ピエリデス 標準 PART.5 協力

Last-modified: 2024-11-27 (水) 21:00:35

 ピエリデスセクター、ファイアウォール外。
ウィズダム第45小隊は防衛、第8小隊は後退。あのデカブツをこちらへよこせ、吾輩が対処する。
{教授}1時の方向、少数のエントロピーが迂回している。
そこから突破してくるつもりだ。
ウィズダム
ウィズダム第7小隊、前進。1時方向を塞げ。……忠告、かたじけのうござる!
ウィズダム第2小隊注意!前に……
{教授}第2小隊は前に出過ぎるな、部隊から切り離されてしまうぞ。
ウィズダム……
{教授}第9小隊は陣形を狭めろ、奴らを中心から穿て。
下位浄化者【ピッ――命令に疑問、この者の……】
ウィズダム……黙ってこやつに従え!
下位浄化者【戦場の状況を確認中……】
下位浄化者【ターゲット排除済、事後処理を実行中】
ウィズダム【リファクター】、損傷状況の報告を。
リファクター【報告:下位浄化者の死亡率は4%、重傷率は12%】
リファクター【全小隊はどれも最低戦闘編成を維持しています】
ウィズダムふむ……推定より損失が2割も減っている……
ウィズダムよかろう、治療を開始せよ。
リファクター【命令を確認、治療開始】
 損傷率を再三確認した後で、ウィズダムは訝しげな表情を浮かべた。
ウィズダム……教授、浄化者を指揮した経験が?
(選択)1.いいや、君たちとは頻繁に戦ってるからね。A
2.ああ。昔は、浄化者を率いてあちこちを征服したものだ。B
A{教授}浄化者の戦闘編成や指揮系統は、ある程度掴んでる。
ウィズダムだ……だとしても、あまりに精通し過ぎている。少しも迷いが見られぬぞ。C
B{教授}まぁ、昔取った杵柄ってやつかな。
ウィズダム……あのな、吾輩をバカにするでないぞ。
ウィズダム一介の異常エージェントが、ここまで我らを理解できようとは……道理でユーカリスト殿が……C
Cウィズダム……おぬしと協力したのは、幸いでござった。
{教授}待った、治療の様子がおかしい!
 ガァァァァ!!
 そう離れていない場所で治療を受けていた浄化者が、突如唸り声をあげた。
 見れば、機械構造しか持たないはずの下位浄化者が、
生体組織のようなもので躯体を覆われている。
 不気味な紫色の模様が命を帯びたかのごとく、浄化者の身体に素早く拡散してゆく。
 余計な分析は不要だった。
そこから発せられる危険な気配を、誰もが感じ取っていた――
{教授}浄化者も感染するのか!?
リファクター【警告、浄化者No.415411【レイダー】、エントロピーによる感染がターシャリレベルに到達しました】
リファクター【ターゲットの感染は不可逆です、支援を要求しま――】
 報告し終えるのを待たずに、感染した浄化者がリファクターに襲いかかった。
ウィズダム治療ユニット撤退!【フォーティテュード】、敵を制圧せよ!
 命令を下すと同時に、ウィズダムは銃を構え、感染した浄化者に照準を定めた。
下位浄化者【制圧完了】
 ウィズダムの指がトリガーにかかった。
今にも弾丸が放たれようとしている――
(選択)1.待った!D
2.……E
D{教授}まだ方法があるかもしれない!
ウィズダムすでにターシャリレベルまで感染が進んでおる。こやつは完全にウィルスへと改造された。
ウィズダムもはや吾輩には、どうしようもござらぬ。
 憐れむ必要はない。ウィズダムに訊かずとも、
この浄化者が助からないのは明白だった。
F
E ターシャリレベルに感染が及べば、浄化者のコードは完全に書き換えられてしまう。
 ウィズダムの判断は正しい。F
F ドンッ――!
