臨界爆震 PART.8 援軍

Last-modified: 2025-02-05 (水) 01:19:43

オディールが出現する数分前、浄化者No.05哨戒タワー。
 私が下位浄化者と話している間に、
私の通信機を受け取ったアントニーナは、部隊の後方へと下がった。
アントニーナ……どなたです?
こちらは、元浄化者No.05哨戒タワーの進駐軍だ。
約13分前にこのチャンネルから救難信号を受信した。
信号を発したのはお前か?
状況を説明せよ。
アントニーナ「元」浄化者No.05哨戒タワー?……何を言っているんです?
No.05哨戒タワーは、数時間前にエントロピーウイルスによって占拠された。
我は部下を連れて撤退後、リバベルに援軍を要請し、
現在No.05哨戒タワーへと帰還中だ。
アントニーナ!!
 
 救難要請を発信すると、すぐに返事が来た。
??【不明な救難信号を検知しました、応答願います】
アントニーナ早い……数分はかかると思ったのに……
 
アントニーナつまり、お前が本物の浄化者?なら、私たちをここへ導いたのは……
聞こえるか?
救難を要請した者よ、そちらの状況を説明せよ。
アントニーナまずい……クソッ、油断した!!
 アントニーナは猛然と振り向いた――その時、空中から急降下する黒い翼が目に入る。
 考えが追いつくより先に、彼女の体は動いていた。
 グサッ――
アントニーナ……ぐっ……
{教授}アントニーナ!!
アントニーナ教授……これは、罠です……
オディールようこそ、あなたのために設えた舞台へ。
オディールこれは挨拶代わりよ、ご満足頂けた?
{教授}オディール……お前が……!
オディールなんてことかしら。
とっさの攻撃を勇者が受けとめるかと思えば、
傷ついたのは傍らの魔法使いだったなんて。
オディール思いもよらない展開ね……驚いた?
{教授}……!
 私は答えずに、オディールに向けて即座にオペランド攻撃を放った。
この距離で避けられるはずがない。しかし、彼女はアントニーナの肩から
鉤爪を引き抜くと、あろうことかそれを易々と躱した。
アントニーナぐぅっ……タ、ターゲット、ロックオン……!
オディールこんな状況ですら、私のメンタルに侵入するおつもり?その鋼の意志には感心するわ。
オディールでも残念、これもシナリオの想定内よ。
 オディールは自身を掴んでいたアントニーナの手を振り払い、
勢いに乗じて後方へフワリと飛び上がり、私たちから遠のいた。
 私はすぐにアントニーナを支え、背後にいたエージェントに命令を下す。
{教授}攻撃開始!
戦闘エージェント了解!
 戦闘エージェントたちがオディールを攻撃し始める。
私は意識を失ったアントニーナを抱えて、その場から逃げ出した。
オディール賢明な判断ね。けれど……哨戒タワーに足を踏み入れた瞬間から、バッドエンドは運命づけられているの。
 宙に浮かぶオディールが翼を羽ばたかせると、
建物の中からエントロピーが一斉に顔を出し、私たちへと迫った。
戦闘エージェント教授、弾薬が底を尽きそうです!
{教授}マガジンを2つ残しておいて、哨戒タワーの他のエリアに向うわよ!
 私はアントニーナの端末と、彼女の手にあった自分の通信機を手に取り、
周囲のマップを素早く開いた。エントロピーの動きとマップの位置を照らし合わせれば、
敵の行動を判断するのは、そう難しいことじゃない。
{教授}一番ゲートの傍にエントロピーの群れが5、哨戒タワーの下には3、兵舎には5……
{教授}Cエリアの入り口が6つのエントロピーの群れに塞がれてる。
Bエリアの入り口は……1つだけだわ。
しかもBエリアには武器庫もある……
{教授}みんな、ついてきて!Bエリアよ!
{教授}補給があればそこで拾う、その後Aエリアまで迂回。
一箇所に留まらないで!できる限り時間を稼ぐのよ!
 
