つるの○返し

Last-modified: 2015-05-07 (木) 21:20:12

ダ:ダルモア
エ:エリリア
フ:ファルサン

 

フ)「ここは山の奥深く」
フ)「1人の若い男が─」

 

ダル怒る

 

フ)「失礼。1人の若い女性が住んで居たそうな」

 

ダルうなずく

 

フ)「彼女は男装を好み、また鍋料理が得意と言うこともあって、里のものから「おなべ」と呼ばれておった」

 

ダル泣く

 

フ)「ある日、おなべが狩りに出かけると─」

 

ここでエリリア変身

 

エ)キョロー! キョロー!(しまったわ……。罠スキル上げとくんだった!)

 

フ)「一羽の鶴がベアトラップに引っかかっておった」

 

ダ)おや、鶴がかかってる
エ)キョロー! キョロー! キョロー!(やめて! あたしに乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!)
ダ)確か鶴は─
エ)キョロー! キョロ??(悔しい! でも……って、いい男ね!)
エ)キョロロンロン♪(こんなイケメンならあたし、めちゃくちゃにされていいわ///)
ダ)食べると身体に良かったはずだね
エ)ファッ!?
ダ)さ、持ち帰って処理しなきゃ
エ)キョロ! キョロン!(ちょ、ちょっと! 確かに”つるもどき”って料理もあるし、でも)
ダ)まず頭飛ばして逆さに吊って、血が抜けたらお湯につけて羽を取らなきゃ
ダ)今夜は鶴鍋だね
エ)キョローン!(ちょっ、ちょっと、めちゃくちゃにするって意味が違、ああ! 逃げなくちゃ! 逃げなくちゃ!)
ダ)じたばたするな! えい!
/angry 鶴の頭 岩を叩き付けた
エ)キョッ!? キョローン……

 

フ)「鶴は、薄れ逝く意識の中願った」

 

エ)(今度生まれてくるとしたなら、貴方になんかつまづかないわ……)

 

フ)「―そのうち鶴は考えるのをやめた」

 

フ)「数日後」

 

ダ)うーん。寒いね。まだ春は遠いみたいだ
ダ)咳をしても一人、か
ダ)さ、色々作って春になったら売りに行かなきゃ
/guts "" 戸を叩いた
ダ)おや? こんな雪深いところに誰だろう?
エ)ドンドンドンドンドンドンドンドン ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
/guts "" 激しく戸を叩いた
ダ)だー!? うるさい! 誰!?
エ)こんばんわー! 身よりない娘です! 今日からここはあたしと貴方の夢の国!
ダ)出銭王国? それとも新手の宗教か!?
エ)もう! 違う!
エ)今日から居候させてくださいってプリティーキュートなこのあたしが、押しかけ女房!
エ)これからずーっとこのわがままボディーを好きに出来るんですもの。貴方は果報者だわ
ダ)……はあ
エ)大丈夫! こう見えて家事は何でもお茶の子さいさい! 縫製だってイケちゃうんだから!
エ)1日頂戴! 実力のほどを見せてあげちゃうね!
ダ)うーん。そこまで言うなら
ダ)どうせ暇してたし、いいよ
エ)わーい! ありがとう!

 

フ)「数時間後」

 

エ)はい! お掃除に洗濯、きのこのバターソテーに羽付ボネも仕上げちゃった! どう? 完璧でしょ?
ダ)その程度?
エ)え?
ダ)お世辞にも褒められたものじゃないね
エ)ど、どういうこと!?
ダ)じゃあ、1個1個説明するよ。君は掃除といって、いきなり雑巾がけを始めたよね?
エ)ええ。それが何か?
ダ)掃除の基本は、上部からの除塵、ゴミ取り、そして拭き上げ。いきなり拭き上げしたら、床に残ったゴミをこすって、床材を傷つけるじゃないか
ダ)こういう時は、上部をはたいて塵を落とし、ほうきで床に落ちたゴミ、塵を掃いてから、拭き上げなきゃだめなんだよ
エ)そ、そうだったの……
ダ)次に洗濯
エ)はっ、はい!
ダ)確かに洗えてるね
エ)それはもう! しばれる様な寒さの中、川まで行って洗ってきたんですもの!
ダ)でも、シミが取れてない
エ)布同士でこすっても取れなかったのよ!
ダ)いい? シミをとる時はまず、原因が水性か油性か判断して生地にあった洗剤を選び、捨ててもいい布を用意。そっちに汚れを"移す"って意識で叩くんだよ
エ)……じゃ、じゃあ料理と縫製どうなのよ! 特に縫製! いい羽毛を使ったんだからきっと高く売れるわよ!
/point "" 手際よくププツリと著名人衣装を仕上げた
ダ)これらなら高く売れるね
エ)……
ダ)と言う訳で、この家に君の居場所はないよ。ほらほら、さっさと出てった出てった!
エ)まって! ちょっとまって!
ダ)何? まだ何かあるのかい?
エ)この、熟れたお餅は如何かしら? 揉むもよし、吸うもよし、一口入れれば芳醇な味わいが口いっぱいに─
ダ)いらない
エ)じゃ、じゃあ、百歩譲って弟子にしてください! このままだとあたし、どこにも身寄りを持てないんです! だからその技を!
ダ)はあ……
エ)お願いです! "何でもしますから!"
ダ)ん? 今何でもするって言ったよね?
エ)はい! 何でも!
ダ)本当に?
エ)もう、勿論なんでも!
ダ)そっか……。じゃあ、春まででよかったら
エ)わーい! あたし、おつるよ! よっろしくね♪
ダ)はっ、はあ……
エ)(うふふ。馬鹿な人。このあたしを食べたんですもの。じわじわとなぶり殺しにしてあげるわ……!)

