない)
そういうことが理由で無意識に自分を選んだんじゃ?と心配するが、
タケルは幼い頃から康徳様と家のことは耳タコになるほど聞かされてるといい
秋姫は安心するとともに、自分が天狗のことに無知だと気付かされる。



261 :マロン名無しさん:2010/11/18(木) 00:12:18 ID:???
イベントも大方終わり、体験修行道に来た友人達と楽しく話す秋姫。
瞬とも写真を撮りたいと言う子がいたが、瞬はもう一般の人には入れない山の
上の禁足の地に戻ってしまっている。天狗修行でろくにクラスメイトと仲良く
しない瞬に、秋姫はもっと友達を作ってほしいと思っている。
瞬は赤子のときに緑峰山に捨てられ、康徳坊が拾った子だった。
秋姫とは乳兄弟だ。

秋姫は三郎坊・四郎坊・五郎坊のお面を借りて(奪ったとも言う)友人らと
禁足の地へ踏み込んだ。
秋姫は訴える。「今日瞬ちゃん一枚も写真撮ってないんだもん」
秋姫のことも瞬のことも大事に思う康徳坊は、この騒動を不問に伏すのだった。
この騒動の最中、秋姫の中学時代からの友人の美少女・赤沢が三郎坊に一目惚れする。

瞬は天狗界のカリスマとも言うべき客人の鞍馬山僧正坊のことで頭がいっぱい。
巨人ファンにとっての長嶋茂雄くらいの凄さだと力説する瞬。
天狗修行に夢中な紅葉とも意気投合し、秋姫としては何か面白くない。
紅葉(以降モミジ)を苦手だと思い始める秋姫だが、モミジは修行のためと、
秋姫達の通う高校に転入してくるのだった。


262 :マロン名無しさん:2010/11/18(木) 00:45:38 ID:???
町でうわさの天狗の子 登場人物

・刑部秋姫(おさかべ あきひめ)(緑峰山太郎坊秋姫)
天狗と人間のハーフの女の子。怪力で大食漢。普通の青春を謳歌したいと思っている。
・榎本瞬(えのもと しゅん)(緑峰山次郎坊瞬)
秋姫の幼馴染。天狗になるため修行中。頼られキャラ。捨て子だった。
・神谷武(かみや たける)
秋姫の想い人。学校の人気者。妖に狙われる。仏師としての特殊な才能を見せる。
・松中緑(まつなか みどり)
 秋姫の親友で緑峰町の町長の孫。眼鏡を取ると美少女。
・烏丸紅葉(からすま もみじ)(鞍馬山三十八郎坊紅葉)
鞍馬山鳥天狗の娘。修行マニア。計算高い行動が女子に嫌われがちだが良い子。
・赤沢千洋(あかざわ ちひろ)
秋姫の友人の美少女。モテる。三郎坊に一目惚れしてしまう。
・康徳坊(こうとくぼう)
緑峰山の天狗。秋姫に対しては極度の親馬鹿。元は破戒僧だった。
・緑峰山三郎坊(キツネ)
瞬曰く「ドSでインチキサギ師」。超近眼で匂いで人を判別する。
・緑峰山四郎坊(タヌキ)
瞬曰く「趣味:子作り子育て男女共同参画」
・緑峰山五郎坊(ウサギ)
瞬曰く「亀でも電柱でも西条でもイケる性倒錯者」
・石鎚山五郎坊英介
康徳坊が握り潰した秋姫のお見合いの相手。



265 :マロン名無しさん:2010/11/21(日) 01:12:19 ID:???
天狗の娘という大きな共通点を持ちながら、モミジと秋姫は対照的だ。
かたや普通の人間でいたいのに太郎坊の秋姫。
かたや天狗に憧れ真面目に修行に励むも、天狗としては三十八郎坊という落ちこ
ぼれ状態のモミジ。
秋姫はモミジの妙に周到な振る舞いや、自分の分からないことを瞬と話していたり
自分のことを太郎坊様と天狗名で呼んでいることだったり--ちょっとした言動が
いちいちモヤっとして仕方ないのだった。

