??? | 教授……教授? | ||
---|---|---|---|
{教授} | ……ん……?ペルシカ? | ||
ペルシカ | 眠ってしまわれたんですか? | ||
(選択) | 1.えっ、寝てた……?疲れてたのかもな。 | A | |
2.このところオアシスが平和だから、気が緩んだのかもね。 | B | ||
A | ペルシカ | 確かに、とてもお疲れのようです。あまり無理なさらないでください。 | C |
B | ペルシカ | いつでもどこでも眠りにつけるオアシス……なんだか、とっても安心します。 | C |
C | ペルシカ | 教授にリラックスして頂くために、オアシスに新しくできたプロジェクタールームで映画でも、と思ったのですけれど…… | |
ペルシカ | ふふふ、少々つまらなかったみたいですね。 | ||
スクリーンに目を向けると、とあるモンスター映画が放映されていた。 | |||
つんざくような叫び声が遠くから響いている。 少女が怪物の身体をまっぷたつに引き裂いたかと思うと、 もう一体の怪物の触手が、少女を背後から突き刺した。 | |||
画面の隅では、白い服を着た別の少女が、 物語から遠ざかるようにして、漠然とその光景を眺めている。 | |||
ふいに、白い服の少女と私の目が合った。 | |||
{教授} | …… | ||
スクリーンの中央では、あいかわらず人形と怪物の戦いが続いている。 気づけば、白い服の少女は消えていた。 まるで、初めから存在していなかったかのように。 | |||
…… | |||
>> CHAPTER 5 // 温 床 . . . | |||
ペルシカ | ……大丈夫ですか? | ||
ペルシカ | 蒸し暑かったのかもしれませんね、散歩にでも出かけましょうか。 | ||
私はこめかみを押さえてどうにか頷くと、 ペルシカとともにプロジェクタールームを出た。 | |||
私たちは花園の近くに座った。 ペルシカは一旦その場を離れ、1杯のコーヒーを片手に戻ってきた。 | |||
ペルシカ | ちょうど良かった。最近、コーヒーの淹れ方にこだわってまして。味見してみてください、教授。 | ||
私は受け取ったコーヒーを一気に飲み干したが、 過剰な甘ったるさに咳き込んでしまう。 | |||
{教授} | ごほッ、ごほごほッ……どんだけ砂糖入れたんだ? | ||
ペルシカ | 角砂糖を10個ほどだけど……多かった? | ||
{教授} | ペルシカ…… | ||
ペルシカ | はい?どうかなさいました? | ||
{教授} | いや……どうやら本当に疲れているみたいだ。 | ||
{教授} | そういえば、新しいプロジェクタールーム、なかなかの造りだね。 | ||
ペルシカ | ええ。人形たちが少しずつ戻って来ているので、各部門が軌道に乗り始めたんです…… | ||
ペルシカ | こうしてオアシスに娯楽の場ができたのも、ひとえに教授のおかげです。 | ||
(選択) | 1.そんなことないよ、皆が頑張ったおかげだ。 | D | |
2.まったくだ、本当にくたびれたよ。 | E | ||
D | ペルシカ | 皆、教授には頭があがりません。そう謙虚にならないでください。 | F |
E | ペルシカ | 本当にお疲れ様です。オアシスが平和なうちに、ゆっくりお休みになってください。 | F |
F | ペルシカ | もちろん、不安を感じることはあります……でも、あなたがいれば、轍を踏む心配はありませんもの。 | |
ペルシカ | あなたなら、どんな困難でも乗り越えられるわよね、指揮官? | ||
{教授} | ……ペルシカ!? | ||
ペルシカ | きょ、教授? | ||
{教授} | ごめん、なんだか……なんだか気分が悪いんだ。 | ||
ペルシカ | 休憩しましょうか? | ||
ペルシカは労わりの眼差しを向けてきた。 焦燥感がじりじりと私の神経を這ってゆく。 | |||
なんだ、この感覚は?現実に戻りたくて焦っているのか? それとも…… | |||
私はあえてペルシカの視線を避け、遠くに目を向けた。 すると、そこに白い人影を見つけた。 | |||
{教授} | ! | ||
{教授} | ペルシカ、あそこにいるのは私たちの人形か? | ||
ペルシカ | どこですか? | ||
目を戻すと、そこには誰もいなかった。 | |||
ペルシカ | ……もしかして前のことで、気が張り詰めていらっしゃるのでは? | ||
ペルシカ | 今のオアシスは安全です。何かあれば、セキュリティシステムが知らせているでしょう。教授、まずはお座りください。 | ||
(選択) | 1.いや、彼女が誰なのか知りたい。 | G | |
