【夢の世界】

Last-modified: 2024-04-17 (水) 00:53:33

DQ6

サブタイトルにもなっている、「幻の大地」のこと。
上下二層構造になっているDQ6のフィールドマップの上側の世界で、それゆえに「上の世界」とも呼ばれる。
草原の色が濃く、海の色が淡いことが特徴。BGMは、テンポが遅めで音程が低い【もう一つの世界】
 
【主人公】はゲーム開始時にはこの世界に住んでおり、「幻の大地」と呼ばれている下の世界と行き来しながら冒険を続ける。
しかしストーリーが進むにつれ、当初「幻の大地」であると聞かされていた世界こそが紛れもない【現実の世界】、元々自分が住んでいた世界の側が人々の夢の世界、すなわち真に「幻の大地」と呼ぶべき世界であったことが明らかになる。
この事実が完全に明らかになるのは夢の世界のムドーを倒したときで、元に戻った【レイドック王】の台詞から、上の世界が「夢の世界」、(実体を取り戻す前の)主人公たちが「夢の世界の住人」であることがはっきりと告げられる。
これ以降、【シェーラ】との会話などでも「現実」「夢」といった具体的な表現が語られるようになる。
 
文字通り人々の「夢」によって構成されている世界で、ゼニス王という人物が束ねている。
人々の「夢」および「願い」「想い」「希望」などを具現化している。
例:ライフコッド

登場人物現実の世界夢の世界
主人公安息の地を求める、を亡くしたレイドック王子実妹と共に静かに暮らす村人
ターニア幼い頃に家族を亡くしたため、兄が欲しい実兄と共に暮らす村人
ランド想い人であるターニアが家に軟弱な男を同居させているターニアと同居しているのは彼女の実の兄でかつ頼れる存在
村長立場上、主人公に村から出ていくように諭した村の住人である主人公を追い出した事実を夢に見て混乱している
武器屋最高の鎧を作りたい最高の鎧を売っている
機織りの老夫婦跡継ぎがいないことを嘆いている跡継ぎの女性がすでにいる

 
【堀井雄二】は『ファミ通』1996年2月9日号でのインタビューにて、夢の世界について

「『VI』の夢は、ひとりの夢じゃないんです。たくさんの夢が集まってひとつの夢を作っている。
だから、すでに滅んでしまった街でも思い出さえあれば存在したりできるんですよ」

と語っており、多くの人々の心に残った物事は、たとえ現実では既に無くなっていても夢の世界の中には存在している。
例えば【アモール】で亡くなった【イリア】【ジーナ】が夢のアモールで元気に遊びまわっているのは、彼らがアモールの住人にそれだけ想われているという証左だろう。
 
特殊な例として、魔道に長ける者は、精神だけを夢の世界に飛ばすことで、「誰かが夢見た結果」ではなく現実の自分をそのまま夢の世界に移住させることができる。現実で大魔王に滅ぼされた【カルベローナ】はこの手段で夢の世界に存続している。仔細は語られないが、おそらくは【ミラルゴ】も夢の世界に逃れた現実の人間なのだろう。
夢の世界に詳しい【グランマーズ】のような存在も鑑みるに、優れた魔道士の間では「夢の世界が存在する」というのは周知の概念なのかもしれない。
 
本来、夢の世界は実体として存在するものではなく、現実の世界とお互いに行き来できるようなものではない。
この世界が確たる大地として存在し、2つの世界を股に掛けた冒険ができるのは、皮肉にも大魔王【デスタムーア】が原因。
世界を征服するために、脅威となる【ダーマ神殿】【メダル王の城】【カルベローナ】を滅ぼした彼であったが、カルベローナの住人と同じようにデスタムーアもまた「夢の世界が存在する」ということに気付く。夢の世界に逃れたカルベローナや、おそらく夢の世界に存続しているであろうダーマ神殿などが再び自身に牙を剥くことを警戒した彼は、世界征服を盤石なものにするべく夢の世界の脅威の排除に乗り出し、夢の世界に干渉できるように魔力で実体化させて各地の脅威を封印した。
…というのが、ゲーム開始時の世界の状況である。
 
人々の夢だけあって、現実の世界をベースにしながらも細部が異なるような物事が多い。上記のライフコッドの例のように、基本的には現実の人間の希望が反映される傾向にあるが、悪夢を見る人の悪い内容が反映されることもある。
同じ地名の場所など、明らかな対応が見られる組み合わせを除けば、誰のどういう夢なのか不明な場所も多い。
【トルッカ】【サンマリーノ】をはじめ、夢の世界に対応する町が存在しない場所も数多くあり、それらの町や城の住人の夢がどうなっているのかもはっきりしない。
それゆえか、中には【南の孤島のほこら】のような殺風景な場所について、現実世界で希望を失った人物【ゴラン】と関連付けて考察する人もいるようだ。
【船】と同じ機能ながら見た目が滑稽な【ひょうたん島】などは、いかにも夢の産物という感じである。
夢でトラウマにうなされる老婆の過去を追体験する【アモール】病によって命を落とした少年の夢を描いた【クリアベール】など、上下両方に存在する町は「夢」という設定を活かした凝ったギミックが仕掛けられていることが多い。
大魔王に侵略されているがゆえに、【しあわせの国】【カルカド】のような、侵略のために意図的に作られた悪夢というべき施設もある。
 
