【グランバニア】

Last-modified: 2024-03-14 (木) 08:18:22

DQ5

【主人公】とその父【パパス】の祖国。
国のシンボルは翼を広げた鷲のような鳥で、城の正面および王の間につながる扉の上に大きなレリーフが置かれているほか、王家に関わる様々なものに同様の鳥の模様があしらわれている。
SFC版の【公式ガイドブック】でのアルファベット表記はGlanvania。DS版以降の英語版での地名はGotha。
世界史が好きな人なら後者には聞き覚えがあるかもしれない。
現在のイギリス王室やベルギー王室に連なる家系である、ドイツ貴族ザクセン=コブルク=ゴータ家のGothaで、英語名がCoburgである【ラインハット】となんだか縁戚関係でもあるかのようなネーミングである。
DQ4の時代にはこのあたりに【世界樹】【エルフの里】があったのだが、大きな地殻変動でもあったのか、影も形もなくなっている(【エルフ】に近い種族とされる【妖精】たちの拠点【天空城】の近くにある)。
 
【テルパドール】の女王【アイシス】から告げられた通り、実はパパスはこの国の先代国王であった。
そして本編のプロローグの主人公の夢の中のシーンで出てくる王宮がまさにここである。
周囲を山と森と海に囲まれた王国で、城壁の中に城があり、その中に城下町(城内に一軒家があるほど広い)が作られているという、前作の【ガーデンブルグ】に近い城塞都市になっているのが特徴で、国民を魔物から守るためにパパスが作ったらしい。パパスの年齢を考えると、城塞都市としてはかなり新しく作られたものと考えられる。
 
なぜか【サンチョ】の家は城外に取り残されているが、これはハブられたわけではなく、「城の外の守りを固めたい」という理由から自ら志願してここに家を構えたらしい。
一方で、町と城が一体化しているため一旦敵に町部分へ入り込まれれば容易に最も頑強な城壁内に侵入を許す形になる。
ただし、民間人の居住区は1階に集中しており、2階は兵士の詰め所があるし、3階より上にある王族の居住区への侵入経路は大きな扉に守られている。
居住区から城の中枢までは、内通者でも出ない限りはそう易々とは侵入できない。
そもそも、人間との戦争を想定しているわけではなく、相手は外部の魔物なので魔物の群れが襲来した場合には城門を固く閉ざすだけで城下町は守られる。
更に言うと戦争において城壁を破られるという事自体がもうほぼ陥落と言っていい状態なのでまず破られない事を前提に考えるべきで、むしろ城壁内に町を作ることで城と同時に町と民も守れることになり、国防上の理には適っている。
しかし肝心の王族の寝室は警備が甘く、2度にわたって王妃を魔物に誘拐されている。それもそのはず、寝室から扉も介さずにバルコニーに直結しており、翼のある魔物ならひょいっと飛んできて容易に侵入できてしまう構造になっている。
おそらく【マーサ】はそのように攫われたと推測できる。
2度目の侵入は内部の権力者の手引きがあり、兵士のみならず住民全員が眠らされていたとは言え、これも軍の大失態と言える。
リメイク版では、さらに衛兵たちが当時【チェス】に夢中になっていたというのと、魔物の襲撃に何度か遭うも天空のつるぎの不思議な力により追い払えたという設定が加えられた。
DQでは軍隊は概ね無能で無力であるが、2代に渡って国王や王子自ら旅に出る事態に陥ったのは、兵士たちの頼りなさも一因だったのかもしれない。
 
辿り着くには難攻不落の絶壁【チゾットへの山道】を登り【チゾット】を経由し、【グランバニアへの洞窟】を下りて行くという、うんざりするほど長い山道を乗り越える必要がある。チゾットでは吊り橋を渡る際に遥か下に城が見えるという演出がある。リメイク版では結婚相手の「もうすぐ○○のふるさとが見られる。」というセリフと相俟って感動とモチベーションが高まる。
船旅で世界を回った末に前述の長い山道を越えて行くので、到達すると相当なカタルシスを得られる。
 
