| 背後からの風切り音を耳にしたクロは、とっさに地面を転がり、 すぐ傍にあった建物へと潜り込んだ。 | |||
| ドォン! | |||
| 次の瞬間、部屋の床が激しく揺れる。 | |||
| クロ | ファ**…… | ||
| リヴェレンス | カラオケ区画に隠れたか…… | ||
| リヴェレンス | まぁいいさ、クロたれ。すぐに見つけてやっからよ…… | ||
| リヴェレンスはそう言い捨てると、斧を引きずりながら建物の周囲を行き来し始めた。 | |||
| クロは稼働音をできる限り抑えて、抜き足差し足で部屋の中を這ってゆく。 | |||
| バーバンクセクターのカラオケ区画は長らく使われていないようだ。 クロは息を極力ひそめたが、それでも部屋中に微かな物音が響いてしまう。 | |||
| クロ | (どうか、どうか見つかりませんように……) | ||
| クロ | (あ~~サイバーメディアうっざ!セクターまでウッザいんだけど!) | ||
| クロ | (ここ切り抜けたら、すぐにでもファン引き連れてアドミニストレーターに文句言ってやる!) | ||
| ガシャンッ―― クロの頭上に位置する窓ガラスが突如砕けた。 | |||
| クロ | げっ―― | ||
| 窓の外からリヴェレンスが顔を覗かせ、部屋の中を見渡した。 だが彼女の目に映るのは、がらんとした空間だけだ。 | |||
| リヴェレンス | 浄化者の仕事を邪魔した上に、セクターの仕様にかこつけて俺を弄ぶたぁな……お前みたいなイレギュラーは初めてだ。 | ||
| 窓の下にいるクロは、声が漏れないよう両手で必死に口元を塞いでいる。 | |||
| リヴェレンス | ウィズダムが邪魔してきた時は、セラピーに送り込んで頭を冷やさせたもんだぜ。 | ||
| リヴェレンス | お前はそうだなぁ、スライスして任務ファイルに突っ込んどくのが良さそうだ。他のヤツらの参考にもなるし? | ||
| リヴェレンスは入り口にまわって部屋へ入り、クロの痕跡を探した。 | |||
| その瞬間、クロが突然跳ね起き、破られた窓から外へと飛び出した。 | |||
| リヴェレンス | やっぱりここか!待ちやがれ! | ||
| クロ | 待つわけねーし! |
