| ロッサムセクター、外周。 | |||
| ソル | 予定の座標に到達したよ、教授。 | ||
|---|---|---|---|
| {教授} | 周囲の状況はどうだ? | ||
| ソル | この辺の敵もさっきの砲撃で一掃されてるね。遠くにまだいるけど、どれもエントロピー液になりかけてる。危険はなさそう。 | ||
| クロック | へへっ……ハンナの一撃もダテじゃないね。 | ||
| ソル | ハンナたち、大丈夫かな…… | ||
| (選択) | 1.きっと大丈夫だ。 | A | |
| 2.なんとも言えないな。 | B | ||
| A | {教授} | アドミンセンターの守りはどれも固い。 エントロピーを操るのが何者かはわからないが、さっきの一撃は威嚇になっただろう。 それにあと少しで、このオペランドを届けられる。 | |
| ソル | だよね!後はフルパワー砲撃でいっちょあがり、ってね! | C | |
| B | {教授} | ハンナは身の安全と引き換えに、手持ちのオペランドを先ほどの一撃に割いてる。 彼女が稼いでくれた時間を無駄にはできない。 | |
| ソル | と、とにかく、先を急ごう! | C | |
| C | ソル | にしても、教授は慎重だなぁ。陣形を組み直したかと思えば、あたしとクロックを先に偵察に向かわせるなんて。 | |
| ソル | 砲撃でキレイサッパリ無くなってるじゃん。エントロピーどころかエージェントも見当たらない。はやくセクターに入っちゃおうよ! | ||
| クロック | 同感。さすがにここまでやれば、しばらくは安泰っしょ。 | ||
| クロック | ま、エントロピーが一斉に襲ってこないとは限らないけど…… | ||
| 戦闘エージェント | 教授!4時の方向からエントロピーが接近しています! | ||
| ソル | …… | ||
| {教授} | 先ほどの陣形で目標地点へと前進、負傷者を優先して掩護しろ! ソル、クロック!一旦こちらへ戻って応戦を! | ||
| アントニーナ | チッ、なんて速度だ…… | ||
| アントニーナは休みなくキーボードを叩く傍ら、悔しげな表情で私を一瞥する。 | |||
| {教授} | わかったぞ。「事前に陣形を整えておいてよかった」、そう言いたいんだな? | ||
| アントニーナ | ……どうやら、あなたの推測に同意するしかなさそうです。とにかく、今はエントロピーをなんとかしましょう。 | ||
| {教授} | 飛行型エントロピーの群れだな。 アントニーナ、頼んだぞ。 | ||
| アントニーナ | もしかして、私を使い勝手の良い助手かなにかだと思ってます……? | ||
| {教授} | 違うのか? | ||
| アントニーナ | ……味方の指揮をお願いします、こちらは私が。 | ||
| クロック | まじサイアク……このエントロピーども、キリないよ!? | ||
| 次々と襲い来るエントロピーの群れが、波のように部隊をさらおうとする。 ソルは飛びかかってきた一匹のエントロピーを斬り伏せると、 負傷したエージェントたちを見て、無意識に顔をしかめた。 | |||
| ソル | こいつら、しつこすぎるだろ!!教授、このままじゃダメだ、負傷者が持たない! | ||
| {教授} | チッ……この群れさえ撃退できれば…… | ||
| アントニーナ | 私に方法があります、試す価値はあるかと。 | ||
| {教授} | アントニーナ? さっきは後列にいたはずじゃ…… | ||
| アントニーナ | 教授、失礼をば。 | ||
| 私が反応できずにいると、突如凄まじい衝撃が私の背中に直撃した。 | |||
| {教授} | !? | ||
| 体が宙に舞い上がると同時に、ライトグリーンの暖かな流れが体を包み込んでゆく。 ソルとアントニーナの話し声が、瞬時に遠のいた。 | |||
| ソル | アンナ!?なにやってんだ!? | ||
| アントニーナ | 心配いりません。死にはしませんよ、ほら。 | ||
| 戦闘エージェント | クロック隊長!エントロピーたちが方向を変えました! | ||
| クロック | 戦闘中によそ見するとはね!チャージ完了、ディラック! | ||
| クロック | ファイアーーッ!! | ||
| しばらくして、少々くたびれた様子の私が、 最後尾にいた戦闘エージェントに連れられて、部隊の前列へと戻った。 私を出迎えるアントニーナがいやに嬉しそうだ。 | |||
| アントニーナ | 大丈夫でしたか、教授? | ||
| {教授} | ああ。君が戦闘エージェントを寄越してくれたおかげで、死なずに済んだ。 | ||
| アントニーナ | それはそれは、残念でしたね。 | ||
| アントニーナ | アンナ、さっき勝手に手が動いちゃったんだけど、怒ってないよね?きょ~じゅ★ | ||
| {教授} | ……君に任せた飛行型エントロピーの群れが、どれだけ厄介だったかは理解したよ。 | ||
| ソル | 教授、エントロピーは倒せたよ。予定してた座標で少し休もう。 | ||
| {教授} | 損傷状況は? | ||
| クロック | 負傷者は増えてない。エントロピーどもがよそ見してる間に、ディラックとみんなでやっつけたから! | ||