 ウィズダムの狙撃弾が感染した浄化者を瞬時に貫いた。
仰向けにひとしきりもがいた後で、浄化者はデータとなって消えていった。
ウィズダム……こしゃくな。
 冷静になったウィズダムは、再び浄化者の紀律と素養を持ち出した。
 非情かつ無駄のない動きだった。
ウィズダムそれでは教授。次の邪魔が入らぬうちに、折衝を済ませようぞ。
G(選択→J)1.状況はわかった。H
2.条件がある。I
H{教授}エントロピーの感染規模が予想以上で、
君たちの部隊だけでは対処しきれないんだろう?
{教授}だから、使えそうな戦力を片っ端から取り込もうと言うわけだ。
ウィズダムま、まぁ……当たらずとも遠からず、といったところか。撤退、もしくは支援を待つことは、我らにも十分可能でござる。
ウィズダムしかし、我らはとある手がかりを入手した。どうやら、感染の大元はここのアドミニストレーターであるようなのだ。だが、吾輩の小隊ではこれ以上の探査は難しい。
ウィズダムなにより、イオスフォロス様の期待に背くわけにはゆかぬ。
ウィズダムちょうどその時、おぬしらを見つけたのでござる。ユーカリスト殿のお言葉を思い出した吾輩は、一か八かにかけてみた、というわけだ。G
I{教授}私の仲間を目覚めさせなくては。
ウィズダム我らは先ほどから、おぬしらの感染浄化に取り組んでおった。だが、効果は微々たるものでござった。
ウィズダム一度の浄化で目を覚ましたのは、おぬしだけでござる。他の者は相も変わらず意識不明のまま。
 ウィズダムの言葉を聞いて、私はターシャリレベルでの出来事を思い出した。
 
 色鮮やかだった花園は、ペンキをぶちまけたかのように、濃い黒紫の光に沈んでいる。
 
 おそらく、私に真相を知らしめた光の塊こそが、
ウィズダムの行った「浄化」なのだろう。
G
Jウィズダムとにかく、まずはこちらへ。
 戦場を片づけてから、私とウィズダムはペルシカの傍へと戻って来た。
リファクター【メンタル検査中……】
リファクター【ターゲットのメンタルファイアウォールの完成度は97%、偏移率は32%、エントロピー感染度――中】
{教授}君たちの浄化による効果は、ほんのわずかだと言ったな。
{教授}つまり、気を失っていた時――
ターシャリレベルで見た白い服の少女は、君じゃなかったのか……?
ウィズダム白い服の少女?
ウィズダム残念だが、何がなんだかさっぱりでござる……確かに白装束を身に付けてはいるが、おぬしらのターシャリレベルに入る余裕など、あの時の吾輩にはござらんかった。
ウィズダムエントロピーどもを防衛線の外に押しとどめるだけで、精一杯でござったからな。
ウィズダムそれにたとえ吾輩といえど、感染したターシャリレベルから無事に戻れる自信はござらぬ。
ウィズダムおぬしにならわかるであろう。エントロピーどもに囲まれた状況下で、感染者のターシャリレベルに入るのがどれだけ危険か。
リファクター【検査完了。ターゲットのメンタルはスリープモードです、呼び覚ましますか?】
ウィズダム外でおぬしたちの安全を確保しよう――吾輩を信じてもらえればの話だが。
{教授}信じるよ。今、手出ししたところで、君にとっては百害あって一利なしだ。
ウィズダムそうは言っておらぬ……吾輩が約束を違えるように見えるか?
{教授}わかった。それじゃ頼んだよ。
 私が浄化者に教わった通り、ペルシカのメンタルに入ろうとしたその時……
ペルシカ教授!!
 ペルシカが急に目を覚まし、勢いよく起き上がった。
恐慌に満ちた瞳で、前方を凝視している。
{教授}ペルシカ、大丈夫だ!
 私はペルシカの背中を優しくさすった。
彼女の情緒が次第に落ち着いてゆく。
ウィズダムおぬしだけが特例ではなかったな、教授。
ペルシカ……浄化者!?教授、危ない!
