| 浄化者No.05哨戒タワー。 | |||
| オディール | くっ、厄介ね…… | ||
|---|---|---|---|
| 相手の具体的な分布を知った浄化者たちが、敵の群れを圧倒してゆく。 エントロピーは瞬く間に劣勢へと追いやられた。 | |||
| 一方、オディールはフェイスとの戦いを強いられている。 | |||
| オディール | ふふふ……お互いに、少々勇み足だったようね。 | ||
| オディール | 勝負のつかない戦い、代わり映えのしない物語。なんてつまらないのかしら…… | ||
| オディール | 主はお喜びにならないわ。これじゃ、適度な余白があったほうがマシね。 | ||
| フェイス | 逃げる気か? | ||
| オディール | 舞台ではこれを「幕間」と呼ぶの……おわかり?厄介な騎士のお嬢さん! | ||
| オディールが蹴りを繰り出すと見て、フェイスは盾でそれを防ごうとする。 しかし相手は力強く盾を蹴ると、その反動を利用して空高く舞い上がった。 | |||
| フェイス | 待て……! | ||
| フェイス | 飛び去ったか。ずる賢いイレギュラーめ…… | ||
| オディールが去るやいなや、タワー内にいたエントロピーたちも、 蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった。 | |||
| フェイス | 追え。 | ||
| ペイシェンス | 【了解しました】 | ||
| フェイスは浄化者の部隊にエントロピーを追撃させ、 自身は私たちのほうへと近づいてきた。 | |||
| フェイス | シグネチャコードの再確認を…… | ||
| フェイス | 【シグネチャコードエラー、本来の所属セクター:クラウドセクター】 | ||
| フェイス | 自身のセクターを離れることは、マグラシアの基本条約に背く。 | ||
| そう言って、彼女は手を上げた。 | |||
| {教授} | ま、待ってくれ……!! | ||
| 私が避けようとすると、彼女は一歩前へと踏み出して、私の手を握った。 | |||
| フェイス | イオスフォロス様から話は伺っている、浄化者はクラウドセクターの民を歓迎するぞ。 | ||
| フェイス | 我らは浄化者の責務に基づき、ホワイトリストに記されたエージェントを守ろう。 | ||
| フェイス | No.05哨戒タワーへようこそ、{教授}教授。 | ||
| {教授} | はぁ……助かった。 | ||
| {教授} | 援護に感謝する。 負傷者がいるんだが、治療を手伝ってもらえないか? | ||
| フェイス | 問題ない。哨戒タワー内には、十分な医療設備が備わっている。人員もすでに配置についた。こちらへ。 | ||
| フェイス | 要望通り、このエージェントの治療を優先的に行う。 | ||
| {教授} | よろしく頼む。 | ||
| フェイスがアントニーナを病床に横たわらせると、 リファクターが真っ先に近寄ってきて、アントニーナを治療し始めた。 | |||
| リファクター | 【修復中……ターゲットの稼働正常、エントロピーウイルスは検知されませんでした】 | ||
| リファクター | 【修復完了、スリープモードの自主解除をお待ち下さい】 | ||
| フェイス | 治療プログラムは作用しているようだな。外傷がある他は、問題はなさそうだ。 | ||
| {教授} | ありがとう、フェイス。 | ||
| フェイス | 気にするな、これが我の責務だ。すでにリファクターを他のエージェントたちの検査にあたらせている。 | ||
| フェイス | 無礼を承知で述べるが、お前と同様、彼らのシグネチャコードにも食い違いが見られる。 | ||
| フェイス | イオスフォロス様のご判断を疑うつもりはない。だが、彼らは本当に異常エージェントではないんだな? | ||
| (選択) | 1.真面目に答える | A | |
| 2.ハッタリをかます | B | ||
| A | {教授} | 全員、正常なエージェントだよ、私が保証する。 私たちはロッサムセクターを助けに来ただけなんだ。 | |
| フェイス | なるほど。確かにロッサムを救うには、自身のセクターを離れるしか術はない。 | ||
| フェイス | イオスフォロス様が特別に許可を下されたのはこのためか……完全に理解した。 | C | |
| B | {教授} | 私たちはイオスフォロス直属の秘密部隊だ。 自由に行動することを許されている。 | |
| {教授} | 彼の判断を疑うつもりか? | ||
| フェイス | 疑うなどとんでもない、ようやく理解できた。 | C | |
| C | フェイス | ロッサムセクターを放棄したように見せかけて、すでに人員を援助に向かわせていたとは。 | |
| フェイスはホッとしたようだった。 | |||
| フェイス | ともすれば、我の犯した失敗も、取り返しがつくかもしれんな…… | ||
