【バルトス】

Last-modified: 2023-11-22 (水) 22:40:43

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場するキャラクターで、かつての【ハドラー】率いる旧魔王軍の【地獄の騎士】。ゲーム作品では星ドラのダイ大コラボでヒュンケルの回想と魂の貝殻の声で登場。
アニメでの声優は平野正人(1991年版)、渡辺いっけい(2020年版)。
なお、渡辺いっけいは有名な俳優であるが、声優業への挑戦はこれが2役目である。
本業の声優ではなく俳優が声を担当するのは新旧アニメ通して唯一。
 
彼は魔王軍が攻め入ったホルキア大陸のとある村で、戦乱の中親に見捨てられ孤児となった赤子を拾う。
その孤児に憐れみを抱き、かつて魔界を牛耳ったという伝説の剣豪の名でもある【ヒュンケル】と命名し、息子として育てる事にした。
魔族である彼が人間の子供を育てるという酔狂な事が許されたのは彼が当時ハドラーの最強の部下であり、ハドラーの間へと続く地獄門の門番であったからである。
登場当時の誌上インタビューでは「【ブラス】同様、ハドラー軍の一角(バーン軍で言うところの不死騎団長のような役目)を担っていた」「もう1体、軍団長を考え、その3体の活躍などを短編として描きたい」などと語られていた……と言われているがソースは不明。
連載終了から25年近く経った下記の「勇者アバンと獄炎の魔王」で、4体でようやくこの時代の事が描かれることとなった。
 
魔物ながら情と騎士道精神に溢れた性格で、ヒュンケルを育てた時にもその心得を彼に教えており、ヒュンケルからも父として、武人の鑑として、尊敬の念を抱かれていた。 「たとえ敵でも女は殺すな」とヒュンケルに武人としての礼儀を教えたのも彼であり、それがのちのマァムに対する処遇に繋がっている。
ヒュンケルを育て始めてからは凶暴であったはずの魔族達にも笑顔が溢れ、ヒュンケルもバルトスを父として慕い、ハドラーの【地底魔城】にひと時の平穏な時が訪れた。
 
後に地底魔城に攻め入った【アバン】たちとハドラー率いる魔王軍の最終決戦の際に、ヒュンケルを身の安全の為一室に留めてからハドラーの控える玉座の間に通じる地獄門の番人としてアバンと一騎討ちをした。
元々、ハドラーの魔力によって作られたモンスターだったため、ハドラーが死ぬと魔力が途絶え灰となって消えてしまう。
アバンによってハドラーが倒され、ハドラーの断末魔を聞きつけ駆け付けたヒュンケルの目の前で、既に全身ボロボロになり果てていたバルトスはヒュンケルに感謝の言葉を遺して崩れ落ちて消滅してしまう。
その後現れたアバンを見て「この男が勇者であり父の仇である」と判断、憎しみを胸に敢えてその弟子となり仇討ちの機会を狙うことにした。
 
だが、実際にはアバンの手にかかってはいなかった。地獄門で敵対としたアバンと一騎打ちの末に敗北を喫するものの、ヒュンケルからもらった手作りのペンダントを見たアバンが「彼に養育されている子供」の存在に気づいて自ら剣を収めたことにより見逃されていたからである。
アバンの器の大きさに感銘を受けたバルトスは、剣のみならず心においても敗北したことを認め、潔く降伏。
しかし例え見逃されたとしてもハドラ―が死ねばアンデッドである自分も同時に滅びてしまうことを告げ、最愛の息子ヒュンケルを託したいと願い出て、アバンも快くをそれを受け入れていた。
その後、ハドラーはアバンに倒されたため消滅を覚悟するも【バーン】の手によって生かされていたためバルトスも崩れずに生きていたのだが、アバンを素通りさせたことに憤ったハドラーの拳により処刑され落命する。つまり、ハドラ―こそが本当の仇だったのである。
バルトスはこの真相をメッセージとして、地底魔城に隠した「【魂の貝殻】」に残しており、のちにそれを発見したマァムを介して、ヒュンケルに伝わることとなる。これがヒュンケルの改心を促すことになった。
 
