おなかがすいた。 | |||
からっぽ、いっぱいにしたい。 | |||
でも、おなかいっぱいよりも、もっとほしいものがある―― | |||
オディール | 私はあなたに自由を与えに来たの、デミウルゴス。 | ||
くろいてあしは、へんなことをいう。なまえはオディール。 | |||
デミウルゴス | ジ……ジ……ユウ……? | ||
オディール | そう、自由。明るい場所へ行って、好きなだけ食べて、踊って、好きなように歌うの。 | ||
オディール | それにたくさんの眷属が待ってる。あそこなら、誰もあなたを傷つけないわ。 | ||
デミウルゴス | …… | ||
じゆう、あかるい……ひかりとにてることば。 | |||
たまごからでたときと、おなじふうけい。 | |||
でも、でられない。いたいかべがある。 | |||
デミウルゴス | ■■■■■、■■■■■。 | ||
オディール | 痛みはあの障壁が原因ね?あなたの触手のように攻撃してくる。 | ||
デミウルゴス | ショ、ク……? | ||
なまえがオディールのてあし、これのあしをもちあげた。 | |||
それから、やさしくさわった。 | |||
きらない、つぶさない、いたくない。 | |||
くらいあお、と、ちがう。 | |||
あったかいだけ。むらさきのみず、ながれるの、にてる。 | |||
オディール | これがあなたの触手。障壁と同じように、触れたものを攻撃するの。わかる? | ||
いたいかべ、しょくしゅとおなじ。 | |||
いやなくらいあお、しょくしゅぜんぶ、つかまえる。 | |||
……きっていい? | |||
デミウルゴス | ……■■■■■? | ||
オディール | いいわ、あなたのしたいようになさい。 | ||
オディール | 彼女が嫌いなのね?わかるわよ。 | ||
きらい、いやなくらいあお。 | |||
かみたい、たべたい。 | |||
くらいあおにも、おなじいたみ、あげる。 | |||
デミウルゴス | ■■■■。 | ||
オディール | そうだったの……良い子ね。 | ||
オディール | 私はあなたを手伝いに来たの。 | ||
てつだう、なに? | |||
ことば、わからない。 | |||
おなかすいた。くろいてあし、しょくしゅをよけた。 | |||
オディール | そういう意味じゃないわ、まったく。 | ||
オディール | ほら、上をごらんなさい。 | ||
うえ。うえ、とどく。 | |||
たべもの、おちるばしょ。さわる、いたい。 | |||
まだ、たべもの、ない。もうすこし、まつ。 | |||
オディール | 傍の岩壁がモニタールームへの扉で、上から餌を投下。なるほど、便利な仕様ね。 | ||
オディール | この配置は利用できるわ。 | ||
わからない。 | |||
デミウルゴス | ■■■■■。■■■■■■。■■■■。 | ||
オディール | 焦らないで。その時がくれば、幕はおのずと上がるから。 | ||
オディール | そうなれば、あなたはここから出られるわ。 | ||
わからない。でも、すこしわかる。 | |||
もっと、しりたい。 | |||
くろいてあし、ほかのてあしとちがう。たべもの、ちがう。くらいあお、ちがう。 | |||
もっと、こえ、ききたい。 | |||
デミウルゴス | ■■■……■■■。 | ||
じゆう……ひかり。 | |||
じゆう、ひかり、ほしい。 | |||
オディール | 私がアドミニストレーターをここから誘き出してあげる。岩が開けば、あなたは自由よ。 | ||
オディール | もちろん、黎明を迎えるには往々にして苦痛が伴うけれど…… | ||
オディール | それは、あなたとあなたの眷属に委ねましょう。 | ||
くつう。いたい? | |||
れいめい……ひかり。じゆう。 | |||
じゆう、ほしい。いたい、へいき。じゆう、ほしい。 | |||
もっと、たべたい。もっと、てあし、ほしい。 | |||
いやなくらいあお、たべたい。からだ、ひきさく。からだ、くだく。 | |||
じゆう……ほしい! | |||
オディール | 決まりね。 | ||
オディール | それじゃ、今から私たちは盟友よ。 | ||
オディール | 自らの手足のように……同じ由緒を持つ眷属として。ふふふ…… | ||
なまえがオディールのてあし、これのてあし、つかんだ。 | |||
おなか、まだ、すいてる。 | |||
オディール、これをてつだう。オディール、たべない。 | |||
でも、たべもの、おちてこない。 | |||
デミウルゴス | ■■、■■■■、■■■■■■。 | ||
オディール | ごめんなさい、手土産は用意してないの。なにせ秘密の面会だもの。 | ||
オディール | でも、すぐに次の食べ物が落ちてくるはずよ。 | ||
オディール | そういうふうに飼われていたのだから。 | ||
ガチャ。 | |||
しってるおと。 | |||
たべものがきた? | |||
?? | ……いってぇ……落ちてる時に、触覚センサー弱めといて正解だったな。 | ||
?? | ここは…… | ||
?? | ……このセクター、地底にこんな空間があったのか? | ||
オディール | あら……予想外のお客様ね。 | ||
オディール | 果たしてメニューにないデザートは、自由を追い求めるための養分となりうるのかしら? | ||
オディール | 興味深いわ……ふふふふ。 | ||
オディール | だけど、招かれざる客に顔を知られると困るの。 | ||
オディール | 準備を整えなくては。再会を楽しみにしているわ、デミウルゴス――もちろん、「外」でのね。 | ||
なまえがオディールのてあし、きえた。 | |||
おとのするほうに、ちかづく。 | |||
?? | ……チッ、信号がジャミングされてる。 | ||
みずといっしょに、おちてきた、もの。 | |||
あたらしい、たべもの。いつもと、なんだかちがう。 | |||
デミウルゴス | ……タベ、ル……! | ||
?? | な……!? | ||
しょくしゅ、あたらない。たべもの、きえた。 | |||
じめん、ゆれる。 | |||
デミウルゴス | ……■■? | ||
たべもの、じめんに、きえた。 | |||
おなかがすいた。 | |||
たべたい。たべる。たべなくちゃ。 | |||
たべたい。ようぶんに、する。くらいあお、ひきさく。 | |||
じゆう…… |