【グレイス王】

Last-modified: 2022-01-28 (金) 06:55:01

DQ6

【グレイス城】王様【フォーン王】と同じく、襲名制と思われる。
英語版での名前はFalle。大臣の名前がDowneであり、"fall down"(「落ちる」、この場合は「滅びる」)とペアになっており、更に兵士長の名前がde Kleinという、"decline"(堕落)と、城がもうじき滅びることを示す名前が揃っている。
 
大魔王に対抗すべく、大魔王を上回る力を持つという伝説の悪魔を呼び出した当人。家族は妃と姫が1人ずつ確認できる。
 
元々グレイス城では世界を脅かす大魔王の存在が知られており、いつか勇者に渡すために【オルゴーのよろい】を確保した上で、それを狙う大魔王に対抗する方法なども模索されていた。
そんな中、城の学者が「大魔王を上回る悪魔の存在と、それを召喚し使役する方法」を発見したのが悲劇の始まりだった。
その学者曰く、「魔物の魂を食べて生きている悪魔であって、人間を襲ったりはしない」とのことだったが、城の住人の中には「その悪魔が危険でないとは限らない」「毒を以て毒を制するやり方は良くない」などと異を唱える者もいた。
だが、魔王を超える力が手に入るのではないかと考えたグレイス王は余裕のない状況だったこともあってか学者の言葉を信じて悪魔を召喚する事を決め、召喚の義は執り行われた。
 
しかし、そうして呼び出された悪魔の正体は「誰の命令も受けず、全てを無に帰す破壊と殺戮の化身」。異を唱えた住人の予想通り人間に対しても危険な存在であったのだった。
召喚された悪魔はグレイス王の言葉にも一切聞く耳を持たず、王は一瞬で焼き尽くされ断末魔の叫びを残して死亡してしまう。
さらにグレイス城もそのまま悪魔の猛攻を受け、避難できた者もいたが多数の犠牲者を出して王国は瞬く間に滅亡してしまった。
その後グレイス城は悪魔を召喚した事で神々の怒りにまで触れてしまい、現実の世界でも夢の世界でもないどこかで、この結末を永遠に繰り返す無限地獄に陥ってしまった。
 
なお、城の兵士訓練場にはグレイス王の書いた格言が貼られており、

「まことに おそろしいのは おのれ自身の よわさである ―――グレイス王」

と書かれている。
そんな彼が強さを求めるあまり決して触れてはいけない力に手を出し自国を滅ぼす引き金を引いたのはなんとも皮肉な話である。
彼が家族や国民のことを考えていたのは確かだとしても、最終的に力に目が眩んで暴走気味になった点は擁護しきれない。
実際のところデスタムーア側の魔王はと言えば、鎧含む伝説の装備のことを警戒するどころか、わざわざ人間に集めさせて戦う相手を篩にかけるために利用しており、少なくとも鎧を狙って侵略を行うとは考えづらい状態。
王らにしてみればそんな事は知る由も無かったとはいえ、来もしない鎧目当ての侵略を恐れ、守りたかった住民ごと巻き込んで無限地獄を彷徨うというのは、あまりに惨くやるせない結果と言わざるを得ない。
結果としては大魔王に干渉されなかったことで鎧は城内に安置され、主人公らがさほど労せず手に入れることになったのはせめてもの救いと言えよう。
 
ちなみに悪魔召喚の際の呪文は「マハ トラーナ ソテミシア レキダントラン ヒガンテ パラシコロヒーア」。
DQ6にはこのような怪しい呪文がたびたび出てくる。
また、儀式の際に用いられた供え物はカエルの干物とヘビのスープ
あまりにいかにもなという供物だが、ちゃんと悪魔を召喚できたことからするとこれで正しかったのだろう。
 
そして、後にこの悪魔の「伝説の悪魔の力は今の大魔王を超える」というのは間違いではなかったことが証明される。
だが間違っていないのはそれだけであり破壊の化身たる悪魔が「人間を襲ったりはしない」はずがなかった。
厳密に言えば他の魔物のように「積極的に人間を襲う」わけではなかったが、それは単純に「相手が人間だろうが魔物だろうが関係ない」というだけである。
そして「召喚する方法」も正しかったが、「使役する方法」は召喚者自らがこの悪魔に勝利し十分な力を認められることが条件だったということを誰も知らなかったのだ。
この悪魔は大魔王を凌駕する力を持っており、それを使役するだけの力があるのならば悪魔に頼らずとも自身の力で普通に大魔王が倒せてしまう為、大魔王を倒すためにこの悪魔に頼る行為はただの遠回りでしかなく本末転倒だったと言えよう。

人物

ダークドレアムの一件から、失敗者、無能者と見られがちだが、国民からの信頼は非常に厚い。
悪魔召喚に反対した国民はいるが、グレイス王自身を暗君と批判する者は無かった。
むしろ、不安はあってもグレイス王ならなんとかしてくれると考える国民が多く、中には何があってもこの国に生まれて幸せだったと心酔する者さえいた。
兵士たちも士気は旺盛で訓練にも熱心、兵士長のように死を覚悟でオルゴーの鎧を守ったり、整然と国民を避難させたことから考えて、人望・手腕ともにグレイス王は名君の要素を多く持っていたといえる。
守りたいもののために自分が操れない強大な力を利用しようとしたという意味では、次回作にも似たようなことをした王がいる。
 
グレイス王には前述の通り王妃と姫がいる。
彼女たち二人は儀式の部屋のすぐ下の階にいたのだが、儀式後の脱出シーンでは何故かその階をすっ飛ばしてさらに下の玉座の間に直行。死亡シーンもないが、儀式後に生存している様子も確認できない。
儀式の部屋のドアに立っていた兵士が王妃と姫を案じて真っ先に彼女たちのもとへ向かっているので脱出できた可能性もあるものの、その後に姿もなければ関連する話もない。