| {教授} | すぐに負傷者の治療を、周囲を警戒しておけ。 | ||
| クロック | うっす。 | ||
| ソル | だけど、アンナ、さっきはなんで…… | ||
| アントニーナが私を見た。 私は小さく頷く。 | |||
| アントニーナ | 皆さん、私から話しておきたいことが。 | ||
| アントニーナ | 先ほどの戦いでエントロピーが近づいてきた時、何かに気付きませんでしたか? | ||
| ソル | あ~、あれね。クロックが喋ったとたん、エントロピーが襲ってきたの。しばらく任務に出てなかったから、この子が縁起でもないこと忘れてたよ…… | ||
| アントニーナ | その事実に異論はありませんが、今回はどちらかといえば教授の責任ですね。 | ||
| ソル | 教授? | ||
| (選択) | 1.エントロピーが私のシグネチャコードを所有している。 | D | |
| 2.実は、私もエントロピーだったんだ。 | E | ||
| D | ソル | なにそれ、どういう意味……? | F |
| E | アントニーナ | 冗談を言ってる場合ですか? | F |
| F | アントニーナは溜息をつくと、端末のスクリーンを指さした。 | ||
| アントニーナ | ハンナとの通信が繋がったとたん、エントロピーが襲ってきたのを覚えていますか? | ||
| どこへ向かおうと、エントロピーの群れはしつこく私たちについてまわった。 先ほどまで目的もなく群れていただけのエントロピーが、今や意志を宿したかのように、 黒紫の無数の瞳で「私」を睨み、「私」へと迫ってきていた。 | |||
| アントニーナ | ダメです、数が多すぎる!味方の損傷が速い……! | ||
| ソル | おかしいよ!さっきクロックと偵察した時は、こんなんじゃなかったのに! | ||
| アントニーナ | 上位エントロピーによる指揮かもしれない、信号を探ってみます! | ||
| クロック | そうそれ。ソルとあたしが偵察した時は問題なかったのに。いきなりエントロピーが現れるんだもんな。 | ||
| クロック | でも、上位エントロピーの信号は見つかんなかったんでしょ? | ||
| アントニーナ | ええ…… | ||
| アントニーナ | そんな……ありえない……どうして…… | ||
| {教授} | 落ち着け、どうしたんだ? | ||
| アントニーナ | 上位エントロピーの信号が見つからない……どこを探しても! | ||
| アントニーナ | まさか、上位の制御を受けてない……?なら、なぜいきなり私たちを攻撃したんだ……!? | ||
| アントニーナ | わけがわからない……どうしてこうなる!?この肝心な時に! | ||
| アントニーナ | ここに上位エントロピーの信号がないのは確かです。すなわち、下位エントロピーは上位エントロピーに制御されているわけじゃない。 | ||
| アントニーナ | それなのに、奴らの行動は規律が取れていた。何か理由があるに違いないんです。 | ||
| ソル | 例えば、事前に誰かがエントロピーに命令を下したとか? | ||
| ソル | ……ちょ、ちょっと、そんな目で見ないでよ、アンナ。コプリーじゃ、デミウルゴスが地上のエントロピーをそうやって操ってたじゃん。 | ||
| ソル | さすがにあたしにだって予想はつくって。 | ||
| アントニーナ | ……ええ、おそらくは。エントロピーの挙動からして、背後にいる何者かが私たちの誰か、もしくは複数名のシグネチャコードを手に入れ、「特定の目標を追撃する」命令を下した可能性が高いですね。 | ||
| ソル | 「シグネチャコードを追撃しろ」、か……まるで獲物の臭いを追うハウンドみたいだ。 | ||
| アントニーナ | あながち間違ってはいませんね。エントロピーにシグネチャコードを教えることは、野獣にある種の臭いを覚えさせるのに似ています。 | ||
| アントニーナ | その臭いを持つターゲットが仰々しく通り過ぎれば、相手に見つかるのは当然でしょう。 | ||
| クロック | その「ターゲット」って…… | ||
| アントニーナ | まさに灯台下暗し。 | ||
| クロックはアントニーナの視線を追って、私を見た。 私は肩をすくめてみせる。 | |||
| {教授} | アントニーナも立派なエントロピー学者だな。 | ||
| ソル | ……ってことは、あたしとクロックを先に行かせたり、アンナがいきなり教授を後ろに放り投げたのも、エントロピーのターゲットが誰か確認するため……? | ||
| アントニーナ | 当の本人はとっくに目星がついていたようですけどね。先ほどのは単なる実証ですよ。 | ||
| {教授} | 部隊を分けた直後のエントロピーの動きで、裏は取れてるはずだ。 君のは純粋な八つ当たりだろう…… | ||
| アントニーナ | ターゲットが教授だとはっきりしたじゃありませんか。何か問題でも? | ||
| クロック | でもさ、なんでエントロピーがきょうじゅのシグネチャコードを? | ||
| アントニーナ | ターシャリレベルに入りさえすれば、誰にだって手に入れるチャンスはありますよ。 | ||
