【ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー】

Last-modified: 2024-04-15 (月) 18:54:53

・DQモンスターズシリーズ

DQM1 - DQM2 - PS版1・2 - キャラバンハート - ジョーカー1 - ジョーカー2 - テリワン3D/SP - イルルカ - ジョーカー3 - DQM3

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ジョーカー1関連一覧
キャラクター - モンスター - 地名 - スキル - 呪文 - 特技 - アイテム(道具/武器) - 音楽

概要

ドラゴンクエストモンスターズシリーズの第4作目(リメイク作品、モバイル作品を除く)。
発売日は2006年(平成18年)12月28日。機種はニンテンドーDS。略称はDQMJ、DQMJ1、DQM-J1。
海外でも同タイトル (DRAGON QUEST MONSTERS JOKER) で発売されている。
従来のモンスターズシリーズ(犬塚太一曰く「DQMシーズン1」)とはイメージ・システムとも大幅に変更し、タイトルロゴもそれまでのドラゴンクエストロゴとは異なる全く新しいものに変更された。
のちにジョーカーシリーズは3部作となり、本作はその第1作という位置づけになった。
 
2008年10月23日には「アルティメットヒッツ」のレーベルで【廉価版】が発売されている。

ストーリー

謎の組織「ジェイル」の施設にある牢屋。そこに一人の少年が閉じ込められていた。彼こそがこの物語の【主人公】である。
彼はモンスターマスターの集う大会「バトルGP」に出場すべく施設から出ようとしたしたことを理由に、牢の中に10日間閉じ込められていたのだ。
そしてようやく牢屋から出された主人公だったが、それはジェイルの統主であり、父【ギルツ】からの命令のためであった。
ギルツから「バトルGPへの出場を許可する。ただし『任務』として、だ。」と告げられた主人公は【スカウトリング】とモンスターを受け取り、グランプール諸島唯一の町がある島【アルカポリス島】へ向かう。
そこでは、今年のバトルGPは去年までのルールとは違うことが出場者や住人の間で噂されていた。
その裏に渦巻く陰謀とは…?

システム

  • 【シンボルエンカウント】を採用。モンスターと接触することで戦闘が始まる。
  • モンスター勧誘システムが大幅に改定され、【スカウト】コマンドで【スカウトアタック】を行い、成功すると仲間になる。
  • 前作までとは異なり、グラフィックをフル3D化。
  • モンスターの強化方法が【配合】に戻り、4体配合などの新要素も。
  • 戦闘に出る3体のモンスター以外に、スタンバイモンスターとして3体まで持ち歩けるようになり、戦闘時以外で自由にスタメンとスタンバイモンスターを入れ替えられるようになった。
  • 通信による対戦はもちろん、DSの機能を生かした【すれちがい通信】による対戦も可能。
  • Wi-Fiシステムを使った『JOKER'S GP』に参加可能。環境さえあれば、誰でも参加できる。
  • DQ8と同じく【スキル】システムを採用。3つまでスキルをモンスターに習得させられる。
  • モンスターごとに能力値に限界値が設定された。
  • 【メラガイアー】【イオグランデ】といった、従来の攻撃呪文のさらに上の最上位呪文が追加された。※
  • 【闇属性】呪文として、新たに【ドルマ系】という攻撃呪文が作られた。

※最上位呪文の追加はそのネーミングセンスを巡って物議を醸したが、DQ9以降の本編にも逆輸入され、DQ6以降【とくぎ】の追加などで不遇傾向にあった攻撃呪文の復権に一役買っている。

評価及び問題点

モンスターズシリーズでは2003年3月に発売されたキャラバンハート以来3年9ヶ月ぶりの新作であることと、DSならではの新システム、初の3Dグラフィックを備えたシリーズ最新作であることなどから、発売前から大きな話題の種となり、前作60万本ほどの売上に対し、本作は150万本以上を売り上げモンスターズシリーズ堂々の復活となった。

