【ウィンドウ】

Last-modified: 2024-03-17 (日) 09:36:22

概要

本来は【窓】の意味であるが、コンピュータ用語としては画面におけるユーザインタフェースのひとつで、文字などの情報が書かれた長方形の枠のこと。
DQシリーズでは初代から採用。画面が常にマップ表示部分、メッセージ表示部分、ステータス表示部分といった具合に分割されていた旧来のコンピュータRPGとの差別化として、DQではマルチウィンドウシステムを採用し、必要な時にだけ必要な情報を表示する仕組みを取り入れている。
今日のWindowsなどのように、新たなウィンドウが既存のウィンドウに重なって表示されることもある。
シリーズ初期の【取扱説明書】では漢字表記で「表示窓」と書いて「ウィンドウ」とルビが振られることもあった。
 
この方式はDQ以降に発売されたコンシューマゲーム向けRPGの多くに採用されている。
黒い背景とひらがなの文字を使用したウィンドウはDQシリーズの特徴の一つともなっており、今も各分野でパロディが見られる。
ただし誤解のないように述べておくが、ウィンドウ方式自体はDQが家庭用ゲーム機初採用というわけではなく、以前にも『ハイドライド・スペシャル』のメイン部分で用いられていた。

デザインと色の変遷

DQのナンバリング作品のウィンドウはGB系を除き、基本的に文字と枠線の色が白、背景色が黒となっている。
FC時代はハードスペックの関係上、キャラの【死亡】【瀕死】の時にはウィンドウの枠と文字すべてが同じ色に統一される(【ウィンドウカラー】参照)。
またウィンドウ上部に表示される「コマンド」の文字やキャラの名前・ウィンドウの表題などは、枠線が途切れた個所に表示される形である。
 
SFC以降はデザインが若干変更され、キャラ名・表題は細い横罫線で区切られた上に表示されるようになった。
また、死亡・瀕死の際は該当するキャラの表示のみ色が変わるようになったほか、下に隠れたウィンドウは文字が暗いグレーに変化するようになった。
ウィンドウの背景色も真っ黒ではなく若干明るい黒になっている(セーブデータ選択画面などでよくわかる)。
DQ6からは戦闘中のウィンドウの背景が半透明化され、DQ7以降は移動中も含めた全ウィンドウが半透明となった(ガラケー版とPS4・3DS・Switch版ロトシリーズ、3DS版DQ11の2Dモードは不透明)。

ウィンドウの種類

DQのウィンドウは大きく分けて「コマンドウィンドウ」「ステータスウィンドウ」「メッセージウィンドウ」がある。

コマンドウィンドウ

実行するコマンドを選択するためのウィンドウ。メニューウィンドウとも呼ばれる。
【はなす】【つよさ】【どうぐ】【しらべる】【たたかう】などのコマンドが並んでおひ、十字キーでカーソルを移動させて決定ボタンで実行する。
DQ9では十字キーに加えタッチペンにも対応し、ペンで1回コマンドをつつくと緑色の選択状態となり、もう一度タッチでコマンドを実行する。
DS版以降の【天空シリーズ】ではアイコンが添えられたボタン風のコマンド表示であるが、DS天空シリーズはタッチペン非対応で従来どおり十字キーでしか選択できない。スマホ版DQ1~8ではコマンドボタンをタップすることで実行する。

移動中

コントローラのボタンを押すことでDQ1では画面右上、DQ2以降は画面左上、DS天空シリーズでは下画面中央下に表示される。
コマンドの数は各作品とも偶数に揃えられており、横2列・縦2~4列にコマンドが並ぶ。DQ4までは上部に「コマンド」と表示されるが、SFCに移って以降は無くなっている。
コマンドによっては選択後、そのコマンドの部分からさらにウィンドウが展開され、サブコマンドやリストが表示される。
DQ7以前では、ウィンドウを表示させると画面上のキャラクターの動きが停止するようになっている。一方DQ11(PS4版・DQ11S3Dモード。以下PS4版等)ではウィンドウを表示させたまま視点を変更することができる。
 
スマホ版ではステータスウィンドウと一体化しており、コマンドボタンをタップすると画面右下に表示される。

戦闘中

交互行動式であるDQ1では、主人公の番になると移動中と同じく画面右上に自動的に表示される(表題は「コマンド」)。
 
【ターン】前の一括指示方式であるDQ2~DQ9、DQ11(3DS版等)では基本的に、新しいターンになると画面下に指示する人数分繰り返し表示され、表題部分には対象のキャラの名前が表示される。
【AI戦闘】が導入されたDQ4以降とDQ3(ガラケー版以降)は最初にメインコマンドが出る。メインコマンドの場合は表題は表示されない。
特殊な例としてDQ9の場合は、下画面の各キャラのイメージカラーの枠の中(ステータスウィンドウの右)にコマンドウィンドウが表示される方式である。
スマホ版DQ8ではキャラの作戦名をタップするとコマンドウィンドウが開く。
 