 

フ)「こうしておなべは、おつると名乗る怪しい女と共同生活を始めたのであった」

 

フ)「次の日」

 

ダ)さ、まずは調理の腕を磨こう
エ)はい! 師匠!
ダ)ブーストと神秘の香辛料を用意したので、魚介のピッツァをひたすら作ってもらうよ
エ)はーい! って、幾つ作るの?
ダ)うーん。スキルR6まで持って行きたいから、3000個かな?
エ)ちょ、そんなに!?
ダ)うん。あとはひたすら鶏丸焼きニンニク詰めを。こっちは1万個くらいかな?
エ)いっ、一万!?
ダ)大丈夫。今は200個ずつクリック1回で済むんだから。連続生産だった頃と比べたら相当楽だよ
エ)そんなの無理よ! 出来っこないわ!
ダ)じゃ、今すぐ出てく?
エ)うっ……
ダ)何でもするって言ったから、こっちも用意したんだよ? どうするの?
エ)わかった! やる! やります! やらせてください!
ダ)はい、じゃあはじめて
エ)ひー!!!!

 

フ)「別の日」

 

ダ)今日は保管と鋳造を上げよう
エ)ううう……手に染み付いたニンニクの臭いが
ダ)まずこの川の砂をひたすら採集してね
エ)え!? 砂を!?
ダ)うん。大体30樽くらい集まったら、砂金を見つけるんだ。それが3樽も貯まれば金3樽にできるよ
エ)こ、こんな寒い中ひたすら砂集め!?
ダ)やる? やらない?
エ)やる! やるんだから! えいやー!
ダ)うん、うん
エ)(ちょ、ちょっと、こんなことはじめたら、時間も体力もなくなるじゃない!)

 

フ)「そのまた別の日」

 

ダ)今日は工芸上げだよ! 水稲をひたすら黒酢にするんだ
エ)ひいいいいい!!!

 

フ)「そのまたまた別の日」

 

ダ)ベルベット織りを
エ)ああああああああ!!!!

 

フ)「そして、冬の終わりも近づいて」

 

