オアシス、G区画の大通り。 | |||
ホライズン | こちらホライズン小隊。封鎖エリアはぜんぶ避けてきたよー。もうすぐ予定のルートから目標地点に到着しまーす。 | ||
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ホライズン | こっちは順調だよー。司令部のみんな、精確な情報をありがとー | ||
ホライズン | ……って、あれれ?ペルシカ、その包帯…… | ||
ペルシカ | ああ、先ほど黛煙さんが戻られて、手当してくださったんです。 | ||
エージェント | 医療部門からの通信です―― | ||
フローレンス | ペルっち!誰を見つけたと思う!? | ||
黛煙 | ペルシカさん!申し訳ございません。たった今、意識を取り戻したばかりで。すぐに司令部に向かいます! | ||
ペルシカ | よかった、ちょうど副官がいなくて困っていたんです。容態はいかがですか? | ||
黛煙 | わたしでしたら心配いりません、絳雨が砲撃から守ってくれました。まだ目覚めるには時間がかかりますが、彼女も無事です。 | ||
黛煙 | フローレンスさんが、わたしたちの救援要請を拾って、助けてくださったんです。 | ||
フローレンス | えへへ。ペルっちが人手を回してくれたおかげだよ。 | ||
フローレンス | 悪いけど、私は忙しいからこれで。バ~イ! | ||
…… | |||
ペルシカ | ――というわけでして。今後、G区画以外の戦場の指揮は彼女が担当します。障壁の修復に関しては、私にご連絡ください。 | ||
ペルシカ | 当然ですが、場合によっては通信の遅延も考えられます。その場合は現場の状況に応じて、ホライズンさんのご判断で行動して頂くことになります。 | ||
ペルシカ | 問題ありませんか? | ||
ホライズン | オッケー。もうすぐマグニルダたちと合流できそー | ||
ペルシカ | 了解です。この作戦では、あなた方の役割が最も重要です。何かあれば、ただちに情報を同期してください。作戦の成功を祈って。 | ||
ホライズン | はーい。 | ||
ホライズンは通信を切って、遠くを眺めた。 | |||
サンドボックス障壁に開いた巨大な穴からは、絶えず火光が散っている。 その下では、エージェントたちがエントロピーの群れと熾烈な戦いを繰り広げていた。 膨大な数の敵と比べると、彼らがひときわ小さく感じられる。 | |||
とある人影が戦場の煙霧をふりはらい、 小さな人形をかばいながら、火光の中から姿を現した。 | |||
ホライズン | マグニルダ! | ||
マグニルダ | 迎えに行けなくてすまない、手が回らなくてね。あたいらですら前線から離脱するのがやっとだ。 | ||
マグニルダ | 後はこいつがお前さんたちをサポートするよ。偵察担当のマイだ。 | ||
マイ | よ、よろしくお願いします、ホライズン隊長! | ||
ピンク髪のエージェントが頭上のフードを引っ張って、少し畏まった様子で挨拶をした。 | |||
ホライズン | うん、よろしくー。前線の情報はうけとったよー。おかげでいい作戦が立てられた、ありがとねー | ||
マイ | い、いえ!あ、あの、早速なんですが、ご報告したいことがありまして! | ||
マイ | 破壊された箇所のサンドボックス障壁は、現在オフラインになっています。先ほど、手動で障壁のシステムをインプットして、リアルタイムデータを同期しておきました。こちらです! | ||
ホライズンはマイの端末を受け取って、スクリーンに表示されているデータを見た。 彼女の眉間に、わずかなシワが寄る。 | |||
ホライズン | サンドボックス障壁から、オペランドが失われてる……?マイ、具体的な座標って、わかったりするー? | ||
マイ | それが、座標が移動し続けているんです。しかも、かなり距離のある二つの場所から、同時にオペランドが流出することもあって。 | ||
マイ | とりあえず、現在の座標をマップ上に記しておきました。いつ転移するかわかりませんが…… | ||
ホライズン | ……なんか、そう単純なハナシじゃない気がしてきた。 | ||
マイ | はい。私も不思議に思って、オペランドの流出している座標に、観測気球をいくつか飛ばしてみたんです。 | ||
マイ | だけど、なぜかいつも途中で壊れるし、座標に到達できても、裂け目の他は何も見つからなくて…… | ||
マイ | 唯一使えそうな画像データがこちらです…… | ||
マイは端末を操作して、一枚の写真を取り出した。 巨大なサンドボックス障壁のふもとに、小さな黒い点が寄り集まっている。 ホライズンが目を凝らす―― | |||
ホライズン | なに、これ……!? | ||
G区画、サンドボックス障壁付近。 | |||
