結石のルアー

Last-modified: 2021-05-15 (土) 01:42:50

調整したハイヴ・アーティファクト

スパイダーの宝物庫に続く油圧式の扉が微かに音を立てながら開く間、クロウは静かに肩越しに後ろを確認した。幸運にも宝物庫を調べる許可をスパイダーから得ることができた。ここならハイヴの結石への対抗手段が見つかるかもしれない。それにも関わらずクロウは、珍品と遺物が詰まった一連のディスプレイケースを調べている間も、大きな焦りのようなものを感じていた。

グリントがケースの間を通り抜けながら、アイテムを次から次へとスキャンした。「見てください――アハンカーラの脳みそです。しかも傷一つありません! それとこれは――パルプ状の植物に書かれた黄金時代の信書です! そしてこれはどうやら、大崩壊前のデータパッドのようですね。ある果物から名前を取っています! そしてこれは――」

「グリント」とクロウが口を挟んだ。「あの音が聞こえるか?」グリントは空中で静止した。

地下の塹壕の静寂の中で、クロウの耳は部屋の中のとある音を聞き取っていた。動いてはいない。衣擦れの音もしない。ただ… 囁き声だろうか? 間違いない。小さな声だ。何か呼びかけている。

クロウが部屋の後方に静かに向かうと、壊れた電気回路が詰め込まれているシティ時代のキャビネットが目の前に現れた。誇りをかぶった引き出しの一番下に、ハイヴ・テクノロジーの塊が置かれていた。クロウはハイヴのシーダー船の最上層部で同じような部品を見たことがあった。

クロウはそれを拾い上げた。囁き声は聞き取れるぐらい大きくなった。それは安らぎを覚えるほどの親しみを感じさせると同時に、恐怖を覚えるほどの馴染みのない言葉で囁いていた。そしてやがて何も言わなくなった。

「これだ」とクロウは心配そうなゴーストに向かって言った。「トランスミッターを見つけた」