墟上之歌 戦憶探溯 STAGE 5 通鑑-4

Last-modified: 2026-02-06 (金) 07:59:11

キュクロプスセクター、第3広場。
 オリヴィアの前に跪いたネームレスは、地面に倒れ込まないよう、
盾を使って自身をかろうじて支えている。
ネームレスはぁ……はぁ……監理型アドミニストレーターに、こんな戦いができたとは……
ネームレス俺の負けだ。
ネームレス……ターシャさんのところへ、送ってくれ。
オリヴィア完全に破壊されたいの?
ネームレス敗者にはふさわしい結末だ。
オリヴィアでも、私たちにはまだ次がある……次の次も。人間が再び訪れるまで。
ネームレスそうかもしれない、だがターシャさんはどうなる?
オリヴィア彼女の考えは、とっくにあなたに教えているでしょう。
ネームレス……まさか、ターシャさんは、本当に……
 オリヴィアは目を閉じた。
 あの戦いが、まるでついさっきのことのように蘇る。
ターシャの声が、彼女の耳元で響いた。
 
ターシャオリヴィア……ごめんな……オレ、疲れちまったかも……
ターシャ知ってたか?レイヴンが隔離壁を建てた時……オレさ……実はホッとしたんだ……
ターシャだってさ……お前に会わなけりゃ……怪物じみたオレを、見られずにすむから……
ターシャお願いだ……オレをリセットしないでくれ……もう殺すのは嫌なんだ……もう充分満足した……うんざりなんだ……夢も、もう叶えた……
 
オリヴィアターシャは言ってた……もう、疲れたって。
オリヴィア夢ももう叶えた、もううんざりなんだ、って。
ネームレス……
オリヴィア私が嘘をついていると思うなら、謝るわ。だけど、私は彼女の願いに背くつもりはない。もう二度と、キュクロプスに新しい彼女を生み出しはしない。
ネームレス……わかってます。
ネームレス嘘じゃないって、ほんとは、知ってました……
ネームレスでも俺、認めたくなかったんです。ずっと、俺たちを率いてた人が、本来の使命を捨てただなんて……
 ネームレスは盾を持ったほうの手に額を押し当てた。
声には嗚咽が交じる。
ネームレスターシャさん、俺……あ、あなたに、言ってほしかった……「戦いは終りだ」って。
 オリヴィアはネームレスを見つめてこう言った。
オリヴィアあなたを殺しはしないわ。
オリヴィア死者は形見を遺してゆく。あなたも、私も、私たち全員が、彼女の遺した形見。
ネームレス形見……か。
オリヴィアターシャが遺していったものを、消したくないの。
オリヴィアキュクロプスの問題はまだ山積みよ。私の助手になってくれる、Sortie 002?
 そう言って、オリヴィアはネームレスに手を伸ばす。
オリヴィア彼女の声を聞かせてあげられなくて、ごめんね。
 ネームレスは答えずに、力強く立ち上がって、オリヴィアの手を取った。
 月はすでに空の中央へと昇っていた。
オリヴィアの声が、キュクロプスの大地に響き渡る。
オリヴィアSortie 002-369、およびキュクロプスセクターの全エージェントに告ぐ――
オリヴィア「戦いは終わった」