臨界爆震 STAGE 22 夢の如し-3

Last-modified: 2025-02-05 (水) 02:04:53

 オディールは目を見開いた。
 クラウドに戻った彼女は、まだ夢の世界から視線をそらせずにいる。
 目を瞑るオデットは、エントロピー液に浸ったままだ。
オディールはどうにか身を起こし、その場に立ち上がった。
 そして、周囲を見渡す。
 この上なく馴染みのある劇場。
彼女自らが手がけた施設は、その心に合わせて動き出す。
 オディールの視線を出迎えて、ピアノが知らない曲を奏でた。
どこからともなく吹き付ける微風をまとい、調べが木の枝とともにダンスを踊る。
 空がいよいよ白みを帯びてくる。オディールは一歩一歩、舞台の中央へと向かった。
陽の光が彼女の体を照らすにつれ、漆黒に染まったブラックスワンの体が、
当初の白鳥のごとき純白を取り戻してゆく。
 広げられた真っ白な翼をドレスに見立て、
一面狼藉となった観客席へと、恭しくお辞儀をする。
 ドンッ――
 耳をろうするような礼砲が鳴り、すべては静寂へと墜ちていった。