【8逃げ技】

Last-modified: 2023-08-23 (水) 05:36:52

DQ4(FC版)

1回の戦闘で【にげる】のコマンドを8回選択すると、それ以後の攻撃が全て【会心の一撃】になるバグ技。【アリーナ】涙目。
回数は累計で8回に達すればよく、HPが減少した場合などに回復のため「にげる」を一旦中断してもよい。
 
ただし、普通の雑魚敵との戦闘では「にげる」が失敗するのは多くて3回であり、
遅くとも4回目で必ず成功して逃げ切れてしまう仕様になっているので、
この裏技は「にげる」が絶対に成功しないボス戦でしか使うことができない。
 
この技を使うと凄まじい打撃力を発揮するようになるので、【デスピサロ】も簡単に倒せてしまう。
レベル50程度のパーティでも1ターンあたりのダメージが1000を余裕で超えるのだ。
 
ただし、知っての通り、逃げる事に失敗するとそのターンは相手に好き放題されてしまう。
この技を使いたくなる強力なボス相手に、この技を使いたくなる程度のレベルのパーティで
悠長に8ターンも棒立ちで殴られっぱなしでは8回逃げる前に全滅してしまうのがオチなので、
いくらか工夫をしないとこの裏技の効果を拝む事はできない。
例えば、パーティを殴られ役の2軍と会心の一撃で相手を殴る役の1軍に分け、
捨てる覚悟で2軍で逃げるカウントを溜めた後に交代して1軍で総攻撃、など。
スクルトで守備力を高めたり、フバーハを張ってから逃げるのもいい。AI任せなのが難点だが。
デスピサロの場合、片腕を斬り飛ばして攻撃力を下げてから逃げ始めると安全。
また、【ときのすな】を使えば逃げた回数を4回水増しできる(「余談」を参照)。
他にも【まどろみのけん】で眠らせていたり【パルプンテ】時間が止まっているときであれば安全に「にげる」を重ねることができる。
時間が止まっている間は全体コマンドで「たたかう」を選ばないことには時間が動き出さないため、一気に8逃げが可能。
狙って起こせる効果ではないが、たまたまボス戦で時間が止まったときのために覚えておくと良いだろう。
 
4章で【せいじゃくのたま】【メラミ】無しで【バルザック】を倒すことも可能となるが、普通に戦うLv10程度では【ギラ】や打撃が強烈なので上述の理由で8回逃げること自体が危険。
一応、少しレベル上げを頑張って【ミネア】をLv13まで上げて【ベホイミ】を習得させ【マーニャ】にも可能な限り【やくそう】を持たせれば、回復は追いつくのでなんとかなるだろう。
そこまでレベルを上げて8逃げを使わなくても【ルカニ】をかけた上で【ぎんのタロット】のバイキルトが【オーリン】にかかるのに賭けるというやり方もあるが、これは結構運要素が絡むので、レベル上げが面倒でなければ8回逃げて3人がかりの会心の一撃を叩き込む方が現実的。
レベル上げも、メラミを覚えるまで頑張るよりははるかに労力は小さくてすむ。
 
ちなみに、この裏技は初期出荷ROMでしか実行できないとされるが、実際に「この裏技が実行できない」というソフトを持っている報告例は現在のところ存在しない。
また、海外版ではこの裏技は修正されている。

内部的なお話

こんなことが起こるのは、容量が限られたファミコン故に、節約のために複数の異なるデータを
同じアドレス(数字データを格納するメモリ上の場所)で管理するようにしたためである。
 
DQ4では先述の通り3回逃げるのに失敗した後の4回目は必ず逃げるが成功するようになっているが、
これをするには「逃げる」を実行した回数をカウントしておかなければならない。
しかし4回目で必ず逃げられるならばそれ以降のカウントをする必要が無いので、
そのアドレスにおいて、逃げるカウントで使うのは下の方の桁のみであり、上の方が遊んでしまう。
 
メモリ内では全てのデータを2進数(0と1のみの組み合わせで数字を表す)で管理しており、

  • 逃げた回数0・00000000
  • 逃げた回数1・00000001
  • 逃げた回数2・00000010
  • 逃げた回数3・00000011 必ず逃げられるようになる

このように3回目(下2桁が「11」の状態)で逃走フラグが立つので、3桁目以降は全く使わなくても問題は無い。
ならば容量節約のために他の事にも使おう、という事で、
このアドレスの4桁目に割り当てられたのが、【パルプンテ】による「ちからがみなぎってきた」状態。
4桁目の数字が1ならば「ちからがみなぎっている」状態であり、0ならば通常の状態であると判断される。
 
