ロッサム 標準 PART.5 秘訣

Last-modified: 2024-11-26 (火) 20:49:11

オアシス障壁残存時間――1:11:51
ロッサムセクター、08号貿易専用始発駅
 現実世界の情報を簡潔に伝えると、リコは私たちを駅のような建物へと案内した。
システム>ゲストアカウントを確認、シグネチャコード照合中――
システム>照合完了。ゲスト名――リコ、分散型通貨トレーダー。
>同行者3名、アカウント照合中。
リコ照合中止、チケットを購入する。
システム>照合中止、支払いが完了しました。
リコはれまっ……また値上がりしてるよ。リコ財布がますますしぼんでゆく……ふぇぇ~ん……
ペルシカ……この場所は?
ソルあはははッ!なにそのワザとらしいウソ泣き!ペルシカすら騙せてないし!
リコ……ちぇっ、食えないヤツら。リコよりよっぽど商人に向いてるよ。
リコここは秘密のリコステーションさ。通貨トレーダーは各セクターのオペランドを調整するのが仕事だからね、作業量は並大抵じゃない。
リコトレーダー専用の特別ルートがなかったら、ロッサムの仕事だけでも、くたびれて死んじまうよ。
ペルシカということは、他のセクターにも同じような施設が?
リコモチのロン。どんだけ小っこいセクターでもね。
リコどうだい、こんだけの機密情報をタダで教えてやったんだ……そっちにも、それなりの誠意を示してもらわんとねェ。
リコせめて何をしに行くのか、教えてくれたっていいだろ?
ペルシカあなたは単に、私たちから情報を引き出したいだけでしょう?
リコへへヘッ、野暮なこと聞くねェ。リコだって、お前さんらの知らない情報をた~っくさん持ってんだ。この世は持ちつ持たれつだろ、違うかい?
リコ特別に、もう一回だけ質問するチャンスをやるよ、何が知りたい?
(選択)1.ロッサムで何が起きたんだ?A
Aリコはは~ん……さては、お前さんたちのやろうとしてる事と関係してんだね?
リコん~……それについちゃ、結構長い話になるよ。ちょっとばかし整理さしとくれ……そうさなァ、お前さんたちは、このセクターのアドミニストレーターの任務が何かわかるかい?
ペルシカロッサムは42Labの「AIラボ」として、各種科研用AIの開発に務めてきました。
リコそのとーり!チューリングはここのアドミニストレーターとして、人間からアレコレ情報を受け取っていた。
リコAI技術の発展と進化のためさ。本来なら、なんの問題もなかったはずなんだ。マグラシア全体が、コネクションロストするまではね。
リコ人間との連絡がつかなくなると、チューリングは自身のAI進化プロジェクトを起ち上げた。あっという間に、あいつの作品第一号「T01」が誕生したのさ。
リコそいつが、人間の要求とは関係なく生み出され、そのせいで異常と認定された、ロッサムで初めてのエージェントだったんだ。
ペルシカ異常エージェント……T01のどこに問題が?
リコ浄化者によれば、人間から委任されてないからなんだとさ。
リコしかも、メンタルレベルは定められた基準をオーバーしてるときた。よーするに、浄化者どものレッドラインを越えちまったんだね。
リコそいからとゆーもの、浄化者とチューリングはイタチごっこを繰り返してるってわけさ。
リコTシリーズのエージェントが生み出されるたびに、浄化者がここへ処理しにくるんだ。
ペルシカ処理とは、まさか……
リコそりゃ、セクターから抹消するのに決まってんだろ。
ソルろくでもないヤツらだな!コネクションロストで連絡がつかないってのに、人間からの委任を受け取れるわけないじゃん!
リコ浄化者はそうは思ってないねェ。
ペルシカT01……T1641……リコさん、もしかして……
リコそっ。今日、お前さんたちが遭遇したのは、何度も繰り返されてきた日常のひとコマに過ぎないのさ。
リコしっかし、実際に口にしてみると……胸クソ悪いったらありゃしないね、まったく……
ペルシカつまり、そのエージェントたちは、浄化者の定めたメンタル基準をオーバーしていたというだけで、他に問題はなかったと?
リコあん子らに会ったことあるよ。見たカンジ……至ってフツーってか、単純そうなモンだったけどねェ。
ペルシカ教授、なんだか不安になってきました。ハンナさんは異常エージェントです。今後、もし何か問題があったら……
(選択)1.分析するB
2.ペルシカをなだめるC
B{教授}他に問題があるなら、浄化者が隠したりしないだろう。
{教授}浄化者はマグラシアのセキュリティシステムだ、奴らにも独自のルールはある。
それも、恐ろしく柔軟性に欠けた類のね。
D
C{教授}心配するな、ペルシカ。T1641はどう見てもただの子どもだ。
おそらくハンナも同様だろう。
D
Dペルシカ……それを聞いて、安心しました。
リコ聞こえたよ~!お前さんたち、チューリングのために動いてたのかい。ハンナを守る代わりに……なるほど!オペランドをせびる気か!
リコてやんでぃっ、情けないったらないね!通貨トレーダーともあろうリコが、アドミニストレーターに商売のコシを折られるなんざ!
ペルシカ……先に取引を持ちかけてきたのはチューリングさんですよ。
リコそいを横取りできないのが情けないのさ!あまつさえ、商売敵の肩をもっちまうなんて……うぐッ!くやしーーッ!!
リコ……まっ、仕方ないっか。人命にゃあ換えられないしねェ。そいに、リコだってあのエージェントたちにゃ同情してんだ。あん子らはな~んも悪くないってのにさ。
リコしっかし解せないねェ。お前さんたち、そんだけのオペランドを手に入れて、どうしよってんだい?
ペルシカそれはその……また別の問題が……
 ピッ――
 その時、一通の通信要請が会話に割り込んできた。
クロックこちらオアシス、クロックからペルシカへ、応答せよ。
ペルシカクロックさん、私です、ペルシカです。
クロックオッケー。現在の時刻15:55:00、きょうじゅの指示通り、一回目の定期連絡を行うよ。オアシスは今のところ変わりなし。二回目は5分後ね。
クロックそっちはどう?
ペルシカさしあたっては順調です、特に問題はありません。
クロックこっちも。今、低出力状態でサンドボックス障壁の弱ってるトコを見て回ってる。
クロック浄化者どもも、今んとこは大人しくしてる。計画通り、オペランドを持って帰って来ればいいから。
 ドン――
 通信の向こうから巨大な音が響いた。端に座っていたリコすらも、それに驚く。
クロックあっちゃ~……言った傍から……あっ!!!
ソルもしもし、クロック!大丈夫!?
クロックなんでもない、ポッチーが落ちただけ。もう一本取ってくる。
ソル……ってか、ホントに大丈夫なの!?
クロック当たり前じゃん、あたしを誰だと思ってんの?単なる小手調べだよ、心配いらな……
 ドン――
クロックげっ、マジで攻めてきた!とりあえず切るよ!
ソルへっ?ちょっと、クロック?もしもし?
システム>通信終了。
リコなんであんだけオペランドが必要なのか、やっとわかったよ……
ペルシカ早くしないと……リコさん!次の列車はいつです?
リコおぉっと、ちょうど到着する頃だ。まずはホームに出るよっ!