ピエリデス 標準 PART.4 交渉

Last-modified: 2024-11-27 (水) 20:54:49

 機械の変形する音が激しく鳴り響いた。
続けざまに、わずかに光を放つ無数の銃口が私へと向けられた。
 でも、相手は私に照準を定めるばかりで、一向に攻撃してこない。
 私はその隙に頭をフル回転させ、混沌の中からどうにか道筋を立てて、
現状を理解しようとした。
A(選択→D)1.脅威を分析するB
2.ペルシカたちの状況を確かめるC
B 私を包囲している浄化者は数にして5名、少数精鋭の部隊だ。
そのうち下位浄化者である4名が、こちらに銃口を突き付けている。
 その背後に立つ中位浄化者とは、かつて遭遇している。
以前、ロッサムで戦った「フェイス」と同じ階級だ。
 彼女の強力な狙撃銃は、深く印象に残っている。
 記憶が確かなら、彼女のコードネームは「ウィズダム」だ。A
C 私はできるだけ身動きせずに、横目で周囲を見渡した。
そう離れていない場所に、ペルシカが倒れている。
傷口には簡単な治療が施されている。
 メンタルは活動状態にあるようだが、まだ目を覚ましていない。
おそらく、先ほどの私と似たような状況だろう。
 彼女が心配だけど、今は軽率に動くべきではない。
 他のメンバーも、状況は似たり寄ったりだ。A
D(選択→G)1.浄化者が攻撃して来ない理由を推測する。E
2.武力抵抗の可能性を探る。F
E 銃を構えているのは、4名の下位浄化者だけだ。
一方「ウィズダム」――つまり、あの中位浄化者は、こちらに敵意を示していない。
 下位浄化者は、最も単純な判断しかできないと聞く。
 いつもなら、相手が異常エージェントだと判明すると、
有無を言わさず攻撃を仕掛けてくるはずだ。
 となると「ウィズダム」が攻撃を阻止しているのか。D
F 下位浄化者の損傷状況から推測するに、つい先ほど戦いを終えたばかりのようだ。
万全な状況には見えない。
 多かれ少なかれ、躯体には紫色の浸蝕痕が見られる。
あの怪物どもと戦ったに違いない。
 オペランドを使って逃げ出すこともできたが、
この数の浄化者が相手となると、無事に済むとは思えない。
 なにより、ペルシカたちを置いてはいけない。D
G(選択)1.結論を下す。H
H 上手くいけば、交渉に持ち込めるかもしれない。
ウィズダム【リファクター】、分析結果はどうだ?
 私が結論を下すと同時に「ウィズダム」が傍の下位浄化者に尋ねた。
リファクター【検査結果、ターゲットのメンタルはすでに蘇生しています。軽度の感染が見られますが、メンタルファイアウォールが感染の進行を防いでいます】
ウィズダム【リファクター】、もう一度分析を。見落としは許されぬ。
リファクター【分析結果が一致。当該エージェントには軽度の感染が見られますが、メンタルファイアウォールが感染の進行を防いでいます】
リファクター【しかし、判定システムはターゲットを異常エージェントに分類しています】
 下位浄化者は再び私に狙いを定め、武器のセーフティを外した。
下位浄化者【異常エージェントは、浄化しなくてはなりません】
(選択)1.主導権を握るI
2.様子を見るJ
Iウィズダム待……
{教授}あなたたちには撃てないよ。
ウィズダム待て。
下位浄化者【命令を確認】
 下位浄化者はウィズダムの命令を受け、揃って武器を下ろした。
ウィズダム……
ウィズダムなぜ吾輩が撃たないとわかる?K
Jウィズダム待て。
下位浄化者【命令を確認】
 下位浄化者はウィズダムの命令を受け、揃って武器を下ろした。
ウィズダムこれだけの銃口を向けられて、何の反応も示さぬとは。
ウィズダム浄化されるのが怖くないのでござるか?
{教授}まぁね。K
K{教授}本気だったら、とっくに手を下してるはずよ。
ウィズダムくくく……死ぬ時も、それだけ誇らしげだと良いのでござるが。
 そう言って、ウィズダムは狙撃銃を構えた。
レーザーサイトから伸びる赤いラインが、私の額へと当てられる。
下位浄化者【命令を確認、浄化プログラム起動――】
 下位浄化者たちが、下ろしていた銃口を再び持ち上げた。
今度は武器のチャージ音が聞こえる……
ウィズダム
ウィズダムやめろ!武器を下ろさぬか!そういう意味ではござらぬ!
下位浄化者【命令を確認】
 ウィズダムのやや冷静さを欠いた命令に、下位浄化者たちは武器を下ろした。
ウィズダムひゅう……
 目元は確認できないが、ウィズダムがこちらを睨んでいるのが、
私にははっきりとわかった。
(選択)1.話し合おう。L
2.プッ……M
Lウィズダムチッ。N
Mウィズダム貴様!!N
N ウィズダムは威勢を張りつつ、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。
そして安全距離を保てる位置で足を止めた。
 彼女は私に武器を向けようとしたが、動作半ばで手を下ろした。
 どうやら、少しは主導権を握れたようだ。
ウィズダムぬぁぁぁぁああ!まったくもって腹が立つ!
 そう言って、彼女はバイザーを上げた……
{教授}えっ?
 これまで何度か遭遇戦を繰り広げてはいるが、
バイザーを外した彼女の姿に、私は驚きを禁じ得なかった……
ウィズダムだ~か~ら~、イオスフォロス殿が常々仰ってるではないか、下位浄化者にも高度な知能を与えるべきだと!
