UI-View32は日本では多くのI-Gateで運用されています。
正しい設定をすれば、日本の他エリアの他局ビーコンを垂れ流しにしなくとも素晴らしいコミュニケーションが可能です。
ワンポイント・メモ
ワンポイント・メモ ◆TM-D710やFTM-350等、MSG交換出来る機種を視野に入れた紳士的設定を目指す。 APRSはただの位置情報システムではない。パケット通信本来のMSG交換にもキチンと対応させる。 ◆周辺各局との協調性と役割分担をハッキリさせる。 使用するデジピーターやデジ経路を把握する。無駄なINETtoRFを作らない。
Setup
UI-View32のメイン画面、メニューから File → Edit IGATE.INI を開く。
UI-View32 IGATE.INI Editor V1.80 という下のようなウィンドウが表示される。
画面説明
- Port(s) Inet to RF をするポート番号
- Path(s) Inet to RF する際のデジパス
- Use default
デジパス設定をStationSetupと同値にするチェック
- Max digis for local ※ 通常、1か2まで
ローカル局デジ段数設定。デジピーター管理者と協議の上決める事。 - No-gate aliases ※ 変更禁止
I-Gate中継しない言葉(デジパス)の設定 - Show Inet entry point callsign ※ 要チェック
APRS-ISに中継点コールサインを流すか否か - Gate LAN to Inet
LocalServer運用時、接続中のクライアントデータをAPRS-ISに流すか否か - Gate all RF to INET ※ チェック禁止
電波上の全ビーコンをInetに中継する設定 - Inet entry point tag ※ 変更禁止
I-Gateから送信されたビーコンに付加されるタグ
詳細解説
- Port(s) Inet to RF をするポート番号
TNCが1台なら通常、1のまま - Path(s) Inet to RF する際のデジパス
多くのWeb文献にて、Use defaultにチェックを入れたままの設定推奨、となっているが、
これは、個人局設定のStationSetupが上手に設定されている事が前提の話であり、
日本で運用中の多くの局(特に九州を除く関西圏)は半分以上の常置場所運用局の設定が間違っている。
(I-Gate局なのに、StationSetupのUnprotoへ APRS,WIDE1-1,WIDE2-1を設定している等)
よって、以下設定例を推奨したい。 Use defaultのチェックを外し、
ローカルのデジピーターとか APRSパケットの意味がよく分かっていない局は『NOGATE』のみを設定する事。
※ 本来の正しいI-Gate設定は下記図のように StationSetupのUnprotoを 『APRS,NOGATE』 とする事である。
この場合、Use defaultにチェックする事が望ましい。
デジピーター構築にも関わり必要なデジ経路の確保、輻輳対策、他運用局との協調出来る局は
『中継経路のデジピーター局コールサイン』を設定する事。
基本的にデジピート経路は白地図に同県内・同エリア内のデジやI-Gate位置関係を描き、
誰がどのデジでのMSG交換役I-Gateを担うか役割決めする必要がある。
原則、自I-Gateに最も近いDigi1つを担当しますが、ローカルに直接波で80%以上の通信確率のデジが1つ以上あり、
I-Gate整備が間に合わない場合はデジコールではなく、エリアコードの SSn-N等で対応させます。
複数ポートを設定している場合は、各ポート毎にパスを設定出来る。
例:) RELAY,WIDE|HS3-3|WIDE
のように『 | 』で区切れば良い。
このページを閲覧中の局は、その多くがI-Gate運用局と思われるが、I-Gate局のStationSetupで設定すべきデジパス(Unproto)部分は
『 APRS,NOGATE 』である!!
他I-Gateから自局I-Gateのパケットが入力される事はおかしな話で、
I-Gate局がI-Gateとして機能しなくなっている場合は
APRS-ISにパケットが届かない事が正常と言える。
I-Gate局のビーコンがデジピーターを経由して広められる事に全く意味が無く、
実際にI-Gateがカバーするエリアも不透明になってしまう為、良くない。
《 以下は間違いの例 》
『 APRS,RELAY,WIDE 』
『 APRS,WIDE1-1,WIDE2-1 』
『 APRS,WIDE1-1 』
『 APRS,WIDE,RELAY 』
2010年6月以降、 I-Gateが使用するコールサインは
「callsign-10」で、SSID-10を使用する。(右の写真は運用指針更新前の物)
- Use default デジパス設定をStationSetupと同値にするチェック
- Max digis for local RF受信出来たデジ何段目までのビーコンをローカル扱いとするか
※ この設定は分からない場合は 0 を入れておく事が無難。近隣のデジピーター局管理者と協議して設定を行う事。
通常は 1か最大でも2 である。昨今の運用で日本は過密度であり、また地形も複雑な事から、
1段デジでI-Gateへ到達する運用環境構築が多くなっている。その観点から、通常は1にする事が推奨される。
多い設定は故意に多段デジパス設定を行っている者を擁護する形となり、輻輳状態を助長する事になる。
0(ゼロ)を指定すればRF直接波のみとなる。
8以上の数値を指定すれば、機能が無効となる。
- No-gate aliases I-Gate中継しない言葉(デジパス)の設定
全世界共通設定にて変更しない事。 - Show Inet entry point callsign APRS-ISにRF側データを流す際、どのI-Gateで受信したかを明らかにする設定
