証明のハンマー

Last-modified: 2021-05-15 (土) 01:44:12

カバルゴールドから挑戦者のメダリオンを鍛造して、戦場でカイアトルの選士に挑め。 カバルゴールドを得るにはハンマーを装備している必要がある。

現在、我々のクリプト考古学者は、カバル帝国でいつカルスが権力の座に就いたのか、具体的には把握できていない。カバル帝国の古代の歴史の大半と同じように、その多くの期日と事実はねじ曲げられ、元皇帝とその台頭に都合の良いものに改変されている。クリプトアーキの情報の大部分がカルス後の記録を元にしたもので、レッドリージョンの船に残っていた公文書の解読と、リヴァイアサンの探査によって獲得したものである。以上のことからこの歴史的な記録は、精度という点で注釈を付けざるを得ない内容となっている。

法的逸脱行為の法典と呼ばれるカバルの法定記録によると、証明のハンマーの起源はカルス皇帝政権の創立時代にまで遡るとされている。この時代のカバル社会は、侵略と帝国の拡大を中心とした軍事的野心に支配されていた。カルスは政権を奪取すると、帝国民を促して芸術と哲学に溢れた文化を築こうとした(だがこの試みは堕落と道楽へと変性した)。

建国時代初期、証明の儀式は自由カバル民の間の争いを鎮めるための主要手段として活用されていた(シティのガーディアンの間で生まれたクルーシブルの成り立ちとよく似ている)。この儀式では、2名のカバル、または指名を受けた代表者たちが公開討論会で抗議を行い、一方もしくは両方のカバルが挑戦を宣言するのが決まりだ。この戦いはどちらかが降参するか死ぬまで続き――基本的には後者の場合が多い――勝者がその争いにおける合法的な一団であると判断された。

カルスはこの儀式に反対だったが、数世紀もの間続いてきた伝統を禁止すれば不満が募ることを理解していた。その代わりに皇帝は、証明の儀式に付加的な厳格さと複雑な規則を導入したのである。その結果、戦いが引き分けか両方が倒れて終わった場合は、「公平」な帝国の仲裁者が判断を下すことになった。この仲裁者には、官職であることを示すハンマーが与えられた。そのハンマーには金メッキが施され、そこにはカルス独自の超自然的な考えをもとにした奇妙なルーンが刻まれていた。これが証明のハンマーである。

仲裁者が伝統の変更点として広く受け入れられた一方で、カルスはそれを自分の政策を推し進めるための手段として悪用した。やがて証明の儀式の仲裁者は戦いを終わらせるため、より大きな自主性を持つようになり、「不公平」な対戦のバランスを取るためや、「長くなりすぎた」戦いを終わらせるため、もしくは帝国に借金のある参加者を罰するためといった、いくつもの希薄な根拠をもとに、自ら戦闘に介入する権利を手にすることになった。

仲裁者が大きな力を持つようになったことで、儀式に関連する法と規制では対応できなくなり、1世紀もしないうちに証明の儀式は使われなくなっていった。最終的に儀式の仲裁者は廃止され、ハンマーはカルスの宝物庫に返還された。

カイアトル台頭時、彼女はカバルの伝統に対する父の冷笑的解釈が生んだ排斥者たちを味方につける手段を模索していた。カイアトルは、仲裁者を始めとする無用な飾り付けをせず、単純な挑戦の場として証明の儀式を復活させた。そしてその伝統に対するこだわりによって、影響力を持つ多くの戦士や政治家から揺るぎない忠誠心を獲得することに成功した。献身的な従者たちで構成されたこの小規模な軍隊は、彼女の影響力の拡大に大きく寄与し、これが彼女自身が選択した名誉ある「女帝」の座の正当性の根拠になっていると考えられる。

レッドリージョンが証明のハンマーを手に入れた過程は不明だが、これはカバルにとって歴史的に非常に大きな意味を持つ武器であり、オリーブの枝と棍棒――恐らくこちらのほうがしっくりとくる――の両方の意味において、持つ者に大きな力を与えてくれるのである。