【追憶の回廊】

Last-modified: 2024-03-25 (月) 10:12:40

DQ8(3DS版)

クリア後の第2の【隠しダンジョン】
【竜の試練】の褒美で「もっとすごい修業場を出してもらう」を選ぶと、【メディばあさんの家】裏手の遺跡の石碑がある部屋に、このダンジョンの入口の旅の扉が現れる。
 
ここは隠しダンジョン恒例の既存のマップではなく【竜神王】が用意してくれた修業のための専用マップ。
石造りの神殿のような構造をしており、壮厳な雰囲気に満ちている。最後の部屋以外は共通で、通路を囲うように水路が張り巡らされている。
ダンジョン名通り、ここには「追憶の◯◯」と名乗る、本編ストーリーで戦ってきたボスたちの超・強化版が立ちはだかる。
全員セピア色なので余計に思い出っぽさが出ているが、いずれも本編で戦ったときとは比較にならない強さを持ち、本編を振り返って懐かしさに浸るヒマなど与えてくれない。
DQ10でいう強モードボスあるいは超強いと言えばわかりやすいか。
変な迷路になっている事もなく完全な一本道で、特定の場所で意図的に【メタル系】を呼び寄せることができる(後述)以外は余計なモンスターも入り込んでおらず、順番に追憶ボス連中と戦っていく事になる。
 
感性鋭いククール曰く「清浄に管理された空間」との事だそうだが、最後の部屋だけは別で、修業のために用意された追憶シリーズではない存在【エスターク】が待ち構えている。
このことにはククールも「僅かだが邪悪な気を感じる」と事前に言及する。
実際、最後の部屋への扉は真っ赤な特別製で、部屋の中も水の代わりに溶岩が流れていたりと禍々しい雰囲気である。
溶岩の部屋は初の裏ボスとして登場した、DQ5のシーンを彷彿とさせる。
 
登場するボスは以下の通り。お供を従えるボスもいるが、そいつらも追憶版としてしっかり強化されている。

【オセアーノン】【レッドオーガ】【ブルファング】コンビ、【レティス】【○○○○像】軍団に【シャークマジュ】、3DSで新規追加された【ジャハガロス】はいない。
各ボスの経験値はすべて55555。ゴールドは全て0。
お供で登場するモンスターと追憶のドルマゲスA、Cは経験値0。
 
英語版でのダンジョン名はMemories Laneで、追憶の各モンスターは ◯◯ in Memoriam(長いものは略してMem.)となっている。

システム

最初の部屋には追憶のザバンが待ち構えており、これを撃破すると次の部屋へといけるようになる。
以降、順番に1部屋につき1体のボスがおり、これを撃破していく事になる。
ボスとボスの間の通路には貴重品などが入った通常の赤い宝箱が2個と、日付が変わると復活し何らかの種系が入っている紫の宝箱が1個置かれている。
ただし3-4間、7-8間、11-12間、14-15間は紫の宝箱の代わりに回復ポイントが置かれている。
回復ポイントが置かれている事や一度出るとボスが復活する事から連続でボスを撃破しなければならないダンジョンのように思えるかもしれないが、一度撃破したボスはこちらから話しかけて「はい」を選ばなければ戦闘にならないためわざわざ再戦する必要はない。
用がないならスルーして次の部屋に行こう。
また、スタート地点と7-8間の通路、8-9間の通路と14-15間の通路にはショートカットできる連絡通路があり、一度奥側から扉のカギを外してしまえば以降通れるようになる。
追憶の回廊は一切雑魚モンスターが出現しないようになっているが、この連絡通路で【くちぶえ】を吹いた時のみモンスターが出現する。
これは連絡通路にある石碑にヒントが書かれている通り、レベル上げのための【メタル系】のみが出現する。
1つ目の連絡通路は【メタルスライム】【はぐれメタル】【メタルキング】がごちゃまぜに、2つ目の連絡通路はメタルキングのみがひたすら出現する。
【風鳴りの山】で修業するよりも効率的にレベルを上げられるが、最低でも追憶のクロウを倒してからでないと利用できないレベル上げスポットなので、辿り着いた時点で全員レベル99でもおかしくない。
強いて言うなら、会心技持ちの3人+【ゲルダ】【はぐれメタルの剣】+【キラージャグリング】でメタルキングから【スライムのかんむり】【オリハルコン】のドロップを狙うのには利用できるくらいだろうか。
 
