ピエリデスセクター、外環エリア。 | |||
セクターはエントロピーによって完全に占拠されていた。 建物はどれも本来の風貌を失っている。 | |||
ソル | うっげ……見てるだけでネチョネチョしてくる、気持ちワルぅ…… | ||
ペルシカ | セクターのエージェントはほとんど感染しきっていますね…… | ||
アントニーナ | それだけじゃありません。感染したエージェントが死んで、新たなエントロピーに生まれ変わり、被害を拡大させています。 | ||
ソル | や、やめてよね!こいつらがあたしのメンタルにいたってだけで、ゾッとするんだから! | ||
ウィズダム | 奴らはメンタルを占領するどころか、宿主をターシャリレベルに捕らえてしまう。 | ||
ウィズダム | ターシャリレベルから目を覚まさなければ、メンタルは徐々に蝕まれ、奪い取られ、終いには奴らの一員となってしまうのだ。 | ||
ソル | ……そうなれば、思惑通りあたしに銃を向けられるってわけか? | ||
ソル | 教授から聞いたよ。たった今、自分の部下を殺したらしいな。 | ||
ウィズダム | ……それが吾輩の使命にござる。 | ||
ウィズダム | この身が感染したらば、吾輩、イオスフォロス様による救済を甘んじて賜わる所存にござる。 | ||
ソル | チッ…… | ||
ペルシカ | それよりも教授、私たちはどこに向かおうとしているのです? | ||
(選択) | 1.ウィズダムに説明してもらう | A | |
2.自分で説明する | B | ||
A | {教授} | ウィズダム、手がかりは確か、 セクターのアドミニストレーターを指してるって言ったよね。 | |
ウィズダム | おお!左様にござる! | ||
……私へのウィズダムの態度が、微妙に変わってるのは気のせい……? | |||
ウィズダム | 分析によれば、我らがアドミンセンターへと近づいた場合、敵の抵抗は35%増加する。 | ||
ウィズダム | すなわち、その場所にエントロピーの守る何かがあると推測される。 | C | |
B | {教授} | エントロピーはそこら中にいるけど、 特定の方向に移動した時にだけ、強い抵抗を示すの。 | |
{教授} | それどころか、他の場所にいたエントロピーまで支援にやってくる。 | ||
{教授} | さっきの戦いで、守りが最も堅いエリアはどこか、おおよその判断はついてる…… | ||
ウィズダム | おぉぉ!吾輩も左様にござる! | ||
ウィズダム | 教授、おぬしの指す方向はズバリ、アドミンセンターに間違いござらぬ。 | C | |
C | アントニーナ | つまり、誰かがエントロピーを指揮してるってことですか?おかしいですね。秩序だった行動は不可能だという分析でしたが…… | |
ウィズダム | 今は、そう推測するほかござらんな。 | ||
ソル | この怪物ども、あちこち散らばってるだけでも十分厄介だってのに、指揮なんて取られたら……! | ||
{教授} | とにかく、アドミンセンターへたどり着けば、答えはわかるはずよ。 | ||
ペルシカ | わかりました。マップのほうはお願いしますね、アントニーナさん。 | ||
アントニーナ | う……認めたくはないですが、私にはマップデータを取り出せそうにありませんね…… | ||
アントニーナ | エントロピーの浸蝕がひどく、使えそうなデータがほとんど見つかりません。 | ||
ウィズダム | 浄化者はセクターの公開ルートマップを有しておる、吾輩についてくるがよい。 | ||
ペルシカ | 本当ですか?助かります! | ||
{教授} | 道案内は頼んだよ、ウィズダム。 | ||
ウィズダム | フン、お安い御用でござる。 | ||
そう言って、ウィズダムは下位浄化者に道を切り開かせ、自ら前へと進んだ。 | |||
ペルシカ | 協力関係ともなると、浄化者も道理を弁えるんですね。 | ||
アントニーナ | 少なくとも、私たちを鉄砲玉にするつもりはないようです。 | ||
ソル | ……だからって、あいつに感謝なんてするもんか。 | ||
ピエリデスセクター、中環エリア。 | |||