 ウィズダムの存在に気づいたペルシカは、
強引に私を背後へと匿い、両手にオペランドを凝集させ始めた。
ウィズダム
{教授}よせ、ペルシカ!今は協力関係にあるんだ。
ペルシカ協力……?えっ?私たちと、浄化者が、協力?
{教授}話せば長くなる、まずは武器を収めてくれ。
具体的なことは、みんなが目を覚ましてから説明するよ。
ペルシカ……わかりました。
ウィズダム……作業は順調なようでござるな。
{教授}いや、私がアクセスする前に、ペルシカが自分で起きたんだ。
ウィズダムもしや、おぬしの言う「白い服の少女」の仕業でござるか?
ウィズダムすなわち、第三勢力が存在しているわけか……
{教授}うん……悪いけど、君は席をはずしてくれる?
{教授}彼女たちが一斉に目を覚ました時、何かあるといけないから……
ウィズダムふみゅ……わ、わかりもうした……
 どうも戦闘以外の事となると、この浄化者は妙な属性に切り替わるらしい……
 案の定、ウィズダムが離れてしばらくしない内に、
ソルとアントニーナに目覚めの兆しが現れた。
ソルさぁ来い、教授!今度こそ真剣勝負だ!本物の戦士みたいにね!
アントニーナ教授……死・あるのみです。
{教授}……
ペルシカ……
 彼女たちがターシャリレベルで何を見てるのか、今になって興味が湧いてきた。
 
 追放者たちは次々と目を覚ました。
私は現状を簡単に説明した。
 ウィルスの襲撃を受けた後の、ターシャリレベルでの出来事。
我々を襲ったウィルスが「エントロピー」と呼ばれていること……
 そして、浄化者と協力し合っていることも――
ソル浄化者と協力ぅ!?
ソルでも、だからって……相手は浄化者なんだよ!?奴らがあたしたちに何をしたか忘れたの?
ソルそれに、チューリングやT1641は……
アントニーナソルさんの意見に賛成です。あなたの言う「ウィズダム」は、ロッサムで遭遇した「フェイス」と同じ、中位浄化者に属します。
ソルそうだよ!あいつらなんか、融通の利かないただの機械じゃんか!追放者を助けてくれるわけがない!
ペルシカ心配はわかります。目覚めたばかりの私も、同じ気持ちでした。
ペルシカでも、私は教授のご判断を信じます。それに、私たちが浄化者に救われたのは事実ですし……
ペルシカエニグマでも、ユーカリストは確かに教授と私を守ってくれました。
ソルうぁぁぁ……ワケわからんくなってきた……あたしだって教授を信じてるよ……だけど……
ソルアンナ!バトンタッチ!
アントニーナ……ハァ。
アントニーナ私もソルさんと同じ考えです。そのウィズダムとかいう輩は信用なりません。
ソルだよね!
アントニーナでも、協力し合うのはアリだと思います。私たちだけでは、この先困難でしょうから。
ソルだよねだよね!
ソル……えっ?
