【ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて】

Last-modified: 2024-03-17 (日) 09:59:32

・DQ本編シリーズ

DQ1DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9DQ10DQ11

DQ1・2DQ1・2・3BSDQ1DQ10オフライン

DQ11関連一覧
キャラクター&声優 - 地名 - スキル - 呪文 - 特技 - れんけい技 - 装備品(武器//アタマ/からだ/アクセサリー - 着せ替え) - 道具だいじなもの) - レシピブック - モンスター - クエスト - 称号 - 音楽 - 台詞 - 裏技

 
※本頁で「DQ◯」と過去作品を記す場合は、特記がない限りオリジナル版、また「DQ10」はDQ10オンラインのVer.3.5時点を指すものとする。

作品データ

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』
オリジナル版(PS4)
発売日2017/7/29
対応環境PlayStation 4
媒体BD-ROM
ダウンロード
(PlayStation Store)
型番PLIM 84093
価格(税別)8,980円
CERO区分A(全年齢対象)
オリジナル版(3DS)
発売日2017/7/29
対応環境ニンテンドー3DS
媒体ニンテンドー3DSカード
ダウンロード
(ニンテンドーeショップ
型番CTR-BTZJ-JPN
価格(税別)5,980円
CERO区分A(全年齢対象)
海外版
対応環境発売日
PlayStation 4台湾 香港 2017/11/11
欧米 韓国 2018/9/4
WindowsSteam 2018/9/4
『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』
(日本国内・海外共通)
対応環境発売日
Nintendo Switch2019/9/27
(新価格版 2020/12/4)
PlayStation 42020/12/4
Xbox One
WindowsMSS 2020/12/4
EGS, Steam 2020/12/5
Stadia()2021/3/16

MSS=Microsoft Store、EGS=Epic Games Store
参考:無印版発売当時の消費税率は8%。
 
海外版タイトル
(繁体字)勇者鬥惡龍XI 尋覓逝去的時光
(英語)DRAGON QUEST XI Echoes of an Elusive Age
(韓国語)드래곤 퀘스트 XI 지나간 시간을 찾아서
<DQ11S>
(英語)DRAGON QUEST XI S Echoes of an Elusive Age -Definitive Edition-

公式サイト

概要

【ドラゴンクエストシリーズ】第11作。対応機種はPlayStation 4とニンテンドー3DSでのマルチだが、物語こそ同じであるものの仕様は両機種で大きく異なり別ゲームとも言える仕様になっている。開発は【スクウェア・エニックス】自社中心、さらにPS4版は【オルカ】、3DS版は【トイロジック】が協力。
2015年(平成27年)7月28日に発表され、2年後の2017年(平成29年)7月29日に両機種とも同時に発売された。
販売形態としては両機種ともパッケージ・ダウンロードの双方で同時発売、さらに両機種セットや本体同梱の限定版(後述)も用意された。
 
リメイク版を除いたナンバリング作品の中では平成最後となり、また前回作にあたるDQ10がオンラインゲームであるため、単体で遊べるものは8年振り、さらに据置機のオフライン作品・ソニー系ハードの作品は共にDQ8以来12年半振りとなった。
ソニーの据置機であるPS4と、任天堂の携帯ゲーム機である3DSという全く性質の違うゲーム機でマルチ展開することにより、ゲームファン・ライトユーザー・古参ユーザーと幅広い層に遊んでもらうことが狙いとされた。
同じストーリーながらPS4版はリアルな3D、3DS版はデフォルメ3Dと2Dと、それぞれ全く違うグラフィックが用意されたことが大きな特徴。
30年に及ぶDQの歴史を振り返る集大成的な意味合いとともに、新たなDQの原点であるという意味合いも持たせた作品でもあり、サブタイトルの「過ぎ去りし時を求めて」やDQ1とは逆向きのタイトルロゴの竜もその方向性を現したものとなっている。
 
「勇者の物語、世界滅亡、究極の選択」が物語の3大キー。DQ4以来7作振りに【勇者】を主人公とした物語となり、ストーリーも「勇者」が大きなテーマになっている。「究極の選択」はベロニカを中心としたストーリー分岐が該当する(ネタバレイトショーより)。
また、全編を通じて過去のDQ作品を連想させるネタがきわめて多いのも特徴で、『ダイの大冒険』『ロトの紋章』といったメディアミックス作品や、DQシリーズ以外の作品を連想させる要素も多数ある。
 
日本国外ではPS4版ベースでローカライズが行われ、PS4とSteam(Windowsパソコン向け)のマルチにて発売されている。
またオリジナル版から2年後からは完全版という位置付けの『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』が全世界で発売された。

開発

開発開始時期は明らかになっていないが、DQ9の10周年記念番組(2019/7/11)によると、現DQ11となるDQ本編の計画はかつてDS用の現DQ9・オンラインの現DQ10と同時に進められていたといい、「囚われる勇者」というストーリー構想もその頃からあったことが示唆されている。
また、発売から4年前の2013年10月末にはスクウェア・エニックスがDQシナリオスタッフの募集を行っており、2014年4月27日のDQ10のイベントでは【堀井雄二】が「次のを作っている」と発言しているが、これらが本作を指すかどうかは不明。
なお、旅立ちの村のイメージ作りのため、2014年には主要スタッフ数名で南米ペルーのマチュピチュへ取材に出かけている。
 
今作の主要開発スタッフは当時DQ10でもプロデューサーを務めていた【齊藤陽介】に加え、DQ9やモンスターズシリーズなどに関わった【内川毅】をディレクターとし、PS4版プロデューサーに【岡本北斗】、3DS版プロデューサーに【横田賢人】を起用するなど、新しいDQを生み出すために必要との理由で主要スタッフの若返りも計られた。テクニカルディレクターは【紙山満】が務めた。
2018年8月25日に『電ファミニコゲーマー』に掲載されたインタビューによると、当初は開発が上手くいっていなかったとのこと。それを解決するために当時京都に出張していた齊藤のもとに【三宅有】が直接交渉に行き、それに了承した齊藤が本作にプロデューサーとして途中参加、DQ10のサブリーダークラスを投入するなどして問題解決に努めることになったようである。しかし、これによってDQ10側で大きな問題が発生することにもなった
別のインタビューでは齊藤がプロデューサー就任の条件として機種毎プロデューサーの座を設けることを求め、そこに岡本と横田を据えたとの話もあり、齊藤参加以前の具体的な製作体制は不明。
なお齊藤は同社の『NieR:Automata』の開発もあったことや若い面々に任せる意向もあってプロモ活動以外は関与度は抑えめだったとのことで、実開発進行は内川・岡本・横田の三人四脚で進められていた。
内川が全体案件を見なければならないという事情からか、岡本・横田はプロデューサーなのに担当ハードのディレクション業務もかなりこなしていて、例えばある修正案件が内川は知らず岡本は知っている、あるいはその逆などの齟齬もあったそうだが、2本同時開発の苦労からすればご愛嬌のたぐいである。
 
開発過程としては、まずはサブタイトル「過ぎ去りし時を求めて」が先に決まり、その後に対応ハードが決定した。
当初はPS4で開発が始まったが、まずはそれにあたって使用するUnreal Engine 4の検証のために、DQ3の序盤部分をUE4で試作し、その検証結果を本作にフィードバックさせている。NPCに近づくと表示される台詞のフキダシなどは、その検証によって生まれたものである。
その後、対象ユーザー層を広げるため3DSでも発売することを決定し、後から3DS版の開発も始まった。さらにスタッフのアイデアによって3DS版では3D・2Dの2つのモードを用意し、PS4版も含めた3つのモードでDQシリーズ30年分の進化を体験できる作品を作ることになった。
3DS版に関してはまず3Dモードを作成し、それを2Dに変換していくという作業が行われたが、2Dのマップが大きくなりすぎてしまう、キラキラが多くなりすぎるなどの課題が発生し、【かくれスポット】の設置などの工夫が凝らされた。
総作業量はゲームソフト3本分の制作に相当する量であるうえ、両機種は開発チームが全く違うため、大幅な修正が必要となった際には、距離感やギミックなどの違いの点でスタッフは非常に苦労したようだ。
 
自由度の高いオープンワールドの概念を取り入れたゲームが主流となりつつある時代の中、本作もOWにしようという話は出たが、堀井は30年を振り返る作品としてストーリーを描くことに力を入れる方向性を決め、OWの不要な部分を切っていって今の形が出来上がった。
戦闘も本作はアクションゲームが苦手なプレイヤーでも苦にならないようにと、ターン制コマンドバトルにこだわっている。
そのコンセプト上、過去作をオマージュしたシナリオ・イベントが非常に多い。これに関しては、堀井の方から提案する事もあったが、DQ6を元ネタとした値切りイベントのようにスタッフの中でこれを入れようというアイデアを出し、堀井のOKにより採用に至ったものもある。
 