奥深くへと進むにつれて、エントロピーの強さも徐々に増していった。 | |||
ウィズダム | 第5小隊は後退、第3小隊代われ!陣形を崩すな! | ||
{教授} | ペルシカ、第5小隊に必要最低限の治療を。終えたらソルを支援! | ||
{教授} | アントニーナ、第3小隊の制圧をサポート。 ソル、主力部隊右側のエントロピーよ、下位浄化者じゃもたない。 | ||
ソル | はぁーーッ! | ||
ペルシカ | ソルさん、後退してください!深入りしすぎです! | ||
ソル | えっ―― | ||
ドンッ―― | |||
群れを成した敵がソルに襲いかかろうという時、 一発の弾丸が、彼女の退路にいたエントロピーを撃ち抜いた。 | |||
ウィズダム | 足を引っ張るなと言っておろうに。 | ||
ソル | うぅ……まっすぐ来るとは思わなかったんだ…… | ||
ウィズダム | エントロピーは低能が故に、命知らずにござる。知能を持たぬ相手など取るに足らぬ。 | ||
ソル | それって、まっさきに突っ走ったあたしが低能だって言いたいの? | ||
ウィズダム | へっ?ふみゅ……わ、吾輩はそういう意味では…… | ||
ソル | わかったわかった!そんな顔しないでよ! | ||
ソル | ……とにかく、さっきは助かった。ありがとね。 | ||
ウィズダム | え、遠慮はいらぬ! | ||
ウィズダム | 我らは仲間にござるぞ?おぬしたちを守るのは当然でござる! | ||
ソル | ……なんか変な気分。浄化者があたしに「守る」とか言い出すなんて。 | ||
ソル | ペルシカ、そっちの状況は……うそ、怪我したの?はやく治療しなよ! | ||
ペルシカ | 下位浄化者を治療していたので、今は端末のクールダウン中です。私なら大丈夫ですよ、少しは我慢できますから。 | ||
下位浄化者 | 【治療に感謝します、再度整備中】 | ||
ペルシカ | ……確かに、なんだか妙な気分ですね。 | ||
ピエリデスセクター、内環エリア。 | |||
浄化者との連携により、チームは大きな欠損もなく、 セクターの内環エリアへ突入することができた。 | |||
ウィズダム | 下位がほとんど欠けておらぬ……悔しいが、こうも順調にエントロピーと戦えたのは、今回が初めてでござる。 | ||
ウィズダム | おぬしたちは……確かに凄まじい。特に教授の指揮は…… | ||
{教授} | 浄化者は、普段から損傷率が高いの? | ||
ウィズダム | うむ……この規模のエントロピーともなると、下位が全滅するのも珍しくはござらぬ。 | ||
ウィズダム | こんなふうに、ほぼ無傷の状態でエントロピーの根城に入れるのは、おそらく上位浄化者のみ…… | ||
ウィズダム | 否。おそらく、英雄豪傑であらせられるイオスフォロス様ご自身の指揮でもない限り、不可能でござったろうな。 | ||
ソル | あったりまえじゃん、教授は凄いんだから! | ||
そんな事を話している内に、私たちはとある街角へとさしかかった。 | |||
空気中の紫色が、肉眼でもわかるほどに濃くなってきている。 もはや霧に近い。 | |||
ウィズダム | ここからが、エントロピーの中枢エリアにござる。 | ||
ウィズダムは真っ先に異常を察すると、銃に弾丸を込めて、 付近の高い建物の上へと飛び上がった。 | |||
ウィズダム | 【全浄化者、フル稼働開始】 | ||
下位浄化者 | 【命令を確認、制限解除】 | ||
{教授} | ペルシカ、治療はここでストップよ。 今からオペランドを節制していく。致命傷でなければ治療は施さない。 | ||
{教授} | アントニーナは我々の側面と後方に注意。 ソルは小隊へと帰還、遠距離型浄化者の面倒をみて。 | ||
ソル | 面倒をね……了解! | ||
そう言ったとたん、曲がり角から紫色の何かがこちらへ突進してきた。 ウィズダムは銃口を動かし、空中にいたそれを素早く撃破した。 | |||
ウィズダム | 来よったぞ! | ||
ウィズダム | エントロピーどもの偵察部隊でござろう。数は少ないが、すばしこい。 | ||