今度こそタケル君の土曜の予定を「あたし」で埋めなければ!と意気込む秋姫は、
タケルに土曜の予定を尋ね、「どっか行く?」「うん」「じゃあ帰りに決めようか」
といい感じに。
デートの約束をしているところを聞かれた友人から、花火大会があるという赤飯ビー
チを勧められ乗り気になるが、モミジからは海は危険と言われて止められてしまう。
天狗は山の者だから海には弱いのだ。秋姫も生まれて一度も海に行ったことがない。
しかしどうしても行きたい。モミジは真剣に対策を考えてくれた。

そして二週間ある修行をすれば大丈夫かもと提案される。天狗になりたくない秋姫は
逡巡するが、強くなればデートもできると思い承諾。
しかし秋姫と瞬の間を微妙に気にするタケルに修行することを伝えると、「それって
瞬君と暮らすってこと?」と聞かれてしまう。
一方の瞬も、秋姫の修行承諾がタケルとデートしたいがためとモミジに聞き、微妙な気持ちに…。

266 :マロン名無しさん:2010/11/21(日) 18:58:42 ID:???
秋姫にとって瞬は赤ん坊のときからの付き合いで兄弟のようなものだ。
瞬を気にするタケルを秋姫は妙に思うが、友達から嫉妬だと言われる。
付き合いだしてからも秋姫が一方的にドキドキするばかりで、タケルの態度は
変わりなかったことを気にしていただけに、秋姫は少しは好かれるようになったのかもと喜ぶ。

タケルは前の彼女らに「頼りない」と言われたことがコンプレックスになっていて
頼りがいのある瞬をうらやましく思っている。秋姫が何気ないことでも瞬を頼りに
して自分のことは頼らないことを気にしているのだった。
瞬は気にするなと言う。
しかしなんだかんだで海デートを楽しみにしている秋姫とタケルなのであった。

秋姫の取組む修行は「火生三昧」(かしょうざんまい)。火の中を歩くというもの。
秋姫は火に手を入れたりするが、いまいち上手くいかない。
そのまま本番となり、自分が火渡りをするのかと思っていたら、実際には低位
の者がやると聞いて驚く。仲間を守るために火を消さなければならないのだ。

瞬が炎の中に入ることになり、本番、秋姫は業火を一瞬で消し去ってしまった。
秋姫は出来なかったのではなく、自分が天狗になってしまうことを恐れて、天狗
の力を使うことを躊躇っていただけだった。
別に出来なかったとしても、他の皆は火渡りくらい出来るので誰も怪我はしない
と後で知り、秋姫は脱力する。


280 :町でうわさの天狗の子:2010/11/27(土) 19:38:16 ID:???
無事修行が終わり、タケルと秋姫は赤飯ビーチにデートに行く。
康徳坊の命で、次郎坊以下全員と紅葉、それに秋姫の友人のミドリや赤沢・
金田一まで見張りとしてこっそりついていくことに。
赤沢は三郎坊を意識するが、三郎坊が自分を覚えていないと知り不機嫌に。

見たところ海は波も穏やかだが、昔タケルは波にさらわれたことがあるという。
海はヤバいと感じた秋姫は浜で何かしようといい、 タケルが秋姫に砂の城を作ってくれることに。
「砂の城」というレベルを超越した緻密な城が出来上がり、喜ぶ秋姫。
しかし夢中になり満潮であることに気付かず、体が海水に浸かってしまったタケル
はなぜか手足が抜けなくなってしまう。 助けようと海に入る秋姫も同様の事態に。
焦った秋姫は、小さく瞬の名を呟いた。