現実の世界には上述のように夢の世界を認識している人物がいるが、夢の世界にも「ここが人々の夢である」と認識している人物がいる。
夢の世界の管理者たる【ゼニスの城】の面々は当然として、それ以外にも【ダーマ神殿南東の小屋】【シスター】が具体的に言及したり、クリアベールで老人の恋人になった女性が「私はこの人の夢の産物ではないか」と疑念を抱いたりしている。
夢の世界のアモールでのエピソードでもわかるとおり、すでに肉体を取り戻している【ミレーユ】を含めて、主人公一行は現実世界の肉体ごと夢の世界に来ることができる(現実の世界から肉体ごと消える)。
作中で明確に夢の世界と現実の世界を(肉体ごと)自由に往来できるように描かれているのは主人公一行だけで、レイドック王もそのことを特別視しているが、そのようなことが他の人間にも可能かどうかははっきりない。
特に夢の世界に出自を持たない【チャモロ】に加え、どちらかといえば一般人寄りの【アモス】や、パーティに加入する前には夢の世界にその足跡のない【テリー】、および【仲間モンスター】なども、加入後は自由に2つの世界を往来できている。
なぜか現実世界の事情に詳しい【アモール南の井戸】の男性などもおり、デスタムーアの手による実体化の影響で、世界の構造を把握したり現実の世界を旅する夢の住人もいるのかもしれない。
一方で、上記のライフコッドの住民たち、レイドック王やシェーラなどは夢と現実の世界の両方に存在している。おそらくは現実の世界の肉体が眠っているときに夢の世界で起きているという形である。
当初の夢の世界のレイドック王(中身はシェーラ)が眠らないのは、現実の世界で眠り続けていたためである。
一方、レイドック王は【ムドー】の魔術に掛かっていた影響によるものか、夢の世界では「ここは夢である」と明確に認識しつつ女性を侍らせたりして好き勝手に遊んでいる。
 
アイテムについては夢と現実の区別はなく、夢の世界で入手したアイテムは普通に現実の世界に持ち込んで問題なく使用できる。
現実の世界で入手した【きれいなじゅうたん】は、夢の世界で魔力をこめられることで【まほうのじゅうたん】になり、現実の世界の方でも使える。
【ちいさなメダル】は夢と現実の双方に存在し、集めたものは区別せずにカウントされる。
ただし、伝説の武具4種については、すべて現実の世界で手に入れることになる。
現実の世界と違って海に潜ることはできず、【人魚】【海底】に住む人の存在は確認できない。
 
システム的には、2つの世界間の移動には【井戸】【大地の階段】を使用する。井戸のほうは序盤に【夢見る井戸】という名前を聞くことができ、2つの世界の関係を表す伏線となっている。
また、夢の世界では大魔王の手による施設封印の跡が【大地の大穴】になっており、ここから飛び降りることでも現実の世界へ行くことができる。
SFC版では異なる世界へ直接【ルーラ】で移動することはできず、世界間の移動には必ず上記の手段を使う必要がある。
 
デスタムーアが滅びた後のエンディングでは、夢の世界の実体化が解けていき、現実の人間からは見えも触れもできなくなっていく様が確認できる。
もちろん、これは夢の世界が消滅するわけではなく、デスタムーアの干渉以前の状態に戻っただけである。
ゼニスの城だけは現実世界から見える形で上空に残り、後の【天空城】になることが示唆されている。
 
そして物語は数百年の時を経た後世へと受け継がれてゆくのだった。
 

リメイク版

夢の世界のムドーを倒すよりも前の段階で、【ラーのかがみ】を手に入れたあとに【グランマーズ】に会いに行くことで、はっきりと2つの世界の関係を教えてもらえるようになった。
このイベントにて【ルーラ】の移動先に【べっせかいへ】という項目が追加されるため、上下の世界間の移動が格段に楽になる。
 
上述の通り、レイドック王の台詞をはじめ、必須のイベントだけでも多くのキャラクターたちが上の世界が夢の世界であることを示唆もしくは明言してくれるのだが、これらの台詞の内容をちゃんと読まない、もしくは読んだ上で理解しきれなかったのか、上の世界が夢であることに長らく気付かなかった、という意見もあったようで、その救済のためのイベントと考えられる。
しかし、【ゆめみのしずく】入手イベント以降は、シナリオ上はグランマーズに会う必要が全くなく、むしろ勘が鈍い人ほど見逃す可能性が高い。

