概要
世界設定などについて、はっきりと定まっていない箇所のこと。
これが原因となってたまに論争に発展してしまうこともあるが、いくら議論しても決着が付くことはない。
なぜなら公式においても統一見解がなく、【堀井雄二】ただ一人の頭の中にしか正しい答えがないからである。
DQ1
国名について
【アレフガルド】と【ラダトーム】のどちらが国名なのかについて、次のような2つの説が対立している。
- 「『ラダトーム王国』が国名であり、アレフガルドの一部ないし広域を統治している」
- 「『アレフガルド王国』が国名であり、その王都としてラダトームがある」
これに関連して、この国の領土の広さや統治のあり方についても、さまざまに考察がなされている。
作中
DQ1の作中においては『国』という言葉がほとんど登場しない。
【ラルス16世】の「わしに かわって このくにを おさめてくれるな?」というセリフと、【主人公(DQ1)】の【いいえ。 わたしの おさめる くにが あるなら それは わたしじしんで さがしたいのです】というセリフの2つだけ。
どちらも『ラダトームの国』や『アレフガルドの国』などという表現は一切なく、これでは考えようがない。
DQ2では【ルプガナ】の人々に話を聞くと、
*「わたしは アレフガルドの へいし。
あのくにも すっかり かわってしまっているぞ。
*「ひがしのうみを わたると アレフガルド。
そのむかし ロトのゆうしゃと ローラひめは そのくにから やってきたそうな。
といったように、アレフガルドを国名のように話す人がいる。
SFC版以降のリメイクでは、後者のセリフは
*「東の海を わたると アレフガルドの国です。
はるか昔 ロトの勇者と ローラ姫は その国から やって来たそうですよ。
となっており、はっきりとアレフガルドを国として扱っている。
その一方、
*「うわさでは ラダトームの おうさまが ゆくえしれずに なったそうだ。
というセリフもあり、「ラダトームにいる王様」という意味でこう言った可能性もあるが、国名と受け取ることもできる。
DQ3では、国でも地域でもなく【闇の世界】そのものとしてアレフガルドの名が語られる。
また、【精霊ルビス】が「このアレフガルドの だいちを つくったものです」と自己紹介しており、「このくに(ラダトームではなくアレフガルドを指すものだろう)は せいれいルビスさまが つくったとききます」という兵士のセリフもある。
公式書籍・公式サイト
FC版DQ1の【取扱説明書】では「アレフガルドの地」と書かれている。
作中には【よく使う20文字のカタカナ】の関係でアレフガルドという言葉は一切出てこないので、これが確認できるなかで最初の登場である。
DQ3の約半年後に出版されたFC版DQ1の【公式ガイドブック】には「古のアレフガルドは閉ざされた闇の地、絶望が支配する国であった」と書かれている。
一応はアレフガルドを国扱いしているようだが、表現が詩的で本当に公式設定かはよく分からない。
集英社から発行された【ファミコン神拳 奥義大全書】(巻の二)には、
「光の玉は この国を統治していた ラダトーム城の王 ラルスI世の手にわたり 長い間 平和が続いた……」
とあり、この本ではアレフガルドを国名・ラダトームを王都としているようだ。
SFC版DQ1・2の公式ガイドブックではラダトームの城について、
- 「アレフガルドの王ラルス16世の城。」(P24)
- 「ラダトームは、多くの人々が平和に暮らす国。」(P26)
というふうに、ページによってバラバラの記述をしている。
スタッフですらよく分かっていなかったのかもしれない。
バトルロードビクトリーのDLC専用SPカード【おうじょのあい】では、【ローラ姫】の説明として
- 「ラダトーム王国の王女」
- 「出身地:ラダトーム王国」
とはっきり書かれている。
そうかと思えば、【ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III】の公式ガイドブックではラダトームの城について、「アレフガルドの地を統べる王、ラルス16世の城」と記述している。
また【シアトリズム ドラゴンクエスト】の公式サイトでは、
竜王にさらわれて、どこかの洞くつに幽閉されているラダトーム王国の王女。
とローラ姫のことを説明している。
このように、近年になっても未だに統一がなされていないのだ。
その他の関連作品
双葉社刊行のDQ1ゲームブックでは「平和な王国アレフガルド」と明記されている。
一方で「勇者ロトは大魔王を倒した後にラダトーム城を築いた」と、ゲーム版DQ1では語られない上に後のDQ3とは食い違う設定になっている。
同書の発行は86年末であり、DQ2のソフトすら出ていない時期である。まだ公式設定自体が固まっていなかったであろう時期であり、公式での設定を考察する上での参考にはなりそうもない。
小説版DQ1および3では、国名について言及されていない。
【モンスター物語】では、コラムにて「アレフガルド王」の名が登場する。
なお、同書は別の箇所でアレフガルドを「五つの大陸と無数の島々からなる広大な世界」と紹介しており、この場合はDQ2の時代の世界全体を指してアレフガルドと呼んでいるようである。
【ゾーマ】打倒後にDQ1の世界より外の世界が作られたのであれば、「アレフガルドという世界は広がったが、人々が便宜上名付けたアレフガルドという地方の範囲は変わらなかった」という理屈も説得力はある。
【アイテム物語】では、【王者の剣】のエピソードがアレフガルドの創世神話になっているが、国名についての記述はない。
しかし、同書の【光の鎧】のエピソードでは「始祖、ラルス一世が精霊神ルビス様の導きで築かれたこのアレフガルド」というセリフがある。また、「近隣の国々」の存在も明言されている。
新説…?
