【進化の秘法】

Last-modified: 2024-04-16 (火) 21:56:55

DQ4

DQ4に登場する設定の一つで、ストーリーの中核を成すキーワード。
人間、動物、魔物といった生物を従来の進化の過程を無視して成長させる力を持つ、魔族に伝わる秘法である。
「秘」であって「秘」ではないのだが、FC版の画面では全て平仮名で表示される上に【公式ガイドブック】にも載っていない単語ということもあり、4コマではという誤表記が多かった。
進化の秘法が本来の進化の道筋を歪めてしまう事と、下記のエピソードにより【天空人】たちはこれを強く危険視している。
 
元々は遥か昔に地獄の帝王【エスターク】が作ったもので、これを使い世界征服を企んでいた。
だが、彼は【おうごんのうでわ】を欠いており、用いた進化の秘法は不完全なものだったらしい。
それでもその力は強大で、存在を危険視した【マスタードラゴン】によってエスタークごと封印される。
その後、長い年月を経て錬金術師【エドガン】が偶然発見し、それを弟子のバルザックが強奪して魔族の手に渡る。
【キングレオ城】では研究者に「若き乙女の魂が必要」と言われており、そのためにモンバーバラなどから若い女性を集めて宴を開いていた。
魔族の王【ピサロ】は自らをデスピサロと名乗り、おうごんのうでわを用いて進化の秘法の完全版を作り、エスタークを完全な姿で蘇らせようと奔走。
さらに【ロザリーヒル】の動物たちに高度な知能を与えることに成功しており、その後【バルザック】を実験台として研究を進めていた。
あと一歩で完成の所まで辿り着くが、導かれし者たちによってエスタークが倒され、計画は失敗。
同時に恋人【ロザリー】を失った悲しみから自暴自棄になった彼は、自分自身に完成した進化の秘法(小説版では未完成とされている)を使用して化け物へと姿を変える。
異形の進化を遂げた直後のその姿は、エスタークのそれに酷似していた。
ちなみに、バルザック、ピサロ共に進化の秘法を使用すると何故かベホマが使えなくなっている。
ゲームバランス調整上の問題なのだろうが、何とも嫌なデメリットがあると言える。
 
リメイク版では【エビルプリースト】が更なる改良を施してこれを究め、デスピサロをも上回る進化に成功している。
だが、得た力こそデスピサロを上回っていたものの、彼の辿った進化の過程はデスピサロのそれとほぼ同じで、少なくとも姿形も含めた上での更なる「進化」に至っていたわけではなかった。
また、彼は死に際に「これも進化の秘法が見せる幻覚なのか」と話している。
記憶喪失を起こしたエスタークや憎しみで我を忘れた様子のピサロの前例も合わせ、進化の秘法には精神に異常を来す副作用でもあるのだろうか。
ただし、エビルプリーストはゲーム内の状況やその他設定からすると、自我を保った進化を成し遂げたと思われるため、状況が状況なだけに敗北と死から逃避しているだけの可能性が高い。
 
天空人に言わせると「全ての災いの元」らしいが、進化の秘法で知性を得たロザリーヒルの動物たちは自身の進化を否定的には受け止めておらず、異なる動物間でも争いなど起こさず平和に共存している。
またロザリーへの愛情も深く、必ずしも「不完全な秘法を使われると邪悪な異形に変化する」訳では無いようだ。「悪意ある者」が使ったときにこそ災いをもたらすのだろう。
 
【天空城】の図書室の天空人は「進化の道筋から外された生き物たちの怨念が進化の秘法を再び発見させたのかもしれない」と言っており、正しい使い方をしてもらえずに怪物(エスターク・デスピサロ等)を生み出したことも、もしかしたらその怨念の仕業なのかもしれない。
 