直前指示方式のDQ10とDQ11(PS4版等)では入力タイミングが発生した時に「ピコーン!」というSEとともに画面左下に表示される。DQ11ではその際に対象のキャラが白く点滅し、DQ10オフラインでは矢印アイコンが表示される。

リストウィンドウ

呪文や道具、地名などを一覧表示したウィンドウ。
原則として移動中は項目が縦方向に並び、戦闘中は横2列・縦3~4列の構成であることが多い。
表示しきれない場合は複数ページに跨り、FC版のDQ3・DQ4ではウィンドウ上部の矢印(→)を選択すると次ページに切り替わり、SFC以降の作品では方向キー左右でページ切り替えを行う。
DQ10・DQ11(PS4版等)では、項目の頭に種類識別のためのアイコンが併記される。呪文や特技は丸アイコン(DQ10オフラインの呪文は六角形アイコン)、アイテムは四角アイコンである。種類は下表の通りで、色と絵によって判別できる(【アイテム】及び【呪文】の頁も参照)。
 
呪文・特技の場合

緑・三又の教会シンボル回復系
赤・斬撃の軌跡攻撃系
青・上向き矢印型マーク補強系
紫・下向き矢印型マーク弱体系
黄・横の3本線移動系

 
アイテムの場合

武器防具
アクセサリー ピンクおしゃれ装備
つかうもの素材
だいじなもの

ステータスウィンドウ

【パーティ】の各キャラクターの現在の能力値を表示するためのウィンドウ。
移動中はコマンドウィンドウを開くと同時にステータスウィンドウも表示される。
またDQ5以前(SFC版DQ1・2も含む)は何もせずに立ち止まっていても表示される。この場合、表示されているキャラの動きは止まらず、方向キーでPCを動かすとウィンドウは消える。
DQ8では【フィールドマップ】に出た直後に一定時間表示され、表示させたまま動くことができる。
 
基本的に移動中と戦闘中でデザインは変わらない。
DQ1での表示内容は【名前】【レベル】【HP】【MP】・E(【経験値】)・G(【ゴールド】)で、移動中・戦闘中とも位置は画面左上。
DQ2では経験値とゴールドの表示がなくなり、各キャラクターごとに横一列に左から名前・レベル・HP・MPが表示。移動中は画面右下、戦闘中は画面上部の表示に変わった。
DQ3でシリーズの基本が確立され、各キャラクターごと縦方向に名前・H(HP)・M(MP)・レベルが表示。DQ3とDQ4(FC版)、DQ9ではレベル欄に【職業】を表す文字も表示される。状態異常時はレベル欄が「しに」「どく」などの表示に変わる。
 
以降長らくパーティ全体を1つのウィンドウで表す形式が続いたが、PS2版DQ5では戦闘時のみスタイルが変更。各キャラごと個別のスタイルになり、表示位置も画面中央下ほどに変更された。
DQ8の戦闘画面ではステータスウィンドウはDQ7までと同じスタイルだが、ターン進行中は表示されず、HPやMPに変化があった時のみキャラの真上に表示される。
DSや3DSの作品では移動中・戦闘中とも個別スタイルとなった。DS天空シリーズでは上画面下部、3DS版DQ7・DQ8・DQ11では下画面上部に表示される。
DQ9では移動中は上画面下部、戦闘中は下画面の表示であり、移動中と戦闘中でフォーマットも異なる。移動中にダメージを受けるなど値に変化があった場合はその都度ポップアップして表示される。
DQ10、DQ11(PS4版等)においては、ステータスはウィンドウではなく、キャラの顔アイコンとともに画面右下隅に直接表示される。状態変化は顔の左に小さなアイコンで表示される。
PS4/3DS/SwitchのロトシリーズやDQ11S2DモードではSFC・PS時代同様に移動中は画面下部(ロトシリーズでは1つのウィンドウ、DQ11S2Dモードは個別)、戦闘中は画面上部(個別)でのウィンドウ表示である。
 
スマホ版では、戦闘中は画面上部(DQ8は画面左下)に表示。
移動中はコマンドウィンドウと一体化して画面左下に縦に並んでキャラのアイコンとともに表示され、コマンド実行時のキャラ選択ボタンを兼ねた造りである。
 