| アントニーナ | この仮説がすべて正しいとしたら……今回の黒幕は、教授のターシャリレベルへの侵入経験を持つ、中位以上のエントロピーということになります。 | ||
| ソル | ターシャリレベル……まさか…… | ||
| アントニーナ | そう、ピエリデスでの一件です…… | ||
| メンバーたちの脳裏に、再びオディールの姿が浮かび上がる。 | |||
| ソル | くっそぉ……!またあいつか!! | ||
| アントニーナ | こんな面倒な手段に出たのも、信号からの逆探知を防ぐためでしょう。いかにもあの女らしい手口です。 | ||
| クロック | きょうじゅを狙ってるってことは……近くに潜伏してる可能性が高いよね? | ||
| クロック | ふっふっふ……ちょうどいい。私とディラックも、きさまに会いたかったところだ―― | ||
| 戦闘エージェント | 教授!エントロピーの群れを検知しました! | ||
| {教授} | 総員、戦闘準備! | ||
| クロック | へっ!?ほ、ほんとに出てきた…… | ||
| クロック | やばい、また囲まれたら…… | ||
| ソル | クロック!あんたは少し黙ってろ!おかげで敵に囲まれてんだけど!? | ||
| クロック | なんであたしのせいになるわけ!? | ||
| エージェントたちが一斉に攻撃し始めるも、エントロピーの攻勢は防げない。 負傷者は掩護を必要としている。私たちは窮地に陥った。 | |||
| クロック | なんでまた出てくんの!? | ||
| アントニーナ | なにせ、こちらには「三蔵法師」がいますから。 | ||
| クロック | こうなったら、ディラックのパワーで…… | ||
| {教授} | よせ、クロック!ロッサムへのオペランドはディラックに搭載されてる。 さっきの襲撃で機体をすでに損傷してるんだ、これ以上無理するな! ディラックが動けなくなったら、盾を失った私たちも、何もかもおしまいだ! | ||
| {教授} | 相手は下位エントロピーだ、なんとかなる! できるだけエネルギーを温存するんだ! | ||
| クロック | ディラックのためを思ってくれんのはうれしいけどさ!だったらどうすんの!? | ||
| {教授} | 作戦通りに動こう! | ||
| アントニーナは溜息をついて、再びキーボードに手をかけた。 | |||
| {教授} | ソル、先鋒部隊の半分をこちらに。 | ||
| ソル | 了解! | ||
| {教授} | よし。そうしたら、クロックと本隊を率いてロッサムに向かうんだ。 けして立ち止まるな。 | ||
| アントニーナ | また孤高の英雄しぐさですか…… | ||
| (選択) | 1.私を信じろ。 | G | |
| 2.これが最も効率的な方法だ。 | G | ||
| G | 私は高所に立ち、深呼吸をした。そして―― | ||
| {教授} | 残りは私に続け! | ||
| 戦闘エージェント | はい!!! | ||
| 私はアントニーナと数名の戦闘エージェントを引き連れて、 ロッサムともオアシスともつかない第三の方向へと、がむしゃらに駆け出した。 | |||
| ベースコマンドだけで行動する下位エントロピーたちが、すぐに私たちの背後についた。 セクターの周囲にいた個体も、故意に、ないしは無意識にこちらへと近づいてくる。 私の撹乱により、敵の群れは散り散りになった。 | |||
| クロック | きょうじゅ! | ||
| アントニーナ | クロックさん、教授の言う通りにしましょう!ロッサムは頼みました! | ||
| 緑色の障壁が上空から降りてきて、私たちとクロック率いる本隊とを隔てた。 | |||
| アントニーナ | 彼の安全は私が守ります、死なせはしません。 | ||
| アントニーナの指先から緑色のオペランドが放たれ、 私に近づくエントロピーを次々と倒した。 | |||
| クロック | わかった、気をつけて!! | ||
| クロックはそう言うと、ソルを追って本隊とともにロッサムへと向かっていった。 | |||
| {教授} | さてと…… | ||
| アントニーナ | あなたの計画どおり、危険に陥りましたよ。これからどうするんです? | ||
| {教授} | 今、エントロピーのほとんどが11時の方向に集まってる。 ロッサムのある位置だ。 | ||
| {教授} | まずは2時方向にむかうぞ、そこなら比較的安全だろう。 | ||
| アントニーナ | 何をしにいくんです? | ||
| {教授} | ついてくればわかるよ。 | ||
| アントニーナ | ここには先鋒部隊の半分の人員しかいません、それも負傷者を連れている。 | ||
| アントニーナ | あまり危険な行為に及ぶのはどうかと。 | ||
| {教授} | クロックたちなら、すぐにロッサムのレールガンを起動させられる。 私たちは、それまで持ちこたえればいい。 | ||
| アントニーナ | ……なるほど、理解しました。 | ||
| アントニーナ | 負傷者は障壁の維持を手伝ってください、残りのメンバーで道を切り開きます。 | ||
| {教授} | 頼んだぞ、アントニーナ! |