この手の話題で時々提唱されるのが、『アレフガルド連合国の宗主国がラダトーム王国、王都はラダトームである』というもの。
このような制度なら、「アレフガルド」と呼ぶ者と「ラダトーム」と呼ぶ者とがいることもおかしくはない。
現実の例を挙げると、わが国ではかの国を「イギリス」とも「イングランド」とも呼ぶが、どちらも正式な名称ではないのである。
DQ2
ロトの姉妹国の成立過程
【ローレシア】【サマルトリア】【ムーンブルク】の三か国の成立過程について。
DQ2の世界設定のかなり基本的な部分だが、いろんな説ができてしまうほど曖昧。
少なくともFC版の時点では、設定がはっきり定まっているように思えたのだが……。
作中・取扱説明書・公式ガイドブック
- 「DQ1の勇者が3つの国を築いた」
- 「ローレシアから2つの国が独立した」
- FC版の【取扱説明書】では勇者がローレシアを建国して兄王子に継がせ、弟王子にはサマルトリアの地を、そして妹王女にはムーンブルクの地を与えたとしている。
- FC版の【公式ガイドブック】では「(ローレシアの)国はその後3つに分けられた」となっている。
- 【ファミコン神拳 奥義大全書】(巻の四)ではローラ姫の名を取って名付けたローレシアの国を、勇者が3人の子どものために3つに分けたとしている。
- SFC版の取扱説明書では「(ローレシアの)国はその後3つに分かれ……」となっている。
- SFC版の公式ガイドブックでも「時とともに、(ローレシアの)国は三つに分けられ……」と書かれている。
- 【冒険の歴史書】では「勇者が世を去りしのち、彼の国は(中略)3つに分かたれ……」となっている。
- 「(勇者の子孫の代で)ローレシアの外に2つの国が築かれた」
- ファミコン神拳の書籍化されてない箇所では、勇者とローラの子孫たちがサマルトリアとムーンブルクをつくったとしている。
- 【モンスター物語】では、勇者がローレシアの国を、その子供たちが2つの国をつくったとしている。
- はっきりと分からないもの
- Wiiのロト三部作の公式ガイドブックでは「3人の子をもうけ、それぞれに国を与えた」となっている。
以上の通り、細かい内容は微妙に異なっているが概ね3つの説に大別できる。
リメイク版で追加されたプロローグは、作中で三か国の成立過程が語られている唯一の場面であり、「DQ1の勇者が3つの国を築いた」説の大きな根拠になっている。
しかし、この説が優勢かといえばそうでもなく、「ローレシアから2つの国が独立した」説が明らかに多数派であり、とくにFC版の時点ではこちらで統一されているように思える。
一応「DQ1の勇者が子供に継がせるためにサマルトリアとムーンブルクの国としての基盤を整えた」ことを「いくつかの新しい国を築いた」と表現した、
あるいは「DQ1の勇者が築いたいくつかの国が、数年でローレシアに吸収合併され、その後3人の子に継がせるために再び国を分けた」と考えれば両立も可能ではある。
その他の関連作品
ゲーム関連のものでは、三ヶ国はすべて勇者ロトの子孫が建国したものだという形になっているが、そもそもその根本的な設定から違っている関連作品も存在する。
- 「ムーンブルクはもともと独立国」
- 小説版DQ2では、古くからあったムーンブルクの国に初代ローレシア国王の王女が嫁いだ結果、ムーンブルク王家にロトの血が入ったので姉妹国という関係になった、という設定を採っている。
- ドラマCDシアターでも「DQ1の勇者(=初代ローレシア国王)の娘がムーンブルクに嫁いで、ロト三ヶ国は姉妹国の関係を結ぶようになった」という設定になっている。
ドラマCDシアターは小説をもとに作られているため、この設定を採っている作品は実質ひとつのみといえる。
ちなみに、【アイテム物語】の【王者の剣】のエピソードでは、この古くからあったムーンブルクの国の始祖が登場している。
