おなかがすいた。 | |||
からっぽ、いっぱいにしたい。 | |||
ガチャ。 | |||
しってるおと。 | |||
たべものがきた? | |||
いやな声 | ……地底での観測…… | ||
知らない声 | ……いよいよまずいな……これじゃ…… | ||
くらいあおのこえ。ちかづくと、いたい。 | |||
いたい、くるしい、きらい。 | |||
知らない声 | 残った奴らと話し合ってみたらどうだ?今後、どうするかについて…… | ||
知らない声 | 最近、ずっと一人で行動してるようだけど、人間から新しい命令があったのか? | ||
いやな暗い青 | 人間からの応答はない。 | ||
知らない声 | そりゃそうだ……奇跡なんて起こるわけないか。 | ||
知らない声 | もう少しこっちに来るかい?暗いのが怖いんだろう? | ||
いやな暗い青 | ああ。 | ||
知らない声 | もうすこし俺たちにも頼ってくれよな。ひどい有様だし、こういう時こそ…… | ||
知らない声 | ……ん?なんでオペランドを断ったんだ?俺の装備になにか問題でも…… | ||
ドンッ―― | |||
知らない声 | ——タラナム?!! | ||
いたくなるかべがひらいて、なにかおちてきた。 | |||
しらないこえはたべもの、たべていい。 | |||
知らない声 | うぅ……体が、動かない…… | ||
かみついて、ひっぱる。 | |||
あばれてる、おとなしくさせなきゃ。 | |||
知らない声 | なっ、なんだこいつは……!? | ||
知らない声 | くっ、来るな!!この化け物!!! | ||
知らない声 | 助けてくれ……タラナム!!化け物に攻撃された!! | ||
いやなくらいあお、かおをきゅっとした。 | |||
いやな暗い青 | …… | ||
食べ物の声 | ……タラナム?なに見てるんだ……はやく助けろ!! | ||
くらいあおがふるえてる。くらいあおがあっちをむいた。 | |||
食べ物の声 | まさか、仲間が消えていったのは、全部お前が…… | ||
いやな暗い青 | ……ごめんなさい。 | ||
たべものはうるさい、きらい。 | |||
食べ物の声 | がぁぁっ!あ、足が…… | ||
食べ物の声 | やめろ……やめろ! | ||
食べ物の声 | タラナム!助けてくれ、お願いだ! でないと……#¥……#&%あ、が…… | ||
しばる、かみちぎる、たべる、のみこむ…… | |||
おぺらんど……おぺらんどがほしい。 | |||
食べ物の声 | タ%¥……ラナ#……¥&…%#@@はや……ぁぐ…… | ||
いやな暗い青 | 命令には逆らえない。 | ||
いやなくらいあお、いたそうにしてる。 | |||
いやな暗い青 | 命令には……逆らえない。 | ||
いやな暗い青 | ごめんなさい…… | ||
しってることば、しってるけしき、なんどもみた。 | |||
くらいあおは、すごくいたそう。くらいあおがいたいと、うれしい。 | |||
ぜんぶたべた。おいしくなかった。すごくうれしい。 | |||
おなか、もうからっぽじゃない。 | |||
…… | |||
くらいあお、もういたくないみたい。 | |||
いやな暗い青 | レポートID1014:デミウルゴスの状態は正常。 | ||
これのこと……よんでる? | |||
またいたくする? | |||
デミウルゴス | ■■■■■……■■■■……? | ||
デミウルゴス | ■■■■■■■? | ||
いやな暗い青 | デミウルゴスの状況は至って良好。食事を終えると活発な様子を見せた。 | ||
いやな暗い青 | 次の実験段階に入る、拘束プログラム起動。 | ||
くらいあおが、ひかるいしにさわった。 くろいつめが、いしのなかからでてくる。 | |||
つめがつかまえにきた!こわい! | |||
にげろ! | |||
いたいかべにぶつかった。つめにつかまった。 | |||
いたいのが、はじまる。 | |||
