M1895 CB

• 当時すでにレバーアクション式小銃や散弾銃の設計者としての名声を確立していたブローニングは、より高速な自己装填・連射可能な火器の可能性を模索しており、銃口から出る発射ガスを利用して連射機能を作動できないかと考えていた。
  • そうして発案されたのが、銃口から噴出するガスの一部を陰圧でガスチューブに誘導しピストンを動かしてレバーアクションのレバーを梃子の原理で動かす機構であり、これは設計に入る前に特許が申請され受理されてから開発が行われた。
• 動作機構はガス圧式・クローズドボルトで、機関部下面に突出したレバーが特徴となっている。また装弾機構はリボルバーのシリンダーの内側だけをむき出しにしたような歯車状の装弾機構の上をベルトリンク式の弾薬が流れるようになっており、カートリッジはベルトから一度後方に引き抜かれた後斜め上の薬室に送られティルティングボルトによって閉鎖される。
• しかし、肝心のアメリカ陸軍はブローニングの新型機関銃に対して冷淡*3で、最初に興味を示したのはヨーロッパとの交流からイギリス植民地でのマキシム機関銃の活躍を知っていたアメリカ海軍であった。
  • 彼らは1893年に採用テストを行い、改善要求とともにまず50丁が発注された。ブローニングの特許はウィンチェスターより高値を示したコルトファイアアームズ社に売却され、6mmLeeNavy弾仕様がM1895として制式採用された。
  • 海軍はM1895の性能に満足するとすぐさま150丁の追加発注を行い、フィリピンやキューバの領有権をスペインと争った米西戦争でその威力を発揮し勝利に大きく貢献した。
    • この時義勇軍ラフライダーズ(荒馬乗り)連隊を指揮し、天王山というべきサンファンヒルの戦いで勝利したのが後の大統領テオドア・ルーズベルト陸軍中佐(当時)であった。
• ルーズベルトは機関銃の重要性を説き、また陸軍と海軍で共通の弾薬を使用するべきであると強く主張した。海軍はこの主張に折れて陸軍仕様の.30-06Springfield弾の採用に同意したが、結局アメリカ陸軍が制式採用することはなく、ルーズベルトは自腹で購入し部隊に配備している。
  • まだ未開の弱小国とみなされていたアメリカが、かつてイギリスと双璧をなしたスペインを下したことでヨーロッパ諸国や中南米諸国もこぞって発注したため、両陣営がM1895で撃ち合うことも珍しくなかった。また、この時のベルギーのFN社との接触は、ブローニングの後の人生を大きく変えることとなった。
• しかし、機関銃というジャンル自体が黎明期であったために、数多くの欠点も存在しており、特に銃身の過熱対策が全く為されていなかった事から、銃身の過熱による変形が多発したとされる。
  • また、後に開発された同種の機関銃とは異なり、ボルトを閉じた状態（クローズド・ボルト）から連射していた*4ため、コックオフを起こしやすいという欠点もあった。
  • 後に過熱対策として銃身を脱着式とし表面にらせん状の溝を掘り表面積を増やして冷却性能を上げるフルーテッドバレルを採用したM1914に改良されたが、区別せずM1895もしくはM1895/14と呼ばれることが多い。この時にフロントサイトもむき出しのブレード式から覆いがついたマウザー式に変更されている。
  • またこの頃からようやく陸軍用に臥せ撃ちに特化した低座式の三脚が用意され、これは連射時に銃身下部のオペレーティングレバーが激しく動きその衝撃で三脚がパタパタと地面を叩く事から、ポテト・ディガー(芋掘り機)というアダ名で呼ばれるようになった。まれに誤解されることがあるがレバーそのものが地面に接触しているわけではない。ガス圧なのでそんなことをすれば即座に動作を停止する。
  • コルトM1895の華麗なる芋掘り動画→　〔Youtubeリンク：音量注意〕
    • 動画での射撃中、銃身の下で激しくバタバタしているのがオペレーティングレバーである。装填排莢操作もこのレバーで行う。

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