【魔瘴】

Last-modified: 2023-11-14 (火) 16:35:40

概要

このドラクエ10の世界に頻繁に登場する物質。「ましょう」と読む。実際は仏教の言葉で「仏道の修行をさまたげるもの」という意味。
【ドルワーム王国】の本には「魔物が触れるとその力が何倍にも増し、人がこの物質に触れると死んでしまう」と書かれている。
しかも単に有毒なだけでなく、精神に作用して洗脳に用いられたり、肉体を魔物に変質させたりと歴代ドラクエの中でもかなり恐ろしい物質である。
一方、【魔族】や魔物は魔瘴から生まれた*1とされており、彼らは魔瘴にある程度の耐性を持ち自分の力とすることができる。
イベントムービーにおいては倒された魔物が魔瘴を吹き出しながら消滅する描写が度々登場する。
とはいえ、彼らといえど魔瘴への耐性には限界があるらしく、過剰な量を取り込むと他種族同様に心身に異常を来たし、暴走や死に至る恐れがある。
一方、後述のように一部地域では魔瘴をエネルギー源として活用する技術も存在する模様。
活性期と衰退期を数百年周期で繰り返しているらしく、今のドラクエ10の時代は魔瘴の活性期にあたる。
 
基本的には気体の状態で存在していることが多いらしく、この状態での見た目はやや濃い紫色の煙やもや、と言ったところ。
液体として存在しているものは一部のフィールド・ダンジョンに点在しており、無対策で踏み込むと毒状態になってしまう
多くのドラクエ他作品で言うところの「毒の沼地」であり、見た目も性質もほぼ同様である。
ただし、ナドラガンドの嵐の領界にある毒沼は「業風」と呼ばれるもので、魔瘴とは別である。
 
固体の状態のものは【魔瘴石】と呼ばれており、この場合の見た目は紫水晶(アメジスト)の結晶に近い。
どのような条件で状態変化しているのかは不明。おそらく一般的な物質とは違い、温度による状態変化という訳ではないと思われる。
 
また、一見小さな結晶体である【創生の霊核】に封じられたナドラガの心臓内に膨大な量の魔瘴が含まれていたという事実から、通常の物質とは比べ物にならないほどの密度に圧縮することも可能なようだ。
 
魔瘴そのものから生まれた生物は【魔瘴魂】と呼ばれ、魔族や魔物とは根本的に異なる生物であるという。
魔瘴魂に対しては「闇の根源より出ずる邪霊」という表現もされている。
作中では魔瘴魂を名に冠するモンスターが何体かいるほか、球状の塊にように見えるものも登場している。

作中では

【ツスクルの村】のおはなし

【師コウ】が世界樹から噴き出した魔瘴を浴びて犠牲になっている。

【アグラニの町】のおはなし

【賢者ブロッゲン】が鉱山内で噴き出した魔瘴を封じ込める。
また【大怨霊マアモン】が魔瘴らしきものを噴出して周囲の者の力を奪っていくが、ドワーフにしか効果が無かった。

【プクレットの村】のおはなし

【賢者エイドス】が触れるだけで命を落とす災いという魔瘴らしきものを封じ込めるが、主人公はその災いの影響を受けなかった。

【グレン城】のおはなし

【バグド王】ある人物から魔瘴石のペンダントを渡される。
それによってバグド王は激しい頭痛に悩まされ正常な判断力を失い、【ガートラント城】に戦争を仕掛けようとした。
また、ストーリー中に登場する【妖剣士オーレン】の部下は【ベコン渓谷】で噴出した魔瘴に侵されて命を落とし、さらに死後魔物と化してしまった。

【メギストリスの都】のおはなし

開始時点から【プーポッパン王】が魔瘴の影響で重い病を患い、その後命を落としている。

【王都カミハルムイ】のおはなし

【エルトナの聖地】にある聖なる力は、魔瘴の中心でその力を発すると魔瘴を消し去ることができる。
【暗黒大樹】から生み出された【怪蟲アラグネ】は、恐らくこの聖地の力を知っていたと思われる。
そのためエルトナ大陸を滅ぼすために真っ先にこの聖地を汚そうとした。

【ドルワーム王国】のおはなし

【カルサドラ火山】には魔瘴石が数多く埋まっている。
それを【太陽の石】という優良な物質に変える技術を【ドゥラ院長】が考案し、魔瘴石が盛んに発掘された。
しかしこれは【天魔クァバルナ】の罠で、巨大な魔瘴石に封印されていた天魔を復活させてしまうこととなる。
ただ、太陽の石への変換技術自体は本物であり、魔瘴石は一概に有害な物質というわけでもないようである。

【レンダーシア】

レンダーシアは【冥王ネルゲル】の手によって魔瘴に覆われている。
ネルゲル打倒後もレンダーシアの封印は解けることはないが、魔法の羅針盤を使って航路が確立されてからは自由に行き来できるようになる。
ネルゲル曰く「さらなる闇の根源」があるとのことで、黒幕を倒さない限りレンダーシアの魔瘴を消すことは無理なようだ。