ウィズダムガラクタどものせいで、吾輩の主導権がカンッゼンに失われてしもうたではないか!
リファクター【警告:イオスフォロス様の情報を出す必要は――】
ウィズダムサイレントモード!
リファクター【命
 「イオスフォロス様」……確か、ユーカリストもその名を口にしていた。
 これまでのユーカリストの言動から察するに、浄化者の内部には派閥が存在するらしい。
 「穏健派」のリーダーが、彼女の言う「イオスフォロス様」なのだろうか?
 どうやら、この「ウィズダム」は「穏健派」で間違いなさそうだ……
ウィズダムうぉっほん……
ウィズダムまぁよい。吾輩が銃を向けたのは、単におぬしの感染を恐れてのこと。万が一ということもござるからな。
{教授}私のメンタルは正常よ、感染してないと証明できる。
ウィズダムうむ。吾輩の名はウィズダム、中位浄化者にござる。
ウィズダムおぬしのことは存じておるぞ、「オアシス」の教授でござるな?
ウィズダムなんでも、純白の衣をまとい、漆黒のクマを目にあしらい、病を患うかのごとく弱々しい割に、妙な迫力を持つと聞く。
(選択)1.……O
2.まさかユーカリストが、私をそんな風に話していたなんて……P
Oウィズダムややっ!?おぬし、よもや教授にはのうござったか?
ウィズダムこ、これはユーカリスト殿のお言葉にござるぞ。もしや、吾輩の記憶違いか……?Q
Pウィズダムな、なぜユーカリスト殿だとわかった……?
{教授}ユーカリストも「イオスフォロス様」の名を口にしていたからね。おおかた、彼女から聞いたんじゃないかと思ったんだ。Q
Qリファクター【ピピピピーー】
ウィズダムスリープモードでござる!
 ユーカリスト……あのスイーツ娘。
{教授}話を戻しましょう。確かに私が教授よ、私に何の用?
ウィズダムそれは良かった!おぬしを助けて正解でござったな!
{教授}私を、助ける?もしかして、あなたが……
あの怪物どもから私たちを助けてくれたの?
 私たちは怪物に襲われ気を失っていた。
そして目覚めると、今度は浄化者に銃を突きつけられていた。
結論を導き出すのは容易い。
ウィズダムさすがはユーカリスト殿に認められし者……その通りでござる。おぬしらを襲ったエントロピーどもを撃退したのは、吾輩の小隊にござ候。
 そう言って、ウィズダムはそこはかとなく冷静さを取り戻した。
{教授}エントロピー?
それって、ウィルスの怪物の名前?
ウィズダムいかにも。エントロピーは、マグラシアに巣くうイレギュラーにござる。もちろん、奴らをコンピューターウィルスと称してもかまわぬが。
ウィズダム生を受けたその日から、我ら浄化者はイオスフォロス殿の英明なる御導きのもと、弛みなくエントロピーを討伐して参ったのでござる。
ウィズダムされど、ここまで大規模な暴走は初めてでござるな。よもや、ピエリデス全体が感染してしまうとは。
{教授}つまり、エントロピーを掃討する最中に、
私たち「異常エージェント」を助けてくれたの?
ウィズダムイオスフォロス殿はかねてより、こう諭しておられる。異常エージェントを殲滅する必要はない、一部の者は我らの仲間にも成り得る、と。
ウィズダム異常エージェントとて、エージェントには違いあるまい。エージェントはみな神の子、初めは誰しも平等にござる。
 この、ややうっかり者な中位浄化者の説明を聞いて、
私はとある結論にたどり着いた。
 「ウィズダム」と「ユーカリスト」は、間違いなく「穏健派」だ。
 対して「フェイス」「レイヴン」そして「アンジェラス」。
この三人が属しているのは、もう一方の派閥だろうか……
 でも今は、浄化者の内情を気にかけている場合ではない。
 ペルシカたちは意識不明のままだ。
もしウィズダムを説き伏せることができれば――
{教授}私を助けたのは、イオスフォロスの教えだけが理由じゃないんでしょう?
ウィズダム!ぬぬぅ……
 同じ中位浄化者といえど「ウィズダム」と「フェイス」とではかなりの違いがある。
 機械的に命令を執行するだけの「フェイス」に比べ、
「ウィズダム」は見るからに個性的だ。
時に、上位浄化者の風格さえ漂わせている。
 これも、派閥が関係しているのだろうか?
ウィズダム是非もなし……教授、我らにはおぬしたちの力が必要なのでござる。
 ウィズダムはすぐに落ち着きを取り戻した。
ウィズダム見ての通り、吾輩の小隊は芳しくござらぬ。エントロピーの勢いが、いまだかつてないほどに強まっておるのだ。
ウィズダムリバベルタワーが前哨警報を受け取ったのは、ほんの数時間前。報告には、ピエリデスセクターに少数のエントロピーが侵入したと記されておった。
ウィズダムそこで吾輩が調査へ赴いたのでござるが、しかし……
 ピッ――
下位浄化者【警告!大量の異常プログラムが接近中】
【繰り返す、大量の異常プログラムが接近中!】
 突如響いた警報音が、ウィズダムの言葉を遮った。
ウィズダムぬぬ……なんと間の悪い。
 だが私には、ウィズダムのおおよその目的がわかっていた。
{教授}なんとなくわかったわ。
まずは目の前のエントロピーをどうにかしましょう!
ウィズダムおぬし、またしてもわかりよったのか!まぁよい……
ウィズダム浄化者ども、戦闘準備でござる!