 私たちはアントニーナを背負って、どうにかこうにかBエリアへと逃げてきた。
使えそうな弾薬を拾い終えると、すぐに武器庫から撤退し、白い建物の間を逃げ回る。
戦闘エージェント小隊の死傷率が40%を越えました。
戦闘エージェント教授、次の手立てを考えておくべきかと。我々も長くは持ちません。
 私は周囲を見渡した。
傍についてきている戦闘エージェントは残りわずかだ。
{教授}……ごめんなさい、この戦いには必ず勝ってみせる。
戦闘エージェント戦いに犠牲はつきものです、我々は最期まであなたの指示に従います。
戦闘エージェントどうかご自分を責めないでください。また新しい私が、あなたに会いに行きますから。
{教授}……ありがとう。
 その時、待っていたと言わんばかりに、黒い影が上空へと現れた。
ニ名の戦闘エージェントによる応戦も虚しく、
急降下するオディールに蹴り倒されてしまう。
オディール心を痛めているの、教授さん?
オディール些末な端役が退場したことに?観客すら彼らを覚えていなくても?
オディールええ、もちろん、もちろんよ。それがあなたの英雄たる所以ですもの……あなたの史詩は、彼らの血と犠牲の上に成り立っている。
オディールなんて無意味で尊いのかしら!そして私は、その史詩の立会人。
オディールそれを我が主へと歌い継ぐためにも、この私が残酷な処刑人、そして終局への導き手となりましょう。
(選択)1.あなた、まともに話もできないの?A
2.あなたの目的は何?B
Aオディール芸術は往々にして誤解を招きやすい……けれど、私は一向にかまわないわ。
オディールなぜなら我が芸術は、我が主だけに許されしもの。C
Bオディール目的など必要?
オディール主の命令に私は従う、それだけよ。C
Cオディールあの御方の監督のもと、私たちは再び巡り合う……これを運命の再会と呼ばずしてなんと?
(選択)1.なぜ私たちを狙うの?D
2.ちょうど、あなたたちとのケリをつけたかったところよ。E
Dオディール無粋なことを訊くのね。マグラシアのすべてが私たちの敵よ、当然でしょう?F
Eオディールあら、両思いだったなんて嬉しいわ。F
Fオディール風の噂に聞いたわ。あなたと緑髪のお嬢さんが筆頭となって、私たちに抗う術を模索しているそうね?
オディールそこのエージェントたち……皮膚を割かれようと、神聖なる液体を傷口に注がれようと、すぐには私たちの眷属にならない……
オディールなんて素晴らしい。主はあなた方に興味津々よ!あなたのリーダーシップ、そして彼女の技術力……
オディールそういった貴重な素質を、我々のコレクションにぜひ加えたいの。
 オディールが一歩一歩近づいてくる。
彼女に続くエントロピーの数がいよいよ増してゆく。
{教授}それ以上は近づかないほうが身のためよ。
オディールそんな意気地のない台詞、あなたには相応しくないわ。もう少し強気になられたら?
{教授}これが最後の警告よ、私たちに近づかないで。
オディールかくれんぼを続けたところで、緩やかに死を迎えるだけよ。
 オディールがそう言い放ったとたん、彼女の背後から軽快な銃声が響いた。
下位浄化者【大量のエントロピーウイルスを検知!】
下位浄化者【粛清プログラム起動!】
オディールどういうこと、なぜこんなに早く……
{教授}ようやくわかってもらえた?
なぜ私たちが逃げ回っていたか。
{教授}生き延びるためだけじゃない……援兵を待ってたのよ。
オディール……
 オディールの視線が、私の持つ端末へと向けられる。
 
こちらは、元浄化者No.05哨戒タワーの進駐軍だ。
約13分前にこのチャンネルから救援要請を受信した。
No.05哨戒タワーは、数時間前にエントロピーウイルスによって占拠された。
我は部下を連れて撤退後、リバベルに援軍を要請し、
現在No.05哨戒タワーへと帰還中だ。
聞こえるか?
救難を要請した者よ、そちらの状況を説明せよ。
 
オディールなるほど、浄化者との通信を立ち上げたまま……作戦や私たちの位置を大声で口にしていたのはそのため。
{教授}浄化者を騙るなら、それ相応の覚悟を持ってもらわないと。
オディール……暴力的な手段は避けたかったけれど、仕方ないわね。
オディール教授、私といらっしゃい。
 オディールは幽霊のように姿を消したかと思うと、瞬時に私との距離を詰めてきた。
 ゴッ!!
オディール……
 刹那、頭上から降ってきた真っ白な盾が、私とオディールの間に突き刺さった。
元浄化者No.05哨戒タワー進駐軍リーダー、中位浄化者、フェイス。持ち場へと帰還した。
フェイスターゲットのシグネチャコードを確認……イオスフォロス様のホワイトリストに含まれているな。
フェイスこれより、この者とその仲間を保護対象と認定する。その他のイレギュラーどもを消し去れ!
ペイシェンス【命令を受理、陣形調整開始】
オディール予想だにしない騎士が舞台へと上がったわね……戻ってくる勇気があっただなんて。
オディール賛嘆に値するわ。けれど軽はずみな衝動は、戦場に骨を埋めるだけよ。
 エントロピーたちが建物のあらゆる隙間から滲み出て、
哨戒タワーの中をエントロピー液がのったりと流れる。
 フェイスは白い盾を呼び戻し、宣誓するかのように手前へと掲げた。
フェイス吾等は暗闇で刃を鍛え、混沌より秩序を守り、長夜に光明を灯す。
フェイス強大と放恣するなかれ、弱小と逃避するなかれ。
フェイス吾等は神の啓示を諦聴し、神の意志を履行せん。
フェイス吾等は永劫にて、ともに同一なる声を遵奉せん。
 白い盾が目前の怪物を押し潰し、騎士の怒号とともに部隊が突進する。
フェイスゆけ、マグラシアの栄誉のために!!