遠巻きに秋姫らを見張り…のはずがいつの間にか潮干狩りしていた一行。
ミドリに、「秋姫が困ってるときだけじゃなく楽しいときもそばにいればいいのに」と言われる瞬。
秋姫のSOSを五郎坊が聞きとり、瞬とモミジが助けに走る。
高波が襲うが、秋姫が持ち前の怪力でタケルを引き上げ浜に投げた。
海はタケルが秋姫のために作ってくれた砂の城を飲み込んでいった…。
秋姫は「あたしがタケルくんのこと守るから」と言ってしまうが 、彼氏として頼られ
たいと日頃思っているタケルにはちょっとショックな言葉だった。

結局皆で一緒に帰路につく。
秋姫は今まではひとりでと思っていたけどもっと皆に感謝しないとと思うのだった。

季節はこれから長い曇り空の続く梅雨に入っていく。



327 :町でうわさの天狗の子:2010/12/18(土) 18:10:30 ID:???
9月に行われる学祭の準備で、秋姫のクラスの2組ではカップル成立しやすいという
「ダンス」に人気が集中し、大揉め。
秋姫もタケルとダンスがしたいと思うが、タケルは自分は学祭の実行委員だから
残ったものにすると言われ、秋姫はガッカリ。

濃いキャラ揃いと言われる2組だが、ようやく折角みんな仲良くなったのに、ダンスの
せいで授業に支障が出るほど険悪なムードに。
秋姫は生徒会長のユカリにダンスをなくすよう懇願する。それは許可されなかったが
どこのクラスでもダンスで揉めるので、閉会式後にフォークダンスを行うことを聞く。

瞬のいる爽やか1組は揉めもせずクジ引きで決まり、瞬はダンスになり苦悩する。
頼んで変えてもらえば、と秋姫は言うが、瞬と同じ1組の赤沢曰く、瞬と踊りたい子は
結構いるとのこと。秋姫は女子に囲まれてる瞬を見て意外に思う。

タケルとの帰宅中、事の顛末をタケルに話す秋姫。
フォークダンスで人気のある男子を上手く振り分けよう、と女子の間で画策している
ことをうっかり言いそうになり、女子の企みの片棒を担がせてはいけないと思い直し、
「なんでもない」と言う。
しかし相変わらず頼りにされてないと感じているタケルはその態度にプチショック。
仲良しの八郎坊に、「刑部さん(秋姫)といると自分が情けなくなる」とこぼすのだった。
「タケル殿も夏休みに修行に来られては」
「えーいいの?今度ほんとに行っていい?」
とコンプレックス真っ只中のタケル。

328 :町でうわさの天狗の子:2010/12/18(土) 18:24:41 ID:???
6月。4日後に中間試験が始まると今更気付き、慌てふためく秋姫とタケル。
雨の中、二人での帰り道、思い切って今日一緒に勉強しようとタケルを誘う秋姫。
タケルはにわかに深刻になり、間に合う気がしないと言う。秋姫も今まで全く勉強しておらず、
自分もヤバイのではと不安に思い始め、二人でパニックに。

誰か勉強できる人を呼ぼうということになり、秋姫は「背に腹は変えられない」とヤタガラスの
夜一を呼び寄せ、「お父さんに、タケルくんと2人きりで勉強するから帰りが超遅くなるって伝
えて」と伝言を頼む。タケルの家に着くと、もう瞬が来ていた。
当然庚徳坊の言いつけで来たわけだが、瞬の足元が異常にずぶ濡れなのに気付くタケル。

留年を恐れ、教えを請う二人に、「そんな簡単には学校も留年させない」と瞬。
ただこのまま進級すれば二人とも進学コースを外れ、劣悪な環境の底辺収容キャンプ(落ち
こぼれクラス)に送り込まれると脅し、必死になる秋姫&タケル。

試験範囲から出そうな範囲を絞り、教えてくれる瞬。秋姫は数学でも順調に応用に進むが
タケルは連立方程式を見て、「これなんで数字のうしろに英語がついてるの」(2x)と言い、
「そこからか!!」と驚く瞬と秋姫。
秋姫はタケルと瞬が仲良くじゃれてるふうなのを見てすごく嬉しく思う。