発売日は2015年の新作発表会の時点では「30周年内に」、すなわち2017年5月27日までを目標としていた。
齊藤いわく、本作は両機種ともバグが非常に少なく、その気になれば5月発売は可能であったとのことだが、「とにかくいいものを出してほしい」というユーザーの声を反映し、クオリティアップのために2ヶ月ほどの延期を決めた。
DQナンバリングは半導体の生産や不具合等の都合で延期されることが多かったが、高性能化が進んだ現代に本作はそのような事情は存在しなかったので、珍しい形での発売日最終確定となった。むしろ、30周年内を目標にしていたからこそ7月に発売できたと齊藤は発言している。
ゲームバランス等のチューニングに時間を割き、なおかついわゆるデイワンパッチなしでの発売という、2010年代後半の大型タイトルとしては珍しい状態での発売となった。
 
(参考: Vジャンプブックス、『月刊Vジャンプ』2017年9月号、『週刊ファミ通』2017/8/10日号、『IGN』サイト2018/3/28付記事)

プロモーション・販売形態

本作は制作発表から発売後に至るまで、ニコニコ生放送やYouTubeでの生放送を中心としたプロモーションが盛んに行われ、堀井雄二などのスタッフが生出演した。

  • 2015年7月28日: 「ドラゴンクエスト新作発表会」にて本作の発表が行われ、堀井自身によるPS4版と3DS版のプロトタイプ版のデモプレイ、および主人公のイラストがお披露目される。NX(現Nintendo Switch)での開発も宣言される。
  • 2016年5月26日: 【ドラゴンクエスト30周年記念プロジェクト】の一環『ドラゴンクエスト30周年お誕生日カウントダウンスペシャル』で少しだけ本作が触れられ、「ふっかつのじゅもん」について言及。
  • 2016年12月17日: イベント「ジャンプフェスタ2017」にて、世界「ロトゼタシア」や仲間キャラ「カミュ」、タイトルムービーが発表。デモプレイの画面も製品版に近いものが公開された。発売時期は2017年内と発表。
  • 2016年12月29日: NHK総合テレビジョンにて【ドラゴンクエスト30th そして新たな伝説へ】を放送。本作の製作現場を取材した映像も流された。
  • 2017年前半: 公式サイトや【週刊少年ジャンプ】、『週刊ファミ通』等にてキャラクターやシステムを順次公開。両機種を扱うメディアでは両機種のスクリーンショットが均等になるように公開された。
  • 2017年4月11日: 発売日発表会。同年7月29日の発売が発表(最終決定)されるとともに、細部に踏み込んだデモプレイが公開された。またこの日から発売まで、ユーザー参加の「みんなのスライム」「ドラクエライフ」の企画が行われる。
    • 「みんなのスライム」: 一般ユーザーや著名人が自分だけのオリジナルスライムを描いて投稿する企画。
    • 「ドラクエライフ」: 様々なDQグッズの提案企画。
  • 2017年5月~7月: 大阪・福岡・名古屋・札幌・東京(二子玉川)の全国5都市で体験会「ドラゴンクエストXI カウントダウンカーニバル」が開催。タレントのJOYがデモプレイを担当した。
    6月17日の名古屋大会にて両機種版のマスターアップ完了が発表された。
  • 2017年6月21日: 【Nintendo Direct】にて3DS版の詳細・「冒険の書の世界」の概要が発表。
  • 2017年7月28日: 23時より「『ドラゴンクエストXI』 発売前夜! カウントダウン生放送」を放送。

(発売後)

 
販売形態は通常版のほか、以下の限定バージョンも設定された。

  • ドラゴンクエストXI ダブルパック 勇者のつるぎボックス(PS4版と3DS版をセットで同梱した豪華パッケージ)
  • PlayStation 4 ドラゴンクエスト ロト エディション(PS4版本作同梱ハード)
  • Newニンテンドー2DSLL ドラゴンクエスト はぐれメタルエディション(3DS版本作同梱ハード)

作品の特徴(無印版)

(以下では、3DS版2Dモードを「2D」と表記する)
 
今作ではDQ4~DQ8同様、予めキャラクター毎に固有の姿・ストーリー上の位置付け・性格・能力が定められている作品となった。
オリジナル版としてはDQ6以来の多人数パーティとなったが、スタンバイシステムは継承しつつ「馬車」を無くしたことで、イベントシーンではスタンバイを含めた仲間全員が会話に参加する。
システム面ではDQ10の要素を多く受け継いだが、スキルシステムと戦闘中の特殊要素が一新された。
転職システムや仲間モンスターは無く、DQ8などのようにキャラの個性を活かして戦っていくシステムになっており、れんけい技が多く登場したことでバトルメンバーの組み合わせも重要な戦略になってくる。
 
ストーリーや舞台設定・台詞は双方の機種で共通となっているものの、ゲームシステムの細部や一部のダンジョンの構造、敵味方の特技やれんけいの性能(ダメージ倍率など)、アイテムの効果、敵のステータスなど機種によって大幅に異なっている要素もかなり多い。例として最序盤のボスのすばやさはPS4版よりも3DS版の方が低くなっている。
また、過ぎ去りし時を求めた後の金策はPS4版の方がやり易くなっている。
 
開発者曰くゲームの難易度は詰まりにくい程度に抑えたとのことで(『週刊ファミ通』2017/8/10号)、回復ポイントの増加、シナリオガイド(重要なヒントを言うNPCの明確化)など随所に親切設計が見られる。
一方、道中には数の暴力でボスの火力を上回る雑魚や、単体でも明らかにボスを上回る能力の雑魚敵が多く配置されている。こういった敵の多くは素早さも非常に高く、先手を打って補助呪文・特技で固める戦法が通用し辛くなっている。よってレベル上げや耐性装備が重要であることは今作でも変わっていない。
 
オンライン要素は、3DS版のすれちがい通信を除けば特典アイテムのDLCのみにとどまり、配信限定のアイテムやモンスター、追加シナリオ、およびWeb上の公式メンバーズサイト(【メンバーズクエスト】含む)は設けられず単体でフルに遊べるようになっている。アップデートも行われていない。

演出面

マシンの性能が双方の機種で大幅に異なるため、当然グラフィックの質もそれぞれ異なるが、タイトル画面およびストーリーの節目などに挿入されるプリレンダリングムービーは両機種共通の映像である。
仲間キャラやモンスターのモーションはDQ10およびモンスターズシリーズからの流用が多く含まれる。過去作と比較してもかなり多くのモンスターが登場するが、この流用による製作コストの軽減は大きいだろう。
 
音楽はDQシリーズの集大成ということで、本作のオリジナル曲のほか、DQ1~DQ10の各作品の曲も多数使用されており、特にDQ3とDQ5(双方リメイク版含む)の楽曲が多い。
【序曲XI】のみオーケストラ、それ以外はシンセサイザー版であり、両機種共通となっている。ただしマジックスロットのスラもりシリーズから輸入したBGMや冒険の書の世界での過去作BGMのように、片方の機種でしか聴けない楽曲もある。
楽曲の一覧はこちらを参照。
 
キャラクターボイスは両機種とも採用されなかったが、メッセージ音の音程が5段階に増えた。

主なシステム(PS4版・3DS版共通)

パーティ・プレイヤーキャラクター

【プレイヤーキャラクター】は総勢8人が登場し、DQ8同様、各キャラ毎に戦士系・魔法使い系・僧侶系などの役割が明確に分かれている。
【名前】はDQ10と同じく最大6文字。DQ5などのように肩書きの設定があり、各キャラともストーリーの進行によって変化していく。
 
仲間はストーリー進行により増えていくが、世界に異変が起きた後のシナリオに入ると一旦離散してもう一度仲間を集め直すことになる。8人全員が揃うのは過ぎ去りし時を求めた後(初回エンディング後)のシナリオに入ってからで、それまでは最大7人となる。
バトルメンバーは最大4人で、5人以上になるとスタンバイシステムが利用可能。今回は【馬車】は無く、場所を問わず入れ替えができるようになった。
【隊列】はDQ3~DQ8と同様並び順を任意に指定し、前列ほど物理攻撃で狙われやすい仕様。ただし、仲間が4人以上いるときは必ず4人バトルメンバーに出さなければならない。
 
この他に同行型【NPC】戦闘に参加するものも含む)も多く登場し、仲間もPCとしての加入以前にNPCとして加勢する時期がある。DQ7と同じくステータスは表示されない、死亡することがない、命令・作戦や回復などの対象外である、という特徴がある。

成長システム

従来どおりの【レベル】に加えて、DQ8から登場した【スキル】による成長システムが導入された。【転職】システムは無い。
【呪文】は多くがレベルアップによって覚えるが、【特技】のほとんどやデイン系などの勇者用呪文・最強クラス攻撃呪文はスキルによって習得する。イベント習得での呪文・特技もある。
 
今作はスキルシステムがより自由度の高い、ボードゲーム要素を加えた【スキルパネル】に改められた。
従来はカテゴリーを選択してスキルポイントを振り一定ポイントで能力を得るのに対し、今作では各パネルが一つの能力に対応し、パネルを選択してスキルポイントを支払うことでその能力を得る。スキルパネルのマップはキャラごとの固有の形になっており、ストーリー進行による拡張や消失があることが特徴。
世界に異変が起きた後からは振ったスキルを取り消してポイントに戻す【スキルリセット】も可能になる。
スキルの一覧はこちらを参照。