マイ | ホライズン隊長、いました! | ||
ホライズン | しーっ!驚かせちゃダメ。 | ||
ホライズンはマイの指差す方向を見た。 そこには、写真に映っていたオペランド流失の元凶の姿があった―― | |||
サンドボックス障壁の小さな裂け目に這いつくばる、謎の生き物。 その周囲を大量の下位エントロピーたちが包囲している。 どうやら、「生き物」を守っているようだ。 | |||
ホライズン | あれが……オペランドを流失させてたのー? | ||
マイ | わ、わかりません……遠すぎて何がなんだか…… | ||
マイ | データを取るには、もっと近づかないと。 | ||
マグニルダ | よし、あたいの小隊で蹴散らそう! | ||
ホライズン | もぉ!落ち着いてよー! | ||
ホライズン | 初めて見るモンスターなんだよ、習性もわかんないのに近づけないよー。データからして、エントロピーなのは確かだけどー…… | ||
マグニルダ | だけど、あたいたちの目標は、G区画の障壁を塞いで修復することだろ? | ||
マグニルダ | あんなのが障壁のオペランドを吸い取ってちゃ、修復なんかできっこないよ。 | ||
ホライズン | でもペルシカは、できる限り犠牲を出すなって。 | ||
マグニルダ | ここでモタついてたら、オアシスのエージェントたちが先にやられちまう。安心しな、あたいはボクサーだ。タフなのが取り柄だからね! | ||
ホライズン | ダメだってばー!まず司令部に連絡してから―― | ||
マグニルダ | なに言ってんだ。速さはすべてに勝る、そんな暇があったら―― | ||
マイ | あ、あのー…… | ||
ホライズン&マグニルダ | なに!? | ||
マイ | ヒッ!!ご、ごめんなさい!! | ||
マイ | た、ただその……観測気球を飛ばしてみたらどうかなーって…… | ||
ホライズン&マグニルダ | …… | ||
ホライズン | そうだよー!マイの言う通りじゃんかー!突撃するにしたって、じゅうぶんな情報がないと! | ||
ホライズン | マイ、お願いしていーい? | ||
ホライズン | ハァ……現場の意見をまとめるのって、こんなに大変だったんだ……ペルシカや教授を尊敬しちゃうな…… | ||
…… | |||
マイの観測気球はフワフワと宙に浮いて、 ゆっくりと謎のエントロピーの頭上めがけて飛んでいった…… | |||
マイ | 付近に下位エントロピーがたくさんいますね。近づくのは大変そうです…… | ||
マイ | この角度と距離からなら、もっと詳しいデータが採れるかも…… | ||
パンッ! | |||
マイ | ひゃっ!?き、気球が…… | ||
マイの悲しげな眼差しに見守られ、観測気球がフラフラと墜落し、 謎のエントロピーの傍に落下した。 | |||
マイ | うぅぅ、せっかくここまで近づけたのにぃ……あぁっ! | ||
次の瞬間、マイの端末が鳴った。墜落した観測気球の機能はまだ生きていたのだ。 先ほどまでショックを受けていたマイは、すぐに表情を整えると、 気球から送られてきたデータをメンバーに素早く同期した。 | |||
ホライズン | うーん……気球は下位エントロピーに撃ち落とされちゃったみたいねー | ||
ホライズン | 気球を敵だと思ったのかなー? | ||
マイ | そんな……ありえません。 | ||
マイ | 私の気球は、アンナさんに特殊な迷彩を施してもらっています。本来なら、下位エントロピーや一部の浄化者は、気球を環境データだと認識するはず。攻撃なんてするはずない。 | ||
マグニルダ | つまり、誰かが指揮してるってことか? | ||
ホライズン | 可能性はあるねー、それじゃよけい軽率に動けないなー。もっかい気球、ためしてみよ? | ||
マイ | は、はい。いいですけど、もう残りがあまりなくて…… | ||
ホライズン | あと何個あるんー? | ||
マイ | 偵察の時にほとんど使っちゃって、あと3個です…… | ||
マイ | あっ、そうだ!気球を二つ同時に飛ばして、片方でエントロピーたちの注意を引いて、もう片方でそっと近づくのはどうでしょう!? | ||
マイ | そうすれば、最後の一つは残しておけるし…… | ||
マイ | それに、オペランドを注入すると、もっと高く飛ばせますよ。そうすれば攻撃も当たらないかも。 | ||
ホライズン | なるほどー。そこでもう一人、誰かが敵を引き付ければ…… | ||
マグニルダ | あたいの出番だね!言っとくけど、結果がどうなろうと、あたいたちはもう待てないよ。 | ||
ホライズンとマグニルダは目を合わせて頷くと、優しくマイの肩を叩いた。 | |||
ホライズン | 今度こそ、成功させよー! | ||
マグニルダ | こっちは準備できた。 | ||
