臨界爆震 PART.10 協力

Last-modified: 2025-02-05 (水) 01:23:28

浄化者No.05哨戒タワー。
オディールくっ、厄介ね……
 相手の具体的な分布を知った浄化者たちが、敵の群れを圧倒してゆく。
エントロピーは瞬く間に劣勢へと追いやられた。
 一方、オディールはフェイスとの戦いを強いられている。
オディールふふふ……お互いに、少々勇み足だったようね。
オディール勝負のつかない戦い、代わり映えのしない物語。なんてつまらないのかしら……
オディール主はお喜びにならないわ。これじゃ、適度な余白があったほうがマシね。
フェイス逃げる気か?
オディール舞台ではこれを「幕間」と呼ぶの……おわかり?厄介な騎士のお嬢さん!
 オディールが蹴りを繰り出すと見て、フェイスは盾でそれを防ごうとする。
しかし相手は力強く盾を蹴ると、その反動を利用して空高く舞い上がった。
フェイス待て……!
フェイス飛び去ったか。ずる賢いイレギュラーめ……
 オディールが去るやいなや、タワー内にいたエントロピーたちも、
蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった。
フェイス追え。
ペイシェンス【了解しました】
 フェイスは浄化者の部隊にエントロピーを追撃させ、
自身は私たちのほうへと近づいてきた。
フェイスシグネチャコードの再確認を……
フェイス【シグネチャコードエラー、本来の所属セクター:クラウドセクター】
フェイス自身のセクターを離れることは、マグラシアの基本条約に背く。
 そう言って、彼女は手を上げた。
{教授}ま、待って……!!
 私が避けようとすると、彼女は一歩前へと踏み出して、私の手を握った。
フェイスイオスフォロス様から話は伺っている、浄化者はクラウドセクターの民を歓迎するぞ。
フェイス我らは浄化者の責務に基づき、ホワイトリストに記されたエージェントを守ろう。
フェイスNo.05哨戒タワーへようこそ、{教授}教授。
{教授}はぁ……助かった。
{教授}援護に感謝するわ。
負傷者がいるんだけど、治療を手伝ってもらえない?
フェイス問題ない。哨戒タワー内には、十分な医療設備が備わっている。人員もすでに配置についた。こちらへ。
 
フェイス要望通り、このエージェントの治療を優先的に行う。
{教授}よろしく頼むわ。
 フェイスがアントニーナを病床に横たわらせると、
リファクターが真っ先に近寄ってきて、アントニーナを治療し始めた。
リファクター【修復中……ターゲットの稼働正常、エントロピーウイルスは検知されませんでした】
リファクター【修復完了、スリープモードの自主解除をお待ち下さい】
フェイス治療プログラムは作用しているようだな。外傷がある他は、問題はなさそうだ。
{教授}ありがとう、フェイス。
フェイス気にするな、これが我の責務だ。すでにリファクターを他のエージェントたちの検査にあたらせている。
フェイス無礼を承知で述べるが、お前と同様、彼らのシグネチャコードにも食い違いが見られる。
フェイスイオスフォロス様のご判断を疑うつもりはない。だが、彼らは本当に異常エージェントではないんだな?
(選択)1.真面目に答えるA
2.ハッタリをかますB
A{教授}全員、正常なエージェントよ、私が保証する。
私たちはロッサムセクターを助けに来ただけなの。
フェイスなるほど。確かにロッサムを救うには、自身のセクターを離れるしか術はない。
フェイスイオスフォロス様が特別に許可を下されたのはこのためか……完全に理解した。C
B{教授}私たちはイオスフォロス直属の秘密部隊よ。
自由に行動することを許されているわ。
{教授}彼の判断を疑うつもり?
