Vepr

• VeprはAK-74の革新的なアップグレードとして大々的に発表されたウクライナ初の国産アサルトライフルという触れ込みだったが、実際にはAK-74の機関部をブルパップ方式にし、トリガーとチャージングハンドルの位置をずらしただけで部品の大半はAK-74の物がそのまま流用されている。
  ハンドガードもそのままだったため、AK-74用の40mmグレネードランチャーを取り付ける事も可能である。
• 動作方式はロングストロークガスピストン、ローテイティングボルトでセーフティ兼セレクターレバーが右側に固定されており、しかもストック位置にあるため射撃体勢のままでの変更はほぼ不可能である。排莢口も右側でほぼ垂直に排出される。
  • 一応、機関部の上面にはポリマー製のチークパッドが追加されているが、そこに顔を預けると射撃時に排煙が視界を遮る形となる。
• フロントサイトは高い三角マストの頂点にウィングガードを備えており、リアサイトは可倒式でヴィンデージなどの調節が可能となっている。
  ただし、フロントサイトには折り畳み機構がないため光学照準器には大きな制限があり、左側にオフセット配置された専用のレッドドットサイト*1の使用がほぼ前提となる。
• ブルパップ化した事でベースとなったAK-74などより小型化する事に成功し、特に空挺部隊においてSVDよりずっと短いため専用クソでかコンテナから投下せずとも空挺兵士自らが携行したまま運用できる点が評価された。もちろん使用弾種が違うため有効射程には差が出たものの、そこまで長大な交戦距離は想定されなかったため問題が無いとされた。────といったところで、財政難を理由にVepr計画は一度停滞することになった。独立直後はどうしたって色んな事に金がかかるのでやむを得ないところではある。
  • しかし、独立後のウクライナに残されていた銃器はモシン・ナガン、DP軽機関銃、PPSh-41、PPS-43、トカレフなど良く言っても第二次世界大戦レベルのものばかりであり、一線級の国産銃器の開発は急務かつ悲願であった事から、開発はキーウ・ラジオプラント社からインタープロインベスト社へ引き継がれていく。
    その努力は後にВулкан(バルカン)-M、或いはMalyuk(マリューク)として結実することとなり、2022年現在ウクライナ侵攻の中でウクライナ軍が運用していることが確認されている。
    Veprから継承された血脈は今日もかの地で息づいている。
    • ちなみに単に"Vepr"と検索すると、ロシアの銃器メーカーであるモロト社製のRPK軽機関銃をベースとした猟銃シリーズが上位にサジェストされる。こちらはライフル銃から散弾銃まで幅広いラインナップがあり、輸出も含めて販売実績も上々である。

【過去ログ】