【神話篇】

【災厄の王】は元々アストルティアを守る古代の王の一人であったが、大いなる闇の根源との戦いの中で魔瘴に汚染され、理性を失った魔物へと堕ちてしまった。
また、彼の図鑑説明文や、クエスト【人の域を超えた強者】での女神の言葉によると、アストルティアに住まうモンスターは元々生息していた生物が魔瘴の影響で魔物となったらしい。これに関してはVer5.2のメインストーリーである王の戴冠にてより詳しい説明がなされた。

【ナドラガンドの決戦】(Ver.3.5後期)

竜族の神【ナドラガ】は兄弟神と争った際に【大いなる闇の根源】と手を結び、魔瘴を宿した邪神と化してしまった。
そのため、ナドラガの分身たる【総主教オルストフ】やそれに従う【邪悪なる意志】も、魔族でないにも拘らず、【神の器】を拷問する際に魔瘴で大怪我を負わせたり、【最後の試練の番人】の残骸を魔瘴の力で動かしたりしている。
その上、オルストフは強烈な魔瘴を含んだ毒針によって主人公を殺害し、ザオ系呪文すら受け付けない状態に追い込んだ(このことから、魔瘴は物質的だけではなく霊的にも対象物に影響を及ぼすことができると言える)。

【吼えろ トビアス!】

ナドラガが倒された後、その体内に蓄積されていた高濃度の魔瘴に意思が宿り【魔瘴魂ナドラグル】となった。
ナドラグルは【ナドラガンド】を汚染し尽くそうと目論み、彼の振り撒いた魔瘴に各地のモンスターが取り憑かれた結果【暴魔】が生まれた。
魔瘴の根源と直接手を結んでいただけあって、ナドラガの魔瘴はアストルティア6大陸で頻発する魔瘴よりも強力な効果をもたらす。
ナドラガの眷属である【神獣プリフィー】は魔瘴を体内に吸収し、長期間の眠りにつくことで無毒化することができる。

【栄光の勇者と消されし盟友】(Ver.4.1)/【うつろなる花のゆりかご】(Ver.4.4)

【しぐさ】【聖別の詩歌】」には魔瘴を抑える効果があり、魔瘴が大量発生した【ペシュヤ地下空洞】【魔瘴調査区画】で歌うことになる。
後に、魔界の魔瘴は濃すぎるせいか聖別の詩歌は効果がないことが語られる。

【いばらの巫女と滅びの神】(Ver.5.0)

本シナリオにおいて、魔族や魔物ですら過剰な魔瘴は有害となり、最悪の場合は死んでしまうことが明らかになった。【ヴァレリア】のような力を持った魔族ですら、魔瘴を浴び続けると命に関わるようである。
魔瘴への耐性は魔族としてのランクによってある程度上下する模様だが、これが生まれで決まるのか、後天的に上げることができるのかは不明。
【ゲルヘナ幻野】【ジャリムバハ砂漠】には魔瘴を噴きだしている奇妙な岩塊があり、近よらない方がよさそうだというメッセージが出る。
 
【魔界】にもまともに魔瘴に対抗する術がないらしく、かつて【大魔王マデサゴーラ】が治めていたという国も魔瘴に呑まれて滅亡してしまっている。
【ユシュカ】がバルディスタ軍の侵攻に乗じてアストルティアへ向かおうとしたのも魔瘴への対抗策を探るためであった。
現在魔界は近い将来【大魔瘴期】と呼ばれる未曽有の大災害に見舞われることが判明しており、これを乗り越えるために魔界を統治する【大魔王】の選定が望まれている。

【魔界大戦】(Ver.5.1)

ゲルヘナ幻野、ジャリムバハ砂漠、【ベルヴァインの森西】にある魔瘴を噴き出している【魔瘴塚】【イルーシャ】と共に浄化することが本シナリオ最初の目的となる。
 
魔瘴によって滅びたとされるかつてマデサゴーラが治めていた【魔幻都市ゴーラ】は辛うじて存続していたが、それでも魔瘴に完全に飲まれて滅亡するのは時間の問題であった。
この危機から救うためにゴーラを訪れた主人公とイルーシャは魔瘴に呑まれた原因が【魔瘴竜ジャオマンダ】であることを突き止め、これを再封印することで魔瘴による滅亡の危機を脱する。

【王の戴冠】(Ver.5.2)

【魔仙卿】の話によると、かつて大いなる闇の根源がアストルティアに魔瘴を持ち込んだ際、女神ルティアナは魔瘴に侵された大地ごと闇の根源をアストルティアから切り離し、封印したという。
この隔離された大地が魔界であり、取り残された人間や五種族が環境に適応して変化した姿が魔族や魔物である。
ここから考察するに、魔族や(闇の根源由来のものを除いた)魔物は汚染環境に適応した結果として元となったアストルティアの生命体よりも魔瘴耐性が高く、多少であればエネルギーとして利用する能力を獲得したが、それでも元が元なので適応に限度があり、過剰な魔瘴には耐えられないということなのだろう。
 