| {教授} | 失敗?タワーは奪い返せたじゃないか。 | ||
| フェイス | そうではない……我はかつてとある任務に失敗し、異常エージェントに倒されたことでリセットを経験している。 | ||
| フェイス | 中位浄化者にとっては珍しくもない話だ。しかしパンテオンで目覚めると、なぜか我はロッサムセクターへの立ち入りを禁じられていた。 | ||
| フェイス | この状況は、定められたプログラムに符合しない。本来なら、ロッサムセクターの安全を維持するのが我の役目だ。それなのに、あそこのエージェントどもは我を歓迎しないのだ。 | ||
| フェイス | そのせいで我の思考ロジックは混乱し、認知エラーを引き起こすまでに至った。 | ||
| (選択) | 1.過去に取り返しのつかない過ちを犯したのだろう。 | D | |
| 2.君も大変だったろう、お疲れ様。 | E | ||
| D | フェイス | しかし……その過ちがなんなのか、我は知る由もない。 | F |
| E | フェイス | 浄化者の使命を果たせなかったのだ、そんな言葉をかけられる資格はない。 | F |
| F | フェイス | イオスフォロス様のお力添えで、我はロッサム付近の哨戒タワーに駐在することとなった。 | |
| フェイス | ロッサムセクターには入れんが、我は今もこうして、ロッサムを守るという務めを果たしている。 | ||
| そこまで言うと、フェイスは彼女特有の堅苦しくも真面目な表情で私を見た。 | |||
| フェイス | {教授}教授。部隊を率いたロッサムへの支援、感謝する。 | ||
| フェイス | だが、一般エージェントをこれ以上巻き込むわけにはいかん。 | ||
| {教授} | 浄化者の兵力は足りてるのか? | ||
| フェイス | 我の責務はお前を守ることだ、お前たちからの支援を受けることではない。 | ||
| フェイスはそう言うと、重たい盾を持ち上げて、その場から立ち去ろうとした。 | |||
| フェイス | 哨戒タワーは取り戻した、すぐに体制を整える。ロッサムを二度も奪われてたまるものか。 | ||
| {教授} | 待ってくれ。 | ||
| フェイス | なんだ? | ||
| (選択) | 1.奴らは狡猾だ、武力だけで対抗するのは得策じゃない。 | G | |
| 2.私がホワイトリストに加えられたのには、別の理由がある。 | H | ||
| G | フェイス | 何が言いたい?ロッサムが陥落するのを、ただ指をくわえて見ていろと? | |
| フェイスの表情にあった疑惑が色濃くなる。 | |||
| フェイス | ……お前の言葉を信じる理由がどこにある? | ||
| {教授} | そう警戒するな、私に良い作戦がある。 イオスフォロスに権限を与えられたのも、私を信用してのことだ。 | I | |
| H | フェイス | 別の理由だと?理解しかねる、何が言いたい? | |
| {教授} | イオスフォロスには、今回の作戦で浄化者を支援するよう言われている。 | ||
| {教授} | エントロピーの研究においては、私たちもちょっとしたものでね。 それに、対エントロピーの戦闘経験をある程度有してる。 | ||
| {教授} | 今回の作戦は、私たちが共同で行わなくてはならない。 | I | |
| I | 私の言葉を聞いて、フェイスは考え込んだ。 | ||
| イオスフォロスによる命令の優先度が、彼女自身の思考とせめぎ合っているのだろうか。 しばらく経たずして、彼女は頷いた。 その口から、私の期待を大きく上回る答えが発せられる。 | |||
| フェイス | いいだろう。リバベルに報告を行ったところ、承諾を得られた。これより浄化者と追放者の共同作戦を実行する。 | ||
| {教授} | そうこないとね。 そちらは戦力を、こちらは作戦を提供しよう。 | ||
| {教授} | それと、私たちにはエージェントを治療する術がない。 作戦で負傷した際には、リファクターたちの力を借りたい。 | ||
| フェイス | 当然だ。繰り返すが、エージェントを守るのが我々の使命だからな。お前たちに一部の権限を開放しよう。 | ||
| フェイス | 改めて、マグラシアの秩序維持への力添え、誠に感謝する。{教授}教授。 | ||
| {教授} | こちらこそ、協力しあえて嬉しいよ。 ロッサムを守る決心にかけては、私たちも負けてないさ。 | ||
| アントニーナ | まったく……口だけは立派ですね。ゲホッ…… | ||
| {教授} | アントニーナ、目を覚ましたのか? | ||
| アントニーナ | 誰かさんが豪語し始めると、アレルギーで鼻がムズムズするものですから。 | ||
| {教授} | 無事でよかった…… | ||
| {教授} | ここは哨戒タワーの中だ。 浄化者たちに治療と補給を提供してもらってる。 | ||
| アントニーナ | 見ればわかります。さっそく…… | ||
