臨界爆震 STAGE 16 覚悟

Last-modified: 2025-02-05 (水) 01:29:54

データセンター、緊急避難通路。
 度重なる爆撃により、データセンターは崩壊に瀕していた。
かろうじて建物の形状を保っているうちに、
チューリングは瓦礫の降り注ぐ中をがむしゃらに走った。
チューリングもうすぐよ……もうすぐ、ここから出られる……!
 外の光が徐々に近づいてくる。
チューリングあと少し……
 ピピピッ!
チューリング通信?……ソルさんからだわ!
チューリングよかった!ソルさん、無事だったのね!
 形容しがたい喜びが、チューリングの胸に膨らむ。
彼女は走りながら通信を受けた。
チューリングソルさん、もう緊急通路の出口に着くわ。すぐに――
 通信機からかすかな応答が鳴った。
チューリングの声と足がにわかに止まる。
 彼女はとっさに通信を切って、端末を後ろ手に隠した。
近づいてくるエントロピー液の粘ついた音が、送信音を打ち消す。
チューリング……あなた、ソルさんじゃないわね。
???バレちゃった……思ったより早かったな。
???やっぱり……秘密の出口、隠してたのね。
???勇者の仲間たちは……私を舞台裏に閉じ込めようとした……だけど失敗した。
???だって、私……体を持たないもの。
 黒紫色の影が、建物からゆらりと滲み出し、チューリングの目の前で輪郭を象ってゆく。
チューリング……
???私が……怖くないの?
チューリング私はロッサムセクターの前任アドミニストレーター、そしてハンナの研究助手よ。
チューリング悪いけど、絶対に怯むわけにはいかないの。
???前任アドミニストレーター……研究助手……私とお姉さまの関係みたい。
オデット自己紹介を……私は敬虔なる語り手……名はオデット