Z002106

Last-modified: 2009-10-19 (月) 21:26:31

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z002106     担当:竹本みかん
―――――――――――――――――――――――
 その日、俺たち2人はバラスト造船から借り受けている小型クルーザーに乗り、あてもなく黒海を突き進んでいた。
 風と波を切り裂いて突き進む気分は悪くはないが、せっかくのスーツが潮風で痛んでしまわないかどうかが気になって仕方がない。
 しかし、それよりもっと気になるのは――
「ねぇ、おじさん! ねぇーったら、ねぇーっ!」
 あくまでかりそめの相棒である女子高校生が何やら叫んでいる。
 俺は何かに気づいたのかと、クルーザーの速度を落して停止させる。
「……なんだ? どうした?」
「あのね、黒海ってそんなに黒くないんだねー」
「あぁ?」
「だからぁ、黒海って思ってたほどには黒くないんだねー、って」
 ……俺は頭が痛くなっていた。
 たまたまそうなっただけのことで仕方のないことだというのは判っている。だが、だからといってなんで埼玉県立大東京中等教育学校の女学生なんかと組まなくちゃならないんだ? これでも俺は泣く子も黙るSDDの一員だというのに。
 もし、こんなところを兄弟たちに見られでもしたら……ああっ、あまりのみっともなさに想像することすらできやしない。
「……でも来てよかったぁ。こんな事でもなければ、来られない場所だしね」
 全くもってその通りだ。
 現在、この黒海は観光では来られない場所。
 目下、人類とドラゴンとの間で繰り広げられている戦争の最前線。軍人かベオウルフでなければ、うろうろして良い場所ではなくなった。
 この美しい景色の中、どこからドラゴンが現われるのかが判らないのだ。
 もっとも戦線を押し返し続ければ、この先また誰もが訪れることの出来る場所になるだろう。俺たちはそのために、この辺りに出現するドラゴンを確認するべく、こうして小型クルーザーで黒海の上に浮かんでいるのだが。
「で……ドラゴンの姿は見えないのか?」
「んー、そうだねぇ……見当たらないかも」
「だったら、また移動だな。俺たちが奴らを見つけ出さなきゃ、攻め方も決められないわけだからな」
「そんなの、わかってるよぉ……あっ! ちょっと待って!!」
「ん? 見つけたのか?」
「んー? ちらっと。でも、アザラシかも?」
「……どこだ?」
「おじさん、アザラシ好きなの? ほら、あっち」
 女学生が指差した方角には、既にもう何もいなくなっていた。
「んー……あれー? おっかしいなぁ? 水の中に潜っちゃったのかなぁ?」
「……ちょっと待て。波の具合がおかしい。それに、泡だ。無数の泡が浮いて出てきている」
「アザラシにしては……ちょっと、大きすぎる泡だよね?」
 俺は無言でうなずくと女学生にトリガーを手にしておくよう、目で訴えた。
 次の瞬間、いよいよ想定していた事態が訪れた。
 波打つ海面が盛り上がり、水棲タイプらしいドラゴンの長い首が姿を現わす。
 俺たちは天地がひっくり返るかと思うほどの揺れに耐え、ドラゴンの動向をうかがい目を話さない。
 するとドラゴンは、俺たちを高いところから見下ろす感じで何やら言葉を発している。
「こいつ、何言ってるんだ? 多分、俺たちのことを馬鹿にしてるって気はするんだが……」
「きっと、ドラゴン語だよ」
「へぇ……判るのかい?」
「内容はちんぷんかんぷんだけど、ドラゴンにはドラゴン語があるんだって学校で習ったから」
「ほう……そんなことまで教えてくれるのか。なかなかいい学校なんだな」
「う、うん……生徒も先生も変わった人が多いけれどね……アハハ……」
 なぜそこで苦笑いをするんだろう?
 ベオウルフたちが学生として通い、竜退治を学ぶほどの学校だ。きっと、カリキュラムも俺が想像する以上に過酷なものばかりなのだろう。
 そんなことより、目の前のドラゴンだ。
 いきなり襲いかかってこないところを見ると、ソルジャー種ではなさそうだが……
「相手は1体。とにかくここはやるしかないぞ!」
「うん!」
 俺たちが手にかけているトリガーを構えようとした瞬間、またしても水面が大きく盛り上がる。
 それも今度は複数同時に。
 つまりそれは、ドラゴンの増援を意味している。
 俺は頭を切り換え、クルーザーの操縦桿に飛びついた。
「おい、なんでもいいからぶっ放せ! そして、すぐどっかにしがみつけ!」
「大丈夫! ある程度ひどい揺れでも平気だよ!」
 そう言って女学生は、旧式ライフルを即構えて発射した。
 銃声とドラゴンの悲鳴とが入り混じる中、俺は奴らから少しでも距離を取るべく、クルーザーを走らせる。
 その間も女学生のライフルは発砲し続け、ドラゴンたちに悲鳴を上げさせ続けている。
「おいっ! 倒せそうか?」
「わかんない! 急所狙ってるだけだから!」
 それはそれで大したもんだ。
 だが、これじゃあライフルがトラウマであったかどうかの判断は難しいな。
 とはいえ、俺たち2人だけでは、複数のドラゴンを相手にして生き残るというのはもっと難しい。
「よし、全力で逃げるぞ! 奴らを近づけるな!」
「やってみる!」

     ◇     ◇     ◇

 ――その後、俺たちはなんとか無事に逃げ切った。
 もしもパートナーの腕前が並程度だったら、借り受けていた小型クルーザー諸共、黒海の藻屑となっていたことだろう。
 こうして俺たちは、戦線本部に報告を終え、偵察任務を完了したのだった。

―――――――――――――――――――――――
「マスターより」
 黒海地域攻略戦の「戦線番号02」の主要構成がジェネラル種Eであることが判明しました(行動選択肢上では「不明」のままの表記です)。

B019813 対竜戦線「黒海地域攻略戦」に参戦する
(担当:???/地域:113)
戦線データ:戦線数:5
戦線番号01:第1戦線/ドラゴン軍攻撃力・10000:主要構成・シャンゴ
戦線番号02:第2戦線/ドラゴン軍攻撃力・不明:主要構成・不明
戦線番号03:第3戦線/ドラゴン軍攻撃力・1500:主要構成・シャンゴ
戦線番号04:第4戦線/ドラゴン軍攻撃力・2000:主要構成・シャンゴ
戦線番号05:第5戦線/ドラゴン軍攻撃力・10000:主要構成・ファフニール
UNDEO軍部隊配置:各戦線に支援ポイント2000ずつ
備考:対竜戦線のルールをお読みいただいた上で選択ください。

―――――――――――――――――――――――
ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~』の公式?サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。
―――――――――――――――――――――――
個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。
copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd.
―――――――――――――――――――――――