黄昏のラメント 真紅の葬儀 STAGE 5 絶響探求-2

Last-modified: 2026-02-10 (火) 23:05:23

二週間後、基地内のとある廊下。
クロトごきげんよう、レイシー。黄昏が降臨するというのに、あなたは使命を終えていない。
センタウレイシーごきげんよう、クロト。このエリアで最後よ。あなたは?これから何をしにいくの?
クロト補給を受け取って、戦場の捜索。
センタウレイシーそうだったのね、頑張って。早く戻って来てね、夜にワッフルを焼くわ。それと、基地で映画を放映するんですって。
 
 清潔な服に着替えたクロトが、巡回中の兵士たちと鉢合わせした。
兵士Aおっと、誰かと思えば、カラスも寄り付かない葬儀屋人形か!
クロトカラスは知性を持つ鳥類、私が現世に生きる存在だと知っている。
クロトカラスに纏わり付かれる感覚を知りたいなら……ヘル、どう思う?
 クロトは棺桶をポンと叩いた。
ヘルヘイ、寄ってくかい?
 クロトとヘルの答えを聞いて、兵士は大声で笑い出した。
兵士Aセンタウレイシーにつられて、お前まで冗談を言い出すとはな。まぁ、悪くないよ。精巧なだけの鉄クズよりはマシだ。
兵士Bそいつで遊ぶな、真面目に警戒しろ。
兵士B……それと、ピーター。お前に言っておきたいことがある。
 兵士たちはクロトと距離を取って、声を低くした。
だが、彼らの会話ははっきりと聞こえている。
兵士B妙だ。あの突撃兵どもを撃退したってのに、なんで上は反応がない?
兵士A反応ってなんだよ?こっちも公約を無視して攻め込めって?
兵士Bマジで頭にくるぜ……クズにとっちゃ、戦争の公約なんざ紙切れも同然だ、クソッ!
兵士Aそれ、中尉の受け売りだろ。でも、確かにこのところの状況は妙だな。
兵士Bああ、考えてもみろ。まずは小規模の交戦、そんで中尉の狙撃。次は衛生兵小隊の襲撃……
兵士Aあのゴロツキども、こっちを探ってるのか?
兵士Bありえるな。上への報告に返事はあったか?
兵士A聞くところによると、少しずつ撤退し始めてるって話だよ。他の部隊が先に行って、僕たちは二日後だ。
兵士Bよかった、俺たちの言葉は届いたんだな。だが、中尉は……
兵士A……やめよう、この話は。お前はそっち、僕はこっちだ。3分に一度連絡を。
 兵士たちが各々巡回に向かおうとすると、にわかに鋭い警報音が鳴った。
兵士A……
兵士B空襲だ……奴らが来たぞ!!!
クロト……!
 クロトが猛然とふりむくと、敵軍のエアシップが飛来していた。
クロトまずい……レイシー……センタウレイシー!
 クロトは躊躇うことなく、宿舎へ向かって走り出した。
 
 宿舎の中、扉の縁を拭いていたセンタウレイシーが、異様な気配に気づいて身を正す。
センタウレイシー空襲警報……!
センタウレイシーすぐにでも撤退しないと、だけどクロトが……
 センタウレイシーは、笑顔で手を振るクロトの姿を思い出して、急に立ち止まった。
クロトレイシー!
 クロトがセンタウレイシーのもとへと駆けつける。
センタウレイシークロト、敵の空襲よ!今すぐ撤退しなくては!
クロトよかった、間に合った……そのことを伝えに来たから。
 人形が二人して基地の外へと撤退し始める。
しかし、頭上からは天地を揺るがす轟音が響いていた。
 ドォンッ!!
 巨大な衝撃波に呑まれ、宿舎が崩壊した。