【ドラゴンクエスト~勇者アベル伝説~】

Last-modified: 2019-05-03 (金) 23:22:43

概要

フジテレビ系列で放映されたテレビアニメ。製作は日本アドシステムズ。アニメーション制作は【スタジオコメット】
1989年12月2日から1990年9月22日に全国ネットされた第一部32話と、関東地区で1991年1月11日から4月5日まで放送された完結編11話あわせて全43話が放送された。
DQ4発売と同時期に行われたメディアミックス企画の一環。
本放送時のタイトルは単に『ドラゴンクエスト』。他作品との区別のためにファンからは主人公【アベル】の名を取って『アベル伝説』という通称がネット上などで使われ、DVD化にあたって公式に『勇者アベル伝説』というサブタイトルが付けられた。
 
最高視聴率は12%。
当時のプロデューサーである大徳哲雄によると、ゲームのDQの世界をもっと広げてみようという発想がこの作品の発端であるが、原作がマンガではなくゲームであることから、製作には苦労が多かったという(【月刊Vジャンプ】2002年11月号)。

ストーリー

完全オリジナルで、「その血を飲んだ者に永遠の命を与える」「汚染された水を浄化する」「怒りによって世界を滅ぼす」という伝説の竜の復活がストーリーの核にあり、文字通りの「ドラゴンクエスト」なストーリーになっている。
ラスボスの「滅びた古代の都【エスターク】から現れた大魔王【バラモス】」など、固有名詞の多くが原作から流用されている(エスタークは本アニメの方が先。DQ4の発売が1990年2月11日、このアニメの8話の放送日が1990年2月10日)。
また、DQ4のキャラやDQ3以前の魔王がゲスト出演しており、敵キャラの多くはロト編のモンスターが中心だが、中盤辺りからDQ4で初出の敵キャラも徐々に登場してきた(名前の出てきた中では【プレシオドン】【リリパット】など)。終盤に近づくにしたがってクリーチャー然とした不気味なデザインのモンスターが多くなっていくのも特徴(【おおめだま】などはもはや一つ目であること以外原形をとどめていない)。
ちなみにバラモスはDQ5の【ライオネック】系に近い容姿をしており、よく「カバ」と揶揄されるDQ3のバラモスと区別して「リアルバラモス」と呼ばれる事も多い。
 
ストーリー自体はオリジナルだが、地名やキャラクターなどにDQ3の影響が見える。

評価

放映当時は強力な裏番組の存在に加え、剣を主体としたファンタジー作品としては地味めなアクションシーン、呪文も【ギラ】【バギ】などが光弾を飛ばすだけのショボい演出(後半はいくらか改善)、当時のドラクエではありえない呪文使用(仲間の魔法使い【ギガデイン】を唱える)などに不評が集まり、一旦はあえなく打ち切りの憂き目に遭った。上述の視聴率も最上位のアニメが25%前後にもなる時代と考えればドラクエブランドを使用していながらいかに低いか分かるはず。
しかし海外へ宣伝の為や 「というお話だったのサ(AA略)」な最終回への抗議から、後に第二部が製作放映され、バラモスを倒して完結した。
ただし、第一部の最終話で語られた仲間の大量犠牲のストーリーは改変された。唯一【ドドンガ】だけはその運命を変えられなかった。
 
当時のアニメ誌などでは自分でキャラクターを動かしているわけでもないのに、
RPG的なイベントを見せられても退屈と酷評されたが、この作品は初めて訪れた場所の情報や施設、イベントやアイテムなどに対する驚きなど、未知の世界を冒険している雰囲気を重視している。
また、DQ4発売直前という事で本編DQがまだ良く言えば古きよき勧善懲悪、悪く言えば甘い英雄の幻想に浸れる世界観で構成されていたのに倣い、少し先に連載が始まっていた【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】や後発の【ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章】などが、【勇者】の重圧に苛まれたり大衆から疎まれるなど、特別な存在であるが故の「負」の要素もある程度手がけているのに対し、こちらは終始ほぼ純然としたヒーローとしての活躍を一貫しており、徹底的に「冒険の雰囲気」を追求した作品と言える。
前述の地味と評されたアクションシーンも当時のプレイヤーの想像する戦闘シーンらしくしようとした結果と言える。何しろダイの大冒険がようやく連載開始、ロトの紋章に至っては影も形もなかった頃の作品である。
DQ4のキャラが何かしらの形でゲスト出演する機会もあった。
放映終了から15年も経ってからDVD化された事といい、なんだかんだ根強いファンを獲得しているのは確かである。
特に、本作に登場する女戦士【デイジィ】は今なおドラクエの二次創作でも顔を並べるなど高い人気がある。
 
