| 配信が途切れたにも関わらず、 配信ルームに残されたエージェントたちは会話を続けていた。 | |||
| カラオケのエージェント1号 クロなんかやばくね?主役ってこういう時どうすんの? ブックカフェのエージェント1号 さぁ、参考データが多すぎてわからん。 | |||
| 【アドミニストレーターが退室しました】 【カラオケのエージェント7号が退室しました】 | |||
| カラオケのエージェント1号 もしかして、これ全部がパフォーマンスだったりして…… | |||
| カラオケ区画の裏通りを、クロが必死になって駆けてゆく。 | |||
| クロは開けるだけのオーディオ設備を片っ端から開いていた。 様々な音楽が混じり合い、大きな騒音に変わった。 | |||
| クロ | はぁ……はぁ……スパチャのオペランドで隠れ蓑とマシンガンが手に入れば楽勝なのに……ちっくしょー! | ||
| 音楽が裏通りに満ちる。地面が振動する様子から、 リヴェレンスが迫って来ているのがわかった。 | |||
| リヴェレンス | どこに逃げる気だ? | ||
| 通りすがりのエージェント | ――こっち!クロさん、上! | ||
| クロ | ……!? | ||
| リヴェレンスの声が近づいている、考えてる暇はない。 クロはキーボードの反動を利用し、建物の屋上へと登った。 | |||
| リスナーが次々と退室し、配信ルームには2名のエージェントだけが残った。 | |||
| カラオケのエージェント1号 2分たったよ、曲だったら1サビ終わってるな。なんか思いついた? ブックカフェのエージェント1号 展開がありきたりすぎるんだよ。可能性を羅列し終える頃には、 クロなんかとっくにBAN解除されてるよ。 カラオケのエージェント1号 一番ありえそうなのでいいからさ。 | |||
| ブックカフェのエージェント1 | うーん……「ピンチに仲間が現れて、気合いを取り戻す」かな。 | ||
| 裏通り。 | |||
| リヴェレンス | ……おかしい、確かにここに…… | ||
| リヴェレンス | どこだ、クロたれェーー?地下かなぁ?それとも上か~? | ||
| リヴェレンスの問いかけに誰も答えない。 クロはまるで蒸発してしまったかのように、入り組んだ裏通りから消えていた。 | |||
| 時を同じくして、リヴェレンスのいる場所から2ブロック離れた区画にて。 | |||
| クロはエージェントに連れられて、安全なエリアへとやってきていた。 | |||
| クロ | ふぃー……ここまで来ればヘーキっしょ。 | ||
| クロ | ありがとね、助かっちゃった!確か、どっかで会ってるよね?カラオケ区画のスタッフだったっけ? | ||
| 訊ねられたエージェントは、やや慌てた様子で服の裾をつまんだ。 そして少し間を置いてからクロの質問に答えた。 | |||
| ナナ | こんにちは……私はナナって言います。配信ルームでのIDは「カラオケのエージェント7号」……筋金入りのクロ信者です。 |
