小暮禅師

※『唐突に語る過去話～小暮禅師編～』より

本家小暮家の血を引く高名な武家産まれだったが衰退し、小さな箱に詰められて古寺に捨てられていた。禅師の名も"お師匠さん"から貰った名前であり本名はない。

素行の悪い自分を叱りつけながらも大事に接してくれていたお師匠さんの事も、自分がふざける度にげらげらと笑っていた門下生の事も慕っていた。毎日が穏やかで、何にもなく、どやされて頭にたんこぶを作りながら、次はどんな悪さをしようかと思いながら寝床につく様な穏やかな日常を愛する、普通の子供だった。だが、8歳の頃に金品狙いの強盗によって"お師匠さん"を含む寺の僧侶が全員串刺しにされ殺害された。禅師一人が敵う相手でなかった為、寺の情報を売ってしまったのだ。

血塗れた、人を殺す事を覚えた手で数珠を握り締めた。鉈を突きつけられながら呑んだ"お師匠さん"の血液入りの酒は、吐きそうなくらいに生臭く、頭が痺れてクラクラして、それを涙と涎とをぼろぼろこぼしながら飲み干す様は奴らにとってさぞ悦い肴になっただろう。

それからは生死の境目のような毎日だった。のらりくらりと生き、時々ボコボコになりながら、泥水をすすりながら、生きて、生きて、生きていった。人を殺す事に躊躇いがなくなった"俺"は、やがて力をつけ、舎弟も増やし、ガキの頃は畏怖対象だった奴らすら皆殺しにした後に若頭となり、小暮組と名乗った。ヘラヘラと笑い、人を脅しながら生きる空っぽな男に育った。相容れないと悟ったから。だってあの日自分は、皆を裏切ってまでも、生きたいと願った悪だから。

しかしそんな禅師も、潮と名乗る女性との恋で少しずつ穏やかな心を取り戻していき、いつしか自分の傍らに置いておきたいと願い、その気持ちを告げた時には彼女から涙ぐみながら「約束します。必ず貴方と一緒に生きていきます」と誓われたのだという。

しかし彼女の本名は七氏潮。彼女は禅師を殺す為に七氏家から仕向けられた刺客であり、自分達兄妹?の父親を殺害された仇討ちが真の目的だった。刺し違えた胸の傷を押さえ、彼ははその場に膝をつき、潮は血の池を作ってその場にうずくまった。そして禅師が彼女の顔を見た際、

「よかった。貴方が生きていてくれて、本当に良かった、」
「ごめんなさい、許して下さい、愛しています」

と言われた結果精神的ショックを受け、以降女性不信に変わったという。

それから長い年月が経ち、潮との息子二人を『灰教聯盟』に売り、潮が名前をつけた長男は自身や舎弟達からの虐待で毎日傷だらけ、自身が名前をつけた次男はそんな兄をよそに丁寧に育てられ、警察官になった上に幹部クラスの一人として活動している。加えてある人物からの催眠で弟には兄から「ごめんなさい」「許して下さい」という言葉が発せられる度に暴力を振るうように催眠が掛けられている。彼はこの事実を知ったまま、尚受け入れて次は殺される事を願っている。

彼が息子を売った『灰教聯盟』こそ志架吏・潮達の両親が上層部に属するカルト集団。また、もう一人の実子が居る事を認知していなかった。しかしその後、無事に再会を果たし空也と命名。少しずつだが穏やかな生活を送り始めた。

【シナリオ結果】:両生還
【技能値変動】
・キック50→52
・隠す50→51
【備考】
他の所持品が増えれば記載

【シナリオ結果】:END1、両生還
【技能値変動】
・SAN75→79
・目星50→60(クリチケ消費で8増加)
・精神分析1→11