アイテム管理

個人の持ち物はDQ2~DQ8のように装備品と【道具】が同じ枠で扱われる方式で、1人24枠まで持てるようになった。
【ふくろ】は「そうびぶくろ」と「どうぐぶくろ」に分離。入れるアイテムの種類数に上限はないが、1つのアイテムを所持できる上限は99個まで。
【だいじなもの】は他のアイテムとは別管理だが【つかう】ことが可能。
 
装備部位は6つあり、「みぎて」「ひだりて」に武器・盾を装備。DQ10と同様に両手武器があり、また一部キャラはスキルアップで二刀流も可能となる。これらを使用するとは装備できなくなる。胴体防具は「からだ」1枠に統合され、頭部防具は「アタマ」に装備。
アクセサリー枠は「アクセ1」「アクセ2」の2枠だが、靴を二重に履くなど、同じ体の部分のアクセの重複装備も可能。
 
装備は【そうび】コマンドで行うほか、DQ6~DQ8のように【どうぐ】コマンドでも可能。
そうびコマンドではキャラの姿を見ながら装備変更が可能で、ふくろや他人の持ち物から装備品を選ぶこともできる。装備品が自動で選ばれる「とりあえず装備」の機能も登場した。
キャラの外見はDQ8と同じ仕様になり、常時反映される装備は武器と盾のみ。胴体や頭部は公式イラスト準拠だが、特定の【おしゃれ装備】(単品または組み合わせ)で変わる。
なお、今作ではシステム上では【呪い】の装備は存在しない。

移動中のシステム

移動画面では、2D以外は歩きと走りを使い分けることができ、【ジャンプ】も可能。DQ9・DQ10のような【しぐさ】は登場しない。
 
●時間帯と天候
シリーズ恒例の昼夜の時間の流れがあり、宿屋やキャンプ(後述)で時間帯を指定して切り替えることができる(呪文やアイテムでの時間操作は不可)。
それに加えてDQ10と同様に【天候】も実装され、地域によって雨や雪が降ることがある。
フィールドマップでは昼間か夜のどちらかにしか現れないモンスターのほか、雨や雪の時にしか出現しないモンスターも存在する。
 
●アイテムの拾得
従来作と同じく【宝箱】【壷】【樽】【タンス】を調べるとアイテムを拾得できる。宝箱は中身がランダムに変わるタイプは廃止され、拾得は一度きり。
このほかキラキラや樹木、鉱石などの採取ポイントから素材アイテムを採取でき、これらは一定時間で復活する。複数のアイテムを一度に拾えるポイントもある。
 
●地上の乗り物
今作は地上でも様々な乗り物が登場する。
フィールドマップ上では【ウマ】に乗って高速で移動することができる(2Dは最初のみ)。
また特定のモンスターを倒すと【モンスター乗り物】を残していき、限られたエリア内で乗ることができる。モンスター乗り物は6種類あり、各乗り物ごとにジャンプ・壁登り・飛行などの固有アクションが搭載。徒歩では行けない場所に行ったり、ショートカットが可能になったりする。一部の場所ではモンスター乗り物の利用が必須となっている。
モンスター乗り物の細かい仕様は機種やモードによって違いがある。
 
●キャンプ
焚き火の跡のある場所では、【キャンプ】を張ることができる。
仲間との会話や宿泊(昼間と夜の切り替えも可)、【教会】の役割をする【女神像】、ふしぎな鍛冶(後述)、場所によって【よろず屋】も利用可能。これによって、道中であっても町に戻ることなく無料での回復やセーブを行うことができる。

ふしぎな鍛冶

【ふしぎな鍛冶】とはDQ10の【職人システム】の鍛冶をベースにしたもので、レシピに従い素材を基にして新しい装備品を作ったり、【うちなおしの宝珠】を用いて既存の装備品を強化したりすることができる。主に上述のキャンプで行うことができる。
鍛冶はマス単位に区切られた地金を限られた「集中力」の範囲内で叩いていき、この結果によって出来るアイテムの強さがノーマルから最大「+3」までのいずれかに決まる。主人公のレベルが上がるにつれて使える鍛冶特技が増えていき、「+3」の装備品を作りやすくなっていく。
 
過去作の【錬金釜】とは違い【道具】は生成できないほか、新たに作成するには【レシピブック】の入手が必須である。レシピブックはカジノ・クエスト・試練などの報酬となっているケースも多い。

戦闘

戦闘は非リアルタイムの【ターン】制方式であり、DQ2~DQ9と同様、基本的に1ターン内で敵味方全員が【すばやさ】基準のランダムで決められた順番で、すべての行動回数を消費できる。
ただしコマンドによる指示のタイミングが両機種で異なっており(詳しくは各機種の項にて)、これによって戦略も大きく異なってくる。
 
●モンスターシンボルとフィールド攻撃
2D以外では海上を除いて【シンボルエンカウント】であり、モンスターシンボルには徘徊するのみにとどまらず、並んで行進したり輪になっていたりなどさまざまな様子が見られる。
今作では戦闘突入前にモンスターシンボルに向かって決定ボタンを押すと武器を振り下ろし(【フィールド攻撃】)、先制ダメージを与えることができる。
 
●ゾーン・れんけい
前作までの【テンション】に代わる要素として【ゾーン】状態が登場。
これはDQ9・DQ10の【ひっさつチャージ】とテンションを組み合わせたようなもので、大ダメージを受けた時などにキャラが「ゾーン」状態となり、その間は戦闘能力が上昇する。ゾーンは戦闘が終了しても次の戦闘に持ち越しでき、数回行動するか【いてつくはどう】のようなバフ消去の技を受けると消滅する。
さらに、ゾーンを解き放ってキャラの組み合わせに応じた【れんけい】技を発動できる。れんけい技は一人がゾーン状態になれば発動できるものと、複数人がゾーンになっている必要があるものがある。
キャラが特定の呪文や特技を習得することでさらに使えるれんけい技が増えていく。
敵側も同様にゾーンに入り、れんけい技を持つものもいる。

ふっかつのじゅもん

初期のDQ作品で使われていた再開用パスワードである【ふっかつのじゅもん】が30年振りに登場。
本作内では教会でふっかつのじゅもんを発行でき、スタートメニューで入力することで、異なる機種や本体・ROMであっても大体同じ進行状況から再開できる(世界に異変が起きた直後までに限られる)。
主人公の名前は引き継がれるが、レベルや所持アイテムは進行状況に応じた特定のものになる。
 
また、DQ1・DQ2のものも本作で使える。この場合はレベルが高かったりやや強い装備品を持った状態で最初から始まる。

しばりプレイ

従来は各プレイヤーが自主的に制限を課していた【しばりプレイ】が、今作ではシステムとして組み込まれ、ゲーム開始時に設定できる。
しばりは【戦闘から逃げられない】【買い物できない】【防具を装備できない】【はずかしい呪い】の4種類。設定するとプレイヤーの行動がシステムによって制限されるようになる。
途中での解除も可能だが、途中からしばりを追加・復活することは不可能。
しばりを課して初回エンディングを迎えると、ソフト単位の達成フラグが保存される。

その他の特徴(PS4版・3DS版共通)

全般

  • あらすじはゲーム中に任意に見られるほか、ゲーム再開時にも表示されるようになった。
  • 過去のイベントシーンを振り返る【旅のおもいで】を導入。3DS版では3D/2Dの選択が可能。

キャラクター・能力関連

移動中

施設・寄り道要素

  • 【ちいさなメダル】はDQ9と同じく変則制。最初は【メダルスタンプ帳】を用いた累計制で、スタンプ帳1ページ目のみ出張所でも報酬がもらえる。110枚集まると以降は交換制になる。
    DS天空シリーズなどど同じく、メダルはアイテム扱いではなく【つよさ】で枚数を確認できる。
  • 【クエスト】総数はDQ9より大幅に減少。基本的な仕組みは従来と同じだが、一度にいくつでも受注できる代わりに、リプレイは不可。
  • 【カジノ】は、両機種共通のゲームとして以下3種が登場。基本的にはDQ10(Ver2.0)を踏襲している。景品はストーリー進行により追加される。
  • この他に以下のミニゲームが登場。
    • 【ウマレース】:競馬のようなミニゲーム。主人公自身が馬を操ってコースを進み、優勝するとレースクラスと難易度に応じた景品がもらえる。シナリオでも登場。
    • 【連武討魔行】:2~4回用意されたモンスターとの戦闘にそれぞれ参加メンバーを指定の人数だけ割当て、全て勝ち抜くと要した手数に応じて報酬が得られる。

