L.A.D.事件 謎影解析 STAGE 1 認知バイアス-4

Last-modified: 2026-02-12 (木) 19:40:01

ごろつきクソッ、人形ごときが……分が悪い、ずらかるぞ!
不良お前らなんざ廃棄処分になっちまえ!この鉄クズどもが!
 口先だけは立派だが、ごろつきどもの戦闘力は、明らかにニ名の人形には及ばなかった。
……逃げたか、まぁいいだろう。
デュパン潮時を見極める程度の頭脳はあるらしい。なにせ相手からの加害行為がなければ、人形は人間に手出しできないからな。
デュパンといっても、ささやかな反撃がせいぜいだ。民生用人形のプログラム制限には逆らえない。
デュパンそれがわかっていたから、交渉を持ちかけようとしたのだ。
なるほどな、しかし俺は……
???ゴホッ、ゴホゴホッ……
話はあとだ、まずはこやつを助けねば。おい、大丈夫か……
……お前は……咲耶!?
デュパン突撃して行ったかと思えば……今頃気づいたのか?
デュパンいずれにせよ結果オーライだ。咲耶さん、問題ないか?
咲耶いたた……助けてくださってありがとうございます。すみません、みっともない所をお見せして……
待て、お前……首のそれはなんだ?
咲耶先ほどの者たちに付けられた、暗号付きの首輪です……人間たちの悪意には、際限などないのでしょうね……
 少女の首元から伸びる鎖のもう一方は、壊れた消火栓にがっちりと繋ぎとめられていた。
鎖が短すぎるせいで立ち上がることも座ることも許されず、
仕方なく消火栓に体をよりかからせている。
なんて奴らだ……次に会ったら袋叩きにしてやる!
くっ……こうも鎖が短くては、刀は使えぬ……デュパン、咲耶を見ていろ。使えそうな工具を見繕ってくる。
デュパン必要ない、ここは私が。
 デュパンは咲耶に近づき、暗号付きの首輪を手にとって、なにやら入力し始めた。
首輪から電子音が鳴ったかと思うと、
今度は点滅しながら入力エラーの警報を発し始めた。
デュパンこれは、違うか……ならば……
暗号を試すつもりか?悠長な探偵もあったものだ……いや、待てよ。
お前、何かに気づいたのだな?その……分析能力で?
デュパンそうとも言えるが……私とて確信はない。
デュパン先ほどのごろつきたちの訛り方からして、おそらくは北部の出身だろう。
デュパン日本北部には、独自の方言が複数存在する。そして、彼らのよく使う所謂スラングも……
 何度か文字を入力しても、首輪は目障りな警告を繰り返すばかりだ。
しかし、首輪の構造が簡単で助かった、パスワードの入力回数に上限はないらしい。
デュパン駄目か。だが、私の推理が正しければ……
 デュパンは眉をひそめ、しばし考え込んだ。
そして今度は、二つの単語を組み合わせたものを入力してみる。
 ピッ――
おおっ、鍵が開いたぞ!
咲耶、どうだ、立てそうか?
咲耶ゴホッ……ありがとうございます。
 少女は秋の手を取って、よりかかった姿勢から立ち上がった。
彼女が着物の裾を手ではたくと、
身につけていた装飾用の花びらが地面へといくつか散らばった。
 デュパンは視線をそらし、街角へと目を向けた。
この裏通りから大通りへと続く道にも、白い花びらが落ちている。
咲耶はおそらくあそこから――
 ふと何かを思いつき、デュパンは踏みしだかれた白い花びらを見つめた。
秋に呼ばれたのを聞いて、ようやく我に返る。
あいつらに何もされてないな?デュパン、お前も見てやってくれ!
デュパン――目立った外傷はなさそうだ。咲耶さん、具合はいかがかな?
咲耶ご安心ください、セルフメンテナンスを走らせました。異常はなさそうです。
咲耶本当に、ちょうどいいところへ駆けつけてくださいました。お二方にどうお礼を申し上げるべきか。あと少しでも遅かったら……
お前が無事なら、それでいいさ!悪をくじき弱きを助けるのが、剣士の使命だからな。そうだろう、デュパンよ……
……おい、デュパン。また呆けているのか?
デュパン……いや、なんでもない。
 デュパンは首をふると、その言葉を最後に黙り込んでしまった。