クレシェンテ劇場、楽屋。 | |||
ペルシカ | ここでよろしいですか、教授? | ||
---|---|---|---|
{教授} | ああ。 | ||
イオス | …… | ||
{教授} | イオス、どうかしたのか? | ||
イオス | あ…… | ||
イオス | ううん、平気よ。ただ、教授がこんな手段に出るとは思わなくて。 | ||
イオス | 教授、普段からエージェントにはこうなの? | ||
(選択) | 1.勘違いするな、私だって普段は紳士だ。 | A | |
2.今回はやむを得なかったからね。 | B | ||
A | {教授} | こうして目立たない所から、慎ましくフェスティバルを応援してるじゃないか。 | |
イオス | ふふふ……楽しめて頂けてなによりだわ。さっきのパフォーマンスでは物足りなかったかしら? | C | |
B | {教授} | 被害が広がらずに済んだんだ、手際の良さを褒めてもらいたいね。 | |
イオス | その考え方、まるで浄化者ね。 | C | |
C | {教授} | それじゃ次は…… | |
猫 | ニャー! | ||
{教授} | ん? | ||
ペルシカ | 教授、お気をつけて!向こうから物音が聞こえます! | ||
ペルシカは手を掲げ、戦闘態勢を取った。 | |||
ペルシカ | まさか、またガーゴイルの暴走? | ||
ペルシカ | まずは強制的に活動を停止させて…… | ||
クロ | ま、ままま待った!ペルシカ、ストップ!味方だよ、味方! | ||
ペルシカ | クロさん?それに七花さんまで。 | ||
曲がり角からドローンを抱えたクロが、慌てふためいた様子で現れた。 彼女の背後に立つ七花の胸には、一匹のカラフルな猫が抱きかかえられている。 | |||
クロ | ちぇっ、せっかくのスクープだったのにさ。教授がペルシカとイオスさんを薄暗い倉庫に連れ込んであんなことやこんなこと……トレンド1位ゲットできるチャンスだったのに! | ||
クロ | あ~も~、この猫のせいでマジ台無し! | ||
ネコ | ニャーオ。 | ||
七花 | でもこの子、すっごく可愛いニャン♥毛色もとっても綺麗だし。よしよし…… | ||
ネコ | ニャニャ~ン。 | ||
クロ | フン。こんな猫、バーバンクじゃ珍しくもなんともないじゃん! | ||
ペルシカ | それで、お二人はこんなところで何を? | ||
クロ | おっと、しらばっくれたってム・ダ・ム・ダ!ぜ~んぶ聞いてたもんね~! | ||
クロ | ブン殴って気絶させたどっかの誰かを、どう処理しようか相談してたでしょ! | ||
クロ | いやぁ~、まさかあの教授がねぇ。大人しい顔してやることダイタンなんだから~! | ||
七花 | な、七花も聞いちゃった。教授、これって…… | ||
七花 | あれっ、こんなところに女の子? | ||
二人はスリープ状態のパズルを見つけた。クロの表情が瞬時に変わる。 | |||
クロ | 教授……あんた、まさか本気で……!? | ||
(選択) | 1.どう見ても誤解だと思うけど。 | D | |
2.人の嗜好は自由だろ。 | E | ||
D | クロ | チッ……ここで認めとけば一大スクープになったものを。 | F |
E | クロ | う、うわぁぁぁ!こいつヤバすぎィィ!? | F |
F | ペルシカ | おふざけはそこまでですよ、クロさん。こちらは仕事がありますので。 | |
ペルシカは二人に事のあらましを語った。 | |||
七花 | ガーゴイルが暴走を? | ||
ペルシカ | はい、すぐにでも原因を突き止める必要があったんです。ですが、フェスティバルに影響が出ても困りますし…… | ||
ペルシカ | それで仕方なくパズルさんを。 | ||
七花 | そうだったんだ……あ、もしかしたら、七花たちお手伝いできるかも★ | ||
七花 | 何か理由をつけて、みんながガーゴイルに近づかないよう誘導すればいいんだよ。 | ||