ペルシカええ。教授のお話では、浄化者たちはエントロピーと戦った経験が豊富にあるそうです。
アントニーナ浄化者には怪物たち……エントロピー、でしたか。浄化者にはエントロピーとやりあうだけの時間と責任があります。でも、私たちはそうじゃない。
アントニーナどういった経緯で、奴らと手を組んだのかはわかりませんが。この状況においては、最も妥当な選択ですね。
ソル……うっ。
アントニーナですが教授。戦場では些細なためらいが、取り返しのつかない損失をもたらします。
アントニーナ敵に背中を任せる勇気は、私にはありません。
(選択)1.ここへ来た目的を忘れるな。K
2.浄化者の部隊とは距離を保つよ。L
Kソル……クロックが感染した。それに、オアシスのみんなも……
ペルシカそうです。過ぎ去った時間の分だけ、追放者の状況は危うくなります。
アントニーナチッ……結局、選べやしないってことですか。
ペルシカだからこそ、できるだけ早く上位のエントロピーを見つけ出し、コードを逆解析しなくては。
ペルシカそれに、オアシスの安全を守るには、エントロピーの源を特定して抹消する必要があります。M
L{教授}ウィズダムは誠意を示す意味で、一時的に下位浄化者のIFFシステムを書き換えている。
彼女がコマンドを変更しない限り、私たちを攻撃できない。
{教授}私はウィズダムとは別に部隊を率いるよ。
自分たちの安全を守るためにもね。
M
Mソル……わかったよ。
ソルでも先に言っとくからね!奴らが仲間だなんて、あたしは絶対に認めないから。
ソルせいぜい……せいぜい、各々勝手に戦うだけだ。
{教授}君が反対しないなら、それで十分だ。
{教授}そうだ、もう一つ聞きたいことがある。
君たちはターシャリレベルで何を見たんだ?
 私がそう訊ねたとたん、三人の顔にそれぞれ異なる表情が浮かんだ。
ペルシカそ、それを聞いてどうするんです……?
{教授}浄化者の話によれば、私たちは中度の感染者であるらしい。
外部作用がなければ、通常はターシャリレベルの奥へと徐々に沈み、
やがて自我を見失うのが普通だ。
{教授}浄化者が感染の浄化を試みたらしいけど、
私たちが目覚めた直接的な原因ではないように思う。
だから、皆が何を見たのか気になって。
ソルそうだったんだ……
ソルあたしは本業に勤しんでたよ。観測隊と野外で実地調査してたんだ。
ソルそしたら、メンバーと休んでた時に、いきなり教授が地面の中から出てきてさ!
ソル体についた土を、こう、めちゃくちゃカッコよく振り払って、あたしに戦いを挑んできたの!
ペルシカ……
アントニーナ……
{教授}……
ソルなに、どうしたの……?なんか変だった?
ペルシカソルさんは、その光景に違和感を感じなかったんですか?
ソルべつに……全然フツーだけど?
ペルシカ……どうやって目を覚ましたのかだけ教えてください。
ソルあぁ、それがさ。あたしが教授と一戦交えようとした時、急に白い服着た女の子が現れたんだよね。
ソルその子、ずーっとあたしの名前呼んでるわけ。なんっかおかしいなと思って、すぐにそこを離れようと思ったら、目が覚めたんだ。
ペルシカ白い服の……
 ペルシカは何かを思い出したように、白い服の少女の姿を簡単に言い表した。
ソルそうそうそう、まさにそれ。ペルシカもその子に会ったの?
ペルシカはい。同じように、突然目の前に現れたんです。
ペルシカその場にそぐわない身なりで、何かを伝えようとしていたのを見て……
ペルシカ私はそこがターシャリレベルなんだと気づいたんです。そうしたら、目が覚めました。
{教授}私も似たような感じだ。
ペルシカどうやら皆さん、同じ経験をされているようですね。
アントニーナいいえ、私は白い服の少女など見ていません。
アントニーナ自分で出てきたんです。その過程はすでに曖昧ですが。
ペルシカえっ?
ウィズダムすまぬ、皆の衆。
 ウィズダムが戻って来て、私たちの会話を遮った。
ウィズダム時間がござらぬ。教授、準備はよいか?
ソル……!!
{教授}ソル、刀をしまいなさい。
彼女が私たちの協力者、ウィズダムだよ。
ウィズダムエントロピーはピエリデスからマグラシア全域へと拡散し始めておる。これ以上は待てぬ。
{教授}白い服の少女については、また話そう。
まずはエントロピーが先決だ。
ソル言っておくが、あたしは教授を信じたまでだ。
ソル何か企んでるようなら、この刀の切れ味をとくと味わってもらうからな。
ウィズダムフン、貴様が足を引っ張らなければ、それでよい。