戦闘・モンスター関連

PlayStation 4版の特徴

Unreal Engine 4を使用して開発されたPS4版は、DQ10をベースとしたフロントビューの完全3Dであり、キャラクターが等身大で表現されている。髪の毛のサラサラ、衣服の繊維、遠くのキャラクターやモンスターの動きも目視できるなど、従来作よりもさらに細かな作り込みがなされている。輪郭線は細め。
回想シーンでは古いビデオ映像のようにチラつきが入るなど細かい演出にも凝っている。
ウィンドウの文字の大きさは統一されており、フォントはDQ10と同じ「イワタ中太丸ゴシック体」(地名やあらすじはフォントワークスの「スキップ D」、プリレンダリングムービー内では同社の「ニューシネマB-D」)。ルビは無い。
アイテム・呪文・特技の選択ウィンドウではDQ10と同様のカラーの識別アイコンが表示される。
移動中・戦闘時ともHPなどのステータスは画面右下にテロップ形式で顔アイコンやゲージとともに表示される(移動中はスタンバイメンバーもゲージのみで表示)。【状態変化】は顔アイコンの左に小さなアイコンで示される。
 
【冒険の書】は9つまで作成可能で、【オートセーブ】機能も搭載。再開時のあらすじは必ず表示される。
【全滅】時には従来同様のペナルティ付き復活か、オートセーブまたは以前訪れた町からやり直すかを選択できる。
【トロフィー】にも対応している。
 
HOME画面でのアイコンは主人公のCG(オープニングムービーからの抜粋)。アプリケーション詳細画面の背景は、岩場の上に立つ主人公らしき人影が命の大樹を臨むイラストで、BGMは【愛のこもれび】(竪琴Ver)。
起動時には、一列になって左側に向かって歩く勇者一行のイラストが表示される。なおこのイラストは、歩行アニメーション化されたシルエットとしてローディング中にも使用されている。

移動画面

DQ8やDQ10と同様にキャラクター後方から前方を見るフロントビューである。
表示されるPCは隊列に関係なく主人公のみで、同行型NPCはその後ろに付いてくる形である。
 
画面のレイアウトはDQ10ベースで、画面左上に現在地の地名、右下にステータス、左下の円の中に現在地周辺の【地図】が表示される。
□ボタンによって広域の地図画面を見ることも可能。地図メニューから【ルーラ】【クエスト】【キラキラ】などの確認ができ、今の時間帯を示した時計や、【冒険ガイド】も表示される。
△ボタンによるメインコマンドは「つよさ/じゅもん/そうび/なかま/どうぐ/さくせん」の6つで、仲間会話はDQ8と同じく【なかま】コマンドで相手を選んで行う。
 
カメラは上下左右方向に操作できる。ただしDQ8に搭載されていた主観モード(一人称視点)は、CERO審査の関係から日本語版ではカットされている。
基本動作の【ジャンプ】はただの飾りに留まらず、段差に登る、障害物を飛び越える、少し離れた足場に飛び移るといったこともできる。【オートラン】も搭載されている。
カニ歩きで移動したりバランスを取りながら歩いたりする狭い足場や、調べることで段差をよじ登る、穴をくぐる、ロープ・蔓・ハシゴを昇り降りするといったアクションをする地形もある。小さな樽やカボチャなどのオブジェは触れるだけで壊れる。
NPCとの会話は相手によってはボタンを押さなくてもフキダシで台詞の要約が表示され、白以外のフキダシならボタンで話しかけると通常の会話が始まる。
 
移動中の画面切替の頻度は少なく、基本的に一つの地域・町・ダンジョンの中ではフロアごとの切替が起こらずシームレスに移動できる。
【ウマ】はフィールドマップにある「ウマ呼びの鐘」で呼び出す。ウマや一部のモンスター乗り物では【ダッシュ】や「とっしん」によって自らより弱くサイズの小さいモンスターのシンボルを弾き飛ばすことも可能。
【船】【ケトス】使用時は専用マップが使われる。双方とも特定の場所にのみ上陸でき、船に乗るときは【アリス】に話しかける必要がある。
ルーラはどこからでも天井に頭をぶつけることなく利用でき、各地のキャンプ地(ダンジョン内含む)や海上も登録される。
 
ローディングに時間がかかるので、体感時間軽減のためロード中はDQ10同様に【まめちしき】が表示される。

戦闘

戦闘は海上を除いて【シンボルエンカウント】
大きな変更点として、コマンド入力タイミングが一括入力であった従来作から変更されており、【めいれいさせろ】に設定しているキャラは行動順が回ってきた時点でコマンド選択を行い、指示後すぐに行動する。
メインコマンド(たたかう/さくせんがえ/いれかえ/にげる)は戦闘開始時のみに表示され、1つのターンが終了するとそのまま次のターンに移行する。このためターン最後に行動後、次のターン最初に行動すると連続行動に見えることもある。ターンの行動を終えていないキャラはステータス欄の背景が薄黒くなっている。
その代わり、△ボタンを押すと自軍キャラの行動直前に割り込む形でさくせんウィンドウ(さくせんがえ/いれかえ/状態をみる/にげる)を表示できる。「状態をみる」は味方の現在の状態変化の詳細をウィンドウで確認可能。
 
演出面としては、モンスターはDQ8同様に待機中にも一定時間ごとに特定のポーズをとる。【会心の一撃】【痛恨の一撃】が出るとダメージが大きく表示され、それによってHPが0になった場合は敵味方とも吹っ飛ぶリアクションをする。
味方が呪文を使用した際はDQ8と同様に装備が一時的に非表示となるが、回復呪文の使用時にはしっかり対象者の方を向いて唱える描写となっている。
複数対象の技が発動した場合は、ダメージ・回復・補助・即死など全てで、全個体同時にエフェクトがかかる。
 
戦闘カメラモードはデフォルト設定の「フリー移動バトル」と「オートカメラバトル」を切り替え可能。
後者はDQ8に近い感じで、キャラやモンスターの行動に応じてカメラアングルが自動的に変化していく。
対して前者は主人公を自由に動かしてプレイヤーの好きな視点から戦闘を見ることができ、DQ10のようにエリア外に動くことで逃げられる。
ただし移動干渉をしたり範囲攻撃を回避したりといったことはできないため、カメラモードによって戦略や有利不利が変わるわけではない。
コマンド入力のタイミングの変更もあり、どちらのモードともコマンド入力時の主観画面表示は廃止されている。
 
その他以下の特徴がある。

  • 【いれかえ】は戦闘開始時は無制限に行えるが、ターン中にバトルメンバーに出したキャラはそのターンは行動できないため、未行動キャラをスタンバイに入れると行動できる手数が少なくなる。
  • 「れんけい」コマンドは該当するキャラの個別のコマンドとして表示され、1ターンに複数人がれんけいを選択することも可能。
  • 単体攻撃の際にはDQ8以降と同様に単体単位でターゲットを指定できる。
  • 【ぼうぎょ】【におうだち】は実行してから次の行動までの間有効。
  • ゾーン突入、HP・MPの自動回復、悪い状態異常の回復、毒や【ジバリア系】の技によるダメージのタイミングはすべてそのキャラの行動直前に発生し、【1ターン休み】【麻痺】などは回復後すぐに行動可能になる。
  • 複数回ヒットする特技などを使用した場合、途中で敵を倒した場合も攻撃が最後までヒットする。一撃最大ダメージのやり込みに有用な反面、ランダム複数回攻撃が既に倒した敵にターゲットされて無駄になることがある(これは敵側も同様)。
  • 敵から【グループ】対象の攻撃を受けた場合は必ずしも味方全体に当たるとは限らず、「2~4人」などランダムで被弾数が変化する。この被弾者はランダムで決まり、隊列に影響しない。

その他の限定要素

3DS版には無い要素として以下の2つがある。

ニンテンドー3DS版の特徴

表示モードが3Dモードと2Dモードに分かれているのが3DS版の大きな特徴である。
ゲーム序盤は上下2画面を活かした3D/2Dの「上下連動モード」となる。【導きの教会】までシナリオが進むと3Dモードと2Dモードのどちらかを選んでプレイすることになり、これを境に両モードでマップの構造差が生まれ始める。
以降は上画面でキャラ操作、下画面が地図の表示となる。教会や女神像で【2D/3Dモードにする】を選べば、パーティの状態・ストーリーの進捗とも変化なしでモード切り替えが可能。
 
冒険の書は3つまで作成可能で【中断】機能も搭載。中断データはロードしても消えないが、町などでは中断できない。再開時のあらすじは見るか否かを選択できる。
全滅後は従来どおりペナルティ付きでセーブポイントでの復活となる。
限定要素のヨッチ村の存在によって、3DS版ではモンスター・アイテム・クエストなどの総数がPS4版よりも多くなっている。
なお、3DSの上画面の立体視機能や下画面のタッチ操作には対応していない。
 
HOME画面でのアイコンは鳥山明原画の主人公。カーソルを合わせるとレベルアップ音が鳴る。上画面には【命の大樹】のポリゴンモデルが表示され、地面には3Dモードのベロニカとセーニャが並んで腰かけており、大樹を挟んだ反対側には2Dモードの二人が立っている。