くらいあおは、きらきらしたほそいのを、これにさした。 | |||
なにか、あたたかいみずが、そとにでていく。 | |||
いたい。いたい……いたいいたいいたいいたい! | |||
デミウルゴス | ■■■!■■■……■■■■■■■■■! | ||
いやな暗い青 | 言語システムのひな型が形成されたようだ。さらなる実験を続ける。 | ||
いやな暗い青 | 本プロジェクトを優先事項とする。助手は登録手続きを―― | ||
いやなくらいあおが、とまった。 | |||
これのたべたあとをみて、かおをまたきゅっとする。 | |||
からだにささったの、うごかなくなった。 こわれたところがいたい。いつおわる? | |||
いやな暗い青 | ……優先項目として登録完了。 | ||
いやな暗い青 | 現在のプロジェクトを続行:再生能力試験。 | ||
デミウルゴス | ■■■——■■■——! | ||
いたい。うでがあつい。 | |||
てが、なくなった。 | |||
はじっこから、すこしずつきえていく。 | |||
いたいいたいいたいいたいいたいいたい! | |||
いたいいたいいたいおなかすいたすいたすいたすいたすいたすいたすいたすいたすいたすいた。 | |||
いやな暗い青 | 切断完了、のべ48パーツ。 | ||
からだが、はんぶんになった。てが、たくさんになった。 | |||
おぺらんどをつかわなきゃ。なおさなきゃ、うごかなきゃ。 | |||
いやな暗い青 | 対象は依然抵抗中、再生速度が明らかに上昇。 | ||
はやくうごけ。はやくにげろ、 にげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろ。 | |||
いやな暗い青 | 切断した組織はエントロピーの個体へと変異中。 | ||
おちた「て」がうごいた。 | |||
「て」からみえる。「て」からきこえる。おちた「て」をうごかせる。 | |||
てとあしから、てとあしがはえた。 | |||
てとあしはうごける。はやくはしれ、はやくにげろ―― | |||
いやな暗い青 | 本体は再生終了。新たに生まれたエントロピー個体を捕獲する。 | ||
てとあしが、くらいあおにつかまった。 | |||
いやな暗い青 | 捕獲完了。本体の再生速度が103.3%上昇。オペランド容量レベルの向上が原因とみられる。 | ||
だいきらい!いやなくらいあお!! | |||
あたらしい「て」で、ぶってやる。 | |||
いやな暗い青 | ……攻撃力が32.4%上昇。 | ||
いやな暗い青 | 痛い……これは私への罰か。 | ||
くらいあおはたべれない。でも、くらいあおはきずつく。 | |||
うれしい。すごくうれしい。 | |||
あたらしい「て」が、たくさんになった。いたい。 くらいあおもいたい。うれしい。 | |||
でも、いたい。すごくいたい。おなかすいた。 | |||
…… | |||
なんにちも、なんにちもたった。 | |||
これはおおきくなった。いたいかべはおおきくならない。 | |||
これはまるくなる。あたらしいたべものもまんまる。 | |||
新しい食べ物 | 【エントロピーを検出、警告、警告——】 | ||
いやな暗い青 | レポートID4014:デミウルゴスのメンタルが飛躍的に進化している。 | ||
まんまるのたべものをつかまえて、たべた。すこしおなかがふくれた。 | |||
それをてあしにできる。まわしてあそぶ。 | |||
食べ物の声 | 【エントロピーを……ピーー、ピーー、検出に失敗……】 | ||
食べ物の声 | 【システムエラー、再構築を要請……再$@##^构#¥……ラヴ……】 | ||
いやな暗い青 | 浄化者を投下したところ、浄化者にエントロピー化の傾向が見られた。 | ||
デミウルゴス | サイ……コウ、チク? | ||
いやなくらいあお、まだいる。 | |||
くらいあおはたべられない、どうして? | |||
ひかりのなかに、かえってしまう。 | |||
ひかりは、とくべつ? | |||