七花 | それでライブの最中にアナウンスを流すの。できるよね、クロ? | ||
クロ | そんなん朝飯前に決まってんじゃん、クロ様の得意分野だよ? | ||
ペルシカ | ありがとうございます、七花さん、クロさん。でもそれでは時間稼ぎにしかなりません。ライブが始まるまでに、ガーゴイルを徹底的に検査しておかないと…… | ||
ランコ | 検査なら、もう終わっちまいやしたゼ。 | ||
ペルシカ | ラ、ランコさん!? | ||
(選択) | 1.まさに神出鬼没。 | G | |
2.君はここで何を? | G | ||
G | ランコ | いやァなに、アドミニストレーターからのお達しでして。楽屋に残ってるガーゴイルを調べ上げておけと。 | |
ランコ | 見たところ、ヤツらにゃ初歩的なメンタルが搭載されてるようでさ。 | ||
ランコ | そ言やぁトレーダーん中でも、似たようなウワサが行き交ってやしてね。とある彫刻家が作品に命を吹き込みたくて、彫像に小細工を仕掛けたとかなんとか…… | ||
イオス | 初歩的なメンタルはとても不安定よ。少しでも気を抜いたら、異常プログラムに変貌する危険性だってある。 | ||
イオス | でも外からの干渉がなければ、そう簡単に攻撃性を持ったりしないはずだけど…… | ||
ランコ | とにかく、楽屋のガーゴイルはあっしらが処理しておきやしたんで。今、リコ先輩がサプライ元を確認中でさァ。 | ||
ランコ | これで、メンタルが暴走する危険性はなくなりやしたゼ。 | ||
クロ | はぇ~、何から何までご苦労さん……お金、取ったりしないよね? | ||
ランコ | こーんッ!?クロの姐さん、そりゃ誤解でさァ……これもアフターサービスの一環、トーゼン無料ですゼ。 | ||
ランコ | ただ、あっしの技術はリコ先輩ほど立派じゃあねェんで。ペルシカの姐さん、念のためもっぺん見といてもらえますかィ? | ||
ペルシカ | わかりました、お手伝いします。 | ||
ペルシカ | それにしても……ランコさんは初めからこちらに? | ||
七花 | ランコさんだけじゃないよ。あなたたちが来る前から、三人ともここにいたの。 | ||
クロ | このキツネ娘……「お疲れさんでやした、楽屋でご休憩なさってくだせェ」とか調子いいこと言っときながら…… | ||
クロ | ここに着いたとたん急にサインねだってきてさ!マジありえなくない!? | ||
ペルシカ | まぁ……お二人の人気からすれば、驚くこともないかと…… | ||
ペルシカ | それにクロさんは、まんざらでもないのでは? | ||
クロ | そりゃまぁ、そうだけどさ……一気に500人分はさすがに無理だって! | ||
クロ | んな芸当ができんの、締切前の野良くらいのモンしょ! | ||
七花 | ファンのためなら、七花は精一杯頑張るよ!それがアイドルのシゴトだもん★ | ||
七花 | まぁ、確かに数は多いけど…… | ||
七花 | このサイン、本当にファンにあげるものなんだよね? | ||
ランコ | あたぼーでさァ!なんせお二人はバーバンクセクターの功労者、ファンは星の数ほどいまっせ。 | ||
ランコ | 言い換えりゃ、人気商品間違いなしってコトでさ!お二人のサインを頂けたら、この後のライブのVIPチケットをお譲りしやすゼ! | ||
クロ | どこに自分のライブのVIPチケットを欲しがるヤツがいんのよ? | ||
ランコ | 何をおっしゃる。おトモダチ、コイビト、ビジネスパートナー、誰に送っても喜ばれる逸品でさ! | ||
ペルシカ | なんでも商売に結びつけてしまう……さすがは誰かさんの後輩ですね。 | ||
クロ | ほんとそれ。この隙あらば入り込もうとする図々しさ、リコのヤツにそっくり! | ||
ランコ | ひぇぇぇッ、リコ先輩と比べるなんざ恐れ多い……先輩だったら今頃、ドッチにとってもオイシイ取り引きを持ち出してるでやんすよ。 | ||
クロ | へぇ~……? | ||
