【住民】/リィラ・パーラディオ

Last-modified: 2022-11-26 (土) 04:46:36

アルファベット表記:Li'ra Pardio
人種:開拓の民
性別:女
年齢:20歳前後(大陸歴1595年/1575年前後生まれ*1
属性:秩序にして中庸
職業・立場:秘境開拓組合アルミリア支部総務(臨時配達員兼任)
活動時期:大陸歴1588年~1630年
発案者:tocoma110
Tag: 住民 開拓の民 秘境開拓組合 俄州 アルミリア市国 俄州戦争 発案:tocoma110


「あなたは笑っていないのに、何故笑っているのですか?」
「やっと、何を伝えたいか、それがわかったんです……」

概要

秘境開拓組合アルミリア支部に務める、楪州開拓の民の女性。
受付嬢を主に務めるが、らしからぬ無表情さから「受付人形」と揶揄されていた。
壮絶な過去を背負っていることから感情の起伏がわかりづらく、基本的に無表情。だが、根は非常に感受性の強い、優しい人物である。


実は若くして俄州戦争で戦っており、その時に左目が潰れ、精紋回路のある義眼を入れている。

 

詳細

口数は控えめで表情も硬いが、喋る時は意外とものを言うタイプ。
何かと直接的な物言いをしがちで、常識に疎いこともあって相手を困惑させたり怒らせることも多い。だが、彼女自身に悪意はなく、単純にコミュニケーションにやや難があるだけである。
そうした一方で無私の精神が強く、指示や頼み事を命令と解釈することも多かった。

  • こうした傾向はいずれも幼い頃からの扱いに起因しており、支部員として活動する中で少しずつ改善されていった。

自身は無自覚だが極めて感受性豊かな人物。
感情の発露や常識的感覚の薄さがあるだけで、実は他者の機微に聡い。人の抱える悩みや願いの本質にもよく気づくなど、本質的には思いやりに溢れている。


そうした感性は彼女の詩集趣味が大きく関係している。
軍属時代、恩人の下で得た情操教育の一つであり、彼女の数少ない趣味でもある。そこで出会った数多の言葉が、彼女の心に強く残っており、世界の受け止め方に大きく影響している。
そのため、時折詩的な言葉でものを表現する。

  • また、口下手なことへの自覚もあり、手紙や日誌でコミュニケーションをよく図った。
    実際、彼女の文章は流麗でわかりやすく、それでいてウィットにも富んでいる。
    なぜ普通に話せないのか、疑問になるほどに。
    • 誰かに見せることはほとんどないが、実は詩も書いていたりする。

また、「人の死」というものにも敏感。
目の前で誰かが死に瀕することを、無意識に嫌う。死に瀕する者の定義は極めて単純であり、それが親しい人間であれ、自身に襲い掛かる加害者であれ、変わりはない。
 
「死んでいい人間は、一人もいないんです」
 
この言葉が、彼女のスタンスを端的に表している。

  • こうした価値観に至る理由を、彼女の養い親は「感情の発露に「死」が大きく関わった故」と考えている。
    それに加え、加害者としての自覚があることも見過ごせない。
    「同じ喪失」を数えきれないほど作り出していた、それに気づいたことによる罪悪感は、あまりに大きい。
    • いずれにしても、自身に“こころ”を芽生えさせてくれた相手に対する後悔は大きく、若く幼い彼女の心に、呪いとなってのしかかることとなる。
       

外見

楪州系の浅黒い肌に、黒曜石のようにつややかで美しい黒髪と右目を持つ。

  • 長らくショートカットであったが、恩師との再会翌年頃から伸ばし始める。
    また、左の義眼は平時は黒いが、術式を起動すると微かに銀色の光を帯びる。

「受付人形」とあだ名されるが、実際見目も人形のように美しいことも理由であり、表情の乏しさと相まってつけられたものである。


背丈は俄州人女性としては平均よりやや高め。

 

来歴

幼少期~終戦まで

物心ついた時点で、大陸戦争時代にフレニシア連合が使っていた奴隷の一人であった。
家族すら知らない生まれついての奴隷、故郷のはずの楪州ではない俄州にてフレニシアの軍部に“飼われて”いた。
「死んでもいいがきっちり働く兵器」の一つとして育てられ、殺人と任務遂行の術のみを叩きこまれる日々を過ごす。
開戦後は兵器としての性質を如何なく発揮し、多数の戦場でガルディア帝国軍を殺害していく。
その中、ある作戦で出会った若き指揮官との触れ合いで、少しずつ情緒というものが育まれていく。当人は無自覚であったが、人としての道が開ける光が差し始めた。


