コプリー 標準 PART.17 博打

Last-modified: 2024-11-30 (土) 18:29:14

ソルエントロピーの攻勢が弱まってる!
{教授}アントニーナが障壁の効率を上げたんだ。一旦撤退するぞ!
ソル了解!
 私たちが制御室に着く頃、ちょうどアントニーナが仕上げに入っていた。
スクリーン上に映し出された数本の曲線が、
障壁の稼働効率が徐々に高まってゆくのを表している。
ソルアントニーナ、さっきはありがと!
 ソルは珍しく、アントニーナの本名を呼んだ。
ソルタラナムの犠牲は、無駄じゃなかった。
アントニーナええ。
アントニーナ障壁の強度は、60秒以内に2倍へと到達します。
ソルあんたらの言う通りだった。障壁で信号を遮断するとエントロピーは指揮を失う。
ソルこのままいけば、本当にオディールを助けられるかもしれない……
アントニーナ……
ソルどうしたの、アンナ?何か心配?
アントニーナいいえ、後にしましょう。
アントニーナ計画が順調なのは確かですが、こうも早く戻ってくるとは。
ソルどうかしたの?
(選択)1.分析してみる。A
2.黙っている。B
A{教授}あのエントロピーたちの目的は障壁を破壊すること。
ここを襲ったのはコンソールが目当てだ。
{教授}私たちが障壁を補強してしまえば、奴らがここを攻撃する意味はなくなる。C
Bアントニーナ嫌な予感がするんです。C
Cソルいいじゃん、そんなことどうだって。敵の攻勢が弱まったんだから、この隙にここを出てペルシカたちと合流しようよ!
アントニーナそうですね――
{教授}……いや、まだだ。
アントニーナえっ?
{教授}そろそろ通信が来る頃だ。
 すると、ペルシカからの通信が届いた。
ペルシカ教授!気候ステーションに到着しました!
ペルシカすぐにシュミレーターを起動して……あっ、ドレーシーさん、押さないで……
ドレーシー教授~~ッ、聞こえます~~?
ドレーシーペルルンったらもう、わたしが連絡するって言ったのに――
ペルシカ今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう!
ペルシカあの……も、申し訳ありません、教授……そちらは順調ですか?
{教授}海底障壁は補強したよ、エントロピーの動きが明らかに鈍くなってる。
ペルシカ良かった!ではすぐに気象サポートを行います!
ペルシカ教授、どうか安全にはお気をつけて!
ペルシカそれじゃ、一旦切りますね。
ドレーシーあ~ん、ペルルン待って――
 【通信終了】
ソルやったぁ!ペルシカのほうも成功だ!
 しばらくすると、外からパラパラと雨の音が聞こえ始めた。
ソルあれっ、雨だけなの?てっきり雷とか竜巻が来ると思ってたのに……
アントニーナ極端な天気だと、こちらも被害に巻き込まれかねませんからね。
アントニーナ豪雨なら戦場のエントロピー液を押し流せますし、エントロピーを弱体化できる。最も適した手段ですよ。
ソルなるほど~!
{教授}ソル。アドミンセンター付近のエントロピーは任せたよ。
ソル了解ッ!
 数十秒もすると雨は突如激しくなり、エントロピーの叫び声は完全にかき消された。
雨音を背負ったソルが、再び戦場に立つ――
エントロピー……!
 エントロピーが鋭い咆哮を上げた。
雨が彼らのエントロピー液を洗い落とし、押し流してゆく。
ソルまずはお前ら怪物を蹴散らす!そうしたら……デミウルゴスとの決着をつけてやる!
 