アントニーナ | こちらで奴らの移動を制限できます。 | ||
ウィズダム | 任せた! | ||
アントニーナと下位浄化者は、すぐさま襲い来るエントロピーを足止めした。 ウィズダムの精確な射撃によって、エントロピーが次々と破壊される。 | |||
下位浄化者 | 【ターゲット殲滅完了】 | ||
ペルシカ | 良かった、食い止められました! | ||
アントニーナ | なかなかの銃さばきですね。 | ||
ウィズダム | おぬしもな。 | ||
{教授} | お喋りしてる暇はないよ、あっちにまだいる! | ||
下位浄化者 | 【ターゲットが射程内に入りました、武装制圧開始】 | ||
私たちと浄化者の協力のもと、エントロピー小隊はあっという間に壊滅した。 | |||
しかし、負傷した下位浄化者も少なくない。 | |||
下位浄化者 | 【制圧……完了……】 【射撃、要請……】 | ||
ドォン! | |||
ウィズダムは下位浄化者にかじりつくエントロピーを撃ち抜いた。 だが紫色に染まった浄化者が回復する気配はない。 | |||
下位浄化者 | 【システムの感染……を検知しまし……】 【すでに、ターシャリレベル、に拡散……】 【自己修復……開始……】 | ||
ウィズダム | …… | ||
ペルシカ | あの子、感染してる! | ||
アントニーナ | ペルシカさん、止まって! | ||
下位浄化者 | 【自己修復、失敗……支援……要……】 | ||
ウィズダム | ……ここは吾輩が。 | ||
ペルシカが避けると、ウィズダムは銃を構え、感染した浄化者を撃ち抜いた。 | |||
ウィズダム | ……浄化完了でござる。すまぬ…… | ||
ペルシカ | 教授に聞いてはいましたが、いざ目にすると…… | ||
ソル | だね。だから言ったじゃん、浄化者は信用ならないって。 | ||
ウィズダム | 貴様! | ||
ふいに、ソルがウィズダムの背後へと移動した。 そして紫色の粘液に塗れた両刀を振り上げ―― | |||
反応できずにいるウィズダムに突きつけた。 | |||
ソル | 油断したね。 | ||
ウィズダム | えっ―― | ||
ペルシカ | ソルさん!いけません! | ||
ソル | はぁッ! | ||
ソルはペルシカの制止も聞かずに、目にも止まらぬ速さで、 ウィズダムめがけて武器を振り下ろした…… | |||
ドスッ! | |||
エントロピー | ギーーガガガーーギガッ!! | ||
……そして、蠢くエントロピーもろとも刃を壁へと突き立てた。 | |||
ソル | フン。 | ||
ソル | あんたらの価値観には賛成できない。だからって、足手まといにはならないよ。 | ||
ソル | あれ、大丈夫?立てなくなっちゃった? | ||
ウィズダム | へ、平気でござる。恩に着るぞ…… | ||
ソル | へッ。それにしても、このエントロピー、ホンット気持ち悪いな。 | ||
ソル | たとえ浄化者でも、こんなのに感染されるのは可哀想で見てらんないよ。 | ||
ソル | 殺す以外に、本当に方法はないの? | ||
ウィズダム | それがあれば吾輩だって、こんな真似は御免こうむる! | ||
ウィズダム | 下位浄化者のファイアウォールでは、エントロピーの襲撃を防げぬのだ。こやつらのターシャリレベルなぞ、一瞬で蝕まれてしまう。 | ||
{教授} | ターシャリレベル…… | ||
{教授} | なるほど、そっか。 私たちがターシャリレベルで見た光景は、エントロピーに浸蝕される過程だったのね。 | ||
ペルシカ | そうなりますね……白い服の少女のおかげで目が覚め、メンタルファイアウォールを再起動できましたけど。 | ||
ソル | うぅぅ、フクザツすぎる……でも無事でよかった! | ||
アントニーナ | 話の途中、すみませんが。 | ||
アントニーナ | ウィズダムのマップに基づくと、アドミンセンターはすぐ傍のようです。 | ||
{教授} | うん、すぐに大勢のエントロピーが近づいてくるだろうね。 先へ進もう。 | ||
{教授} | ウィズダム、道案内をお願い。できる? | ||
ウィズダム | 任されよ! |