ランコ | あっしがずーっと商いの何たるかを学んで、業績を上げようと躍起になってンのァ、先輩に追いつくためでさァ。 | ||
(選択) | 1.リコは確かに優秀な商人だ。 | H | |
2.君の言うリコは、確かにあのリコなんだな? | I | ||
H | ランコ | こーんッ!教授さん、よくご存知で! | |
ランコ | あっしらトレーダー界隈じゃ、リコ先輩は伝説的な人物なんですゼ。 | J | |
I | ランコ | んー……ま、わかんねェのも仕方ねっか。あっしらトレーダー界隈じゃ、リコ先輩は伝説的な人物なんですゼ。 | J |
J | ランコ | 現実とのコネクションロスト当初、セクターが次々と封鎖されっちまったせいで、あちこちでオペランドの流れが止まっちまいやして。 | |
ランコ | 例えンなら、人間の血管が分断されるようなモンでさァ。そのせいで、マグラシア全土のオペランドシステムが崩壊しちまいやしてね。 | ||
ランコ | あっしらトレーダーはその波をモロに受けたわけでさ。酷い時にゃあ、オペランド不足が原因で仲間が「失踪」したことも…… | ||
クロ | それマジ?配信でもしてスパチャ募ればよかったのに。 | ||
ペルシカ | クロさん。一般の方には配信なんて、そうやすやすと出来るものではないですよ。 | ||
ランコ | いいってことでさァ。クロの姐さんには生き延びる術がある、それも才能のうちでやんすよ。 | ||
ランコ | けどまァ、あっしらは弱すぎたんでしょう。武力もなけりゃ特技もない。規則通りに商う他に、なんの取り柄もありゃしない。 | ||
ランコ | そんな折に、リコ先輩が立ち上がったんでさァ。 | ||
ランコ | 先輩はあっしらに一致団結しろと、情報を共有して互いに助け合えと、チームとしての商いを呼びかけた。 | ||
ランコ | 先輩に教えられて、あっしらトレーダーは古い規則を取っ払い、新しいビジネスをどんどん取り入れやした。そしたらだんだん具合が良くなって、マグラシアのオペランドも再び循環し始めたってワケでさ。 | ||
クロ | うっわぁ……なにそれ、まるで主役みたいじゃん!?あのリコだよ、リ・コ! | ||
クロ | 能あるキツネは尻尾を隠すってヤツ?それとも何、ギャップ萌え狙いとか? | ||
ペルシカ | いずれにせよ、彼女が危機的な情況から商機を見いだせるのは確かですね。 | ||
ランコ | まさにそんとーりッ!あっしらトレーダーの嗅覚がこンだけ鋭くなったのも、ぜ~んぶリコ先輩のおかげでさァね! | ||
ランコ | あっしはリコ先輩に誓いやした。どんな困難があろうとも、必ず通貨トレーダーたちをより良い未来へ導いてみせると! | ||
ランコ | ってなワケで、七花の姐さん、それにクロの姐さん!ランコの夢のために力を貸しておくんなせェ! | ||
クロ | なんであんたの夢のために、この腕を使い潰さなきゃなんないのよ…… | ||
七花 | うん、わかった! | ||
クロ | な、ナナっぺ? | ||
七花 | 誰かに憧れて頑張ろうとする気持ち、七花、すっごくよくわかるよ!それがアイドルの存在意義だもん! | ||
七花 | ファンたちの期待には背けない、もちろんリコさんのファンの期待にも! | ||
七花 | この情熱をバーバンクのファンたちに届けよう、ランコさん! | ||
クロ | えーと、リコはアイドルじゃないんだけども、そのへんは…… | ||
七花 | クロも手伝ってくれるよね? | ||
クロ | うっ……ナナっぺがそう言うんなら、しゃーない。 | ||
ランコ | こーんッ!七花の姐さん、恩に着やす! | ||
ランコ | お礼にライブの準備、あっしもお手伝いしやすゼ! | ||
ランコ | おっと、VIPチケットを忘れるとこだったィ! | ||
ペルシカ | い、いえ、それは…… | ||
ランコ | まぁまぁまぁ、そう言わず!オアシスの皆様方にゃ世話ンなっとりやすから、どうかお納めくだせェ。 | ||
七花 | 七花も、教授たちに特等席から楽しんでもらいたいな♥ | ||