| リファクター | 【修復プログラムが完了していません、負担の大きい動作は禁物です】 | ||
| フェイス | まだ完全に傷が塞がっていない、起き上がるのは…… | ||
| フェイスがアントニーナを支えようとするも、冷ややかに手を押しのけられてしまう。 | |||
| フェイス | ……? | ||
| {教授} | …… | ||
| アントニーナ | 先ほど、クロックから通信要請があったようです。浄化者の方々に外して頂いても? | ||
| アントニーナ | 協力関係にあるのは理解しています。ですが、それぞれの権限の範疇は明確にしておくべきかと。 | ||
| フェイス | 問題ない。自由にくつろいでくれ、何かあったら連絡を。 | ||
| {教授} | アントニーナ。 | ||
| アントニーナ | ……すみません。チューリングを殺した犯人だと思うと、どうしても拒否反応が出てしまって。今すぐ仲良くなれと言われても、私には無理です。 | ||
| {教授} | ああ、わかってる。 強大な力は、使い方を見誤れば哀しみを生んでしまう。 あの時のように。 | ||
| {教授} | だからこそ、こうして彼らの力を正しい方向に導く必要があるんだ。 お互いにとって有益なことだよ。 | ||
| アントニーナ | フン……さすがは教授、すべて計算づくというわけですか。 | ||
| {教授} | こちらの力には限りがある、打算的にもなるさ。 | ||
| {教授} | それで、クロックのほうは? | ||
| アントニーナ | 今、かけなおしてます。 | ||
| 通信を立ち上げるとほぼ同時に、クロックが通信に出た。 | |||
| クロック | アンナ、きょうじゅ!無事なの!? | ||
| アントニーナ | ええ、まぁ。そちらのメッセージも確認できてます、状況は大体把握しました。 | ||
| クロック | よかった、通信が繋がんないから心配したよ。 | ||
| クロック | そっちは平気?トラブルとか起きてないよね? | ||
| 私とアントニーナは目を見合わせた。 | |||
| {教授} | ああ……多少の犠牲はあったが、順調だよ。 今は哨戒タワーで浄化者の保護を受けてる。 これ以上ないほどに安全だ。 | ||
| クロック | 浄化者……?それって、大丈夫なの? | ||
| {教授} | ああ、イオスフォロスの言葉は嘘じゃなかった。 実はさっき、オディールの待ち伏せに遭って…… | ||
| クロック | オディールに会ったの!? | ||
| {教授} | まぁね。駆けつけた浄化者がエントロピーを撃退して、 今は逃げたオディールを追ってる。 すごい戦いだったよ、君からの通信にアントニーナが気づかないくらい。 | ||
| アントニーナ | な……ゴホン。ええ、まぁ。 | ||
| {教授} | 君たちのほうはどうだ? | ||
| クロック | え、あたしたち?も……メッセージに書いた通り、順調だよ。 | ||
| {教授} | 本当か? | ||
| クロック | うん。ハンナたちと合流できたし、オペランドも無事……今のところはね。 | ||
| クロック | こっちは死傷者も出てない、みんな無事だよ。心配しないで。 | ||
| {教授} | それならよかった。 | ||
| クロック | うん、次の作戦も立てたんだ。 | ||
| クロック | レールガンのエネルギー充填が終わったら、真っ先にきょうじゅたちを支援してくれるってハンナが。 | ||
| クロック | レールガンの各種パラメータをアンナに送っといた。火力は十分すぎるぐらいだね。念のため確認しといて。 | ||
| クロック | これからソルとは二手に別れて行動するから。ソルが部隊を編成してる。あたしはディラックの修理ね。すぐに行動開始するよ。 | ||
| アントニーナ | なぜ二手に別れる必要が? | ||
| クロック | ま、簡単に言えば、オペランドを解凍する場所と、レールガンが真逆の方向にあるのね。ソルとチューリングがデータセンターに行って、あたしとハンナが砲台を起動すんの。 | ||
| クロック | ハプニングさえなければ、んーと……一時間後に連絡する。 | ||
| クロック | その間に、砲撃する座標、決めといて。 | ||
| {教授} | 一時間か…… | ||
| {教授} | わかった、準備しておくよ。 | ||
| クロック | 話早くて助かる、頼んだからね。 | ||
| クロック | こっちもそろそろ出発かな。ここには長居できないし…… | ||
| クロック | お互いがんばろ、また後でね。 | ||
| ピッ―― | |||
| アントニーナ | 慌てて切った……背景の声からして、人が大勢いる場所で通信していたようですね。 | ||
| アントニーナ | どう思います?悪いニュースはあえて伏せているようですが。 | ||
| {教授} | それはこっちも同じだろう、不要な心配はさせたくない。 | ||