ダ)うん。子牛肉のグリルライム添え、美味く出来たじゃないか
エ)ぜえ、ぜえ
ダ)これで5種生産スキルマイスター。おめでとう
エ)はあ、はあ、ひい
ダ)でもまだ、錬金術に造船、言語学が残ってるね。まず、アイアンサイズをひたすら強化するところから─
エ)もう弟子ごっこはお仕舞い!
ダ)!?
エ)あたし、あの時貴方に食べられた鶴! 人の姿に転生して、今か今かと復讐の機会をうかがってたのよ!
ダ)えっ、えええええええ!?
エ)寝首を掻いてやろう、って思ってたのに
エ)どうしてこんな疲れることばかりさせるのよ!?
ダ)いやだって、君が弟子入りしたいと
エ)それは貴方に近づくため! でもそれも今日でお仕舞い!
エ)うふふ。─そろそろ効いてくる頃ね
ダ)!? か、体が!?
エ)あたしねえ、実はここに来る前、ひたすら商品知識を上げておいたのよ
エ)効くでしょ? エンハンス付きトリカブトの麻酔薬は
ダ)ま、まさか、さっきの子牛肉のグリルライム添えに
エ)よくも散々こき使ってくれたわね!
エ)でも、いいの。それももう、お仕舞いだから
/look_away 胸元 手を入れると、脇差を取り出した
エ)貴方はこれからずーと、ずーと! わたしの中で生き続けるのよ!!!
/guts 包帯を手に取ると、体 巻き解毒した
エ)ちょっ、ええええええ!?
ダ)この程度かい?
エ)え、どうして!? どうして動けるの!? まだ毒の継続時間は─
ダ)こんなのへっちゃらさ。UOで戦士やるなら、Healing100振りは基本だよ?
エ)そんな別ゲーのスキル使われても!?
ダ)118振ったら蘇生も出来ちゃうけど
エ)わあ! 包帯ってすごーい!
エ)じゃなくて!
ダ)さ、おいたが過ぎたようだね
エ)あわわわわ
ダ)じゃ、1つだけ質問しよう。その返答次第で、君のこれからの運命が決まる
エ)へ?
ダ)答える? どうする?
エ)─もし、答えないと?
ダ)醢(ししびしお)ってしってるかい?
エ)ひい! 答える! 答えます!
ダ)うんうん。じゃあ、質問だよ
エ)ガタガタ
ダ)君はボクと一緒にいる間、ひたすら物作りを学んだわけだ
ダ)その量数は負担があったかもしれない。投げ出したかったかもしれない
ダ)でも、君はそれに耐えた。そして手にしたものがある。それは何かな?
エ)スキルレベル?
ダ)そうだね。でもそれだけ?
エ)うーん、ええと、その……
エ)出来る事が増えたわね
ダ)そうだね
エ)鶴だった頃のあたし、飛んで、餌を探して、また飛んでの日々
エ)自由だったわ。─でも、もしかしたら、その自由を持て余していたかも
ダ)ふむふむ
エ)正直ここに来てから、ホント窮屈で不自由。毎日毎日ノルマを与えられ、ただそれをこなしていく日々
エ)今でも思うの。何の価値があったの? と。何の意味が? 分からない。でも、うんと言ってしまって
ダ)復讐の為、だったけど─流されてここまできたんだよね
エ)ええ
ダ)君は、身寄りが無いって言ったね
エ)はい
ダ)そのスキルがあれば、君はもうどこへ行ってもやっていけるよ?
ダ)服屋をしてもよし、大海戦で物資提供してもよし、納品必須な商会さんなんか君を大歓迎。自由で、力を発揮でき、楽しい日々がまってると思うけど
ダ)人生の中に、無意味な時間なんかないんだよ。ボーとしてる時でも、ただただ、同じことを繰り返してる時でも
ダ)人は変われる。いや、変わっているんだ。意識していようがしていまいが
エ)……
ダ)でも。愚かな事な時間を過ごしてしまうこともある。誰かを憎み、嫉妬し、悔やみ、ひたすらひたすら考えて悩んで
ダ)ボク、実は君があの時の鶴だって分かってたんだ。でも、こうして受け入れた。どうしてだと思う?
エ)えっ!? 分かってたの!?
ダ)うん。こんな山奥に、しかも雪深い時期に来るなんて。物の怪の類しかいないよ
エ)あはは……
ダ)確かに、以前の君を食べてしまった。それは申し訳なかった。ごめん
ダ)でもそれで君は、人の姿を手に入れた。人として、生きる力も授けた
ダ)これが、せめてもの償い。ボクから君への、ね
エ)……
ダ)さ、話は終わりだ。最後にもう1問だけ聞こう
エ)はい
ダ)まだ、やる気かい? それとも?
エ)……
エ)なんだか、馬鹿らしくなっちゃった
ダ)そう
エ)ええ、貴方を殺したくて、憎くて、化けて出てやったの。でも、そんな私をここまで育ててくれた
エ)だから─チャラで。よしとします
ダ)うん。よかったよ
エ)で も!
ダ)まだなにか?
エ)貴方の死に様を見たいって気持ちは、残り続けてるの。この私の死に様、見たくせに不公平じゃない?
ダ)なら、どうするんだい?
エ)ええ。決めた。貴方が死ぬまで、ずーっと、ずーっと見続けてあげる。それはもう、年とって皺くちゃになって棺おけに片足突っ込む姿も、ね
エ)あたしそれみて大笑いしてあげるんだから! 無様ね! って。─それまでここに居たいの。ダメかしら?
ダ)分かってると思うけど、ボクは口うるさいよ?
エ)知ってる
ダ)色々やらせるよ?
エ)ドンときなさい
ダ)……それでもいいなら
エ)うふ、ありがとう
エ)さ、そうと決まったら作らなきゃいけないものがあるんじゃない?
ダ)なんだい? 服? それとも家具?エ)子供よ子供! おつるの貴重な産卵シーン、見せてあげちゃうんだから!
ダ)え……?
エ)何!? まさかこのめちゃシコボディを見てもなんともないの!? 貴方、まさかインポ!?
ダ)─ボク、女の子だよ?
エ)え?
ダ)え? 気付かなかったのかい?
エ)ええ??
ダ)同性愛はいけないと思うけど。非生産的だし
エ)えっ!? ええええええええええ!?

 

フ)こうしておつるは若干の勘違いはあったものの、おなべといつまでも仲良く暮らしたのだった
フ)人生には辛いこと、意に反すること、理不尽なことがいっぱいある。─でも
フ)不思議なもので。実はそれが後に福をなすことも。たくさん
フ)だから、諦めないこと。どんなに上が高くても諦めないことが肝心
フ)大河も元を辿れば水滴1粒、山だって砂つぶての集まりなのだから
フ)以上です。めでたしめでたし