(選択) | 1.それじゃ、お言葉に甘えて。 | K | |
2.七花とクロのステージは、ぜひ見ておきたかったんだ。 | K | ||
K | 七花 | ランコさんも一緒にどうかな? | |
ランコ | すいやせん、あっしは観客席の売り子担当ですンで。 | ||
クロ | もはや商売好きってレベルじゃねーな…… | ||
{教授} | …… | ||
ペルシカ | それじゃ決まりですね。ガーゴイルを検査し終えたら、みんなでライブを見に行きましょう。 | ||
イオス | 楽しみだわ。 | ||
ペルシカ | ランコさん、素敵な機会をありがとうございます。 | ||
ランコ | とんでもねェ、あっしも光栄でさァ!えっへへへ…… | ||
ランコ | そんじゃ、また後で!約束ですゼ! | ||
ランコは真摯な笑顔を浮かべた。 | |||
一方、トレーニングルーム。 | |||
ソル | やめろッ、ダークレンジャーN! | ||
ナシタ | ようやく現れたか、異相レンジャーS! | ||
ソル | これ以上、好きにはさせないぞ!お前の……えーと…… | ||
ナシタ | ……お前の悪行。 | ||
ソル | お、お前の悪行もここまでだ! | ||
ソル | 正義の鉄槌を受けてもらうぞ! | ||
ソルは無意識に二振りの剣を抜いたが、ふと何かに気づいて動きを止めた。 | |||
ソル | あ…… | ||
ナシタ | ソル、動きが間違ってるぞ! | ||
ソル | ご、ごめん、いつもの癖でつい…… | ||
ソル | 正義の鉄槌をぉ……受けてもらうぞッ!これでいい? | ||
ナシタ | それはΩのポーズだ。異相レンジャーSなら右手をもっと下に、左足は外に出せ。そのほうが見映えがいい。 | ||
ソル | む、難しいな…… | ||
ナシタ | もう20分練習だ、ここの動きと足運びを覚えておけ! | ||
ソル | 異相レンジャーの力、我が正義の心に応えよ! | ||
機械音声 | 【アー・ユー・レディ?】 | ||
ソル | 異相レンジャー!変ッ身ッ! | ||
ナシタ | カット! | ||
ナシタ | 基本はまずまずだな。 | ||
ソル | ま、まずまず…… | ||
ナシタ | 演技はそう容易くないぞ。とりあえず休憩にしよう。 | ||
ソル | あぁ、やっと休憩! | ||
ナシタ | すまない、厳しすぎたか? | ||
ソル | ううん、ゼンゼン!思ったより面白いね! | ||
ナシタ | ならよかった。ソルの進歩もかなりのものだな、驚いたぞ。 | ||
ソル | あはは、ほとんど素だけどね……異相レンジャーSってすごく慎重だから、挑戦しがいがあるよ。 | ||
ソル | あたしだったら危ない時、すぐに変身して飛んでっちゃうな。敵の動きなんて待ってらんないもん。 | ||
ナシタ | それじゃダメだ。怒りが一定に達しないと、変身アイテムは機能しないからな。 | ||
ナシタ | 異相レンジャーを突き動かせるのは怒りだけだ。怒りの心が迷いを払い、勇気と正義を奮い起こす。 | ||
ソル | なんで怒りがなきゃだめなの?そのまま敵をやっつけたって、勇気と正義は証明できるじゃん。 | ||
ナシタ | それとこれとじゃわけが違う。 | ||
ナシタはにわかに立ち上がると、真剣な眼差しでソルを見た。 | |||
ナシタ | その……悪役が説明するのも変な話だが。異相レンジャーにとっての「変身」は、単に身体能力が上がるだけじゃない。 | ||
ナシタ | それは普段の日常を捨て、人知れず危険な世界へと足を踏み入れ、平和のために戦うことを意味する。 | ||
ナシタ | 変身を発動する瞬間は、彼らが覚悟を決めた瞬間なんだ。 | ||
ナシタ | その過程を完璧に表現することで、人々は信じることができる。彼らを一般人からヒーローへ変えたのは、愛や勇気、そして正義なのだと。 | ||
ナシタ | 人々を助けるだけじゃない。誰もがヒーローになれると教えてくれた――あたしが異相レンジャーに憧れる理由だよ。 | ||