ホライズン | オッケー、行動かいしー! | ||
タタタタタッ―― | |||
そう遠くない場所で、数名のエージェントたちが謎のエントロピーに遠隔攻撃を行った。 周囲の下位エントロピーがすぐさま反応し、謎のエントロピーの前に防衛線を張る。 | |||
マイ | あれっ、反応したのは下位エントロピーだけですね…… | ||
マグニルダ | マイ!今だ!! | ||
マイ | あっ……は、はい!! | ||
マイは交戦エリアを慎重に避けつつ、 二つの気球を異なる方向から、謎のエントロピーめがけて飛ばした…… | |||
マイ | あと、すこし…… | ||
パンッ!パンッ! | |||
マイ | あぁっ!気球が―― | ||
上空から謎のエントロピーに近づいた二つの気球が、次々と破裂して墜落してゆく。 | |||
謎のエントロピーは体を動かすと、気球が落ちた場所へと近づき、それを呑み込んだ。 | |||
マイ | あっ、あああーーッ!!か、怪物が動いて……気球を食べちゃいました! | ||
マイ | き、気球が……食べられてる感触が伝わってきた、き、気持ち悪ぃぃぃーーッ! | ||
ホライズン | マイ!まさか、ウイルスなの!? | ||
マイ | だ、だだだ、大丈夫です!感覚モジュールの一部が、気球とリンクしてるものですから……感触が奇妙な他は問題ありません、データを分析します! | ||
マイは立っていられなくなって、その場にへたりこんだ。 思いもよらないショックをうけたらしい。 | |||
それでも、彼女は先ほどと同じようにデータを手早く整理し、 まずはメンバーたちに採取した画像を同期した。 | |||
ホライズン | これ…… | ||
ホライズンが映像データを開くと、そこには奇妙な光景が映っていた。 まるく膨らんだ、半透明の躯体。 その中心部に脈々と流れる黒紫色のオペランドは、今にも破裂しそうだ。 | |||
ホライズン | 膨張した……クラゲ……? | ||
マイ | ええっ!?クラゲって、気球を食べたりするんですか?!海の生き物って恐ろしい…… | ||
ホライズン | ……うーんと、とりあえず落ち着こっか? | ||
ホライズン | 他にあからさまな敵がいたのに、下位エントロピーは攻撃をやめて、気球を撃ち落としたでしょー | ||
ホライズン | つまり、エントロピーを指揮してたのは、このクラゲだったんだよ。 | ||
マイ | おかしいなぁ、現実じゃクラゲに知能なんてないはずですけど……あ、データの分析が終わりました! | ||
マイ | クラゲが……周囲のオペランドを吸収してる……! | ||
ホライズン | 吸収?……とにかく、まずはペルシカに伝えるねー | ||
…… | |||
ホライズン | ……ってわけなんだー。オペランドの流出を防ぐには、下位エントロピーとクラゲを倒さなきゃいけなくて。増援を送ってもらえないかなー? | ||
ペルシカ | そうでしたか。指揮能力を持つクラゲのエントロピー、一筋縄では行かなそうですね。 | ||
ペルシカ | それも、物体を摂取せずにオペランドを直接吸収できるだなんて……こんな個体は初めて見ます。 | ||
ペルシカ | ですが、生態がわからないのでは、手の施しようがありません。むやみに攻撃して爆発でもしたら……被害がさらに広がってしまうかも。 | ||
ホライズン | だけど、ほうっておいたら障壁はいつまでたっても修理できないよー。注いだオペランドがクラゲのエサになっちゃう。 | ||
ペルシカ | ええ……オアシスの外におびき出すのはどうでしょう? | ||
ホライズン | えー……つまりー、戦わないで、クラゲを障壁から引きはなすってことー? | ||
ホライズンは、障壁に這いつくばる謎のエントロピーに目を向けた。 中心にいるクラゲの色が、先ほどよりも濃くなっているのが遠目にもわかる。 | |||
ホライズン | ……マイ。あの気球、ぜんぶクラゲに食べられちゃったのかなー? | ||
マイ | は、はい……観測設備もろとも、吸収されちゃったみたいです。 | ||
マイ | あのクラゲ、ますます大きくなってますね……なんか、風船みたいでちょっと可愛いかも。 | ||
マイ | でも食べられたのが一つだけでよかったぁ。あとで全部回収しなきゃ、修理すればまだ使えるかも…… | ||
ホライズン | そういえば、なんで他の気球は食べなかったんだろー? | ||
マイ | あっ!そういえば、エントロピーの攻撃が当たらないように、あの気球には少し多くオペランドを注いでたんだった……! | ||
マイ | 結局、すぐに撃ち落とされちゃったんですけど。トホホホ……私の気球とオペランドがぁ…… | ||
マグニルダ | 気球を守ろうとしたのが、裏目に出たってわけか。 | ||