しかし発売後の評判は必ずしも良いものでばかりではなく、代表的にあげられた不満点として、

  • モンスターの能力値にそれぞれ限界が設定された。このため、好きなモンスターを強くすることができず、限界値の低いモンスターはストーリーですら最後まで活躍させるのは厳しい。
    • 低ランクのモンスターはレベルが上がってもステータスが伸びにくく、+値が0だと特定のステータスがほとんど伸びない種族も。
  • 新登場モンスターが少なく、DQ8に登場しているモンスターがほとんど(その割には【ウィッチレディ】【ノックヒップ】は登場しないなど、DQ8初出の人気モンスターを全て網羅している訳でもない)。過去のシリーズの人気モンスターも多数リストラされている。
    • それに関連して、いわゆる色違いのモンスターが過去作と比べて多く、手を抜いているとも言われている。
      一応持っている武器を変えるなどして少しでも差異を出そうと試みている面は見られる。
  • 前作キャラバンハート同様システム周りのマゾさが目立ち、DQMシリーズの中では難易度が高い部類に入る。
    • 序盤に登場するモンスターから貰える経験値のバランスが酷く、レベルが上がりにくい。
      • 経験値が稼げる【メタルエリア】にいくには、スライム(アストロンも使用する)24匹を倒すミニゲームをせねばならない。
        そのうえメタルエリアの滞在時間は2分ほどしかないという変態的なマゾ仕様。
    • ボスの強さは流石にイルルカ以降の作品程強くはないが、それでもDQ8のように序盤のボスが【イオラ】などの中級呪文を連発してくる等過去作より強め。
    • 前作同様、雑魚敵の素早さが最序盤からかなり高めに設定されており、ほぼ全ての敵に先攻される。
      これに前述した経験値の少なさや低ランクモンスターの成長率の悪さも合わさって、配合解禁直後の雑魚戦がかなりキツい。HPが伸びにくい種族の場合は未配合だと雑魚敵にすらワンパンされる恐れがある。
      しかも配合解禁直後の島ではイベントをある程度進めると島をクリアするまで他の島への移動ができなくなる。
    • 配合の仕組みが変更され、一般配合ですら目当てのモンスターを生み出すのが難しくなった。詳細は【配合(ジョーカー1~3)】を参照。
      • 【おすすめはいごう】という機能が存在するが、特殊配合の組み合わせは選ばれない上、まだ仲間にしたことのないモンスターになる組み合わせしか提示されないという欠陥仕様。
    • 本作からスタンバイシステムが導入されたが、その仕様がかなり不親切。
      • 戦闘中の【いれかえ】ができない。
      • バトルメンバーが満員の状態でモンスターを仲間にした際の選択肢が「そのまま預かり所に送る」「バトルメンバーと入れ替えて、入れ替えたモンスターを預かり所に送る」しかなく、「スタンバイに入れる(もしくはスタンバイのモンスターと入れ替える)」という選択肢がない。
    • 主人公の移動速度が遅く、【ルーラ】などの移動手段も不便。
    • 後の作品とは異なり【特やくそう】が店売りされていない。
    • 雑魚モンスターの中に、シンボルの出現率がかなり低いもの(【おばけキノコ】など)や、期間限定でしか出現しないもの(【メタルドラゴン】など)、一度倒すかスカウトすると二度と出現しなくなるもの(【ボストロール】など)がいる。
  • 【ギラ系】が存在しない。
  • 本作で【特上やくそう】というアイテムが初登場したが、「味方全員のHPを30回復」という名前詐欺も同然の性能(これはテリワン3Dでやっと改善された)。
  • バトルGPの予選がストーリーの大半を占めているのだが、肝心のバトルGPの決勝が「対戦相手のしょうもない反則により主人公の不戦勝」という消化不良な形で終わる(一応、この相手とはクリア後に戦えるようになるが)。
  • クリア後の楽しみが前作に比べてかなり少ない。
  • 『JOKER'S GP』上位に改造ツール使用者が跋扈。
  • 水上バイクやATMが登場したり、建物や服装も近代的になっているなど、世界観がズレている。
  • タイトル画面で「ドラゴンクエストマーチ(いわゆる【序曲】)」を流さない(一応EDで流れるが)。
  • 【レティス】などの【配信限定モンスター】入手について遅くから始めた人への救済策がない。
  • 仲間にしたモンスターを次作以降に引き継げない。
  • パーティに入れているモンスターがマップ上で主人公の後ろをついて来なくなった。
  • 一度モンスターに付けた名前を変更できなくなった。