2.そうかな?確かに、ちょっと敏感になってたかも。 | H | ||
G | ペルシカ | 教授、待ってください―― | |
少女が現れたほうへ向かおうとすると、見慣れた人物にぶつかった。 | I | ||
H | 私は再び腰を下ろした、だが焦燥感は拭えない。 きっと、何かを見落としているんだ、だけど…… | ||
一連の足音が私の思考を遮った。 | I | ||
I | アントニーナ | ペルシカさん?教授? | |
ペルシカ | アントニーナさん?どうしてここに? | ||
アントニーナ | サンドボックス障壁をメンテし終えたので、記録しに戻るところです。そちらこそ、映画を見に行くんじゃなかったんですか? | ||
ペルシカ | 教授の具合が悪いようなので、一旦外に出てきたんです。 | ||
ペルシカ | あぁ……教授の見かけた白い服の少女は、アントニーナさんだったんですね。 | ||
{教授} | ……ちょっと待った。 | ||
{教授} | 白い服の少女を見たなんて、ひとことも言ってないはずだけど? | ||
キンッ―― | |||
そう言ったとたん、空中に白銀色の光の塊が突如現れた。 光の塊は四散し、ゆっくりと空全体へと広がってゆく。 | |||
私は思わず後ずさる。 やがて光が消えると、世界はたちまちその姿を変えた。 | |||
{教授} | !!!! | ||
色鮮やかだった花園は、ペンキをぶちまけたかのように、 濃い黒紫の光に沈んでいる。 | |||
ペルシカ | どうしたんですか?顔色が、かなり悪いようですよ? | ||
{教授} | 見えてないのか!?ペルシカ、周囲を見てみろ。 これは一体どういうことなんだ? | ||
ペルシカ | すみません、教授の仰る意味が……お花はとても綺麗ですよ? | ||
ペルシカ | そんなことより、一緒に花園の奥へと参りませんか?そこでなら、誰にも邪魔されずに済みます。 | ||
{教授} | ペルシカ? | ||
ペルシカがとぼけているようには見えない。 心に芽生えた焦燥感が、いよいよ私を不安にさせる。 | |||
{教授} | 私は夢を見てるのか…… 違う、マグラシアはセカンダリレベルであって現実世界じゃない。 ここに夢の概念はないはずだ。 | ||
スッ―― | |||
先ほどの場所に、白い服の少女の姿が一瞬よぎった。 | |||
{教授} | ! | ||
私を導いているのか? | |||
ペルシカ | どこへ行くんです?教授? | ||
ペルシカにかまわず、私は白い服の少女のほうへとまっすぐ向かっていった。 | |||
ペルシカ | 待ってください、教授―― | ||
ソル | うわっ、どうしたのさ教授、そんなに急いで。 | ||
ソル | ペルシカが呼んでるよ? | ||
{教授} | どっから出てきたんだ、君は? | ||
アントニーナ | 何を言ってるんです、さっきからいたじゃないですか。 | ||
白い服の少女を追って花園を離れようとする私に、人形たちは激しい反応を見せた。 | |||
ペルシカ | 教授、どうかなさったんですか? | ||
ソル | ちょっとちょっと。まさか、ペルシカを捨ててく気? | ||
アントニーナ | チッ。だから言ったでしょう、この教授は頼りにならないって。 | ||
彼女たちは一斉にこちらへと迫ってきた。 ソルに至っては、腰の刀柄に手をかけている。 | |||
私は彼女たちを置いて、一目散に駆け出した。 周囲の景色が徐々にねじ曲がってゆく。 | |||
アントニーナ | 行かないでくださいよ、教授! | ||
ソル | 教授、戻っておいでよ! | ||
かつて親しかった者たちの表情が、次々と豹変していった。 私は制止を振り払い、花園の端へとがむしゃらに走った。 | |||
ふと、私は足を止めた。 振り返ると、そこには先ほどの少女の姿があった。 | |||
白い服の少女 | …… | ||
{教授} | 君か……君は一体誰なんだ? | ||
白い服の少女 | ……あなたはここにいるべきじゃない。 | ||
彼女は花園の出口を指差した。 そこは静寂そのものだった、草花は風に揺れてすらいない。 | |||
ペルシカ? | 行ってはだめです!教授! | ||
白い服の少女 | あなたの目的を思い出して。 | ||
少女に促されるまま、足を踏み出そうとした瞬間、 あたりの景色がガラスのように次々と砕け散った。 | |||
粉々になった記憶が、まるで写真のように瞬いては消えてゆき、 やがて天地を覆い尽くし、私を呑み込んでいった。 | |||
クロック | 来ないで! | ||
クロック | ぐッ……あはは……こいつ、けっこータフだな。 | ||
ソル | 危ない!! | ||
ペルシカ | 教授……逃げてくださ…… |