PK

この銃の開発が始まったのは1950年代、第二次世界大戦が終結して間もない頃である。

• 当時、長らく現役を張っていたフルサイズ弾を使用するボルトアクションライフルモシン・ナガンを、新たな中間弾薬を使用するアサルトライフルAK-47に変更するという大事業をようやく完了させたソ連が次に手を付けたのが機関銃の更新であった。
• ナチスドイツと互いの国家存亡を賭けた激戦を繰り広げたソ連は、ドイツから様々な先進的コンセプトを学び取り、吸収していたが、機関銃の更新にあたってソ連が注目したのは軽機関銃から重機関銃・車載機関銃に至るまであらゆる用途にこれ一つ！というMG34のような汎用機関銃のコンセプトであった。
• そしてその開発コンペに案を提出せよという指示がカラシニコフたちのチームに届く。それは彼らがようやくAK-47をプレス加工での生産に切り替えることに成功した直後のことであり、かなりの短期間で開発が進められ、提出された銃だがそのまま制式採用されてしまった。これがPKである。
• 動作機構はAK-47と全く同じロングストロークガスピストン・2ラグロータリーボルトである。ただし当然オープンボルトで射撃し、箱型弾倉ではなくベルト給弾を用いる。また銃身も交換可能である…
  • というかAKをまんま上下逆転させたような構造をしており、それ以外にもサイトをはじめかなりの部分がAKから直接受け継がれている。
• このため、PKはAKの洗練された機構をそのまま引き継いだ非常に信頼性の高い銃であった。
• 使用弾薬はモシン・ナガン用に70年前に設計された7.62x54mmR弾。巨大なリムで悪名高く、多くのロシアの自動火器設計者を苦しめてきた実包である。
  • それはベルト式給弾においても例外ではない。具体的にはリムが引っかかるため、給弾ベルトから直接前に弾薬を押し込めない。そもそもソ連はマキシム機関銃の給弾ベルトをここに至るまで使い続けてきたため、給弾ベルト自体がマキシム機関銃の後ろから弾を引き抜く機構を前提とした構造になっていたのである。
  • これに合わせ、PKも給弾ベルトから一度弾薬を後ろに引き抜いて弾薬をベルトの下にずらし、その後薬室に押し込む
    という形式を取っている。
    • 具体的には上下反転したボルトキャリアの上にピンセットのような機構が加えられており、これがボルトが閉鎖した時に実包のリムを掴み取り、ボルトキャリアが後退する際に実包をベルトの後ろに引き抜くようになっている

• 東側諸国や過去にソビエトの支援を受けた中国、北朝鮮、ベトナムなどで採用され、多くの国で長きに渡り主力機関銃として活躍している。
  • 現在のロシアでは改良型のPKM,PKPに席を譲ってはいるものの、一部が未だ現役とみられる。

【過去ログ】