翌日、今日は学校でみんなで勉強しよう、と秋姫が提案。しかしなんだかんだでいつも誰かに
監視されてる二人を、二人きりにしてあげようと気を使った一部女子の計らいで教室に取り残
された秋姫とタケルは仕方なく二人で勉強を始める。
小中と行ってない瞬がなぜあんなに勉強できるのかと不思議がるタケル。秋姫曰く、瞬は幼い
頃の庚徳坊の英才教育のせいか、一度見たり聞いたことを忘れないとのこと。

その後、購買にいる皆を見つける秋姫。秋姫の様子が明らかにおかしいことに気付く皆。
しかし単に頭の糸くずを取ってもらっただけと知り、皆(瞬除く)はガッカリする。
秋姫は来年からこの日は糸くず記念日!とのぼせあがる。



329 :町でうわさの天狗の子:2010/12/18(土) 18:30:19 ID:???
タケルは瞬に言う。
「心配しなくても刑部さんと部屋でふたりになってもなにもないから」

「って康徳様に言っといてよ」

タケルと瞬が二人で話してる様子を見た秋姫は、何を話していたのか訊く。
「忘れた」と瞬。

試験当日、前の席に座っているタケルがガリガリ書いてるのを見て安心する秋姫。
タケルはのんびりしてるから自分がしっかりしないとと思う。
試験後タケルを心配しすぎた数学の先生が真っ先にタケルのだけ採点し、50点は
取れそうと大喜びで秋姫に報告するタケル。

それを聞いた瞬や西城は「お前…あれだけ教えて50点だと…」
「瞬コイツ算数から怪しいからよ」「だから俺と一緒に公文やっときゃ」
「俺昨日夜12時まで教えたんだぞ」とボロクソに罵るのだった。



331 :町でうわさの天狗の子:2010/12/20(月) 00:10:32 ID:???
生徒会選挙で転校した書記の補欠選挙があり、生徒会長のたっての希望で立候補したミドリが
色々あった末に書記に当選する。
その選挙活動の際タケルが作ったダルマが今回の事件の発端になるのだが…。

6月も末になったというのに毎日激しい雨が続いていた。そんな中、秋姫はモミジから、瞬が石槌
山からの客人接待のために一週間休むと聞かされる。風紀にうるさい瞬の目を逃れて今のうちに
制服のスカートを短くすることにした秋姫。

今年はちょっと雨が酷すぎない?とミドリは言う。もう何日も強い雨が降っている。
いつも高校(青雲町)から緑峰町に帰る頃には小降り程度で秋姫は気にしたことがなかった。
しかし高校の近くに住む子によれば青雲町では緑峰町と違い、一向に雨が弱まっていないという。

朝、教室に置いてあるダルマの頭頂部の小さなへこみに気付いた秋姫は、体育の授業後戻って
きた際、ダルマのへこみが明らかに大きくなっていることに気付き激怒。
放課後残って見張ることにした秋姫だが、みんな用事があり、結局一人に。そこにモミジが通り
かかり、秋姫は泣きつく。
大丈夫ですか、群れからはぐれちゃったんですか、と秋姫を慰めるモミジ。

モミジに事情を話し、一緒に待ち伏せする間、モミジにホームシックになったりしないのかと
尋ねる。モミジは、たまには帰りたくなることもあるが、鞍馬に帰っても自分は落ちこぼれだし、
高校は共学に行きたかった。ここの皆は良くしてくれるし、ケモノの三郎坊様たちも面白い。
それに…
「それに?」と秋姫は続きを促すが、何者かの気配を感じ取ったモミジに黙るよう言われる。

教室に入ってきたのはいつもタケルに取り付いてくる妖怪達だった。お前たちかとガッカリする
秋姫。しかしダルマを愛でていたのは確かだ、がへこませたのは自分たちではないと言う。
そのときミチャミチャ…とぞっとする気配が。