 
以上のような点がテリー、ルカ・イル、キャラバンと遊んできたプレイヤーからの不評を買ったようだ。

しかしながら、本作からドラクエシリーズに触れた新規層も数多く生まれたと思われ、前作から販売本数を倍以上伸ばし、後述のようにモンスターズシリーズ消滅の危機を救ったとも言える本作の功績は軽視出来るものでは無いだろう。
上記で挙げられた問題点の多くは次作以降で改善されていくこととなる。

シリーズの延命

任天堂ウェブサイトの『社長が訊く・テリワン3D』において、モンスターズシリーズのプロデューサーである【犬塚太一】は、モンスターズ作品はどんどん売上本数が下り坂になっていたため、「もうモンスターズに次はないな」という雰囲気になっていたと答えている。
しかし、DSが発表されたとき「このハードならリベンジできるかも」と思ったそうな。
そのためにとにかく新しいものは全部やろうとしたとのことである。
 
ジョーカーの制作はちょうどDQ8が発売された頃に始まった。
DQ8といえば「細部まで3Dで表現された世界」が特徴的であり、プレイヤーにも好評であった。
DSでもそのDQ8のように3Dの世界で冒険できることを聞いた堀井は「これならいける!」と思ってGOサインを出したとのこと。
 
また、シリーズの存亡をかけて「いままでとは違うクールな主人公でいく」というコンセプトになったとか。
過去作からの変更点は先述のように主人公のことだけではないのだが、結果的にキャラバンハートの倍以上となる151万本を売り上げ、以後コンスタントに新作が制作されている。
内容に賛否はあれど、ジョーカーのおかげでモンスターズは盛り返したのだ。

企画段階

【ドラゴンクエストモンスターズ 20thアニバーサリー モンスターマスターメモリーズ】によると最初は「ドラゴンクエストモンスターズ ワールドマスター」という企画であり、
舞台は【タイジュの国】【マルタの国】【カレキの国】の三国で、プレイヤーは最初に出身国を選び、それぞれの国の精霊を追う形で3つの国を行き来し、様々な世界を旅する予定だった。
そして【星降りの大会】も存在し、会場は各国の精霊が案内するダンジョンの最深部にあり、出身国以外の国の代表になる事も可能だったという。

システムは様々な職業の人間も参戦するというキャラバンハートに近い形式だが、人間もレベルアップしたり武器や防具を装備できるなどの成長・カスタマイズ要素も考案されていた。
仲間にするには各国の【ルイーダの酒場】でスカウトでき、特定の称号を手に入れるとレア職業の人間や【テリー】等のシリーズ作品キャラも仲間にできる予定だった。

そして次に「DS/DRAGONQUEST MONSTERS」という新たな企画書が作られる。
当初のモンスターを仲間にする方法は【釣り】で、その後は銃で撃ったりカードに封印して召喚して戦わせる(後にバトルスキャナー&スキャバトで実現)などの方法も考案された。
そして仲間モンスターは過去作のように連れているモンスターの姿が不思議な力で小さくなったという設定で、主人公の後をついて来る構想もあったり、配合で生まれたタマゴを冒険に連れ、戦闘や育成も可能。失敗するとヒビが入り、そのまま成長させるとレアモンスターが産まれるという要素も考えられていた。