ソル | エントロピーの攻勢が弱まってる! | ||
---|---|---|---|
{教授} | アントニーナが障壁の効率を上げたんだ。一旦撤退するぞ! | ||
ソル | 了解! | ||
私たちが制御室に着く頃、ちょうどアントニーナが仕上げに入っていた。 スクリーン上に映し出された数本の曲線が、 障壁の稼働効率が徐々に高まってゆくのを表している。 | |||
ソル | アントニーナ、さっきはありがと! | ||
ソルは珍しく、アントニーナの本名を呼んだ。 | |||
ソル | タラナムの犠牲は、無駄じゃなかった。 | ||
アントニーナ | ええ。 | ||
アントニーナ | 障壁の強度は、60秒以内に2倍へと到達します。 | ||
ソル | あんたらの言う通りだった。障壁で信号を遮断するとエントロピーは指揮を失う。 | ||
ソル | このままいけば、本当にオディールを助けられるかもしれない…… | ||
アントニーナ | …… | ||
ソル | どうしたの、アンナ?何か心配? | ||
アントニーナ | いいえ、後にしましょう。 | ||
アントニーナ | 計画が順調なのは確かですが、こうも早く戻ってくるとは。 | ||
ソル | どうかしたの? | ||
(選択) | 1.分析してみる。 | A | |
2.黙っている。 | B | ||
A | {教授} | あのエントロピーたちの目的は障壁を破壊すること。 ここを襲ったのはコンソールが目当てだ。 | |
{教授} | 私たちが障壁を補強してしまえば、奴らがここを攻撃する意味はなくなる。 | C | |
B | アントニーナ | 嫌な予感がするんです。 | C |
C | ソル | いいじゃん、そんなことどうだって。敵の攻勢が弱まったんだから、この隙にここを出てペルシカたちと合流しようよ! | |
アントニーナ | そうですね―― | ||
{教授} | ……いや、まだだ。 | ||
アントニーナ | えっ? | ||
{教授} | そろそろ通信が来る頃だ。 | ||
すると、ペルシカからの通信が届いた。 | |||
ペルシカ | 教授!気候ステーションに到着しました! | ||
ペルシカ | すぐにシュミレーターを起動して……あっ、ドレーシーさん、押さないで…… | ||
ドレーシー | 教授~~ッ、聞こえます~~? | ||
ドレーシー | ペルルンったらもう、わたしが連絡するって言ったのに―― | ||
ペルシカ | 今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう! | ||
ペルシカ | あの……も、申し訳ありません、教授……そちらは順調ですか? | ||
{教授} | 海底障壁は補強したよ、エントロピーの動きが明らかに鈍くなってる。 | ||
ペルシカ | 良かった!ではすぐに気象サポートを行います! | ||
ペルシカ | 教授、どうか安全にはお気をつけて! | ||
ペルシカ | それじゃ、一旦切りますね。 | ||
ドレーシー | あ~ん、ペルルン待って―― | ||
【通信終了】 | |||
ソル | やったぁ!ペルシカのほうも成功だ! | ||
しばらくすると、外からパラパラと雨の音が聞こえ始めた。 | |||
ソル | あれっ、雨だけなの?てっきり雷とか竜巻が来ると思ってたのに…… | ||
アントニーナ | 極端な天気だと、こちらも被害に巻き込まれかねませんからね。 | ||
アントニーナ | 豪雨なら戦場のエントロピー液を押し流せますし、エントロピーを弱体化できる。最も適した手段ですよ。 | ||
ソル | なるほど~! | ||
{教授} | ソル。アドミンセンター付近のエントロピーは任せたよ。 | ||
ソル | 了解ッ! | ||
数十秒もすると雨は突如激しくなり、エントロピーの叫び声は完全にかき消された。 雨音を背負ったソルが、再び戦場に立つ―― | |||
エントロピー | ……! | ||
エントロピーが鋭い咆哮を上げた。 雨が彼らのエントロピー液を洗い落とし、押し流してゆく。 | |||
ソル | まずはお前ら怪物を蹴散らす!そうしたら……デミウルゴスとの決着をつけてやる! | ||
……一方、アドミンセンター。 | |||
アントニーナ | 二手に分かれた作戦は成功しました。なぜまだここにいる必要が? | ||
アントニーナ | 納得のいく理由をお聞かせ願えますか、教授? | ||
(選択) | 1.もちろん。 | D | |
2.エントロピーの様子が気になるんだ。 | E | ||
D | {教授} | 私たちが障壁を補強しただけで、エントロピーの攻勢は瞬時に弱まった。 | |
{教授} | 信号を遮断され指揮を失ったエントロピーが、 ここまで素早く撤退できるとは思えない。これはまるで…… | ||