【馬車】ごと入れるので、ここでの戦闘はすべて屋外のフィールドと同様に戦闘中のメンバー入れ替えが可能。
【なかま】コマンドでも馬車ごと【トロデ】【ミーティア】がついてきている。

難易度

竜の試練すら乗り越えた者達の更なる修行の場というだけあって、ここのボスは色々と遠慮の無い強さを誇る。序盤はともかく、中盤以降は全員レベル99になってようやくスタートと言ってもおかしくないほど。
初見ならなおさらだ。
最初の4体のは回廊の基準では良心的な強さであり(全モンスターという基準で見ればかなり強い部類)、速攻でこのダンジョンを出現させたレベル(40後半前後)でも戦略次第で駆け足でクリア可能。
しかし、追憶のアルゴン以降からは難易度が跳ね上がり、単純なステータスももちろんだが徐々に運要素も絡んでくるようになる。
ダメージ700超えの【痛恨の一撃】ラッシュを皮切りに、【マジックバリア】で軽減できない特別仕様なおたけびの連続でこちらの戦略を崩され、状態異常攻撃の嵐でこちらの体勢をかき乱してくる。敵によっては尋常ではないスペックを持つお供モンスターの全体攻撃が待ち受ける。
中盤以降の連中になるとこのイカれたスペックでほとんどが完全3回行動というふざけた事に。
レベル99の状態で挑んでも戦略や運次第では普通に全滅する。
終盤のボスになると同じ呪文や特技でも威力が爆発的に上昇した特別仕様になっているものもおり、PS2版よりかなり強化された【永遠の巨竜】すら霞んでくる。
発売前にYouTubeのVジャンプチャンネルで行われたDQ8特集の中で、藤本プロデューサーが「全員レベル90台でも全滅する追加要素」の存在を匂わせていたが、実際にその言葉に偽りない激難度ダンジョンとなっている。
 
それでも戦略と装備次第でどうにかなる「決してただの運任せではないゲーム性」は、レベルを上げていれば勝てるだけではない骨太な難易度と「難しいったって所詮は万人向けのRPGなんだから、レベルを上げりゃ何とかなるんでしょ?」とナメてかかっているコアゲーマーをも仰天させるに値する内容の濃さを生んでいる。
そんな難易度だがなんとレベル40~50台でクリアする猛者もおり、本編クリア直後から(やり方次第では)レベルを上げずとも勝てる絶妙なバランスといえるかもしれない。
ただし高レベル用ダンジョンであるのは変わりないため低レベルで制覇しようとする場合は運の要素が強くなり、一部の追憶ボスに至っては完全に運ゲー化する。
あくまでやり込みプレイの一例である。
 
忘れているプレイヤーも多いかもしれないが、このダンジョンは元々「すごい修行場」という名目で出してもらえるのだ。この修行というのはダンジョン内だけでの修行ではなく、「追憶のボスに挑み、勝てなかったら勝てるまで鍛えて、あるいは戦略を練り直して何度でも挑戦する」ことが修行ということなのだろう。
「何度負けてもめげずに立ち向かう」というのはある意味(主にプレイヤーの根性を鍛える)精神修行と言えるかもしれない。プレイヤーがこの修行を極めたら紛れもない廃人になるだけだが。
 
見事全てのボスを撃破した後仲間に話しかけるとゼシカが「修行は十分なので早く【暗黒神ラプソーン】を倒しにいこう」という趣旨の発言をするが、ここを突破できる状態ならばラプソーンなぞ小指の先で吹き飛ばせるような強さになっていることだろう。
 
そのラプソーンもPS2版当時から大きく強さを増し、竜神王もかなり強い。が、こいつらと手合わせ願う頃にはもはや彼らは霞む。
そんな連中が襲来しなくて何よりだが、その回廊を全て攻略した主人公達でさえ、七賢者の力を借りなければ攻撃を通すことすら叶わないのは変わらないのである。
竜神王がラプソーンとの戦いに備えて用意した「すごい修行場」というのは伊達ではないのかも知れない。