しかし、育ちかけた情緒の芽は、顔を覗かせたまま止まってしまう。
彼女の心が感情を芽吹かせたのは、戦争終盤の作戦の混乱した状況下という最悪のタイミングだった。
流れ弾に撃たれた指揮官を見た時、彼女の中で感情と心が明確に結びついたのだ。
 
それまでの従順な姿が嘘のように、血で汚れ、涙を流しながら、瀕死の彼を救おうと足掻くも、大規模精術の煽りを受けて吹き飛び気絶。
以降、その生死すらも確かめられないまま、一人生き残ってしまう。
ようやく芽生えた感情は、大切な恩人への感謝と親愛を伝えたいが故のものだった。
しかし、その機会を失い、再びその感情は咲くことを恐れ、蕾のままとなってしまう。


その後、茫然自失でいたところを、秘境開拓組合アルミリア支部長に拾われる。
まもなく、彼女はアルミリア市国の開拓組合員として生きるため、教育を受けることとなる。

アルミリア支部在籍以降

教育を受けて以降、彼女は支部の一員として働き始める。
が、一般的な感覚を理解しきれていなかった彼女は、しばらくトラブルの種として支部を騒がせることになる。
しかし、同時にどこかずれているが故に、常識的な反応に捉われない彼女「だからこそ」舞い込む話というものも出始める。結果、彼女は市内の様々な人々の生活に触れ、知らず知らずのうちに様々なものを学んでいく。
そして、少しずつではあるが、その心を育み直していくこととなる。

  • この点について、彼女の働いていた場所が秘境開拓組合支部であったことは、大きな意味を持っている。
    開拓者のような風変わりな人間から、市内の業者や一般市民、その他様々な人間の依頼や噂が舞い込む環境である。加えて、戦争の影響も薄く、文化的な土壌も豊かで活気のあるアルミリアは、比較的平和で多彩な土地でもあった。それ故に、彼女も一辺倒ではない多様な視点・意見を摂取する機会を得られたと言える。
  • 「ケイ」なる友人との出会いもこの頃。

いくつものトラブルや、相談、依頼、事件を経験し、彼女は無自覚ながら少しずつ成長を積み重ね、失っていたはずの心の眼を再び芽吹かせる。
そして、アルミリアの黒嵐?を乗り越えた頃、彼女の人生に転機が訪れる。

死んだと思われていた恩人──若き指揮官が生きていたことを知るのだ。

恩人との再会と別れ

叶わぬと思っていた願いが叶うかもしれない。
そのことに戸惑う彼女だが、ケイを筆頭に多くの人に背を押され、指揮官の元へと足を運ぶ。
そうして訪れた辺境の村で、彼女は遂に最愛の指揮官と再会する。


大切な人との再会は彼女の心をこれまでになく満たした。
他のものなど目に入らぬほどの幸福が彼女に沁み込み、遠い港町のことなど頭から消し飛びかけていた。
しかし、幸せな夢には唐突な終わりが訪れる。
ケイによって告げられた、この村が亡霊現象であるという事実によって。


幽霊現象はただの幻ではなく、生者を取り込む負の渦でもある。
その中にいれば幸福な死を迎えられるが、それは同時に苦しみの中で得て来たものを捨てることでもあった。
 
そのことを知ったリィラは苦悩する。
恩人と暮らす日々は何より望んでいたはずの夢だった。けれども、アルミリアの日々もまた手放すにはあまりに大きかったのだ。
彼女にとって、アルミリアはもう“家”となっていた。
 
そのことに気づいた彼女は、最愛の人の幻に感謝と別れを告げる。
彼女の真摯な言葉を受け、恩人──幽霊現象の核は存在意義を失い、消滅する。
そして、拙い手紙を握りしめ続けていた亡骸を、彼女は大切に弔うのだった。

アルミリア支部帰還後

こうして人生に大きな節目を迎えた彼女は、その後も秘境開拓組アルミリア支部事務員として長く務め、半ば名物的な存在とまでなる。


恩人との別れ以降は表情も以前よりは豊かになり、また物腰や言動も柔軟さを増す。
そうしたことから、「受付人形」というあだ名も「人形のようにかわいらしい見た目の受付さん」というニュアンスに変わっていく。言い寄る男も現れていくが、彼女がなびくことはなかったという。