両モード共通事項

移動画面ではパーティメンバーが一列に並んで移動する。ただし主人公は隊列内のどこに居ようとスタンバイであろうと常に先頭に表示され、同行NPCはその後に挟まる形になる。
マップの画面切替はPS4版に比べて頻繁に起こり、DQ7以前と同様に建物に出入りしたり階段を昇り降りするごとに切り替わる。
 
コマンドはDQ10と同じく「はなす/じゅもん/どうぐ/せんれき/そうび/しらべる/つよさ/さくせん」の8つ。
仲間会話はDQ7のように【はなす】で行う。1回実行するごとにランダムに誰がが会話し、全員話し終えると特定キャラのみ話すようになる。
PS4版のようなカラーの識別アイコンはこちらでは採用されていない。
キャラのステータスは全モードとも下画面に個別ウィンドウで表示され、状態変化はレベル欄に上書き表示される。【冒険ガイド】もステータスと同時に下画面に表示される。
 
アイテムなどの取得物はモードによって位置が異なるものもあるが、得られるもの自体は両モードとも共通。
中身の設定されていない【タンス】【壷】などには、稀にアイテムやゴールドが入っていることがある。入っているアイテムの種類やゴールドの金額はマップ毎に決められた中からランダム。
【ルーラ】はDQ7~DQ9と同様の仕様。行き先は主要な町・村にほぼ限られ、ダンジョンや建物内では頭をぶつける。
 
戦闘はDQ4~DQ9と同じ方式で、各ターンの前にメインコマンドで「たたかう/いれかえ/さくせん/にげる」を選択し、その後で【めいれいさせろ】に設定したキャラの個別指示を隊列順に一括して行う。全ての入力を終えるとターンが始まり、全員が行動を終えると次のターンのコマンド入力に移る。
3DS版DQ7・DQ8と同じく戦闘の状況は上画面に表示され、下画面ではステータスウィンドウと選んだ行動・作戦が並んで表示される。
その他以下の特徴がある。

  • コマンド入力中にYボタンを押すと味方・敵双方の状態変化の詳細確認ができ、モンスター名の色で相手のHPの減り具合もわかる。
  • 「れんけい」はメインコマンドにあり、誰の行動で何を発動させるかを指定する。敵味方ともターンの最初に発動し、同一ターン中敵味方1回ずつしか発動できない。
  • 【いれかえ】はDQ5などと同じくターンの合間に行え、バトルメンバーに出したキャラはそのターンから行動できる。
  • 単体攻撃時はDQ7以前同様に【グループ】単位での標的指定となっており、単体単位の指定ができない。
  • 【ぼうぎょ】【におうだち】はすばやさに関係なくターン内の最初に行われ、行動不能にならない限りそのターンが終わるまで有効。
  • 状態異常の回復は行動終了後、HP・MPの自動回復とゾーン突入はターン終了時、【ジバリア系】のダメージ発動はターン開始時に発生する。
  • 複数回ヒットする攻撃の途中で敵を倒した場合は過去作同様に対象が全滅した時点でヒットが途切れるが、ランダム複数回攻撃が既に倒した敵にターゲットされることがあるのはPS4版同様。
  • 一部の敵(主にれんけいを持っている敵)が最初からゾーン状態で出現することがあり、いきなり初手でれんけいを使うこともあり得る。
  • キャラの並べ替えが発生するイベント時には強制的にゾーンが解除されてしまう。

上下連動モード

ゲーム最序盤におけるモード。
上画面が3Dモード、下画面が2Dモードとなっており、移動やイベントでのキャラの動きはモンスターシンボルを除き、常に上下画面が連動する。
移動中はスライドパッドを使って移動すると3D画面、十字ボタンで操作すると2D画面での操作となり、会話などのメッセージウィンドウは操作した側の画面で表示される。
コマンドウィンドウは3D画面、ステータスウィンドウは2D画面に、それぞれのモードに準じた方式で表示される。
戦闘は上画面でのシンボルエンカウント。グラフィックは操作中のモードに応じるが、メインコマンドは「いれかえ」の代わりに【きりかえ】があり、このコマンドで3D/2Dを切り替えられる。切り替えるとその戦闘は最初からやり直しになる。
 
なおこのモードの2D画面ではかくれスポットは登場せず、シンクロさせるためにフィールドマップの縮尺も大きめになっている。【ウマ】の利用も可能。
また両画面の違いを活かしながら進めていく場面やクエストなどもある。

3Dモード

雰囲気はDQ9やリメイク版DQ7に近く、キャラのグラフィックは顔部分が大きめに描かれてデフォルメされており、大きさは4頭身前後。トゥーンレンダリングを採用している。
ウィンドウは半透明。フォントは角ゴシック体(ニューロダン DB)で文字はルビ付き、カーソルはDQ8から採用された剣形。ステータスウィンドウはゲージ付き。
 
移動時のパーティの列はまっすぐ一列ではなく、各個人が多少横にずれて歩く演出である。ジャンプが可能だが、PS4版のように段差の上に登ったりはできない。
カメラの角度は水平方向のみ任意変更可能。屋外では低い位置から、屋内では高い位置からの視点となることが多い。
 
フィールドマップは地上マップと船・ケトス専用マップに分かれている。
地上は地域内でも複数のエリアごとに画面切替が起こり、PS4版と同じく採取ポイントや宝箱が点在する。ウマはフィールド上の特定の位置で待機している。
【船】は断崖絶壁でなければどこにでも接岸可能だが、乗船時は【アリス】に話しかける必要がある。【ケトス】はDQ8の【神鳥のたましい】と同仕様で歩ける陸地ならどこでも着陸できる。
 
海上を除いて【シンボルエンカウント】
3Dアニメーションで戦闘が進行し、上画面にアニメーションが展開、メッセージはテロップ形式で表示される。視点はほぼ固定だが、一部の特技やれんけい技ではキャラがアップ表示になる。
3DS版3Dモード独特の形態として、こちら側が敵を「とりかこんだ」隊形や、逆に敵に「かこまれた」隊形になることがあり、逃走成功率やゾーン突入率に影響する。
上記のどちらも発生しなかった場合は、リメイク版DQ7のように味方が常に手前側に表示される。
複数対象技のエフェクトはDQ8などと同じくダメージ系のみ一斉表示され(【マッスルダンス】は例外)、それ以外は左から順に1体ずつエフェクトが出る。

2Dモード

SFC以前のレトロなDQをイメージしたモード。
移動画面はDQ6・SFC版DQ3に近いトップビュー方式。キャラクターはドット絵だが、おしゃれ装備にはしっかり対応している。
ウィンドウは不透明。文字は太さ1ドットのビットマップフォントが使われ、メッセージウィンドウのかな文字はSFC作品のフォントに近く、それ以外はDQ9と同じ「LCフォント」が使われている。ルビは無い。
カーソルはDQ7以前と同じく点滅する白い三角形、ステータスウィンドウはHP/MPゲージが無く数値のみ。
効果音も3Dモードとは違い、主にDQ6やSFC版DQ3をベースにしたものになっている。
2Dゆえに表現力が3Dと比べて乏しいため、イベントでは文字メッセージによる補足が多くなっている。
 
移動は縦横斜め45度単位の8方向で、従来より体感的な移動速度は速め。
フィールドマップは海も含めて全域で一枚のマップで、町やダンジョンはシンボルで表されている。宝箱や一部のキラキラは【かくれスポット】と呼ばれるポイントにまとめられている。
船は浅瀬や岩山の無い海岸ならどこにでも接岸でき、乗る際もそのまま乗船できる。ケトスは歩ける陸地ならどこでも着陸できる。なおウマは登場しない。
このモードでは【名もなき地】と呼ばれるどの地域にも属さないエリアがあり、乗り物で上陸できる。施設やアイテム等は無いが各エリアごとに独自のモンスターの生態系を持つ。
キラキラは場所を問わず、発生地点にある程度近付かないと表示されない仕様になっている。
 
一部を除いて【ランダムエンカウント】であり、エンカウント率はやや高めに設定されている。
【エンカウントエリア】は同一フロア内でも細かく分かれており、概ね3Dモードのシンボル配置と一致している。DQ7以前の作品に見られたような、エンカウントテーブルが隣の地域にはみ出している箇所は存在しない。
戦闘時には上画面でDQ5のような横長ウィンドウが現れてモンスターが横一列に表示され、一人称視点で戦闘が進む。味方パーティの姿は映らない。
モンスター自体のアニメーションは無く(ラスボス級モンスターのみ有り)、DQ5と同様に敵側に対するエフェクトのみが表示。過去作からある呪文・特技のエフェクトはDQ6・DQ7やSFC版DQ3のものを再現している。
モンスターのグラフィックはSFC版準拠になっているが、【アンクルホーン】のようにサイズの大きい敵が縮小されている場合がある。
メッセージやダメージはすべてメッセージウィンドウ内に表示され、複数対象の技は左から1体ずつメッセージが出る。