【ドラゴンクエスト モンスターズ】に掲載された設定によると、進化の秘法を用いて急激に進化させられた魔物は「進化獣目」という分類になっているという。
【ハンババ】などが該当する種属は「ビースト属」、【ギガデーモン】などが該当する種属は「超獣属」とされる。
この「進化獣目」に属する魔物は、普通の生物(バルザックの場合は人間)に進化の秘法を用いることで作り出される存在だが、強力な力を得た代償として本来の生物としての概念を逸脱してしまっている。
これらの魔物は普通に繁殖をする魔獣などとは異なり基本的にそれぞれが単一個体のみで活動し、繁殖能力も持たないため、新たなる生物種として固定されているわけではない。
どちらかと言うと生物を素体として新たに魔物を造るようなもので、そうして造りだされる魔物は分類としては「キラーマシン」や「うごくせきぞう」などと同じ「非生物」に該当するとされている。
初の外伝作品であるモンスターズ1でバルザックが【物質系】に属しているのはそういう理由なのだろう。
【キングレオ】も進化の秘法を経由して誕生したモンスターだったからか、1のみ物質系の【キラーマシン】が血統でも配合で生み出す事ができたため、結果的に没にされたのだろうが最初はキングレオも物質系にする予定だった可能性がある。物質から獣が誕生するのがそもそも不自然な設定だし。
彼の場合見た目が完全に獣系であり、名前も獣系そのものであったし、1制作当時にいた獣系モンスターには、系統最強の座を任せられるようなインパクトのあるモンスターがいなかったとか、様々な理由が考察される。
ちなみに【バルザック+】は「超獣属」のプロトタイプで、【おにこんぼう】はその実験の成果を元に量産が可能になった魔物であるとのこと。
 
なお冒頭にもある通り「しんかのひほう」は「秘法」が正しいのだが、FC版当時はひらがな表記のみだった事、黄金の腕輪が関係している事から「秘宝」と間違えられる事が多かった。
漢字表記になった後もプレイヤーからはちょくちょく間違えられているようで、後に公式にも誤用された。

小説版

小説版ではエスタークのもとで元天空人のジャコーシュ(エビルプリースト)によって研究が進められていた。
しかし勝ちを焦ったエスタークが黄金の腕輪を欠いた不完全な状態で進化の秘法を使用してしまい魔族は敗北。
 
ジャコーシュと共に魔界の奥深くに封じられたが、ピサロの従兄弟で権力を争っていた皇子ミアソフがジャコーシュを解放した事で再び日の目を見る事に。
ピサロが反乱分子を退け父ニュイイを王にした後は、ピサロ達によって研究が進められる事となる。
 
その研究の狂気の一端が垣間見えるのが、キングレオ城での描写。
進化の秘法は本来の進化の道筋を歪めてしまうものであるため、バルザックやキングレオ王子のように人間を異形の魔物に変えてしまう恐ろしい効果がある。
四章のときはまだ研究がそれほど進んでいなかったのか、真っ先に秘法を使った当時のキングレオの姿は今とは全く異なり、人間の姿に獅子の顔のついた、さながら【闘神レオソード】を小振りにしたような姿であった。
 
しかし五章に入ると研究が進み、城にいた人々は秘法の実験台にされて魔物に変わってしまう。
かつての【マーニャ】の同僚の踊り子たちが、見覚えのあるアクセサリーを身につけたまま地上を歩く魚のような魔物に変わり果て、あるいは艶やかな女性の半身を一部残したまま、残りの全てが虫のような魔物にされているのである。
絵での描写こそ無いが、この文章から姿を想像するだけでもおぞましい事この上ない。
さすがの勇者もこれには剣を振るう事を躊躇い、異形ゆえに魔物を倒そうとする事への迷いも生じさせている。
四章でキングレオ城に向かうマーニャの同僚達や、キングレオ城での狂宴の様子も描かれていたため、そこにいた者達が自分達がどうなったのかもわからないまま魔物に変えられたやるせなさと、むしろ狂宴で自我を失ったまま魔物に変えられた分、歪んだ形で(読者が)安心するという複雑な感情を抱かせるシーンである。
 
完全な進化の秘法には黄金の腕輪が完成の鍵とされていたが、最終的にピサロが手にしたものは贋作であり結局完成には至らなかった。
CDシアターでは黄金の腕輪だけでなく「憎しみ」も重要な鍵とされている。

DQ5

滅んだ後も言い伝えは残ったのか、数百年後の世界となる本作では、ラインハットでこの事を研究する【デズモン】という人物がいる。
 
明言はされていないものの、裏ボスである【エスターク】も長い年月を掛けて進化し続けていたと考えられる。さらにリメイク版では人間だった頃の【ミルドラース】がこれを用いて魔物になったという。