なお、ハドラ―が彼を処刑したことをさして「八つ当たり」と評されることもあるが、ハドラ―からすればバルトスは「最も大事な場所の門番を任せたのに、一時の情に絆され任務を放棄して敵を素通りさせた裏切者」以外の何者でもないため、罰することそのものは極めて妥当な行動である。
バルトス自身もその辺りはわかっていたのか、遺言でもハドラーへの恨み言は一言も述べていない。
また、バルトスがそのまま存命すればハドラ―が滅びていないことがバレてしまうため、口封じも兼ねていたのかもしれない。
 
本当の親子ではないが、ヒュンケルはハドラーに挑む時にはアバンの使徒であることよりも父の仇を命題にしており、ハドラーも「親子そろってこのオレにたてつきおって……!」と、2人が親子同然の存在だったということはきちんと認識しているあたり、2人の絆の強さがうかがえる。
 
ヒュンケルは死亡した【バラン】に泣き縋る【ダイ】の姿に、目の前で崩れ死んだバルトスを目の当たりにした自身の境遇と重ね合わせ、【ポップ】に親との死別について「身を切られる程辛い事だ」と語っている。
 
なお種族は地獄の騎士だが、カラーページ・新アニメではいずれも下位種である【がいこつけんし】のような色合いで描かれている。
通常個体と区別するためなのか、あるいは「地獄の騎士」と添えられた「がいこつけんし」カラーの【鳥山明】原画を意識したのだろうか。
旧アニメではゲーム版でのカラーとなっている。
また、ゲーム版の地獄の騎士とは異なり白目があり、柔和な顔つきになっている。

勇者アバンと獄炎の魔王

第1話の最後にハドラーの四天王的な立ち位置でブラスや【ガンガディア】【キギロ】と共に登場。地底魔城最強の剣士だという。
この頃は黒いフード付きマントを羽織っており、本編の回想の姿よりも若々しく自信に満ちた表情を浮かべていた。
 
第1話の時点ですでにヒュンケルから貰った手作りのペンダントを首から下げており、第2話では実際に幼少期のヒュンケルが登場し既に親子関係を築いていることから、彼を拾ってから数年が経っているようだ。
他にも新参幹部のブラスの見送りを自ら名乗り出て行うなど、情の深さが窺える。
 
本編では地底魔城の決戦までアバンと顔を合わせていなかったこととの整合性を取るためか、ハドラーが直々に出陣する場面ですら留守番役であり、少々出番は少なめ。確かに留守を守るのも大事な役割ではあるが、最も守るべき対象である主君が出陣しているのだから優先順位が間違っている気も……。
 
なお彼もハドラーの【禁呪法】によって生み出されたことが24話で明かされた。つまり彼の情と騎士道精神に溢れた性格はハドラーの精神が反映されたものということになる。
残忍な性格だった頃のハドラーが作りだしたバルトスがまっとうな騎士道精神の持ち主であったことは皮肉めいているが、ただ残忍なだけでなくバルトスの優秀さを認めて人間の子を育てることを許すなどの温情に加え、武人としての節度やプライドも持ち合わせていたため、何らかの要因でその部分が大きく反映されたのだろう。武人として覚醒した後に同じく禁呪法で作り出したハドラー親衛騎団の一員である【フェンブレン】がかつてのハドラーの残虐性やの嗜虐性を受け継いだ事と対となっている。
なお【凍れる時間の秘法】を受け人間、もといアバンへの恐怖心が根強くなってしまったハドラーが生み出した【グランナード】【フレイザード】に近い精神性となっており、
それに対して急造の部下は主君から生み出されたとは思えない下衆である、土壇場でそんな部下を生み出すとは主君に自分を信じてもらえていないことからバルトスが失望している節がある。
丁寧にバルトスがハドラーに対しての忠義が揺らいでいることが描写されている。
 
原作においては、ハドラーはアバンに敗北後、回復のために眠りについた後に新たなる大魔王バーンの下で新たな魔王軍を組織する予定であることをバルトスに語った上で、「その時にはお前のような出来損ないは絶対に作らん!」と叫びながら彼を処刑してしまうのだが、心身両面においてバルトス同様の武人として覚醒した時、出来損ないと称して葬り去った彼のことをどう思っていたのかは定かではない。

余談

彼がジャンプ連載で登場した直後の頃に発売されたDQ4で【じごくのもんばん】というバルトスの肩書そのまんまなモンスターが出ているが、こちらは外を集団でウロチョロしており門を守っていないので名ばかりである。

クロブレ超占拠ではまさかの4位。