また、HPとMPのゲージは海外版DQ8で初登場し、数値と併せて表示されるようになった。日本国内向けではDS作品からゲージが導入された(ただしDS天空シリーズでは戦闘中にHPのみで、ゲージと数値の表示が離れている)。

メッセージウィンドウ

プレイヤーに状況を説明するメッセージやキャラクターの喋ったセリフなどを表示するウィンドウ。
ウィンドウ下部に【▼】が表示されているときは、ボタンを押すことで次のメッセージが見られる。

移動中

どの作品でも1文字単位で表示され、台詞の場合は【ポポポ音】または【キャラクターボイス】を伴う。
SFC版のDQ5とDQ1・2では1度に4行まで表示可能で、それ以外は多くの作品が3行までの表示である。GB系では解像度の関係で2行まで。
各作品とも基本的に画面下に表示されるが、DQ6やリメイク版DQ3などでは主人公の位置や状況によって、画面上部に表示されることもある(DQ11シリーズの2Dモードでも主人公たちの位置が変わることがあるが、こちらでは下部固定で上部に出ることは無い)。
このウィンドウが出ているときは基本的に動くことができない。
 
DQ4まではかな文字中心だがDQ5からは漢字が使われるようになり、文字サイズも大きくなっているが、DQ8以降の据置機作品ではコマンドウィンドウなどと同じ文字サイズである。
DQ9や3DS版DQ7・DQ8、3DS版DQ11(3Dモード)では漢字にルビも振られている。DQ11S3DモードとDQ10オフラインではルビの表示・非表示を設定変更できる。
DQ8・DQ10オフライン・DQ11やGB版では表示されている途中でボタンを押すと一括表示(早送り)も可能。
 
DQ5やDQ8以降では、台詞によってウィンドウのサイズが一瞬変わったり揺れたりする演出があるほか、DQ5(SFC版)のみ、イベント戦闘突入時にウィンドウが左右に引き裂かれていくという独特の演出がある。
またDQ6以降のイベントでは、どこからともなく聞こえてくるセリフ、歌詞、【ラスボス】級モンスターの発言など、ウィンドウではない場所にメッセージが出る演出も登場している。
DQ9以降では、アイテム取得などの一部のシステムメッセージがウィンドウ外に表示され、メッセージを消すことなくそのまま動くことができる。
 
MSX版DQ1のメッセージウィンドウは解像度の関係でFC版より少ない3行分になっている。このため▼がFC版では4行目に表示されるのに対し、MSX版では半文字(1/4行)程度だけスクロールさせ、上下のウィンドウ枠の遊び部分を含めた3.5行相当を一時的に実現したうえで、その0.5行分のスペースに▼が表示される。そしてボタンを押した後に本来の1行分の改行(スクロール)が行われて続きのメッセージが表示される。
しかし元々3行で終わる台詞は▼を出さずに普通に改行されて終わるため、1行目がすぐに流れてしまって読みにくくなっている。

戦闘中

戦闘中のメッセージは一貫して画面下での表示である。
DQ1では移動中と共通で文字は1字ずつ表示されるが、DQ2以降は行単位で一度に表示される。
ウィンドウの高さはDQ1~DQ4とDQ6・SFC版DQ3が4行分、DQ5(SFC・PS2版)とSFC版DQ1・2が3行、DQ7とPS版DQ4・GBロトシリーズ・DS版以降の天空シリーズが2行である。
移動中の文字が大型化されたDQ5以降も戦闘ではメニューなどと同じ小さな文字で表示される。
 
DQ8以降の戦闘では、ターン中のメッセージがウィンドウ内ではなく、画面下にテロップのような形で直に表示されるようになった。DQ10以降の発売作品はメッセージの表示形態も左寄せからセンタリング式に変わった。
DQ9や3DS各作品では移動中と同じ大きな文字になっている。

フォント

ウィンドウに表示されるフォントはハードによって変化している。

FC時代

FC・MSX(2)作品では、これらのハードのゲームで一般的に使われていた縦線の太い英数字とは異なるオリジナルのフォントであり、元はかつて販売されていたNECのパソコン「PC-6001」シリーズがベースとなっている(特に数字を比較するとそっくりなのが明白)。
またFC等ではウィンドウの罫線も文字と同じように扱われており、それらはマップチップと同じBG(背景)用レイヤーに描かれる。つまり見た目は重なっているようには見えても実際には背景や既存ウィンドウの部分を「描き変え」ている。
この関係でメモリの都合上、カタカナが一部の文字しか搭載されていない(こちらを参照)。
ひらがなはDQ1の「め」「よ」を除いて原則全作品共通の字体が使われているが、カタカナはDQ1、DQ2以降のFC系作品、DQ5とSFC版DQ1・2、DQ6とSFC版DQ3で、それぞれ字体が異なる。
 