ナシタの眼差しは揺るぎなかった。 ふいに、ソルの目の前に異相レンジャーの姿が浮かぶ。 | |||
ソル | その目……ナシタ、さっき異相レンジャーと同じ目をしてた……! | ||
ナシタ | えっ? | ||
ソル | あたし、その目に励まされて、みんなを守るために戦おうって決めたんだ。 | ||
ソル | 観測隊ガイドの時からずっと。マグラシアでだってそれは変わらない。 | ||
ナシタ | なんだそれ、お前の人生全部じゃないか。 | ||
ソル | うん。だからさ、あたしが異相レンジャーSだったら、力を手に入れたら真っ先にみんなを守ると思う。どんな代償を払ってでもね!それがあたしの信念だから! | ||
ソル | だけど、ナシタの言うこともわかるよ。 | ||
ソル | でもどっちにしろ、異相レンジャーはみんなを守るために戦うんだよね?それならおんなじだ! | ||
ナシタ | 同じ、なのだろうか…… | ||
ソル | あっはは、たぶんね! | ||
ナシタ | プッ……多分とはなんだ、多分とは! | ||
ソル | だって、難しい理屈とかよくわかんないし……そういうのはペルシカに押しつけてんの。 | ||
ナシタ | ……いや、お前の言葉に気付かされたよ。監督のやりたいことが、なんだかわかった気がする。 | ||
ナシタ | お前のような勇気と正義感に溢れた人形なら、きっと異相レンジャーSを演じきれるはずだ。 | ||
ナシタ | これを。 | ||
ソル | これって……変身アイテム? | ||
ナシタ | そうだ。このベルトを身に着けていれば、自らの意志で変身できる。 | ||
ナシタ | 変身後の戦闘服はただカッコいいだけじゃない、本物のオペランドを凝集して作られたものだ。つまり、本当に戦闘能力が身につくってわけさ。 | ||
ソル | えーーッ!?そ、そこまでリアルなの!? | ||
ナシタ | リアルじゃなかったら、誰が異相レンジャーを信じる? | ||
ナシタは得意げな笑顔を浮かべた。 | |||
ソル | なんか……ナシタって正義のヒーローのこと、よく知ってるね。 | ||
ソル | 監督もナシタを主役にすればいいのに。ってか悪役はないでしょ、悪役は。 | ||
ソル | あたしが監督にかけあってみようか? | ||
ナシタ | …… | ||
??? | ――だから言っただろう、人形なんぞに演じられるわけがないと! | ||
??? | 私が欲しいのは純然たるヒーローだ!心の底から沸き上がる勇気、楽観的な性格、そして前へと突き進む熾烈さ! | ||
??? | ただ命令に従うだけの模倣品などではない。 | ||
??? | サイバーメディアに連絡しろ、返品だ。 | ||
ナシタ | …… | ||
ナシタ | いや、いいんだ。気持ちは受け取っておくよ。 | ||
ナシタ | 誰にでも主役の素質があるわけじゃないからな。 | ||
ソル | どうしてさ?ナシタは特撮専門のパフォーマンス人形なんでしょ?あたしなんかより素質はあると思うけどな。 | ||
ナシタ | 特撮専門の人形だからだ。あたしの正義への憧れだって、ベースコマンドにそう決定づけられただけなのかもしれない。 | ||
ナシタ | でもお前とΩは違う。お前たちは自ら正義感を生み出したエージェントだ。 | ||
ナシタ | お前たちの正義のほうが、よっぽど純粋だ。だから異相レンジャーに相応しいんだろう。 | ||
ソル | よくわかんないけど…… | ||
ピピピッ。 | |||
ソル | あっ、ペルシカからの連絡だ。 | ||
ソル | ナシタ、一緒に七花とクロのステージ見に行かない?VIPチケットがあるんだって! | ||
ソル | 行こうよ、ナシタ! | ||
ナシタ | で、でも練習が…… | ||
ソル | いいじゃん、ちょっとした息抜きにさ!ねぇ、行こ? | ||
ナシタ | ……わかった。 | ||
ソルの熱意に負けて、ナシタは誘いに応じた。 |