APRS Server Setup 内の Insert Station callsign と同義。
MSG到達には重要な部分です。チェックする事を推奨します。 - Gate LAN to Inet
UI-View32でLocalServer運用時に、そのServerに繋いでいるクライアントの情報をAPRS-ISに流すか否かの設定。 - Gate all RF to INET 電波上のあらゆるビーコンをインターネット側に流す設定
この設定は主にAPRSサテライト(衛星)用の設定。
通常は発信された自局ビーコンが山岳デジピーター等でデジされても、ダウンリンクするビーコンを
I-Gateが再度APRS-ISに送る事はありません。
しかし、この設定をONにした場合、無意味な多重ビーコンも全てAPRS-ISへ送信されます。
※ 通常のAPRS運用でこのチェックは絶対にONにしない事です。 - Inet entry point tag I-Gateから送信されたビーコンに付加されるタグ
Convert PNTS
『$PNTS』パケットを使用する。KENWOOD社製 NAVITRAシステム用の変換機能です。
現状この機能を使用しても、MSG交換等行う事が出来ません。
多くのI-Gate運用局はこの機能をOFFで運用しています。
- Convert PNTS Inet to RF
NAVITRAビーコンをAPRS形式に変換してRFへ送ります。
- Convert PNTS RF to Inet
NAVITRAビーコンをAPRS形式に変換してAPRS-ISへ送ります。
Inet to RF
インターネットのAPRS-IS側から流れてきたデータを再度電波上に流す設定。
※ 浅はかな考えでこの項目を設定するとローカル各局より激しい批判を喰らいます。
※ 日本全土共通の周波数で行う場合はローカル各局に相談しましょう。
◇ ローカル各局とは 自局電波の届く範囲の局の事。
- Callsign
反応するコールサインや文字例を設定します。 - ドロップダウンリスト(Callsignの右側)
パケットの種類設定。
・BEACONS
指定した局から発信される位置情報を含むビーコンパケット
・ALL
指定した局から発信される全てのパケット
・OBJECT
指定した局が発信したオブジェクトパケット
・DEST
指定した局(文字)をディスティネーションとする全てのパケット。
例えば、APK102 を設定した場合、KENWOOD TM-D710系の全てのパケットをRFする事になります。
ディスティネーションについてはこちらを参照
・RECIP
指定した局(文字)を宛先とする全てのメッセージパケット
・NONE
指定した局からの全種類パケットを中継しない。
設定リストは上から実行されていきます。
条件にヒットした時点でInet to RFが実行されます。
順序はマウスのドラッグで移動出来ます。
例:) JA4ABC局やJA4A??という各局のビーコンは中継して欲しいが、JA4ABB局のビーコンは中継したくない場合。
JA4ABB = NONE
JA4A* = BEACON
のような順序に設定しておけばOKという事になります。
このインターネット to RFの設定では上画像のような設定を推奨したいと思う。
KENWOOD社製 TM-D710 ではグループメッセージを受信する事が可能で、デフォルトでも
『 ALL 』 『 CQ 』 『 QST 』 『 KWD 』 の4種類が設定されています。
これをInet to RF に入れる事でメッセージ交換において宛先を上記4つの内のどれかを設定して
送信したメッセージパケットで、それをInet to RF する I-Gateから発信させる事が出来ます。
QSTは米国内の無線誌らしいので日本での需要は?ですが、ALL と CQは価値があると思います。
これにより、『他エリア移動局の位置ビーコン垂れ流し』というダサい行為より、紳士的でカッコイイ運用がなされます。
TM-D710、TH-D7A、TH-D72、VX-8、FTM-350 を日常運用で使用している局にも喜ばれる事でしょう。
筆者の場合は上記4種類以外に、画像のように『 JAPRSX 』 と 『 APRS-JP 』も追加しています。
※ 海外局にはALLとかで、えらい大量にPRを流されている局もあります。この機能を実行する場合は日本全土統一周波数以外に変更するか、
エリアを絞るか、APRS-ISフィルターで t/mでメッセージフル流入にしている場合はローカル各局と調整を必ず行って下さい。
既に運用局が多い地域では導入に慎重になって頂くようお願い申し上げます。
Inet to RF limits
- One minute
1分辺りのパケット数 - Two minutes
2分辺りのパケット数 - Three minutes
3分辺りのパケット数
- Local messages one minute
1分辺りのメッセージパケット数 - Local messages two minutes
2分辺りのメッセージパケット数 - Local messages three minutes
3分辺りのメッセージパケット数 もし、標準数値設定で運用していて、メイン画面上側にある 6つの緑 が 赤色 に変わる事があったら、
I-Gate利用頻度が多く数値が低い場合も考えられますが、Inet to RFの設定間違いの可能性が高いので
Inet to RF 設定を本当に必要な内容なのか再確認しましょう。
1分 2分 3分 上段はローカル局以外のパケット 1分 2分 3分 下段はローカル局用のパケット
参考にさせて頂いたサイト
http://aprs.xii.jp/aprs/igatetop.html - IGATE&設定 [by JAPRSX]