ビルダーズ2

本作の冒険の舞台。
 
物語終盤に、今居る場所が夢の世界であると明かされる。
その正体は、大神官【ハーゴン】が、ロトの3勇者を惑わすために作った世界。
今作では【ローレシア】だけではなく、その外の世界全体もハーゴンの記憶と理想をもとに創造されていたことが明らかになった。
作中では夢の世界と呼称されてはいるが、現実世界を元に「ロトの3勇者」という要素を排除して別次元へと造られたパラレルワールドといった趣。
はるか上空にはハーゴンの本拠地である【破壊天体シドー】が存在している。
現実世界との境界は曖昧で、時間の流れも歪なものとなっている様子。
ハーゴンの力を借りずとも何らかの拍子に現実世界の人間が迷い込んでくることがあったり、DQ2の時代から少なくとも数十年過ぎているとも、まだあまり時間が経過していないともとれる描写がある。
 
3勇者との戦いで、【ルビスのまもり】によってかき消されたか、ハーゴンの死によって消滅したかに思われていたが、どういうわけか残存していた。
破壊神【シドー】に取り込まれる形で魂だけ現世に残ったハーゴンは、3勇者に敗れて残りカスも同然の状態となったシドーと共にこの世界の【からっぽ島】へ逃げ込み、人間達への復讐を画策。
力を失ったシドーを復活させる為に「創造あふれる世界に生まれる破壊神」というシドーの性質を利用することを思いつき、シドーを【少年シドー】へと転生させ、そのすぐ傍で破壊の力を興起させる創造の担い手、いわば当て馬として【主人公(ビルダーズ2)】を引き込んだ。
なお、残存したとはいってもゆっくりと崩壊が始まっており、その始点となった幻のローレシアに住む人々はバグを起こしたかのように言動が不明瞭になった挙句に消滅している。
 
この世界はハーゴン主観で造られているので、人間達は全て【ハーゴン教団】の教団員。
そのため人間はものづくりが何たるかという事を知らないし、人間ならば当たり前に知っている常識を知らず、ただぼんやりと暮らすだけであった。(お金を知らない、トイレを知らない、料理を知らない、等)
現実世界から迷い込んできた古のビルダーによって一旦はものづくりに目覚めるものの、教団による弾圧に逆利用される形となり、主人公の到来まで【ビルダー】を悪とする教団の支配に屈する生活を送っていた。
 
【モンスター】に関してはかなり適当とも言え、多くは教団に従っているが、教団を離れて人間に味方する立場に立ったりと銘々が好き勝手に行動している。また、この世界の真実を知る一部のモンスターは、世界の消滅が始まっている現実を前に焦燥感にかられながら「救い」を待ちわびハーゴンへの祈りを捧げている。
 
ただ、亡霊となったハーゴンにとっては人間と現実世界への復讐以外の考えはなく、これら幻の世界のすべてはシドーを完全復活させるための卵の殻も同然で、シドー以外には何が起ころうとも一瞥もくれていない。
 
物語のラストでシドーが破壊神として完全復活すると、その余波で幻の世界は急速に消滅しかけたが、主人公と神としての力を奪い返した少年シドーによって現実に存在する世界に作り直された。
これにより、消えかかりはじめていた世界のすべてを救うことが出来た。
【そざい島】NPC達の発言などからすると、【からっぽ島】や冒険した各島以外にも人のいる島はあり、シドーの発言からすると主人公が元いた世界との行き来は可能のようなので、主人公率いるビルダー達は、平和を取り戻したからっぽ島を人々の訪れる立派な観光地とするべく、果てないものづくりに励む事になる。
元の世界との行き来はゲーム上では不可能なので、実際に大陸の構造がどのようになったのかは不明である。

余談

DQ5の幼年時代に訪れる【妖精の世界】は、下記のようにDQ6の夢の世界に類似した演出が見られる。

  • サンタローズの実家の地下室に出現した階段を上った先が妖精の世界につながっている
  • 妖精の世界で宿屋に泊まると、サンタローズの実家のベッドで目覚める(主人公が夢を見ていたという演出になる)
  • 妖精の世界から来た【ベラ】は人間の世界では透明になり、子供にしか認識されない

また、青年時代前半のサンタローズでは、夜に眠っている男の子に話しかけると夢の中で妖精に会っているような寝言を言う。
ただし、青年時代後半に訪れる【妖精の城】では、主人公が過去の出来事に干渉できるような展開があり、これもDQ6の夢の世界の【アモール】のイベントとやや類似する部分がある。