城の横にある小屋にサンチョが住んでおり、感動の再会イベントが待っている。
その後、現国王である叔父の【オジロン】に謁見、そして何やら怪しげな【大臣】の提案で主人公は王位継承者として、城の東にある【試練の洞窟】まで【おうけのあかし】を取りに行くという怒涛の展開が待っている。
 
4階建ての構造で、上述の通り1階が市民の居住区、2階が兵舎、3階より上が王族の生活空間になっている。また3階の一角にも兵士の宿舎があり、そこから城の天辺の見張り台に出ることができる。
2階の兵舎と3階の王の間は部外者は立入禁止となっているらしく、初訪問時には見張りの兵士が立っていて通してもらえない。サンチョと再開後はどちらも通してもらえるようになる。
城内にはオジロンの娘の【ドリス】【天空人】、母【マーサ】によって改心させられた【スライム】などがいる。
DQシリーズの城には宝物庫があることが多いが、他の城と違いこの城には2ヶ所存在する。このあたりも前作のガーデンブルグと共通している(1ヶ所は隠されている点も同じ)。
城内の2階で【まほうのかぎ】で守られた宝物庫には【ほしふるうでわ】が収められている。
そして1F教会付近の見つかり難い場所にある宝物庫には鍵はかかっておらず、なんと【エッチなしたぎ】が隠してある。まさかパパスとマーサが使用したのだろうか?また、同じ宝物庫では【しあわせのぼうし】が入手できる。これ自身が装備として非常に強力なだけでなく、SFC版では【ひとしこのみ】に必要なアイテムをここまで逃さず持ってきていれば、ここで全てが揃い、裏技の使用が可能となる。
ただし、リメイク版では【さいごのかぎ】がないとここの宝物庫には入れない。この隠し宝物庫については、ゲーム本編中では特にヒントも無く、自力での発見が非常に困難ではあるが、SFC版DQ5公式ガイドブック上巻のグランバニアのページには『マメ知識 どこかに隠された謎の倉庫が⁉』というコラムがあり、具体的な位置や収蔵物については伏せているものの、人目に付かない場所にそういう部屋があることと内部に珍しいアイテムが並んでいるということだけは明かされている。 
当時は【レミラーマ】なんて便利な呪文はなく、【ちいさなメダル】集めには怪しげな突き当りなどにはとりあえず足を運んで調べるということは普通に行われていたので、その際に偶然見つけるパターンもあっただろう。
また、武器防具屋、宿屋、教会と多くの施設が揃っている。
チゾットから続いて【まどろみのけん】【ほのおのツメ】に加えて、防具屋にも目玉商品として【ふうじんのたて】がある。安価にブレス耐性を整えられるので、優先的に買いたい。
これからの旅の準備をしっかり整えると良いだろう。
 
そして、試練を乗り越えて無事国王に就任すると、妻の出産、さらに誘拐と、物語は急展開を見せる。
イベントの都合上、結婚した仲間キャラは「サンチョに話しかけた時点でパーティーを離脱」して、【大神殿】の攻略を終えるまでかなりの期間復帰しないため、青年時代前半時点での育成を考えているのならば注意しておこう。
 
さらに【ジャミ】を撃破して青年時代後半に突入すると城の2階に【預かり所】【モンスターじいさん】【ルイーダの酒場】も追加され、必要な施設が一通り揃う。
特にルイーダの酒場はここだけなので、人間キャラの入れ替えはグランバニアでしかできない。
 