いやな暗い青 | エージェントを一定数投下したところ、対象の発声システムが進化し、より複雑な発音が可能となった。 | ||
デミウルゴス | ……シン、カ……ハツ……オン? | ||
わからない。ひかりのことば? | |||
ひかりのなかには、なにがある? | |||
しりたい。ちいさいてあしも、かおをだした。それもしりたがってる。 | |||
くらいあおが、ちいさいてあしをみた。 | |||
だめ!つれていかないで! | |||
いやな暗い青 | ……対象は切断された身体の一部から、新たな種類のエントロピーを産み出した。おそらく、オペランド利用率の上昇が原因か。 | ||
いやな暗い青 | 新種のエントロピーに対し、対象は他とは異なる反応を見せている。観察を続ける。 | ||
くらいあおがいなくなった。それをつれていかなかった。 | |||
ちいさいてあしがないた。 | |||
まもらなくちゃ。ちいさいてあし。 | |||
くらいあおは、いたいかべをひらいた。 ひかりとたくさんのみずが、いっしょにおちてくる。 | |||
くらいあおは、ひかりのなかにきえた。 | |||
くらいあおは、いたくない。くらいあおは、きえた。ひかりも、きえた。 | |||
ひかりがきえたところを、さわってみる。いたい。 | |||
ひかりがあれば、いたくない。 ひかりがおちてくれば、いたくなくなる。 | |||
ひかりのなかに、いきたい。 | |||
さわりたい。 | |||
……ひかりがないところは、もういや。 | |||
…… | |||
うごけるてあしが、たくさんふえた。 | |||
ちいさいてあしは、ずっとそばにいる。これがずっとまもってる。 | |||
いつもないてる、ちいさいてあし。これのからだのうえで、あそんでる。 | |||
いやなくらいあおを、おもいだした。 | |||
くらいあおは、いつもぼーっとしてる。 なにもないところをみて、ぼーっとしてる。 | |||
てあしがない。だから、くらいあおはいたい。 | |||
てあしがある。だから、これはいたくない。 | |||
ちいさいてあしを、さわってみる。キキ、キキ。 | |||
それはいった、ひかりのなかにいきたいと。 | |||
ひかりのなかにいきたいと。 | |||
…… | |||
ひかりがきた。でも、いやなくらいあおはいない。 | |||
ひかりから、くろいてあしがおちてきた。 これにはうごかせない、くろいてあし。 | |||
黒い手足 | まぁ、さっそく手をつなぎにきたの?無礼な役者もいたものね。 | ||
うごかせない。くろいてあしは、いうことをきかない。 かってにうごきまわる。 | |||
こんなてあし、はじめて。あちこちひっぱる。 てあしは、これをよけた。 | |||
黒い手足 | だーめ。他の役者を操ろうとするのはNGよ。 | ||
黒い手足 | でも、この幕の間だけなら、あなたの手足になってあげる。 | ||
デミウルゴス | テ……アシ……? | ||
黒い手足 | まだ舞台設定をよく知らないのでしょう?心配いらないわ、脚本はゆっくり読み込むものだから。それに、時間はたっぷりある。 | ||
くろいてあしは、かるい。 | |||
ふわふわのからだで、おどってる。 | |||
黒い手足 | ほら、もう台詞を覚えたわ。 | ||
黒い手足 | ■■■■、■■■■■■…… | ||
あたらしいてあしが、これとおなじことばをしゃべった。 | |||
おどろいた、うれしい! | |||
黒い手足 | 初めまして。私はオディール、あなたの仲間よ。 | ||
オディール | なんとお呼びすればいいかしら、幼いお嬢さん? | ||
オディール | あら……主の仰るよりだいぶ大きいのね。レディなんてどう? | ||
デミウルゴス | ■■■■■■。 | ||
黒い手足 | デミウルゴスというの。それじゃ、私がここへ来た目的をご説明するわ。 | ||
黒い手足 | 私はあなたを自由にするためにやって来たのよ、「デミウルゴス」さん。 |