アントニーナ | まるで「緊急プラン」に従って行動しているかのよう。 | F | |
E | アントニーナ | 確かに、あなたの言うとおりです…… | |
アントニーナ | 障壁を補強し、エントロピー同士の信号を遮断したにも関わらず、彼らは混乱に陥ることなく、整然と撤退し始めた。 | ||
{教授} | これが彼らの「緊急プラン」なのかもしれない。 デミウルゴスは連絡が途絶えた時のために、 事前にエントロピーに命令を下していたんだ。 | F | |
F | アントニーナ | ですが、ここに留まることと何の関係が?その「緊急プラン」が何なのか、すぐにでも調べるべきでは…… | |
{教授} | エントロピーに緊急プランがあるからには、こちらにも必要だ。 | ||
{教授} | アントニーナ、アドミンセンターの通信装置は使えるか? | ||
アントニーナ | 通信装置……?壊れてはいますが、修復に時間はかからないかと。 | ||
アントニーナ | 待ってください、まさか…… | ||
{教授} | 君はここにいてくれ。 | ||
アントニーナ | 考え直す気はなさそうですね。 | ||
アントニーナ | お供しますよ、目を離すわけには行きませんから…… | ||
アドミンセンターの外では、 ソルが破竹の勢いで大部分のエントロピーを斬り伏せていた。 | |||
しかし、残ったエントロピーは…… | |||
ソル | チッ、勝てないとわかったら逃げんのか!? | ||
ソル | 逃げ足の速いヤツ……いや、この場合は逃げ触手……? | ||
アントニーナ | 遊んでますね、エントロピーはもう? | ||
ソル | まぁね。あ~、すーっとした! | ||
ソル | 教授の言った通りだ。攻め入れないと知ったとたん逃げ出しやがる。 | ||
アントニーナ | だからといって油断は禁物です。エントロピーの逃げた先は?海ですか? | ||
ソル | うん。 | ||
ソル | あたしたちが溺れた海だよ……今はどうなってるか想像もつかないな…… | ||
アントニーナ | デミウルゴスはまだ、あの海にいる。 | ||
アントニーナ | 私たちでデミウルゴスを倒し、ソースコードを手に入れ、みんなを助けるんです。絶対に。 | ||
ソル | うん。忘れるもんか、クロックがあたしたちを待ってるんだ…… | ||
ソル | っていうか、アンナ……もしかして機嫌悪い?教授と何かあった? | ||
アントニーナ | …… | ||
アントニーナ | アントニーナです。 | ||
ソル | わかったよ、それは。ここで逸れたエントロピーを処理してるから、あとで合流して! | ||
アントニーナ | こんなに頼りになるなんて、あなたらしくもない。 | ||
ソル | ヒドイな~。オアシスを救う責任があるんだから、当たり前でしょ? | ||
……やがて、一行は合流を果たした。 | |||
海面には黒紫色の巨大な洞穴が、さながら海に映る暗月のごとく横たわっている。 | |||
無数の触手が半狂乱に洞穴の縁を蚕食し、 白紙を火で炙るかのように、有無を言わさず穴全体を押し広げてゆく。 | |||
アントニーナ | 海の裂け目が……以前にも増して大きくなってますね。 | ||
ソル | まるで地獄の入り口だ。 | ||
ソル | デミウルゴスが陸に逃げたら……どうなるの? | ||
アントニーナ | あれが障壁による制約と信号の遮断を失えば―― これまで以上に……いえ、誰よりも厄介な相手となるでしょう。 | ||
アントニーナ | しかも、彼女の知性は目覚ましい速度で成長しています。 | ||
{教授} | 地下でも、こっちの言葉をすぐに理解したしね。 | ||
アントニーナ | そういった補足は不要ですから…… | ||
ソル | ……あのさ、二人……何かあった? | ||
アントニーナ | …… それはさておき、デミウルゴスが事前に下した命令に従い、エントロピーは目標を変え海へと戻りました。 | ||
ソル | 目標を変えた?つまり、障壁に信号を遮断される前から、エントロピーは撤退を考えてたってこと? | ||
ソル | もしかして、裏で何者かがデミウルゴスに協力してるとか?……まさか、オディール? | ||
アントニーナ | 可能性はありますね。 | ||
ソル | 面倒なことになってきたな…… | ||
アントニーナ | 頭を掻くのはやめなさい、それ以上ボサボサにしてどうします。 | ||
{教授} | 初塵に任せよう。障壁を補強する前に、デミウルゴスの足止めを彼女に頼んだ。 | ||
ソル | えっ?一人で大丈夫なの? | ||
{教授} | いや、彼女には仲間がいる。 | ||
{教授} | 囚われた女王の成長が、緩やかであることを祈ろう。 |