なお、サンチョとの感動の再会後は無料で宿泊ができるのだが、時期により宿泊場所が微妙に違う。
石化前は外出して帰宅後、妊娠により離脱した妻に話しかければそこの王族の寝室で宿泊。
妻とダブルベッドで添い寝である。恐らく臨月間近なのでいかがわしいことは行われないだろうが。
夜に帰宅した場合は大臣の意向で城に入れてくれないので城の外にあるサンチョの家で。
また、王族の寝室に行くのが面倒であれば、昼間は1階の宿屋に有料で泊まることもできる。
いずれにせよ、この城は青年時代前半の妻が誘拐されている期間を除いて常時ルーラ不可なので、拠点として利用するには不便過ぎる。
ルイーダの酒場でキャラの入れ替えをするときに立ち寄る程度だろう。
 
リメイク版では青年時代後半なら、宿屋にタダで泊まれるようになった。さらに夜には王族の寝室の前にいるおばさんに話しかけることで、ちゃんと寝室で寝ることができる。
この場合、起きたときに後ろにいるキャラがまとめて飛び起きるので、まとめてダブルベッドで寝ていたらしい。
【男の子】【女の子】・妻の4人構成だと微笑ましいものがあるが、 種類にもよるがモンスター3匹と寝ていたり、サンチョや【ピピン】が混じっていたりすると結構カオスである。
妻と2人ならもちろん添い寝できる。というより石化復帰後の妻はパーティーメンバーから外していても常時寝室にいる。
ちなみに寝室から行けるバルコニーの角に小さなメダルが落ちている。
 
余談ながら、最初にサンチョと再会する際に妻が死んでいると、サンチョを訪ねていたシスターが生き返らせてくれる。その後のイベントに妻がいないと進行できないという配慮からであろう。
「なにかとおこまりでしょう」と言いながら、その場で祈ってポンと復活させる様は、さすが神の使いという他ない。
……が、SFC版ではシスターが去ったのを見てから1度引き返し、改めて妻を殺してからサンチョと再会すると、死んだままイベントが進行する。
DQ4では想定済みだったらしいが、こちらでは想定が甘かったようだ。
その後は棺桶のまま喋ったり、棺桶を「美しい女性」と言われたり、さらには産気づいて倒れたりと軽いホラーになってしまう。
なお、フローラは青年時代前半は絶対に死なないのでこのバグが起きるのはビアンカのみである。
ちなみにこの時点でビアンカを死亡させていると復活させる機会のないまま離脱するため、大神殿クリア後にパーティーに復帰するときまで死亡したままである。そのため、死亡した状態のキャラを【ルイーダの酒場】に預けられる唯一の手段である。
データ上は死亡しているにもかかわらず、普通にグランバニアの寝室でピンピンしているという奇妙な状況が成り立つ。
 
また、リメイク版ではビアンカ以外の妻も死ぬことがあるが、復活させてからシスターが去ったあと、そのままサンチョが主人公に問いかけるようになり、このような事態は起こらない。

グランバニアの無駄な公共事業

グランバニアから東に少し進んだところに無駄な【橋】がかかっている。
DQにおいて橋と言えば、分断された大陸間を繋げたり、【エンカウントエリア】切り替えの目印になったり、あるいは海を遮断するための障害物として設置されていたりと、ある程度ゲーム上の意味を持って配置されているのが普通である。
ところがこのグランバニアの東にある橋、こうした橋として有効な配置上の意味が全く存在しない。
「グランバニア 橋」で検索するとわんさかヒットするスクリーンショットを参照していただければ一目瞭然なのだが、この橋が架かっているのは川のほぼ始点であり、周囲は普通に地続きで、障害物も何もない。
ほんの数歩ほど下に回り込めば、普通に橋の反対側に辿り着いてしまうのである。
特にフィールドマップがややコンパクトになったDS版・スマホ版では、橋を挟んだ上流側の川がたった1マスしかないため、この橋のシュールさは際立っている。
 
SFC版の発売当時は特に話題にもならなかったこのグランバニアの橋なのだが、リメイク版の発売を経た2010年代になり、この意味の無い橋を「グランバニアの無駄な公共事業」と形容する投稿が掲示板やSNSに出現。
これが大きく拡散され、名も無き橋は一気にDQシリーズでも屈指の有名な橋に上り詰めた。
誰も気にしなかったものが見方を変えただけで一気に面白いネタに変わった形である。 
 