  • また、後年はその文才を生かしたという。
    ひっそりと詩集が出版されたり、代筆業なども始めたりと多岐にその才能を発揮した。

余談

友人「ケイ」との関係について

一言で言えば、長い期間を掛けた末に結ばれた、大切な人。


ケイ──フツマ・ケイリュウサイとは、街中でのトラブルに彼が首を突っ込んできたことが、出会いである。
荒くれの冒険者に襲われる同僚を救う際、彼が助太刀に入ったこと(というより一人で解決してしまう)、そして支部を探し迷っていた彼を案内したことが、すべての切っ掛けとなっている。
その際、彼の浮かべる笑顔がまるで笑顔に見えないことから、口をついた疑問から興味を持たれる。
が、それからすぐに大きな進展があったわけではない
。たまたま滞在する彼と出くわすことが多かったため、話す機会が他の開拓者よりも多かった……その程度のものであった。


しかし、縁というのは奇妙なもので、そこから彼女自身に掛かる、様々な案件・トラブルを共に解決していくことになる。
そうした関わりの中で、彼に信頼を覚えると共に、少しずつ彼の人となりやその来歴を知っていく。特に、「他者と関わること」を恐れるかのような姿に、「感情の芽吹き」を無意識に恐れる自分が重なり、奇妙な親近感を知らず感じ始める。
それを自覚したわけではないが、「何となく放っておけない」という曖昧な気持ちが生まれ、何かと関わる機会を増やしていく。

  • 隠していた弱音を零しこれまでの道のりを自嘲する彼に、無意味なことなどないと無根拠に告げてしまったほど、彼女は彼に親しさを覚えていた。

そして、恩人の元への旅に賛同し・同行してくれたことから、その信頼は強くなる。
訪問の後押しをしてくれただけでなく、その残酷な真実も教えてくれたこと、そして、そのすべてに最後まで付き合ってくれたこと。
そのことは彼女の心に強く刺さり、単なる友人以上の大きな存在感を、彼女に抱かせることになる。


そして、ある日、ケイがこの街を出ると聞いた時、明確に自分の中で育まれていた感情を自覚する。
しかし、ケイには背負うものがあることも知っていた彼女は、引き留めることが出来なかった。けれども、指揮官のような「次」という奇跡があるかもわからない。二つの答えに悩み抜いた末、彼女はその想いを伝えることを選ぶ。
初めは当惑したケイであったが、彼女の答えを受け止めてくれる。それに互いの気持ちが同じであることを知った彼女は、「いつまでも待っていますから」と小指で契りを交わす。
 
以降、彼女は支部員として働きながら、その帰りを待ち続けることとなる。


その後、旅に出たケイとは「手紙」にてやり取りを行なうようになる。
旅の経過を手紙で受け取り、行き先の支部宛てに返事送る、そんな習慣が根付くのだ。これは二人の関係をぐっと強める要因となったようで、彼が使命を終えて以降も、その腰を落ち着けるまでの間、長く長く続くことになる。


彼のことは「ケイ」と呼ぶが、これは単純に「ケイリュウサイ」という名前が、俄州的に呼びにくかったことに起因する。

 

装備・保有する特殊な技術

元軍属戦略兵器ということもあり、戦闘員としての腕前は極めて高い。
下手な武芸者・衛士などよりよほど頼りになると有名。そのため、事務や総務以外にも秘境への配達業務なども請け負っている。
対獣・対遺産的な戦闘はやや専門外だが、逆に対人戦においては金級開拓者相手でも互角以上に渡り合えた*2。特に暗殺技術に長けており、多用な武器のみならず貫手なども多用する。

  • ただし、現在は前述の通り「人の死」に敏感なため、命を奪う行動はとれない。
    それ故に、戦闘員としては致命的な隙を持つようになってしまう。

波音術などの心得はないが、左目の義眼である程度空間の精素状態を把握することが出来、それによって状況変化を察する、などの芸当が可能。
また、精武術ならば多少の心得はあり、瞬間的な強化系や倍撃系の技術を持っていた。

 

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相談コメント欄


*1 正確な生年月日は不明。
*2 純然たる真っ向勝負では五分、乱戦や奇襲込みならば有利。流石に戦闘技能型の金級相手は厳しいが、防戦は負傷込みで行なえる程度……とケイは見ている