ヨッチ村と冒険の書の世界

3DS版の寄り道要素の目玉で、【ヨッチ村】にある過去のドラゴンクエストの「冒険の書」を、何者かに改変されてしまった状態から正常に戻していくというもの。
【冒険の書の世界】に入るには、各色の【ヨッチ族】のパーティを組成してミニゲーム【時渡りの迷宮】に挑ませ、【冒険の書の合言葉】を手に入れる必要がある。
この時に潜らせるヨッチ族はロトゼタシア各地に点在しており、時渡りの迷宮内で見つかる帽子を着せるなどして【すれちがい通信】で交換することもできる。他に迷宮内では主人公の冒険に役立つ鍛冶素材なども手に入る。
 
冒険の書の世界では各作品に登場したマップやグラフィックが概ね再現されており、画面モードは出典作品に応じたものに固定される。
冒険の書の世界でクエストを受注してクリアすることでその記録を正常に戻すことができ、クエストを全てクリアすると【追憶の神殿】で記録の改変を行った張本人たちと戦いが待ち受けるが、それが可能になるのは真エンディングのさらに後となる。

設定

舞台

【ロトゼタシア】と呼ばれる世界が今回の舞台。世界の中心には【命の大樹】が宙に浮かぶ。
DQ5のように内海と外海とが分かれているのが特徴。かつて地上には6つの王国が存在したが、うち3国は滅ぼされており、現在はデルカダール王国をはじめとした3つの王国がある。
この他地上には町と村が合わせて9つ点在するほか、海底には【人魚】【魚】たちの暮らす【海底王国ムウレア】が存在し、天空には遥か昔からロトゼタシアを見守る【神の民】が住まう【神の民の里】が浮かんでいる。
 
フィールドマップはロトゼタシア1つのみだが、ゲーム中に大きな情勢変化が2度起こる。特に世界に異変が起きた後にはデルカダール王国と周辺の広範囲が荒廃し、地形にも大きな変化が現れる。
出現モンスターも情勢とともに変化し、新たなモンスターが現れるとともに在来種の多くが「・強」「・邪」の付く強化版モンスターとなる。
 
主要な乗り物は海上を行く【船】【シルビア号】)と、飛行手段である空飛ぶ鯨【ケトス】が登場する。陸上ではウマやモンスター乗り物を利用可能。
各乗り物の細かい仕様は機種やモードによって異なっている。詳しくは前述の各機種の節を参照。
 
なお、3DS版に登場する【ヨッチ村】は、ロトゼタシアとは時の流れが違う異世界にあるとされている。
 
地名の一覧はこちらを参照。

主要キャラクター

 
今作は各メインキャラクター各々にも、より深く焦点が当てられている。
各キャラクターにイメージカラーが設定されたうえ、主人公の勇者の紋章やシルビアのハート型・マルティナの蝶型などそれぞれのシンボルマークとエンブレムが設定された。ベロニカとセーニャのものを見るとわかりやすいが、この意匠は各々のスキルパネルと似た形状になっている。
媒体では【月刊Vジャンプ】でキャラクター特集が組まれ、主婦と生活社の女性向けアニメ雑誌『PASH!』ではそれまでのDQでは公式に触れられることのなかった主要キャラの身長や好きな食べ物といったプロフィールが公開されている。
また2019年には集英社からDQシリーズ初のキャラクターアートブックも発売された。
 
キャラクターの一覧はこちらを参照。

ストーリー

プロローグ

ある日ユグノア王国に、手に紋章の刻まれた、古の勇者の生まれ変わりである主人公が誕生する。
だがその日、王国はウルノーガ率いる魔物たちの襲撃を受け滅亡。主人公は母【エレノア】や幼きデルカダール王女マルティナに守られて命を救われ、やがてイシの村の【テオ】に拾われて村で育てられる。
 
そして16年後。主人公は成人の儀式での出来事をキッカケに自分の勇者としての使命を知らされ、デルカダールの城に向かうが、なぜか「勇者は【悪魔の子】」という汚名を着せられ、追われることになるのであった。

シナリオ

今回は【エンディング】が2回あり、当初の【ラスボス】である魔王ウルノーガを倒すと初回エンディングがある。
初回エンディングを終えた冒険の書で始めるとその後の物語が続いていき、真ラスボスである邪神を倒すことで初回エンディングとは全く違う真のエンディングが見られる。
ストーリーは大きく次の3つのパートに分かれている。各パートそれぞれにおいて世界のほぼすべての地域で新たなイベントが発生するため、シナリオのボリュームはかなりの量となっている。
 
●物語序盤
追われる身となった主人公は勇者の謎を解き明かす旅に出ることとなり、旅先で出会ったベロニカ・セーニャ姉妹の導きにより、命の大樹を目指すことが目標となる。
まずは大樹への道の手かがりとなる【虹色の枝】を求め、仲間を増やしながら旅をしていく。虹色の枝を入手後、大樹への道を開く6つの【オーブ】の存在と使い方が示され、それらを集めた一行は命の大樹に到達。
しかし追跡していた敵の黒幕・ウルノーガに勇者のチカラを奪われ、その魔の手で大樹は地に落とされ、世界は荒廃する。
世界に異変が起きた後
数ヶ月後、魔王軍の手から逃れた主人公はもう一度世界を巡り、バラバラに散っていた仲間との再会や魔王の手下【六軍王】との戦いを経て、魔王討伐に必要な神の乗り物ケトスを求めて聖地ラムダを目指す。
ラムダに着いた一行はベロニカがその命と引き換えに魔王から皆を救っていたことを知り、その遺志を継いでケトスを手に入れ、古の勇者【ローシュ】たちの軌跡を辿って【勇者のつるぎ】を復活させ、魔王ウルノーガに挑む。
ウルノーガを倒した後は平穏を取り戻した世界を見て回り、その旅の中で失われし命や世界を取り戻す方法を見つける。
過ぎ去りし時を求めた後
魔王の起こした異変によって失われた数々の命を救うべく、主人公は今の仲間と別れ、ただ一人過ぎ去りし時を求めて過去の世界へ旅立つ。そしてベロニカをはじめ当時の仲間たちと再会後、ウルノーガの野望を打ち砕く。
しかし、主人公とともに時を遡った【黒い精霊】【勇者の星】に封印された肉体を解放し【邪神ニズゼルファ】が復活し、世界の魔物たちが凶暴化する。
真の平和を取り戻すため、主人公たちはローシュ一行の記憶を辿り、ケトスの能力を覚醒させ邪神との最後の戦いに挑む。
 
最初のうちはイベントでルーラを覚えてもしばらくは前の大陸に戻れないなど行動範囲が縛られ、船入手直後も最初は浅瀬に阻まれるので行ける場所は内海に面した区域に限定される。
仲間が7人揃い【マーメイドハープ】を入手した後はオーブを好きな順番で集められるなど自由度は若干高くなる。
世界に異変が起きて仲間とはぐれるとルーラの行き先もリセットされ、船なども失い再び低自由度状態が続くが、船の再入手後は一気に各地に行けるようになり、特に南の大陸の各イベントは魔王との決戦までの間のいつでも進めることができる。
過ぎ去りし時を求めた後はかなり自由度が高く、ケトス能力強化までの必須イベントを終えれば真ラスボスに挑めるようになるが、それ以外に各地で任意に行うことができるサブイベントが非常に多い。これらはシステム上のクエスト扱いではないが、クエストと同様に依頼を受けてノルマをこなし、依頼者から報酬を得る方式である。
 
今作は前述したように「一緒に旅をしたプレイヤーキャラクターとの死別」というDQシリーズとしては異例の展開のあるストーリーとなっており、これが今作のサブタイトルでもある「過ぎ去りし時を求める」という行為をする大きなキッカケとなる。
 
真エンディングの終わりには、ひとりの女性が本作の勇者たちのラストカットが挿絵として描かれた本を本棚にしまった後、ベッドで眠る少年を起こしに行く場面で物語は幕を閉じる。
このとき表示される台詞はDQ3で最初に表示されるものと(単語ひとつを除き)同じ内容で、姿も同作の勇者その母を思わせるものであることから、プレイヤーの間では今作がDQ3よりも遥か昔の時代の話であるという見解でほぼ一致しているようだ。

反響

出荷本数は発売後2日間でPS4版95万本、3DS版114万本でパッケージ版の合計は200万本を突破(メディアクリエイト調べ)。
メーカー公式プレスでは、発売1週間でパッケージ版とダウンロード版を合わせて300万本以上を売り上げたと発表された。
「Amazonランキング大賞2017」のゲーム部門ではPS4版が1位、3DS版が3位にランクインした。
最終的にはPS4版が136.8万本。当初は日本国内のPS4ソフトで1位だったが、後に『モンスターハンター:ワールド』に抜かれ2位となっている。3DS版は177.2万本でこちらは日本国内17位。両機種合わせると314.0万本である。
勢いそのものは400万本以上を売り上げたDQ9などに比べると劣っているが、この時代はポケモンやマリオなどの任天堂ソフトがミリオンをヒットしているパターンが多かったため、任天堂以外の作品でミリオンをヒットしたのは快挙とも言える(任天堂以外で本作より上位のソフトは『モンスターハンター』『妖怪ウォッチ』の各シリーズ)。
 