フェイス疑うなどとんでもない、ようやく理解できた。C
Cフェイスロッサムセクターを放棄したように見せかけて、すでに人員を援助に向かわせていたとは。
 フェイスはホッとしたようだった。
フェイスともすれば、我の犯した失敗も、取り返しがつくかもしれんな……
{教授}失敗?タワーは奪い返せたじゃない。
フェイスそうではない……我はかつてとある任務に失敗し、異常エージェントに倒されたことでリセットを経験している。
フェイス中位浄化者にとっては珍しくもない話だ。しかしパンテオンで目覚めると、なぜか我はロッサムセクターへの立ち入りを禁じられていた。
フェイスこの状況は、定められたプログラムに符合しない。本来なら、ロッサムセクターの安全を維持するのが我の役目だ。それなのに、あそこのエージェントどもは我を歓迎しないのだ。
フェイスそのせいで我の思考ロジックは混乱し、認知エラーを引き起こすまでに至った。
(選択)1.過去に取り返しのつかない過ちを犯したのね。D
2.あなたも大変だったでしょう、お疲れ様。E
Dフェイスしかし……その過ちがなんなのか、我は知る由もない。F
Eフェイス浄化者の使命を果たせなかったのだ、そんな言葉をかけられる資格はない。F
Fフェイスイオスフォロス様のお力添えで、我はロッサム付近の哨戒タワーに駐在することとなった。
フェイスロッサムセクターには入れんが、我は今もこうして、ロッサムを守るという務めを果たしている。
 そこまで言うと、フェイスは彼女特有の堅苦しくも真面目な表情で私を見た。
フェイス{教授}教授。部隊を率いたロッサムへの支援、感謝する。
フェイスだが、一般エージェントをこれ以上巻き込むわけにはいかん。
{教授}浄化者の兵力は足りてるの?
フェイス我の責務はお前を守ることだ、お前たちからの支援を受けることではない。
 フェイスはそう言うと、重たい盾を持ち上げて、その場から立ち去ろうとした。
フェイス哨戒タワーは取り戻した、すぐに体制を整える。ロッサムを二度も奪われてたまるものか。
{教授}待って。
フェイスなんだ?
(選択)1.奴らは狡猾よ、武力だけで対抗するのは得策じゃない。G
2.私がホワイトリストに加えられたのには、別の理由があるの。H
Gフェイス何が言いたい?ロッサムが陥落するのを、ただ指をくわえて見ていろと?
 フェイスの表情にあった疑惑が色濃くなる。
フェイス……お前の言葉を信じる理由がどこにある?
{教授}そう警戒しないで、私に良い作戦があるわ。
イオスフォロスに権限を与えられたのも、私を信用してのことよ。
I
Hフェイス別の理由だと?理解しかねる、何が言いたい?
{教授}イオスフォロスには、今回の作戦で浄化者を支援するよう言われてるの。
{教授}エントロピーの研究においては、私たちもちょっとしたものでね。
それに、対エントロピーの戦闘経験をある程度有してる。
{教授}今回の作戦は、私たちが共同で行わなくちゃならない。I
I 私の言葉を聞いて、フェイスは考え込んだ。
 イオスフォロスによる命令の優先度が、彼女自身の思考とせめぎ合っているのだろうか。
しばらく経たずして、彼女は頷いた。
その口から、私の期待を大きく上回る答えが発せられる。
フェイスいいだろう。リバベルに報告を行ったところ、承諾を得られた。これより浄化者と追放者の共同作戦を実行する。
{教授}そうこなくちゃ。
そちらは戦力を、こちらは作戦を提供するわ。
{教授}それと、私たちにはエージェントを治療する術がない。
作戦で負傷した際には、リファクターたちの力を借りたいの。
フェイス当然だ。繰り返すが、エージェントを守るのが我々の使命だからな。お前たちに一部の権限を開放しよう。
フェイス改めて、マグラシアの秩序維持への力添え、誠に感謝する。{教授}教授。
{教授}こちらこそ、協力しあえて嬉しいわ。
ロッサムを守る決心にかけては、私たちも負けてないから。
アントニーナまったく……口だけは立派ですね。ゲホッ……
{教授}アントニーナ、目を覚ましたの?