 ……一方、アドミンセンター。
アントニーナ二手に分かれた作戦は成功しました。なぜまだここにいる必要が?
アントニーナ納得のいく理由をお聞かせ願えますか、教授?
(選択)1.もちろん。D
2.エントロピーの様子が気になるんだ。E
D{教授}私たちが障壁を補強しただけで、エントロピーの攻勢は瞬時に弱まった。
{教授}信号を遮断され指揮を失ったエントロピーが、
ここまで素早く撤退できるとは思えない。これはまるで……
アントニーナまるで「緊急プラン」に従って行動しているかのよう。F
Eアントニーナ確かに、あなたの言うとおりです……
アントニーナ障壁を補強し、エントロピー同士の信号を遮断したにも関わらず、彼らは混乱に陥ることなく、整然と撤退し始めた。
{教授}これが彼らの「緊急プラン」なのかもしれない。
デミウルゴスは連絡が途絶えた時のために、
事前にエントロピーに命令を下していたんだ。
F
Fアントニーナですが、ここに留まることと何の関係が?その「緊急プラン」が何なのか、すぐにでも調べるべきでは……
{教授}エントロピーに緊急プランがあるからには、こちらにも必要だ。
{教授}アントニーナ、アドミンセンターの通信装置は使えるか?
アントニーナ通信装置……?壊れてはいますが、修復に時間はかからないかと。
アントニーナ待ってください、まさか……
 
{教授}君はここにいてくれ。
アントニーナ考え直す気はなさそうですね。
アントニーナお供しますよ、目を離すわけには行きませんから……
 
 アドミンセンターの外では、
ソルが破竹の勢いで大部分のエントロピーを斬り伏せていた。
 しかし、残ったエントロピーは……
ソルチッ、勝てないとわかったら逃げんのか!?
ソル逃げ足の速いヤツ……いや、この場合は逃げ触手……?
アントニーナ遊んでますね、エントロピーはもう?
ソルまぁね。あ~、すーっとした!
ソル教授の言った通りだ。攻め入れないと知ったとたん逃げ出しやがる。
アントニーナだからといって油断は禁物です。エントロピーの逃げた先は?海ですか?
ソルうん。
ソルあたしたちが溺れた海だよ……今はどうなってるか想像もつかないな……
アントニーナデミウルゴスはまだ、あの海にいる。
アントニーナ私たちでデミウルゴスを倒し、ソースコードを手に入れ、みんなを助けるんです。絶対に。
ソルうん。忘れるもんか、クロックがあたしたちを待ってるんだ……
ソルっていうか、アンナ……もしかして機嫌悪い?教授と何かあった?
アントニーナ……
アントニーナアントニーナです。
ソルわかったよ、それは。ここで逸れたエントロピーを処理してるから、あとで合流して!
アントニーナこんなに頼りになるなんて、あなたらしくもない。
ソルヒドイな~。オアシスを救う責任があるんだから、当たり前でしょ?
 
 ……やがて、一行は合流を果たした。
 海面には黒紫色の巨大な洞穴が、さながら海に映る暗月のごとく横たわっている。
 無数の触手が半狂乱に洞穴の縁を蚕食し、
白紙を火で炙るかのように、有無を言わさず穴全体を押し広げてゆく。
アントニーナ海の裂け目が……以前にも増して大きくなってますね。
ソルまるで地獄の入り口だ。
ソルデミウルゴスが陸に逃げたら……どうなるの?
アントニーナあれが障壁による制約と信号の遮断を失えば――
これまで以上に……いえ、誰よりも厄介な相手となるでしょう。
アントニーナしかも、彼女の知性は目覚ましい速度で成長しています。
{教授}地下でも、こっちの言葉をすぐに理解したしね。
アントニーナそういった補足は不要ですから……
ソル……あのさ、二人……何かあった?
アントニーナ……
それはさておき、デミウルゴスが事前に下した命令に従い、エントロピーは目標を変え海へと戻りました。
ソル目標を変えた?つまり、障壁に信号を遮断される前から、エントロピーは撤退を考えてたってこと?
ソルもしかして、裏で何者かがデミウルゴスに協力してるとか?……まさか、オディール?
アントニーナ可能性はありますね。
ソル面倒なことになってきたな……
アントニーナ頭を掻くのはやめなさい、それ以上ボサボサにしてどうします。
{教授}初塵に任せよう。障壁を補強する前に、デミウルゴスの足止めを彼女に頼んだ。
ソルえっ?一人で大丈夫なの?
{教授}いや、彼女には仲間がいる。
{教授}囚われた女王の成長が、緩やかであることを祈ろう。