| 数日後。オアシス、休憩エリア。 | |||
| クロ | 火の玉が出なくなってから、今日で三日目かぁ~…… | ||
|---|---|---|---|
| クロ | ちぇっ。せっかくの心霊番組がパーじゃないのさ! | ||
| ウィロウ | ふふふ……インタビュー中に火の玉が出てこないので、わたしは助かってますけど。 | ||
| クロ | そりゃ、よござんしたね。あ~あ~、配信のネタどっかに転がってないかな~ | ||
| クロ | あのサイバー幽霊が、またなんかしでかしてくれたら、同接人数ラクに稼げるのに。 | ||
| ?? | 魑魅魍魎(ちみもうりょう)、妖怪変化。 纏わりつかれては、ひどく厄介でございますよ。 | ||
| クロ | 厄介だからリスナーが増えるんじゃん!ほんっと、ずば抜けた除霊師だこと。 | ||
| 君惠 | ふふふ……今回ばかりは、除霊によるものではございませぬ。 | ||
| 君惠 | 鬼火の来る処あらば、帰る処あり。わたくしめはただ、本来あるべき場所へと導いただけにござります。 | ||
| ウィロウ | あるべきところ……まさか、あの世に……? | ||
| 君惠 | とんでもございません、御神のお膝元でございますよ。多少は「人煙(じんえん)」に触れていたほうが、神もお喜びになるでしょうから。 | ||
| ウィロウ | えっ、どういうことですか~? | ||
| ギィ―― | |||
| その時、ホコリまみれの人形が、休憩エリアへとやってきた。 オレンジ色の双眸は興奮に満ちている。 | |||
| ??? | 成功だ!成功したぞ!! | ||
| ウィロウ | ど、どうしたんですか、オクトーゲンさん。そんなに興奮して…… | ||
| クロ | 成功って……まさかあんた、宿舎に雷管埋め込んだんじゃないでしょーね!? | ||
| オクトーゲン | んなわけあるか!……ゴホン。ま、わからないのも無理はない。いずれ、お前らも知ることになるさ。 | ||
| クロ | チッ……なにさ、もったいぶっちゃって…… | ||
| 君惠 | ふふふ。鬼火の事件を解決できたのも、ひとえにオクトーゲン様のおかげでございます。 | ||
| ウィロウ | えっ、オクトーゲンの?もしかして、巫女様、なにかご存知なんですか……? | ||
| クロ | ちょ、ちょっと待った!まさか……ぜんぶアイツのイタズラだったってこと!? | ||
| 君惠 | え、ええっと…… | ||
| クロ | 君惠!私たち、もう苦楽をともにした友達だよね!?一つ障壁の下に暮らす追放者の仲間だよね、ね!? | ||
| クロ | 私たちに、なにか隠したり……してないよねぇ、もちろん? | ||
| 君惠 | 万事万端には知られざる密事(みつじ)が付き物、わたくしめは衆生(しゅじょう)が一人に過ぎませぬ。 | ||
| クロ | だぁ~~ッ、またそういうこと言う~!? | ||
| 君惠は沈黙の微笑で、クロとウィロウの追及に応えた。 一方、オクトーゲンは安堵の溜め息をついている。 | |||
| 君惠 | (ふふふ……ご教授様のとびきりの笑顔を、わたくしも拝見できたら……) |