| アントニーナ | ……それは確かに。 | ||
| {教授} | 心配いらないさ。 この戦いを終えてオアシスに戻れば、時間はたっぷりあるんだ。 その時にまた話を聞こう。 | ||
| {教授} | 今は、お互いへの信頼だけで十分だ。 | ||
| アントニーナ | 綺麗事ばっかり言って、舌が痺れても知りませんからね。 | ||
| アントニーナ | クロックから送られてきたレールガンのデータです。 | ||
| アントニーナはレールガンの図面とデータをスクリーンに映し出した。 | |||
| {教授} | こ、この外見は……なんだか、嫌な記憶が蘇ってきたぞ…… | ||
| アントニーナ | なにか問題でも? | ||
| {教授} | いや、なんでもない。 | ||
| {教授} | ただ、見た目からして、凄まじい威力を発揮しそうだと思ってね。 | ||
| アントニーナ | ついさっき、その片鱗を味わってるじゃないですか。 | ||
| {教授} | そうだったね。さて、座標はどうするか…… | ||
| アントニーナ | どうせ、すでに目星はついてるんでしょう? | ||
| {教授} | まぁね。さっきの戦いで、オディールの力が以前に増して強くなっているように感じた。 それも、あれだけの下位エントロピーを一斉に操った状態で。 おそらく彼女の「主」から、オペランドを大量に与えられたんだろう。 | ||
| {教授} | 逆に考えれば、ロッサム周辺のエントロピーの戦闘力と指揮権限が、 すべて彼女に集約されていることになる。 一撃で解決できれば願ったりだ。 | ||
| アントニーナ | オディールを爆破する気ですか? | ||
| {教授} | その通り。 | ||
| アントニーナ | 建物や軍隊ならまだしも、あれだけ機動力のある飛行物体に、どう狙いを定めるというんです? | ||
| {教授} | 確かに、それが問題だな…… | ||
| アントニーナ | チッ……成算があるのかと思ったら、ただの妄想か…… | ||
| {教授} | なんとかするさ。 こんな時、アイディアが降ってきてくれると助かるんだけど…… | ||
| ピピピッ! | |||
| アントニーナ | ん? | ||
| 通信が再び鳴った。 アントニーナは訝しげにそれを受ける。 | |||
| アントニーナ | クロックさん?次の連絡は一時間後じゃなかったんですか。 | ||
| クロック | ごめん、大事なこと言うの忘れてた。さっきオディールに会ったんだよね? | ||
| クロック | 実はロッサム内でも、エントロピーが誰かに操られてたんだ。 | ||
| クロック | それもすっごい統率が取れてるタイプの。オディールの他に、そんなことできるエントロピーがいるとは思えないけど…… | ||
| クロック | でも、オディールがずっと浄化者と戦ってたなら、もしかすると…… | ||
| クロック | 高い知能を持った上位エントロピーが、他にもいるかもしれない。 | ||
| クロック | お互い気をつけよ。こっちもなんかあったらすぐに連絡するから。 | ||
| 私とアントニーナは顔を見合わせた。 | |||
| 得体の知れない霧が、またしても私たちの頭上を覆った。 | |||
| 時を同じくして、Nullエリア某所。 | |||
| オディール | メンタルアクセス完了……接続中。 | ||
| オディール | こちらは予想外の展開になってきているわ。 | ||
| オディール | 予想外の……大丈夫かな…… | ||
| オディール | 心配しないで。この程度のハプニングなんて、日常茶飯事だもの。 | ||
| オディール | あなたのほうは?第二幕は順調? | ||
| オディール | 廃墟の中に、オペランドはなかった……あいつら、避難所に集まってる。 | ||
| オディール | なるほどね。いかなる手段に出ようと、今の私にとっては些細なことに過ぎないわ。 | ||
| オディール | すべては……主より賜りし叡智のおかげ。 | ||
| オディール | その通りよ、すべては主より賜りし叡智のおかげ。 | ||
| オディール | どうすべきかはわかるわね?あなたのパフォーマンスを期待しているわ…… | ||
| オディール | 仰せのままに…… | ||
| ピッ。 | |||
| トゥイナー | ギッ…… | ||
| オディール | いやね……楽屋に入る時はノックをしてと言ったでしょう? | ||
| オディール | けれど、ここに綺羅びやかな姿見はないし、お化粧を直す気も起こらないわ。 | ||
| オディール | ええ、ええ、わかってる。思った通り、勇者は教会の騎士と手を組んだ。 | ||
| オディール | 私たち悪役もそろそろ行動を起こさなくちゃ。主に賜った力とインスピレーション、そして再会に感謝を…… | ||
| オディール | 舞台の幕が開かれたとなれば、全身全霊で挑まなくては――さぁ、歌いなさい! |