341 :町でうわさの天狗の子:2010/12/23(木) 01:57:46 ID:???
見てきます、とモミジが教室を出て行く。恐怖に怯えながらも、モミジちゃんに何かあったらと
秋姫も教室を飛び出した。モミジの正面に居たのはえも言われぬ化け物であった。
「ギャー!!」
秋姫も驚くが、悲鳴を上げたのは相手のほうだった。モミジは大丈夫、太郎坊様は無闇に攻
撃される方ではない、と化け物…いや海の眷族を慰めた。
「その言葉はこっちにかけて!!」と思う秋姫。

どうやら春先から緑峰山の者が頻繁にこの辺りに来るので、緑峰山の太郎坊が領土拡大を
狙っているのではと懸念されていたらしい。さらに最近海にまで眷属を引き連れて現れた
ため緊張が一気に高まっていたとか。
ダルマはその海の眷属がぎゅっと抱きしめたときにへこんだらしい。
海の者はタケルの作ったものが大好きなのだ。秋姫は、ダルマを友好の証として誤解を解く
ためのプレゼントにし、無事和解にこぎつけたのだった。

帰路、緑峰町の駅で電車から降りるとやはり雨は弱まっていた。
今日は変な一日だった。またあんなのが来たらどうしよう、と秋姫は不安をこぼす。
「そんなに弱気でどうするんですか。瞬様は10月から京都に修行に出られてしまうんですよ。
もう少ししっかりしてください」
モミジにそう言われ、初耳のことに秋姫は驚く。

幼い頃から瞬は10月になると他所へ修行に出ていた。秋姫は不安になり、その足で山に
向かうが五郎坊に足止めされる。瞬の修行期間はまだ決まっておらず、来週僧正坊様が
来られたときに決めるとのこと。
決して瞬を引き止めるな、と秋姫は念を押される。大天狗になることは、瞬の昔からの夢で
そのために修行は必要なことなのだから。

これからはなるべく瞬に心配をかけないようにしないといけない。いてほしくても、安心して
行かせてあげないといけないんだと秋姫は思うのだった。



344 :町でうわさの天狗の子:2010/12/23(木) 20:47:24 ID:???
7月は「瞬ちゃんと仲良し月間」にすると秋姫は決める。「怒らせない」「迷惑かけない」と
いう目標を掲げ、瞬を安心して修行に行かせようと思う。

モミジは朝から父親の僧正坊が来て「チャラい格好はいかん」と説教され、沈んでいた。
スカートも長く、靴下も白になっている。僧正坊って靴下白派なのか、と変なことに感心する皆。
そこへ一週間ぶりに瞬が登校。秋姫の短くなったスカートを見て突如激怒し、周囲の宥めも
無視して「勝手にしろ!」と行ってしまった。「もう怒らせてしまった」と青くなる秋姫。

秋姫のスカートが長くなっていることにタケルが気付く。秋姫は瞬に気を使い、赤沢とスカートを
一時的に交換して標準丈に戻したのだ。
妙に鳥が沢山飛んでいると外を見て言うタケル。僧正坊が来ているから、と説明する秋姫。
「鞍馬はね、『山中の木陰 草むら 木の葉の露にまで天狗が宿る』って言われてるくらい日本で
一番天狗が多いとこなんだって。そこの一番偉い人が来てるんだもん。ザワザワしちゃうよ。」
そんなところなら瞬も行きたいだろう。でも、秋姫が行かないでと言ったらやめちゃうんじゃない、
とタケルは言う。瞬が秋姫の意思を尊重するよう言われて育ったことを秋姫は知っている。
だからこそそれは絶対言っちゃいけないのだと思う。
秋姫は油絵の具でジャージを汚してしまったタケルのために奔走する。

中庭で秋姫に会った瞬は、スカート丈が戻っていることにビックリ。
秋姫は瞬がモミジから教科書を借りていることに気付き、なんで自分に借りないの、と不満げ。
俺がいないことにお前は慣れなきゃいかん、と瞬。これからは何かあったらモミジ殿か三郎坊に
言えという。そこへ僧正坊の使いの巨大カラスがやってきて、瞬に山へ戻るよう言ってくる。
瞬の修行期間のことで僧正坊と康徳坊がもめているのだ。
瞬が戻ろうとしたとき、舞う羽で秋姫がくしゃみした拍子にスカートの留め具がふっとぶ。
赤沢のスカートは秋姫にはきつすぎたのだ。ずれるスカートを押さえ、行ってと秋姫は言うが、
瞬は過保護にも使いのカラスにも留め具探しを手伝わせ、自分も山に戻らず探してくれた。