ただし、ムーンブルクの名は出さず「後にアレフガルドの地で最も古い家柄となる」という説明と王家の名しか出していないので、小説を知っていないとこの人物がムーンブルクの始祖だと分からない。
細かい時代設定について
DQ2の物語は一般的に「前作(DQ1)の100年後」の時代とされている。
このことから「竜王討伐から数えて100年後」との考え方もあるが、実はこれについても一体どの時点から100年後なのか、ちゃんとした公式の統一見解が存在しない。
- リメイク版で追加されたプロローグでは、勇者によって築かれた3つの国が主人公の子供たちによって代々治められるようになってから100年といった記述になっている。
- FC版の取扱説明書では、勇者が2人の子をローレシアから独立させてから100年としている。
- FC版の公式ガイドブックでは、 時期は不明だが3つの国に分けられてから100年といった記述である。
- ファミコン神拳奥義大全書・巻の四には、「3つの国にはその後100年の平和が……」とある。
- ファミコン神拳の書籍化されてない箇所では、ローレシアを建国して100年余としている。
- SFC版の取扱説明書でも、時期は不明だが3つの国に分かれてから100年としている。
- SFC版の公式ガイドブックでも、時期は不明だが3つの国に分かれてから100年としている。
※一部ページでは、「邪悪な竜を倒してから、時は流れて100年」などと書かれている。 - 冒険の歴史書においては、勇者が死んだのちに国が3つに分かれて、それから100年といった記述である。
- Wiiのロト三部作の公式ガイドブックでは、勇者が3人の子供に国を与えてから100年としている。
- 【中村光一】は「ローラ姫とロトの血を引く勇者が旅立って100年が過ぎている」と言っている。
どれが正しいのかは不明であるが、いずれにせよ「3つの国に分かれてから100年」としているものが圧倒的多数派となっている。
「竜王討伐から100年後」としているものは非常に数が少なく、DQ2の時代は実際のところ竜王討伐から150年くらい経っていてもおかしくない。
竜王にしても、ひ孫までできるのにたった100年では短すぎるだろう。
ちなみに小説版とドラマCDシアターでは、DQ1の時代から200年の歳月が流れているとしている。
また、アイテム物語では竜王討伐から百有余年が過ぎたとしている。
DQ4~トルネコシリーズ
トルネコ2の舞台は説明書によると「トルネコが【しあわせの箱】を持ち帰ってから半年後」とのことだが、ゲーム内での設定では「王様から冒険の許可をもらってから半年後」である。
トルネコ1は【不思議のダンジョン】の攻略に手こずると作中で春夏秋冬が2回訪れるため、2年間の空白が生まれてしまう。
周辺の季節がコロコロ変わる地域で、建物も意外と早く完成しただけで大して時間が経っていないと考慮すれば矛盾を減らせるが……。
時間経過に関係する描写を全部鵜呑みにした場合、
DQ4→何年か経過(トルネコ3のOPより)→トルネコ1(作中で春夏秋冬が2回訪れている)→半年経過→トルネコ2→6年半経過(トルネコ3公式パーフェクトガイド上巻より)→トルネコ3(OP直後にポポロの12歳の誕生日)
となるが、DQ4とトルネコ1の間の何年かを2年として扱い、トルネコ1で2年が経過しているとすると、DQ4当時の流暢に喋れて外を歩き回っている【ポポロ】が1歳になってしまう。
さらに、DQ4本編の第3章開始~第5章または第6章で冒険終了までの期間を考慮すると、3章開始時のポポロは生後1年経っていないことになる。
DQ4からトルネコ1までの期間を短く見積もり、トルネコ1は周辺の季節がコロコロ変わるだけで大して時間が経っていないと考慮すれば矛盾を減らせるが...。