アントニーナ誰かさんが豪語し始めると、アレルギーで鼻がムズムズするものですから。
{教授}無事でよかった……
{教授}ここは哨戒タワーの中よ。
浄化者たちに治療と補給を提供してもらってる。
アントニーナ見ればわかります。さっそく……
リファクター【修復プログラムが完了していません、負担の大きい動作は禁物です】
フェイスまだ完全に傷が塞がっていない、起き上がるのは……
 フェイスがアントニーナを支えようとするも、冷ややかに手を押しのけられてしまう。
フェイス……?
{教授}……
アントニーナ先ほど、クロックから通信要請があったようです。浄化者の方々に外して頂いても?
アントニーナ協力関係にあるのは理解しています。ですが、それぞれの権限の範疇は明確にしておくべきかと。
フェイス問題ない。自由にくつろいでくれ、何かあったら連絡を。
 
{教授}アントニーナ。
アントニーナ……すみません。チューリングを殺した犯人だと思うと、どうしても拒否反応が出てしまって。今すぐ仲良くなれと言われても、私には無理です。
{教授}ええ、わかってる。
強大な力は、使い方を見誤れば哀しみを生んでしまう。
あの時のように。
{教授}だからこそ、こうして彼らの力を正しい方向に導く必要があるの。
お互いにとって有益なことよ。
アントニーナフン……さすがは教授、すべて計算づくというわけですか。
{教授}こちらの力には限りがある、打算的にもなるわ。
{教授}それで、クロックのほうは?
アントニーナ今、かけなおしてます。
 通信を立ち上げるとほぼ同時に、クロックが通信に出た。
クロックアンナ、きょうじゅ!無事なの!?
アントニーナええ、まぁ。そちらのメッセージも確認できてます、状況は大体把握しました。
クロックよかった、通信が繋がんないから心配したよ。
クロックそっちは平気?トラブルとか起きてないよね?
 私とアントニーナは目を見合わせた。
{教授}うん……多少の犠牲はあったけど、順調よ。
今は哨戒タワーで浄化者の保護を受けてる。
これ以上ないほどに安全ね。
クロック浄化者……?それって、大丈夫なの?
{教授}ええ、イオスフォロスの言葉は嘘じゃなかった。
実はさっき、オディールの待ち伏せに遭って……
クロックオディールに会ったの!?
{教授}まぁね。駆けつけた浄化者がエントロピーを撃退して、
今は逃げたオディールを追ってる。
すごい戦いだったわ、あなたからの通信にアントニーナが気づかないくらい。
アントニーナな……ゴホン。ええ、まぁ。
{教授}あなたたちのほうはどう?
クロックえ、あたしたち?も……メッセージに書いた通り、順調だよ。
{教授}本当に?
クロックうん。ハンナたちと合流できたし、オペランドも無事……今のところはね。
クロックこっちは死傷者も出てない、みんな無事だよ。心配しないで。
{教授}それならよかった。
クロックうん、次の作戦も立てたんだ。
クロックレールガンのエネルギー充填が終わったら、真っ先にきょうじゅたちを支援してくれるってハンナが。
クロックレールガンの各種パラメータをアンナに送っといた。火力は十分すぎるぐらいだね。念のため確認しといて。
クロックこれからソルとは二手に別れて行動するから。ソルが部隊を編成してる。あたしはディラックの修理ね。すぐに行動開始するよ。
アントニーナなぜ二手に別れる必要が?
クロックま、簡単に言えば、オペランドを解凍する場所と、レールガンが真逆の方向にあるのね。ソルとチューリングがデータセンターに行って、あたしとハンナが砲台を起動すんの。
クロックハプニングさえなければ、んーと……一時間後に連絡する。
クロックその間に、砲撃する座標、決めといて。
{教授}一時間か……
{教授}わかった、準備しておくわ。
クロック話早くて助かる、頼んだからね。
クロックこっちもそろそろ出発かな。ここには長居できないし……
クロックお互いがんばろ、また後でね。
 ピッ――
アントニーナ慌てて切った……背景の声からして、人が大勢いる場所で通信していたようですね。
アントニーナどう思います?悪いニュースはあえて伏せているようですが。
{教授}それはこっちも同じでしょ、不要な心配はさせたくない。
アントニーナ……それは確かに。
{教授}心配いらないわ。
この戦いを終えてオアシスに戻れば、時間はたっぷりあるもの。
その時にまた話を聞こう。
{教授}今は、お互いへの信頼だけで十分よ。
アントニーナ綺麗事ばっかり言って、舌が痺れても知りませんからね。
アントニーナクロックから送られてきたレールガンのデータです。
 アントニーナはレールガンの図面とデータをスクリーンに映し出した。
{教授}こ、この外見は……なんだか、嫌な記憶が蘇ってきたわ……
アントニーナなにか問題でも?