345 :町でうわさの天狗の子:2010/12/23(木) 20:50:39 ID:???
結局瞬は話し合いには混じらず、「康徳様の言うように」と使いに伝言を頼んだことにより、10月の
みの修行に決まる。康徳坊は瞬に高校生活を大事にしてほしいと思っていたのだ。
安心した秋姫は10月だけスカートを短くしようと思う。

落ち着きをアピールするために秋姫に無理矢理渡された本を読む瞬はウンザリ顔。色々残念な秋姫
が瞬に貸したのは今話題の「虹空」というケータイ小説の書籍化されたものだったのだ。
苦笑いするタケルに、つまらんかったと秋姫に言えとタケルを通じて本を返す瞬。

タケルは瞬の作戦だったんだじゃないかと言う。瞬は僧正坊様には決して逆らえない。だから康徳様に
任せることで修行期間を短くなると計算したんじゃないの、と。彼氏の自分が秋姫とは何もないと
言うから、少々留守にして京都に行っても大丈夫だってことを分かっていたんじゃないか。
「それはお前の考えすぎだ」と真顔で答える瞬。
はたしてそれは本当か…とタケルは思う。



351 :町でうわさの天狗の子:2010/12/27(月) 00:11:04 ID:???
一学期最後の日。この日は秋姫と瞬の通知表を見るために康徳坊が山から下りてくる。
成績が良くないのを気にする秋姫は友人の助言で半ばご機嫌取りで夕食を作ることになる。
瞬が今日の集まりにタケルも誘ったことで、秋姫は俄然やる気に。

しかし料理のできない秋姫がそう上手く作れる筈もなく、思うようにいかずいっぱいいっぱいに
なってしまう。
根つめた様子の秋姫をタケルが外に連れ出してくれた。
何気ない話をしながらも、心が軽くなっていくのを感じる秋姫。
成績優秀の瞬と一緒に通知表を見せることになり、焦っていたのだと秋姫は告白し、タケルは
「それはキツイね」と笑った。
スーパーでアイスとお茶を箱買いし、お茶の入った重い箱を秋姫から受け取ろうとするタケル。
秋姫は遠慮するが、家が近いから大丈夫と言うタケルに、じゃあタケル君はこっちをと言ってア
イスを渡した。表情が凍りつくタケルに秋姫は気付かない。

結局料理は散々な出来になり、皆もきつい顔をするが、康徳坊だけは「ミシュランの手先が来る
やも」と上機嫌だった。成績には特に触れられず、秋姫は皆勤であることや友人と上手くやって
いることを褒められ、勉強も料理も頑張ろうかなと思うのだった。

明日から夏休みといっても、しばらくは補講があり、学校があることには変わりない。
夜になり、秋姫は途中までタケルを送ると言い二人で歩いていた。横断歩道で立ち止まったとき、
タケルは秋姫に「友達に戻れないかな」と別れをきりだす。
「一緒にいてすごく楽しいけど、気持ちがどうしても『彼女』までいかない、ごめんね刑部さん」

秋姫はタケルが話している間、何を言ってるんだろうとぼんやりしていたが、実感が伴ううちに
「それを言うために今日うちに来たの」と責めてしまう。そんなこと言いたいわけでも、「今日言わ
なきゃいけないと思った」というタケルの言葉を聞きたかったわけでもないのに。
今更友達なんて無理、と言う秋姫。
遅いからと送ろうとするタケルに、一人で帰る、と秋姫は駆け出した。タケルは追ってこない。
期待していた自分に気付くと共に、秋姫は振られてしまったと本当の実感が沸き、道端でうずくまる。