そのほかにも、モンスターが宝石から産み出される設定で、「魔物を倒してゴールドを手に入れる」行為を無理なく説明したり、魔物のほとんどは「死せる水」(同社が製作したゲームに登場するブラッドプールのようなもの)と呼ばれる、汚染された水無しでは生きられない(綺麗な水が逆に害になる)とすることで、当時注目され始めた環境問題を取り込みつつゲーム本編の、「【せいすい】でダメージを与えられる」という特性を表現するなど、主にキャラの術技や武具、台詞などでゲームのシステムを体現していたダイの大冒険とはまた違う方面ベクトルで秀逸なものが多い。

ゲーム本編への影響

ゲームの方にもこのアニメを連想させる小ネタ、設定、アイテムデザインが、
いまだにコンスタントに盛り込まれていたりする。
例えば

などが挙げられる。
また、伝統的に主人公が名前を持たないドラゴンクエストシリーズにおいて、本作の主人公アベルの名は「主人公はドラクエっぽい名前にしたいけど、これといって思いつかない」というプレイヤーの助け舟になり、放映以来多くの勇者アベルたちが生まれることとなった。
ちなみに【主人公(DQ5)】(リメイク版)の【デフォルトネーム】がアベルである。
彼は勇者ではないが容姿が似ており、公式に名前が逆輸入されたと言えるだろう。

主題歌

アニメ自体は今一つだったのに対し、徳永英明の歌うエンディングテーマ「夢を信じて」は、オリコン上位に食い込む大ヒットとなり、彼のシングルの中では最大の売上枚数となっている。
ただし徳永本人にとっては今まで歌ってきた曲とあまりにも違いすぎる事、アニメのタイアップで売れてしまった事、そしてこの曲は自分が作詞した曲ではないためシンガーソングライターの矜持が許さなかった、などから長い間この曲を「自分の曲」として歌うことを忌避しており、ステージで歌うことはなかった。
なお似た例として、徳永初期のヒット曲で彼が一躍メジャー歌手になるきっかけとなった、だがやはり自身が作った曲ではない『輝きながら…』がある。
病気復帰以降『輝きながら…』同様しばしばステージで歌うようになり、2013年の紅白では同曲で出演。
近年のヒットシリーズである、女性歌手の楽曲のカバーアルバムである『VOCALIST』シリーズ同様、オールドファンにとっては「徳さん、変わったな…」と感じさせられる楽曲である。

BGM

BGMは【ロトシリーズ】の各種楽曲がアレンジされて用いられる他、ミッキー吉野によるオリジナル曲も使用されている。
「ドラゴンクエスト 組曲ドラゴン伝説」としてサウンドトラックが発売されているが、原作BGMのアレンジに関しては未収録であり、OP曲ラストの【ロトファンファーレ】も異なるフレーズに差し替えられている。

余談

テレビでの本放送時は全43話だが、DVD版では第32話が第一部最終回と第二部第一回
(本放送の第32話・第33話)を編集した話(本放送で放映されるはずだった本来の第32話)になっている。
これにより全43話から全42話に減っている。
当初全42話と告知されていたが、ファンの要望により、本放送時の第一部最終回と第二部第一回が特典ディスクとして収録されることになった。
 
2009年の8月から千葉テレビで再放送が行われた際に、珍事が発生した。
千葉テレビでは番宣CMを製作して他のアニメ放送時に流すなど積極的にこのアニメを宣伝していたが、なぜか第六話までを放送した後、突如打ち切りになってしまったのだ。
ホームページ上では「放送権利の問題で急遽放映できなくなりました」との説明がなされているが、詳細は今もって不明である。
 
また本作はゲームとは関係のないメディアミックス作品であるが、番宣ポスターだけは【鳥山明】本人が担当している。
 
本作の【タイトルロゴ】はDQ3から剣の意匠を除いたもので、最後のTも剣型にはなっていない。
初期のCM前にはファミコンのコントローラが表示され【ポーズ】されるという、ゲーム原作であることを意識させる演出がされたほか、中盤から用意されたアイキャッチではおなじみ英語ロゴの輪郭を保ちつつ「ドラゴンクエスト」と日本語のカタカナに置き換えたロゴを見ることもできた。