こうした過去が忘れ去られてからも、魔族たちの意識の根底には祖先を見捨てたルティアナ、ひいてはアストルティアそのものへの憎悪が植え付けられており、これが【アストルティア侵攻】へ繋がっていた。
この章で読めるようになるマデサゴーラの手記によれば、芸術活動以外に無関心に見えた彼の中にすらアストルティアへの憎悪があったようだ(アンルシアとの決戦時に「魔王にして創世の女神への挑戦者」と名乗りを上げていたことからもうかがえる)。

【神の覚醒】(Ver.5.4)

現在の【アストルティア】において魔瘴の影響が強い場所は【邪神】が封じられた地であることが判明した。

【闇の根源】(Ver.5.5前期)

ファラザード城の執務室にいる【ジャガーメイジ】の姿をした「ニェルニャン」の台詞によって「魔瘴への耐性は その者の魔物としての強さで変わる」と発覚した。
またゼクレス魔導国のウェディ男性型魔族の「ディータ」は「魔瘴への耐性は 魔力に比例」すると述べている。

【闇の根源】(Ver.5.5後期)

ジャゴヌバが消滅したことで今後新たな魔瘴は生み出されることはなくなったが、既に蔓延した魔瘴が完全に霧散するには久遠の時間が必要になることがルティアナから語られている。

Ver.6以降

Ver.6.3において【天使長ミトラー】が語った伝承により、ジャゴヌバが遥か彼方から飛来した鉱石生命体である【ジア・クト念晶体】のひとかけら、【ジア・グオヌバ】であったことが明らかになった。
このジア・クト念晶体は、生命体を鉱物へと変えたり、元の人格のまま自然と彼らを利するよう意識を誘導する非常に巧妙な洗脳を行うことが可能な性質を持っている。
グオヌバはルティアナと七賢者に敗れた事で前者の能力を失うが、その後より発するようになった魔瘴は、後者の洗脳と同様の性質を持っている。
このため、魔瘴はジア・クト念晶体の持つ力が形を変えて発現したものではないかと推測される。
 
一方、Ver.6.4では神代の時代において、種族神が「混沌」と呼ばれる、後にアストルティアの諸大陸の元となる創生途中の世界の断片を作り出していたことが判明したが、その中にも魔物の存在は確認された。
混沌の中の魔物がジア・クトの影響を受けている可能性は限りなく低く、魔瘴に至ってはまだ発生源すら生まれていないため、これらは原初の生命として生まれた動植物の一種であるかのような印象を受ける。
よって、本作において魔物と定義される存在の全てが、他の動植物などが魔瘴汚染で変質した結果生まれた存在というわけではないことが判明した。
もっとも、所々で示唆されている通りとこしえの揺り籠=DQ9世界と仮定するならば、その全てを創生した(DQ9の)グランゼニス神と繋がりを持った存在であるルティアナやその子たる種族神の創生する世界に、ジア・クトや魔瘴とは無関係に魔物が含まれるのもおかしな話ではないだろう。
 
ちなみにVer.6.5前期でジア・クトが放った巨大兵器、【念晶巨人】も消滅する際魔瘴に似たものを噴出していた。

その他

  • 【強ボス】たちはこの魔瘴がボスたちの形を取り、具現化したものである。
  • 【やみわらし】等一部のモンスターの誕生には魔瘴が関わっている。
  • 【万魔の塔】で出現する魔物たちは、魔界特有の濃い魔瘴から意図的に作り出されたと言う設定が存在する。
  • 【魔蝕】【魔瘴弾】【魔瘴のきり】【魔瘴陣】など魔瘴を使っていると思われる特技はDQ10以外のシリーズ作品にも多数登場する。
    有毒な闇の物質ゆえ、全てが全てではないが闇属性ダメージや状態異常の効果を持った技が多い。
  • 「色が(赤)紫色」「人間にとって有害」「度が過ぎれば魔物にすら有害」「資源にもなる」といった点で、DQMJシリーズの【マ素】との類似が見られる。
    特にDQMSLでは「災禍のマ瘴」や「マ瘴のヤリ」など明らかに意識したネーミングの特技や装備品が存在することから、スタッフが同一視している可能性はかなり高いと言える。
  • DQ5のラスボスである【ミルドラース】は魔瘴の名を冠した特技をソーシャルゲームで使用している。
    彼には、神に成ろうとしたが本性の邪悪さ故に魔界に封じられ、その後チカラを蓄え神を自称するようになった「元人間の魔族」という設定*2があり、これを魔瘴と関連付けられたと思われる。
  • 「DQチャンピオンズ」では、バトロワ系で恒例となる「時間経過と共に安全地帯を狭める」システムとして登場。
    警告の後にマップの一部が魔瘴で汚染されていき、発生エリアに留まっていたプレイヤーは死亡してしまう。


*1 後述の魔瘴魂の設定を見るに、この表現は厳密なものではない模様
*2 ただし、PS2版における後付けである。