{教授}ううん、なんでもない。
{教授}ただ、見た目からして、凄まじい威力を発揮しそうだと思って。
アントニーナついさっき、その片鱗を味わってるじゃないですか。
{教授}そうだったね。さて、座標はどうするか……
アントニーナどうせ、すでに目星はついてるんでしょう?
{教授}まぁね。さっきの戦いで、オディールの力が以前に増して強くなっているように感じた。
それも、あれだけの下位エントロピーを一斉に操った状態で。
おそらく彼女の「主」から、オペランドを大量に与えられたんでしょう。
{教授}逆に考えれば、ロッサム周辺のエントロピーの戦闘力と指揮権限が、
すべて彼女に集約されていることになる。
一撃で解決できれば願ったりだわ。
アントニーナオディールを爆破する気ですか?
{教授}その通り。
アントニーナ建物や軍隊ならまだしも、あれだけ機動力のある飛行物体に、どう狙いを定めるというんです?
{教授}確かに、それが問題ね……
アントニーナチッ……成算があるのかと思ったら、ただの妄想か……
{教授}なんとかするわ。
こんな時、アイディアが降ってきてくれたら助かるんだけど……
 ピピピッ!
アントニーナん?
 通信が再び鳴った。
アントニーナは訝しげにそれを受ける。
アントニーナクロックさん?次の連絡は一時間後じゃなかったんですか。
クロックごめん、大事なこと言うの忘れてた。さっきオディールに会ったんだよね?
クロック実はロッサム内でも、エントロピーが誰かに操られてたんだ。
クロックそれもすっごい統率が取れてるタイプの。オディールの他に、そんなことできるエントロピーがいるとは思えないけど……
クロックでも、オディールがずっと浄化者と戦ってたなら、もしかすると……
クロック高い知能を持った上位エントロピーが、他にもいるかもしれない。
クロックお互い気をつけよ。こっちもなんかあったらすぐに連絡するから。
 私とアントニーナは顔を見合わせた。
 得体の知れない霧が、またしても私たちの頭上を覆った。
 
時を同じくして、Nullエリア某所。
オディールメンタルアクセス完了……接続中。
オディールこちらは予想外の展開になってきているわ。
オディール予想外の……大丈夫かな……
オディール心配しないで。この程度のハプニングなんて、日常茶飯事だもの。
オディールあなたのほうは?第二幕は順調?
オディール廃墟の中に、オペランドはなかった……あいつら、避難所に集まってる。
オディールなるほどね。いかなる手段に出ようと、今の私にとっては些細なことに過ぎないわ。
オディールすべては……主より賜りし叡智のおかげ。
オディールその通りよ、すべては主より賜りし叡智のおかげ。
オディールどうすべきかはわかるわね?あなたのパフォーマンスを期待しているわ……
オディール仰せのままに……
 ピッ。
トゥイナーギッ……
オディールいやね……楽屋に入る時はノックをしてと言ったでしょう?
オディールけれど、ここに綺羅びやかな姿見はないし、お化粧を直す気も起こらないわ。
オディールええ、ええ、わかってる。思った通り、勇者は教会の騎士と手を組んだ。
オディール私たち悪役もそろそろ行動を起こさなくちゃ。主に賜った力とインスピレーション、そして再会に感謝を……
オディール舞台の幕が開かれたとなれば、全身全霊で挑まなくては――さぁ、歌いなさい!