攻略法

単純な『最強装備』『鉄板メンバー』、レベル上げでゴリ押しだけではまず無理。
種や木の実で【ドーピング】をし、相手ごとに全員分の装備を見直し、状況に応じてどのキャラを使うかを適切に変えていかないと突破は難しい。
エゲツナイ高火力を誇る彼らの属性攻撃の前では固定ダメージ軽減防具を身につけてもロクにダメージが減らせない。
【はぐれメタルよろい】【みずのはごろも】【道化の衣装】【女神の盾】のように、ダメージを固定数ではなく割合で軽減出来るものが欲しいところ。
【光竜のまもり】【炎竜のまもり】を持っていたら該当する攻撃を行う相手にはもちろんつけておこう。
被害0で凌げるのは非常に大きい。
 
戦闘中も状況に応じて臨機応変に対応する事が必要。
回復は【ベホマ】では追いつかず、ベホマラーでもテンション無しでは厳しいだろう。よって全体完全回復手段は必須である。
主人公の【ベホマズン】がその代表的な手段だが、敵に先制されることも多く、あっさりやられる事も珍しくない。
心配な人は【せかいじゅのしずく】を錬金で作成しておく事だろう。状態異常治し用に【超万能ぐすり】があるとなお便利。
プレイスタイルにもよるが、もし主人公を攻撃の主力として使うならば、仲間全員のアイテム欄にせかいじゅのしずくをビッシリ詰め込むぐらいの準備が必要と思った方が良い。もっとも、中途半端に攻撃役として起用するくらいならいっそ回復に徹した方が総合的な火力も増え、リスク管理も楽になる。
 
蘇生手段も【ザオリク】、もしくはそれに準ずる手段を持つメンバー2人は欲しい。ボス次第では2人どころか3人居ても心もとないくらいである。
メンバーから外せず、かつ蘇生手段に乏しい主人公は【せかいじゅの葉】【天使のチーズ】を持たせると安定しやすい。
せかいじゅの葉は【さくらんじゅ】から、しずくの方も錬金をうまく扱って集めよう。
戦局の立て直しや維持がしやすくなるので、【中断】を繰り返して狩ってみるのも良い。
 
多くの状態異常技も耐性貫通力が変更されているので、耐性が無いとかなり高い確率で命中する。
耐性装備を列挙すると、【竜神のかぶと】【おうごんのティアラ】【メタルキングヘルム】【スーパーリング】、一部の敵相手では【まよけの聖印】が挙げられる。
【マジックバリア】も有効。余裕を見計らって唱えておきたいところだ。
 
ストーリー攻略ではバランスブレイカーと名高かった【チーム呼び】すら、ここでは中盤以降のボスともなれば相手の激しい猛攻の前に大抵は2~3ターンでスカモンは沈んでしまうため、攻撃用としてはあまり役に立たない。
【マスターゾーン】等の補助回復を活用する路線ならまだ前線に立てる。というかこれが唯一のチーム呼びの活用法と言ってもいい。
 
その他、一部ボス相手には猛毒やマヌーサといった搦め手も有効。
ボスのお供の中には即死攻撃が有効な奴もいる。
これらをうまく生かすことができれば、こちら側がかなり有利に立ち回ることができる。
追憶のフレイムを除いては倒しても補填されるので、【メダパニーマ】で無力化出来るとだいぶ楽になる。
フレイムの方は補填されないので、【ザラキーマ】【しのおどり】で片付けたい。
 
ほぼ全ての敵に共通して言えることだが、守備力までものすごく高い訳では無いので、運良く敵の攻撃がヌルく、その上で【ふしぎなタンバリン】による強化が上手くはまれば速攻撃破も可能。
しかし、完全ローテーションの敵を除いていつ強力な攻撃が来るか分からず、搦め手も脅威なので、それらに耐えるぐらいの耐久力は必要。
短期決戦を狙うあまり、ダブル(トリプル)タンバリンを使用しても、波動やおたけびで消されたり、痛恨あたりでアタッカーがやられる可能性もある。
回復と攻撃のタイミングを間違えず、地道に大きなダメージを与えるのが肝心。竜の試練までは何とか通用した『レベルを上げて単純な強さで勝利する』戦法は限界が見えるだろう。
幸いにして、【神さま】のような「自動回復のある裏ボス」ではないのだけが救い。
 
その強さはDQ9の【大魔王の地図】レベル99を彷彿とさせるが、限られた戦術でボスに対抗しなければならないという点では遜色ない難易度である。転職システムの無い本作はDQ9と比較して特技の種類も戦術の幅も少ないので自由度が低く、単純比較はできないというのも事実だが……。