実際何の意味も無いのかというと、実は青年時代前半に【北の教会】へルーラしたときの船の場所がこの橋の奥に設定されている。
ここは川を介して外海につながる湖になっているが、橋を設置することで船が通過できず外海に出ることができなくしているのである。
ただし、そもそもここは北の教会から徒歩で行けないので通常のプレーの範疇なら特に意味がなく、ここに船があることを確認することもできない。
実は先に(全滅時の船の再配置が起きない)チゾットの教会でセーブした上で北の教会にルーラで飛んで全滅、チゾットで再開後にグランバニアに下山することでようやく拝める。
そんな特殊な状況は意図しない限りほとんど起きないので気づくプレイヤーはほとんどいなかったが、もしこれが理由なら開発者はちゃんと意図があってここに橋を設置したということになる。
ただし、この橋の最寄りであるグランバニアにルーラしたときは船はここではなく高山を超えた内海側に係留されるので、北の教会の場合も同じ扱いにすればよかっただけではないかという疑問が残る。
あるいは、通常はルーラ地点から徒歩で行ける場所に船が来るという暗黙の了解があるため、北の教会から陸路を北に行った海との接点で浅瀬に囲まれた空間などに接岸させるのが筋である。
つまり、あえて橋を設置してまで船をここに配置する必然性はそんなに高くはない。そのために設置された橋というより、前後・因果が逆でたまたまそこに橋に囲まれたちょうどいい水場があったからそこに船を設置したという可能性もある。
 
一応プレイヤー視点ではなく、世界観的に考えれば、例えフィールドマップで数歩の距離だろうと、商人などの民間人にとっては無駄な施設とまでは言い切れないかもしれない。迂回するとエンカウント率の高い森を経由するわけでもあるし。
……もっとも、この橋の先にあるのは一般人には用のない祠だけなので、「王族がわずかな移動距離を惜しんで自分たちだけが使う橋を作った」という風に見えなくもないのだが。

小説・CDシアター

小説及びCDシアターでは、主人公が王に即位する(加えて子が産まれた)や否や国を挙げてのお祭り騒ぎ、王である主人公が石化から帰ってくるとまたもお祭り騒ぎ、
更には王妃である妻が帰ってくればまたまたお祭り騒ぎ、そして【ミルドラース】を倒してお祭り騒ぎ。
天空物語ではテンが天空の剣を抜いたとき、旅から帰ってきてテンとソラの誕生日を迎えた時などでもお祭り騒ぎをしている。
何かと宴・祝いごと好きな国民が多いようである。
 
また、王族に対し強い敬意を国民が抱いているのも1つの特徴と言える。
10年以上にわたって国を空けてしまったパパスや8年も行方不明になって国を空けてしまった主人公、いい人だが頼りなく大臣(小説版では女中)の暗躍に気づけなかったオジロンなど、
王族が十分仕事が(主人公はある意味全く)できていなかった面があったにも関わらず、国民はなおも王族に敬意を持ちことあるごとに祝賀してくれる。
小説では主人公がその素性を明かす前に、その姿や連れているモンスターからパパスとマーサの子ではないのかと推測する住民の心情までもが描かれている。
長期の国王不在の状況に暗躍する大臣、今一つ頼れない兵士といった状況だが、それでも国が乱れなかったことはこうした王族への敬意を中心とした国民の結束の強さも理由の1つだろう。

天空物語

「ドラゴンクエスト天空物語」の中では、城下町は城の地下に作られているという独自設定になっている。
国民が増えて増築するようになった時は大変だと思うのだが、それも含めての王の優しさなのかもしれない。

ユアストーリー

映画内で訪れる場面は無いが、設定としては残されている。
主人公リュカのフルネームのほか、リュカとパパス、サンチョの履いているズボンの模様はグランバニアの紋章という設定になっている。