プレイしている機種のアンケート内訳については、『週刊ファミ通』2017/10/12号によると、PS4版のみが46%、3DS版のみが38%、両方が17%となっている。また『ネタバレイトショー』で発表された公式アンケートの結果によると、PS4版のみが43%、3DS版のみが36%、両方が21%と概ね同じような比率になっている。
 
Amazonレビューは大半が★5であるほか、『週刊ファミ通』のクロスレビューはDQ9に続き満点である。
2018年にはファミ通アワード2017のゲーム・オブ・ザ・イヤー、日本ゲーム大賞2018のベストセールス賞と優秀賞を受賞した。
2021年12月27日にテレビ朝日で放送された『テレビゲーム総選挙』では27位(シリーズ中4位)にランクインした。

海外版(無印版)

以下の海外版はすべてPS4版をベースとしている。
なお全言語とも、真の【エンディング】のスタッフロール時の演出に変更はなく、未展開の作品も含めて日本語版の映像が表示され、海外事情は反映されていない。

繁体字版

2017年11月11日に台湾、香港でPS4向けに繁体字版が発売された。
ナンバリングでの繁体字版はこれが初となる(簡体字、つまり大陸では当時DQ10がサービスされていた)。
セーブデータに日本語版との互換性はないが、ふっかつのじゅもん【トロフィー】は共通しているとのこと。
【名前】は漢字とアルファベットが入力可能だが、文字数は日本語版と同じく6文字まで。
言語以外の大きな仕様変更はない。

欧米版

2018年9月4日に各国でPS4とSteam(Windows PC用)向けに欧米版が発売された。アートブックやサントラなどを同梱した “Edition of Lost Time” も発売されている。
Steam版は高解像度がサポートされ、ハイエンドGPUかつフルHD(1080p)ぐらいの解像度であればほぼ常時60fpsを叩き出すことも可能。
 
PS4版は【岡本北斗】の尽力でリージョン制限は設けられずバージョン問わず購入が可能である。Steam版を日本から購入する場合は、北米のe-storeでキーを購入しそれをSteamで入力することでソフトを購入できる。詳細な手順は各自調べていただきたい。
 
欧米ではDQ8の知名度が高いことから、DQ8の主人公の外見になれるおしゃれ装備が初期アイテムとして搭載された。
 
欧米版DQ8と同様、日本語版のオリジナルには無かった【キャラクターボイス】を採用。
今作では主人公にもボイスが当てられ、台詞は(回想内の幼年主人公を除いて)喋らないが掛け声や頷きなどの短い声を発するようになった。また戦闘中は味方やボス敵は頻繁に発声する。
ボイスは英語のみだが、テキストは英語のほかにフランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語に対応している。
端役の名前は言語によってバラバラだが、主要キャラの名前はある程度統一されている。しかしドイツ語だけは全く違う名前が付けられている場合が多い。
 
BGMは日本語版と同じで、オープニングを除いてシンセサイザー音源である。
ウィンドウの背景は日本語版の黒色に対して、欧米版では装飾の付いた茶色の背景となった(真っ黒のウィンドウはパソコンのコマンドプロンプトを連想させるというのが理由の一つ)。
メニューは日本語版と同じマルチウィンドウ方式であるが、アイテムの管理ウィンドウがアップグレードされた。アイテム名に併記されるアイコンは種別単位のものではなく、DS天空シリーズのように各アイテムごとにユニークなものが表示される。
 
それ以外の変更点は以下。★は後述するDQ11Sにも継承されている。

韓国語版

欧米版と同日に、韓国語版も欧米版仕様にてPS4版が発売された。
ボイスは収録しているが英語のみなので、デフォルトではオフになっている模様。固有名詞等は日本語版に準拠している。
アルファベットを含めた文字の縦横比は日本語版と同じように1:1、いわゆる全角になっているが、スペースと数字は欧米版準拠で半角になっている。
主人公の名前は欧米版より1文字少ない9文字まで。

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S

2019年(令和元年)9月27日にNintendo Switchで発売された、いわば完全版。PS4版・3DS版のDQ11(通称「無印版」)に細かい調整や修正を施し、追加要素を付加したもの。
3D/2Dの2つのモードが用意され、3DモードはPS4版DQ11、2Dモードは3DS版DQ11の2Dモードをベースとした移植である。
3Dモードでは欧米版DQ11と同様にキャラクターボイスを導入。さらにゲーム本編だけでなく、本編の声優陣による【ボイスドラマ】も制作され、DLCを入手すればソフト内で視聴できる。
タイトルのSには「Switch」「しゃべる」「スペシャル」などさまざまな意味を持たせている。
 
ナンバリング関連およびパッケージ販売されたDQとしては令和初(DQ全体ではDQウォークが令和初)。またDQ史上初の全世界同時発売(海外版も日本語版と同日)となった。
発売日のおよそ1ヶ月前からは【体験版】が配布されている。
HOME画面でのアイコンは、背中の剣に手をかけた主人公が画面手前に振り向いているCG。背景右側にはデルカダール城が見えている。
 
Switchへの展開については、まだ同機がコードネームで「NX」と呼ばれていた2015年の新作発表会の時点から明らかにされていた。
その後、2017年10月の「UNREAL FEST EAST 2017」の基調講演では機種名こそ出さないもののUnreal Engine 4で開発していることが言及された。
当初はPS4・3DSに続く第3のハード版という位置付けであったが、開発が長期化し2年のブランクができたことから2機種のリメイクに近い位置付けとされた。
プロデューサーはPS4版DQ11の【岡本北斗】、ディレクターは【内川毅】が務める他、PS4版DQ11チーフプランナーの【八木正人】?が開発ディレクターに付き、開発の陣頭指揮をとった(内川は新プロジェクトとの掛け持ちもあったため、「全体をみる」ことに専念したとのこと)。クレジット上は内川と八木の連名。
2018年9月23日の東京ゲームショウにてタイトルが正式に発表され、同年末のジャンプフェスタ2019を皮切りに詳細が明かされ始めた。2019年には1月25日、3月27日、6月12日、9月26日の4回にわたり【いれちゃん!S ~ドラゴンクエストXI S公式生放送~】での販促が行われた。
初週パッケージ売上は31万本程度と控えめだったが、半年以上ランキングに入り続け50万本を突破している。
 
日本語版のソフトは価格の異なる「通常版」「ゴージャス版」の2種類が用意され、双方のパッケージ版とダウンロード版が販売された。
利用できるDLCに違いがあり、通常版はボイスドラマのみDL可で追加課金が必要なのに対し、ゴージャス版はボイスドラマに加えて日英ボイス切替機能や特典装備などが無料でDLできる。
また、以下の限定バージョンも発売された。

  • 「夢のゴージャス版」:ゴージャス版に電子メモパッド・ボイスドラマ台本・ゴージャスな外箱を追加。スクウェア・エニックスe-STORE・【ローソン】・HMV限定販売。
  • 「Nintendo Switch ドラゴンクエストXI S ロトエディション」:特別仕様のSwitch本体にゴージャス版を同梱

なお海外版は標準でゴージャス版相当のDLC(ボイスドラマ除く)が利用できる。

システム

ゲーム開始時に「3Dモード」「2Dモード」のどちらのモードでプレイするかを選択する。3DS版DQ11のような最序盤の2画面連動モードは無く、最初からどちらかを選択してプレイする。
DQ11Sでは前述のとおり、3DモードはPS4版DQ11、2Dモードは3DS版DQ11の2Dモードがベースとなっている。このためストーリーは同じであるものの、グラフィックやエンカウント関連などが違うだけであった3DS版DQ11に対し、DQ11Sではゲームシステムそのものがモードにより異なる。
大きく違う例としてはルーラの使用可能場所や行き先、戦闘での指示タイミングなどがあり、特技【てんきよほう】や機種限定称号なども移植先のモードでしか利用・獲得できない。
スキルパネルやふしぎな鍛冶のエフェクトも移植元機種に基づいたものとなる。
ただし、ウマレースやカジノの各種ゲーム、エンディングでは3Dモード、ヨッチ村では2Dモードの画面が呼び出される形となる。
 
教会や女神像でモード切替が可能だが、多くの部分でシステムが異なることから切替の仕様も3DS版DQ11とは大きく異なり、キャラや所持品の状態を維持して指定したポイントまでストーリーを遡ることになる。モードを切り替えるとアイテム拾得状況も一部を除いてリセットされる。
 
【冒険の書】は両モード共通の枠で、PS4版DQ11と同じく9つまで作成できる。【オートセーブ】は3Dモードと2Dモードで仕様が違い、それぞれ別の共用エリアに行われる。中断セーブ機能には非対応。
 
本Wiki内でDQ11S関連の各種情報を得る場合は、プレイしているモードに応じてそれぞれの移植元の機種を参照してほしい。

変更点(共通)