DQ9

【討伐モンスターリスト】のデスピサロの項目では、スタッフの変換ミスなのか、当時の表記のブレを意識してなのか「進化の秘宝」と書かれている。

DQ10オンライン

バルザックが手を染めた禁忌」としてその名が登場。
おうごんのうでわやDQ4では同様に進化の秘法に必要とされていた、乙女のたましい(今作では宝石という設定になっている)も登場する。
 
コインボスとして登場した【究極エビルプリースト】は、まず魂を外部に保存し、秘法で肉体を進化させてから再び憑依させたという設定になっている。
ピサロをはじめ先に進化の秘法を用いていたものが、その副作用で理性を失うなどの精神汚染を受けてしまっていたのを回避する方法として独自に用いたものだろうか。
これの半年ほど前にDQウォークで実装された「究極進化エビルプリースト」においても、これと類似した方法が用いられている。
 
また討伐報酬アイテムのアクセサリー【ラストチョーカー】は「進化の秘法により攻撃力が究極に高まる」とされている。

DQ11(3DS版)・DQ11S

進化の秘法が施された魔物【ピサロバーン】が登場。

ジョーカー3プロ

本作の【裏ボス】である【大魔王マデュラージャ】【主人公(ジョーカー3)】との五度の戦闘を経て【魔界神マデュラーシャ】へと進化する際に使用。
この時マデュラーシャは進化の秘法について「チカラの探求の果てにある答えの一つ」と評しており、また自身と同じ答えを見出した進化の秘法の名付け主についても存在を仄めかしていた。
 
特性としても登場している。詳しくは【進化の秘法(特性)】を参照。

スラもり2

勇車の【HP】を上げる技法として登場。
80ゴールドと【オリハルコン】1個が必要。勇車のHPを80上げてもらえる。

バトルロード2

第五章からSPカードとして登場。
登場キャラはピサロで、自分チームの【ゆうき】を増幅させる。
流石にデスピサロに変身なんてことは無い……が、【レジェンド6体合体】におけるデスピサロの素材になっていたりする。
前作の【光の玉】と同じ効果なので、どっちを使うかはお好みで。
だが【真ゾーマ】【闇の衣】を剥がすことはできないので注意。

DQMSL

特性の一つとして登場。
開幕で攻撃・防御・素早さ・賢さが1段階上昇する。
主な習得者は新生転生後の【デスピサロ】【究極エビルプリースト】
ちなみに実装時期故か【キングレオ】【バルザック】は習得しない。
また、デスピサロのみ性能強化が可能であり、その場合は通常の【いてつくはどう】では剥がせない特殊なバフに変わる。

ヒーローズシリーズ

ピサロの【必殺技】
デスピサロに進化し、目から絶望の眼差しを放って目の前の敵をなぎ払う。
 
横範囲は広大だが、射程が短いためやや使いにくい。
特に、ヒーローズ1では【海底神殿】【光の塔】エリアの通路などで発動してしまうと悲惨である。
 
なおこの必殺技名はピサロ役である小野大輔のアドリブ「進化の秘法!」という台詞から生まれた。
攻撃後はちゃんと元の姿に戻る。時間制限でも施したのか。

DQM3

本作にも登場。
ただしこの世界線ではエスタークの作った邪法ではなく天空人【イシュカ】が盗んだ天地創造の秘術の一部という設定になっている。
【リュノ】は裏ストーリーでこの一件を「まだ人間も魔族もいない時代の出来事」と説明している。
【マスタードラゴン】の失態がまた増えた…。
 
【アグルカ】がこれの研究を行っており、完成させる為には数千年の時が必要だったが、【ときのすな】を使う事でこの無理を通した。
本作で【ホイミン】が人間になれたのもこの秘法の実験の一環によるもの。まだ試作段階のためか永遠の効果ではないと釘を刺されており、DQ4の5章ですぐ姿を消した理由付けになっている。
また、DQ4のようにロザリーヒルの動物達に行使して喋らせることもできる。
 