マイ | あぁ~~聞きたくない聞きたくない…… | ||
ホライズン | そっか……あのクラゲ、オペランドの多いほうに引き寄せられたんだ! | ||
ペルシカ | サンドボックス障壁からオペランドを吸収していた事実から見ても、その結論で間違いなさそうですね。 | ||
ホライズン | そっか、オペランドで……わかった、やってみる。 | ||
マグニルダ | ちょっと待った!本当に倒しておかなくていいのか?あのまま逃して、取り返しがつかなかったらどうするんだ? | ||
ペルシカ | 今は、サンドボックス障壁の修復が最優先です。 | ||
ペルシカ | サンドボックス障壁が損傷したせいで、敵に付け入る隙を与えてしまったのでしょう。もし障壁がもとに戻れば、奴らを外に締め出すことができる。 | ||
ホライズン | ……うん、そうだね。こっちで方法考えてみる。 | ||
ペルシカ | どうするおつもりです? | ||
ホライズンは通信端末のスクリーンから視線をそらし、傍にいたマイを見た。 | |||
マイ | ……さ、最後の気球、ですね…… | ||
ホライズン | うん、おねがい。 | ||
マイ | うぅ……わ、わかりました! | ||
数分後、オアシス司令部。 | |||
ホライズン | ペルシカ、作戦せいこーだよー! | ||
ペルシカ | さすがです!お怪我はありませんでしたか? | ||
ホライズン | うん。クラゲとのベストな距離を保つために、マイが苦労してたー。近すぎると落とされちゃうし、遠すぎると興味がなくなっちゃうからさー | ||
ホライズン | だいぶオペランドを使っちゃったみたい、今は休んでるー。まぁ、気球をぜんぶ使っちゃって、ショックだったのかもしんないけど…… | ||
ホライズン | 気球から下位エントロピーの注意を逸らそうとして、マグニルダが怪我しちゃったけど、どれもかすりキズ。みんなピンピンしてるよー | ||
ホライズン | クラゲは下位エントロピーと一緒に、気球を追いかけてっちゃった。 | ||
ペルシカ | あのクラゲに指揮能力があるのは、疑いようがありませんね。 | ||
ペルシカ | とにかく、お疲れ様でした。 | ||
ホライズン | へーきへーき。ただ、マイと気球たちが、ちょっとかわいそーだったかな。 | ||
ペルシカ | ふふふ。この山を越えたら、気象部門に予算を多めに分けてあげませんと。それでは、サンドボックス障壁の修復を頼みます。 | ||
ホライズン | りょーかーい。 | ||
ペルシカは通信を切って、椅子にゆったりと腰かけ、安堵の溜息をついた。 | |||
黛煙 | サンドボックス障壁の修復が始まりました。穴や裂け目から侵入してきたエントロピーも、ほぼ駆除し終えたようですね……今のところ、状況は安定しています。 | ||
ペルシカ | よかった。 | ||
黛煙 | オアシス内の警告エリアも徐々に減りつつあります。お疲れ様でした、ペルシカさん。少し休憩なさってはいかがですか? | ||
ペルシカ | いいえ、まだ気を抜くわけにはいきません。次は…… | ||
ペルシカはスクリーン上のマップを縮小し、オアシスの外に視線を向けた。 | |||
ペルシカ | 通信手段を復旧させなくては。 | ||
黛煙 | 今からですか?皆さん、戦いでずいぶんと消耗しておいでです。少し落ち着いてからのほうが…… | ||
ペルシカ | ロッサムのレールガンによって、中央信号塔を含む多くの施設が破壊されました。しかも、射線上にないはずの予備通信ノードもなぜか機能していない。 | ||
ペルシカ | オアシスを孤立させることが、敵の目的なのかもしれません。このままでは外にいる仲間との連絡がとれず、同盟セクターに助けを求めることもできない。 | ||
ペルシカ | 今後、さらに多くの敵が迫ってこないとも限りません。外界との通信手段をすぐにでも取り戻さなくては。 | ||
黛煙 | ……現在、戦闘エージェントは負傷者多数。医療部門が全力で治療に当たっており、後方エージェントのほとんどが障壁の修復をサポートしています。 | ||
黛煙 | 外部の通信ノードを修復するには、この中から人手を割くしかありません。しばらくすれば人員に余裕も出てくるでしょう。ですが今は―― | ||
ペルシカ | 黛煙さん。あなたにも本当は、わかっているのでしょう? | ||
黛煙 | …… | ||
黛煙 | ……通信手段なくして、教授からの連絡は受け取れない…… | ||
ペルシカ | その通りです。誰もがオアシスの要の帰還を待ち望んでいます……教授がお戻りになれば、きっとどんな困難も乗り越えられる。 | ||
ペルシカ | あなたになら、理解できますね? | ||
黛煙 | …… | ||
黛煙は無言で頷いた。 | |||
ペルシカ | 黛煙さん、人員の手配を頼みます。 |