| バーバンクセクター。 | |||
| 七花 | 何してるの、クロ?そんな所でニコニコしちゃって。 | ||
|---|---|---|---|
| クロ | ああ、こないだの生配信見直してんの。ほら見なよ、この必殺技!サイッコーだよね!マジでリヴェレンスが吹っ飛んでるよ!ちっこい豆みたいになってる~~! | ||
| クロ | ナナっぺ、次のライブどんな感じでいく? | ||
| 七花 | 七花はなんだってかまわないよ。クロのアイディアなら、きっとみんなを元気にしてくれるから。 | ||
| クロ | な、なにいきなり…… | ||
| クロは端末を置いて、自分の鼻先を小さく掻いた。 | |||
| 七花 | でもね、クロ、思うんだ……同じことばかり続けてちゃ意味ないなって。 | ||
| クロ | えっ、どうしてさ?まさか、バーバンクが嫌になったの?誰かに虐められたとか!?ファン18人動員してさらに82個のサブアカから袋叩きにしちゃろーか!? | ||
| 七花 | ううん、違うの。七花、またオアシスからのメッセージを受け取ったんだ。これで3回目。クラウドセクターにいた人形たちの拠点があるんだよ。 | ||
| 七花 | バーバンクよりも、クラウドセクターのみんながいる所に行きたいなぁって。 | ||
| クロ | へー、じゃあ行こうよ。何迷ってんの?――あっ、ここここ!このシーンめっちゃ良い! | ||
| 七花 | 現実で知り合った人たちもいるだろうから、行くのが少し怖かったんだ…… | ||
| 七花 | でも今は、もう大丈夫な気がする。 | ||
| クロ | ふーん、克服できて良かったじゃん!おおっ、ナイスアッパー! | ||
| 七花 | そこでね、新しいステージを作ろうと思って。クロも一緒に来てくれる? | ||
| クロ | うっひょー、今の一撃サイッコー!いいぞ~!……ナナっぺ、今なんか言った? | ||
| 七花 | ……クロさん。七花と一緒にオアシスのステージに立って、七花の兼任マネージャーになってくれますか? | ||
| クロ | …… | ||
| 七花 | ……ど、どうしたの?……嫌だった……? | ||
| 七花 | ご、ごめんね、気にしないで……やっぱり一人で行くね…… | ||
| クロ | へっ!?いやいやいや!私も行くに決まってんじゃん!!つまりその、う、嬉しいよ、すごく!! | ||
| クロ | へへ、これで正式にナナっぺのマネージャーだね。そうくれば、さっそくオアシスに行って史上最ッ高のステージを建てて、ナナっぺの歌声をマグラシア中に響かせてみせるぞ~! | ||
| 七花 | うん!それと配信も忘れちゃダメだよ。歌声と笑い声は、寄り添い合うべきだもん。 | ||
| 言うが早いか、二人は最後の配信ライブでバーバンクセクターとの別れを告げた。 | |||
| 配信の弾幕には惜しむ声が数多く寄せられた。 トレーダーからライブ映像を買おうとするエージェントもいた。 | |||
| 当然、中には彼女たちに興味を示さない、 それどころか撤退を喜ぶようなメッセージさえあった。 もちろん、二人は見向きもしなかったが―― | |||
| いや、それは嘘だ。片っ端からボコろうとしたクロを七花が制したのだ。 | |||
| 彼女たちが立ち去った後も、 バーバンクセクターは明々としたイルミネーションに包まれていた。 | |||
| クロが目を覚まし、大きく背伸びをする。 | |||
| クロ | うぅ~~ん……なんっか、疲れてるような、満足したような……とにかくよく寝たぁ~ | ||
| クロ | それでそれで!?ポテチはアンロックできた? | ||
| {教授} | 残念ながら、まだよ。 | ||
| クロ | えーーなんでよ!?消費者詐欺だ、消費者詐欺!オアシスBBSで晒してやるッ! | ||
| クロは頬を膨らませてひとしきり怒ったあと、私に反応がないのを見て肩をすくめた。 | |||
| クロ | ま、いっか。他にやることあるし。 | ||
| クロ | ナナっぺ、まだ外にいる? | ||
| {教授} | どうかな、見て来たら? ずっとあなたの傍にいたから、外の様子はわからなくて。 | ||
| クロ | ずっと傍にいたぁ~?うっわ、なにそれ!?よくそんなクッサいセリフ言えるよね!?40年前のギャルゲー主人公すら言わんわ! | ||
| クロ | そんなに私が好きなら、あとでオアシスでの初配信見に来てよ! | ||
| クロ | 今回は、超スペシャルゲストが登場するからね―― |