さて、ここでボス戦で逃げるコマンドをしたらどうなるかを思い出してみよう。
知っての通り、何回やっても絶対に逃げられない。
しかしボス戦の場合でもこの逃げる回数カウンターは律儀に機能しており、逃げた回数だけ溜まって行く。
8回目の逃げる実行で数字の桁が1つ上がり、4桁目の数字が1になってしまう。

  • 逃げた回数4・00000100
  • 逃げた回数5・00000101
  • 逃げた回数6・00000110
  • 逃げた回数7・00000111
  • 逃げた回数8・00001000 ←4桁目が「1」になっている

これが8逃げで会心の一撃が連発される現象の正体である。
 
開発スタッフは単純に「逃げるカウントが4以上溜まる戦闘がある」事を見落としていたようで、
海外版ROMでは別アドレス管理にされており、この現象は起こらなくなっている。
 
単純に4桁目の数字が1であるか0であるかだけで判断されているので、8回を過ぎてさらに逃げ続けていると、
16回目の逃げるをした所で「ちからがみなぎってきた」状態は解除されてしまう。
16は2進数で表すと「10000」になるからだ。
その後も24回目(11000)でまたスイッチが入り、32回目(100000)でオフになる…と言った具合に
8回ごとに繰り返されていく。
 
もちろん、正しくパルプンテを唱えて発生させた「みなぎってきた」状態であっても、
逃げるカウントを溜めていく事で途中で解除されてしまう。
 
この事実について、【内藤寛】が実際にプログラムを作った【山名学】に電話でインタビューしている様子をYouTubeに上げている。

余談

ちなみに1桁目から8桁目までのフラグは以下のようになっている。
8逃げ技があまりにも有名になっているが、実際は4回逃げた時点で異常が起こっている。

  1. 逃げた回数のカウント。「11」ならばボス戦以外で逃走が確実に成功する
  2. 逃げた回数のカウント。2桁目のみ「1」ならばボス戦以外の逃走確率が25%アップ
  3. 直前のターンの状況保存フラグ。「0」ならば保存する(後述)
  4. パルプンテによる「ちからがみなぎってきた」フラグ。「1」ならば力がみなぎる
  5. 戦闘中に敵を倒したフラグ。これが「1」ならば戦闘終了時に「○○をやっつけた」、
    「0」ならば「○○はいなくなった」のメッセージが出る
  6. 何のフラグか不明。情報求む(水増しなしだと32回逃げないと無理)
  7. 敵の種類数のフラグ。「1」ならば戦闘終了時にモンスター名ではなく「まもののむれ」と表示される
  8. 【ふしぎなきり】状態のフラグ。「1」ならば不思議な霧に包まれる

これらのフラグは密接に関連してしまっており、例えば逃げることで不思議な霧を発生させる場合、
通常は128回逃げなければならないが、複数グループとの戦闘ならば最初から7桁目が「1」なので64回で済む。
更にその複数グループのうち1体でも倒しておけば5桁目も「1」になるので、更に16回少なくなる。
 
3桁目は「戦闘中に時間を戻す処理」に関するフラグであり、少々挙動が複雑である。
【ときのすな】を使用すると3桁目が「1」になるが、通常一度しか使えない時の砂の使用フラグとは異なる。
【パルプンテ】でも同じ効果が発生する場合があるからだ。4回逃げて3桁目を「1」にしても時の砂は使える。
8逃げ技と照らし合わせつつ、時の砂を使用した例を示すと以下のようになる。

3回逃げて(011)4ターン目に時の砂を使用した場合
3ターン目に戻って7回逃げた(111)状態になる。
4回逃げて(100)5ターン目に時の砂を使用した場合
3ターン目に戻って7回逃げた(111)状態になる。

下の例では、1ターンしか戻れないはずの時の砂で2ターン戻ってしまっている。
 
そもそも時の砂の効果を実現するには、戦闘中「直前のターンの状況」を保存しておかなければならない。
しかし毎ターン保存するのは非効率なので、時の砂を使用した時点で保存を打ち切るようにしているのだ。
その判断を3桁目で行っており、3桁目が「1」になる(=時の砂を使用する)と保存を打ち切る。
ところが4回逃げて3桁目を「1」にしてしまっても同様に保存は打ち切られるので、
時の砂を使用した際の「直前のターン」がずれてしまうのだ(『3桁目が「1」になる直前のターン』に固定される)。
そして「直前のターンの状況」とは、この8桁の戦闘関連フラグも含まれるので、
5ターン目から3ターン目(011)に戻り、その上で時の砂を使用したことで3桁目が「1」になる、というわけだ。
この時の砂によるズレは、逃げ続けて3桁目を再び「0」にすると、また保存が再開するので解消される。