欧米版DQ11から継承された要素は欧米版の記述を参照。

3Dモード

3Dモードは【オルカ】による開発。Unreal Engine 4を使用したPS4版DQ11からの移植であるが、UE4のバージョンが上がるなど変更要素が多く、無印版からアップデートさせることは難しいと岡本Pによってアナウンスされている。
ただし、容量削減により解像度やポリゴンの頂点数はPS4版DQ11に比べると少ない。これはPS4版DQ11のソフト容量が約30GBなのに対しSwitchの本体保存メモリが約32GBで、追加要素を考えると他ソフトを削除してなおダウンロード版DQ11Sが入りきらない恐れがあり、開発当時のSwitchソフトで最も容量の大きかった『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の13GB強を目標に容量削減作業が行われた結果である。
読み込み時間が若干早くなっているほか、ライティングもツルテカからマットなものに変更されている。
常に主人公と同行型NPCしか表示されないPS4版DQ11等と異なり、DQ11Sの3Dモードではフィールドやダンジョンでバトルメンバーの仲間全員の姿が見られる。
前述のようにキャラクターボイスが導入され、発声タイミングは欧米版DQ11と同様。オンオフの切替が可能で、主人公の息遣いのみオフという設定も可能。また「ゴージャス版」では日本語・英語双方のボイスに対応しており、DLCを入手すれば言語の切り替えも可能(海外版ではデフォルトで使用可能)。
テキストにはルビが追加され、表示・非表示の切り替えも可能。
 
●おしゃれ・見た目装備
【おしゃれ装備】の種類が増加し、無印版では3DS版限定であったものも移植されている。
また、おしゃれ装備を一度揃えれば、装備していなくても、またその装備品を手放しても攻撃力や守備力などはそのままで好きな外見になれる「見た目装備」の機能も導入。
おしゃれ装備にはピンクのアイコンが表示され、識別が容易になった。
 
●フォトモード
DQ10や3DS版DQ8と同様の【写真】撮影機能が「フォトモード」として導入された。キャラの配置とポーズの指定や表示・非表示の切り替えを行って撮影することができる。
撮った写真は本体に保存され(ゲーム内から見ることはできない)、SNSに上げてシェアすることができる。
 
●乗り物関連
【ウマ】のスピードが高速化され、さらに常にダッシュ状態となる【キラーパンサー(乗り物)】もDQ8から輸入された。これらはそれぞれ【馬呼びのベル】【キラパン呼びのすず】を使って、騎乗可能な場所ならどこでも呼べるようになった。
この他に【モンスター乗り物】が4種増加。このうちウルフドラゴン系は【狼竜のよろい】を入手する必要がある。
また、上記の各乗り物のダッシュや固有アクションで敵を跳ね飛ばしたとき、経験値が若干得られるようになった。
 
●その他変更点

  • しばりプレイの解除が項目単位で行えるようになった。
  • スティックでUI操作が可能になった。
  • ムービースキップが初回閲覧時から利用できるようになった。
  • +ボタンで呼び出せるべんりメニューを搭載(よく使うアイテムなどを簡単に使える)。
  • 【仲間会話】画面は【なかま】コマンドのほか、マイナスボタンで呼び出しも可能になった。
  • 地図メニューから現在のマップの【討伐モンスターリスト】を表示できるようになった(ただし、海上を除く)。
  • 鉱石や樹木・草の採取ポイントを調べたとき、落ちたものを調べなくても素材が即入手できるようになった。
  • 【ボウガンアドベンチャー】は廃止。
  • 戦闘中のメインコマンドに「せってい」が追加。
  • バトルスピードを「ふつう/はやい/超はやい」の3段階の中から選べ、スピーディーに戦闘を進めることが可能になった。
  • 戦闘中の仲間の台詞がDQ7以来の再登場。フキダシで台詞が表示されるほか、イベント戦闘開始時にはシナリオに合った台詞が画面隅に表示される。
  • レベルアップME再生中のメッセージ送りが可能になった。

2Dモード

2Dモードは3DS版DQ11からの移植となっている。無印版を開発したトイロジックは都合によりこちらには参加できず、代わって【アルテピアッツァ】が開発に携わった。
ドット絵は一部を除いて3DS版DQ11の2Dモードからの流用であり粗さも変更されていないため、ジャギーは同作よりも大きく見える。
各種ウィンドウは半透明。フォントは丸ゴシック体「JTCウインR1」(アルテ社が開発したPS2版DQ5のものと同種)を使用し、ルビの表示は無い。音楽は3Dモードと共通だがボイスには非対応。
ステータスウィンドウはかつてのシリーズ同様に移動中は画面下部、戦闘中は画面上部に表示される。【冒険ガイド】はステータスウィンドウの上に、戦闘中の指示内容はステータスの下に表示され、これらは非表示にすることもできる。
各種戦歴画面はサブ画面に切り替わらずそのままウィンドウで表示される。
地図は地図用ボタンを押すごとに画面左下に常時表示(そのまま移動可能)→拡大表示→世界全体図→非表示と切り替わる。
3Dモードにおける追加要素である見た目装備、フォトモード、新規モンスター乗り物はこちらでは利用できない(ハードのスクリーンショット機能は利用可)。
 
なお2Dモードのイベントムービーでは移植元の3DS版DQ11の時点から文章による補足が多いが、上下連動モードで3D・2Dの2画面を同時に見ることを前提としていた序盤は下画面をそのまま持ってきており補足文章の追加も無いため、3DS版DQ11と比べてわかりづらくなっている場面もある。
 
その他3DS版DQ11から以下の点が変更された。

  • 仲間会話は「はなす」コマンドを使うほかに、DS天空シリーズなどのようにキャンセルボタンでも行えるようになった。
  • 装備品の装備可能者一覧では、現在パーティから外れているキャラは表示されない。
  • 装備品を他のキャラに渡す際、装備後のステータス変化を確認できない(3DS版DQ11では下画面に表示されていた)。
  • 【ソルティコの町】で受けられるバニー衣裳クエストは【思い出のバニーをもう一度】ではなく【ああ 思い出のバニーちゃん】になっている。
  • 【マジックスロット】がプレイ可能。
  • 過ぎ去りし時を求めた後に、結婚後のエマおよび【クルッチ】を世界各地に連れ出すことはできなくなった(エマは後述のイベント内に限り同伴する)。

ヨッチ村と冒険の書の世界

3DS版DQ11の【ヨッチ村】【冒険の書の世界】【追憶の神殿】も移植された。この関係により、同作と同様に真の【エンディング】後にもセーブができる。
DQ11Sではヨッチ村と全ての世界が2Dモード(ランダムエンカウント)固定となる。冒険の書の世界は全マップが2Dにリニューアルされ、BGMはFC音源もしくはFC風アレンジ(所謂8bit)に統一。
時渡りの迷宮は廃止され、冒険の書の合言葉はロトゼタシア各地にいる合言葉ヨッチからもらう形式になった。
最初にヨッチ村に行けるタイミングもベロニカ・セーニャ加入後のサマディー地方への関所手前(体験版の終了地点)に変更された。
なお、冒険の書の世界のモンスター【ナウマンボーグ】【ガネーシャエビル】【キングエレファント】は削除されそれぞれ【ゴールデンゴーレム】【セルゲイナス】【アスタロト】に置き換えられ、【ナウマンムーア】【セルゲイムーア】に変更された。

シナリオの変更点

●仲間キャラのさらなる掘り下げ
主人公の仲間たちに関する新たなエピソードが追加され、より深い掘り下げが行われた。これらに登場する新たなイベントモンスターも追加されている。

 
●最強ボスの追加
【時の破壊者】を撃破(メインストーリーと冒険の書の世界を完全クリア)すると、新たな最強ボス【失われし時の災厄】【失われし時の怨念】が出現。倒すと手数が記録される。

移植・新価格版

翌2020年にはXbox One、PlayStation 4、Windows10にDQ11Sが移植された(Xbox系列へはDQシリーズ初)。公式発表は7月24日、発売は12月4日。同時に従来からのSwitch版も新価格版として再発売された。
全機種でダウンロード販売が行われ、Switch版とPS4版のみパッケージ版も販売された。Windows10版はMicrosoft Store(公式でいう「Windows10版」)、Epic Games Store、Steamと3つのストアで配信されている(後者2つは1日遅れの12月5日より配信)。
Xbox One版とWin10のMSストア版はデータの同期に対応し、Xbox Game Passでもプレイ可能である。
初動はPS4版が一番売れたものの、その後はSwitch版が価格改定前同様継続的に売り上げを伸ばし、翌年6月にはパッケージ版だけで10万本を突破している。
2021年3月16日にはクラウドゲームサービスであるGoogle Stadia(、日本語テキスト非対応)、2022年10月18日からはPlayStation Plusのゲームカタログでの配信が開始された。
 
ゲーム内容に相違は無いがPS4版は【トロフィー】に対応、Windows版はキーボードコンフィグ設定が可能。
Switch版からの移植であるため、グラフィックはSwitch並みのレベル。
 
これらはすべて標準でゴージャス版相当のDLCが利用でき、ボイス言語切替機能も搭載されている(ボイスドラマは日本語版のみ)。

関連商品

【ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて キャラクターブック】
【ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S 公式台本集】
【ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて 公式設定資料集】

関連作品

権利表記

無印版
© 2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
DQ11S
© 2017, 2020 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.