このフォントでは、濁点・半濁点は文字の中に含まれておらず独立している。
メッセージやリストは縦方向の1マス(8px)分を空ける形で表示しており、1行あたり2マス分(16px)を使用している。そしてその空いたマスを使って、元の文字の真上に濁点や半濁点を表示している。
ただし例外として、ウィンドウ最上部にくる「コマンド」の「ド」などは、その上に濁点を入れることができないため、これらに限って濁点付きの文字を1マスで表示している。
また主人公や仲間キャラの【名前】もステータスウィンドウの最上部に表示される関係で上のマスに濁点を置くことができず、代わりに4文字中の1文字分を犠牲にする形で濁点や半濁点を置くようになっている(現在のパソコン等での半角カタカナと同じ方式)。このため、このフォントではメッセージ用の濁点・半濁点(マスの下部に表示)と名前用の濁点・半濁点(マスの上部に表示)とが別途用意されている。
たまに、前者の半濁点が句点(。)と間違って文章の締めに使われている事がある(DQ1のラダトームの町の呪いを解いてくれる老人など)。

SFC時代

SFCの作品ではメッセージウィンドウに使われる文字が変更され、サイズも大型になった。明朝体をベースとしたようなオリジナルのフォントで、こちらは文字によって幅が異なるプロポーショナルフォントとなっている。
このフォントはDQ5のモブキャラデザインなどを担当した、当時の【チュンソフト】スタッフらの制作によるもの。
これはこの世代のDQシリーズ本編だけでなく、EZアプリ(BREW)版DQ1・DQ2、さらにはチュンソフトが開発に関わった『トルネコの大冒険』(トルネコ1・GBA版トルネコ2)や『弟切草』『かまいたちの夜』【風来のシレン】でも使われている。
 
一方、戦闘中や各種メニューではFC時代と同様の8×8pxの文字が使われている。罫線が文字と同様に扱われている点もFC時代から変わらない。
ほぼ全てのカタカナが搭載され、【名前】でも濁音が濁点含めて一文字扱いになった。一方で、従来のウィンドウタイトルの表示方法では濁点が上にはみ出してしまうため、タイトルを含めた全ての文字をウィンドウの枠内に表示させる方式に改められ、これに伴って「濁点(半濁点)+上罫線」のパターンが新たに用意された。

その後

SFCより解像度が下がったGBでは、FC系作品近い文字サイズのものが使われている。ただしFC作品とは違い濁点・半濁点は複合。
DQMシリーズでは崩し字風のフォントになっており、【ロトシリーズ】リメイク作ではDQMフォントをベースにFCに近いアレンジがなされている。
 
一方、据置機ではPSになるとSFCよりも解像度が上がったことからフォントもSFC時代までのものから変更された。
メニュー関連では少々縦長の文字になり、濁点・半濁点付きで一文字として扱われるようになったほか、こちらでも漢字も使われるようになった。なお描画方法がポリゴン主体に変化したことから、罫線は文字扱いではなくなっている。
このPS時代のメニューフォントはGBC版DQ3のメッセージウィンドウにもアレンジされたものが使われている。
 
PS2以降のハード(外伝も含めるとPS以降)では、一般に流通しているデジタルフォントが使用されるようになった。

使用フォント一覧

ナンバリングタイトル

ハード作品フォント名
PS2DQ5JTCウインR4
DQ8DFP中太丸ゴシック体
DSDQ4
DQ5
DQ6
DQ9
LCフォント
3DSDQ7TBUD丸ゴシックB
DQ8イワタ新ゴシック体M
DQ113Dモード:ニューロダンDB
2Dモード:LCフォント※
共通※DQ10オンラインイワタ中太丸ゴシック体
PS4DQ11
PS4
Switch
DQ1
DQ2
DQ3
共通DQ11S3Dモード:イワタ中太丸ゴシック体
2Dモード:JTCウインR1
共通DQ10オフラインイワタ丸ゴシック体
スマホDQ4
DQ5
DQ6
DQ7
DQ8
学参丸ゴM

なおガラケー版・スマホ版・3DS版のロトシリーズ3作では、端末環境に依存したフォントが使われている。
※3DS版DQ10オンラインはLCフォント
※3DS版DQ11の2Dモードのメッセージウィンドウのかな文字は、SFC作品に似せてアレンジされたオリジナルフォントである。
 
なおDQ10などで使われているイワタ中太丸ゴシック体は、2021年にオープンした【ドラゴンクエスト アイランド】の園内掲示や公式サイトでも使用されている。
 
外伝

ハード作品フォント名
PSトルネコ2HG創英角ポップ体
PS2トルネコ3