【エビルプリースト】はリメイク版4と同じく未完成の秘法によるピサロの自滅を図り、一度は4同様これにハメられて異形の怪物と化す(【おうごんのうでわ】は用いているためこれの有無とは別問題の模様)。
また、エビルプリーストの背信を見抜いていた【ランディオル大帝】は独自に自我を失わない「究極進化の秘法」を完成させており、これを己に施した彼が本作のラスボスとなる。

ライバルズ

スタンダードパックにて、初期より実装。魔剣士専用のスーパーレア。

コスト9 必殺技
味方リーダーは究極生物に進化し、HPを8回復する

9MPとMAXのテンションが必要な分、その効果は絶大。
究極生物はデスピサロや魔勇者アンルシア(化物形態)、りゅうおう(ドラゴン形態)を指し、変身することでテンションスキルが【はげしい炎】に強化され、6/3の強力な武器(恐怖のツメや魔勇者の剣、竜王のキバ)も装備される。
まさに最終兵器といった1枚。
 
ちなみにデスピサロになったあとのエモートは「うぉぉぉ!」のような鳴き声で統一される。魔勇者やりゅうおうはちゃんと喋るが、ボイスに加工がされている。
挨拶等にこだわるなら、なるべく進化前に済ませよう。

タクト

【デスピサロ】の才能開花特性として登場。
「戦闘開始時 こうげき力・しゅび力・かしこさ・すばやさを大幅に上げ ダメージを20%軽減する 効果3ターン」

蒼天のソウラ

20巻で【魔公子イシュマリク】が三日月の深淵(アビスモ・デ・クレシエンテ)という異世界の魔王たちの力を借りる技を使っていたが、魔博士の裏切りもあり制御不能となった魔王の力が暴走し、デスピサロの最終形態に髪の毛が生えたような化け物になってしまった。
超回復を持ち、必殺技をリスクなしに連発できるラスボスだったが、【ソウラ】がこれまでの敵味方の力を借りることで回復が追いつかない程のダメージを与えて一時行動不能にした間に、【アズリア】がイシュマリクに【エクステンション・ライン】を授けることで三日月の深淵による制御が回復し、イシュマリクは元の姿に戻った。

余談

秘法とは読んで字のごとく「秘密の方法」という意味だが、現実では「密教の宗教行事(加持祈祷など)」を指して秘法と言うこともある。
描写を見ると秘法を「使って」姿を変えるとか、エスタークが秘法を「作った」と表現されるので、進化の秘法は前者だろう。
 
ただ、どういう方法で「進化の道から外れる成長」を引き起こすのかは文字通り秘密で、あまり具体的に語られていない。
対象者を何らかの儀式や装置にかけて超常のエネルギーで変質させる魔術的手法なのか、特別な薬物を投与するのか、手術で改造するのか、あるいはそれらを複合させた魔法と科学のハイブリッド技術なのか…このあたりは作劇側の演出や読み手の想像力に左右される部分が大きいだろう。
錬金術師のエドガンやバルザックが掘り起こした知識を理解していることから、【錬金術】の延長上にある技術と想像できなくもないが、そもそも本作の錬金術がどのようなものであるかはあまりはっきりと説明されておらず、やはり詳しいことは不明である。
いずれにしろ、実行に必要な知識(を保存した書物など)をして「進化の秘法」と呼んだのであれば、作ったり奪ったり再発見したりといった劇中の流れともあまり矛盾しない。
堀井はDQ1~3までの中核を成した勇者ロトの由来を「単にカッコいいと思ってつけた」と言っていたくらいなので、秘法も語感優先のチョイスという可能性はあるが…。
 
進化の秘法に類似する技術は、その後のDQ作品や漫画作品でも登場する。
DQ7の【マナスティス】は、術者の理性を奪い身も心も破壊の神と化す禁断の呪文であり、魔術的な変質に当たる。
漫画「ダイの大冒険」の【超魔生物】は、魔族の肉体に改造手術を施し様々な【モンスター】の細胞を移植するという物で、科学的なタイプ。
「モンスターズ+」では、ベースとなるモンスターに別なモンスターを吸収合体させる「邪配合」なる技術が登場しており、雰囲気としては魔法と科学の中間・複合といった感じである。
魔術的か科学的かの方向性は色々あるが、「自然を外れて生き物を作り替える」技が邪法として災いを呼ぶ、というのは各世界で共通していると言えるだろう。