L.A.D.事件 謎影解析 STAGE 1 認知バイアス-5

Last-modified: 2026-02-12 (木) 19:40:37

それはそうと、デュパン。さっきの暗号の答えは、いったい何だったのだ?
デュパンあまり口にはしたくない類の言葉だな、知らないほうが身のためだ。
デュパン庶民と上流階級に本質的な違いはない。どちらも自分たちの生活圏や共通言語、俗語などを有する。
デュパン東洋のごろつきがヨーロッパのそれと似た思考体系を有しているのなら、こういった悪事を働く際に使われる単語も、似通っているはずだ。
咲耶そうだったんですね……
こいつはたまげた!やけに行儀がいいから、てっきり貴族のボンボンかと思っていたが……
なかなかどうして世事に通じている。見た目からは想像もつかんな。
デュパン君の推測も間違いではない。外見に対する審美は、主にメンタルの特徴と人形の初期設定によって決まる。
デュパン君と異なる点と言えば、私が探偵事務所の雑用上がりだということだ。
デュパン当初、人間にとって取り組むに値しない汚れ仕事や体力仕事、敬遠する人物等々に対処してきたのは、この私だ。
なるほど……犯罪現場での雑用は、ずいぶんと堪えるだろうな。
デュパン下積み時代が無意味であったとは言い切れない。その経験のおかげで、私は知る人ぞ知る知識を数多く身に着けた。
デュパンこの世界を隅々まで理解できていなければ、世にも奇妙な案件の数々を解決するなど不可能だからな。
咲耶ふふふ……探偵さんは、ご自身のお仕事をとても気に入っているんですね。
デュパン当然だ、私はそのために生み出された。だが、咲耶さん……君はなぜ、こんな裏通りに?
デュパン治安の悪いエリアに、たった独りで出向く……賢明な選択だとは言い難いな。
咲耶実は、あちらの区画にある花屋に向かおうとしていたんです。とても希少な種を扱っているお店なんですよ。多くの方にとって、たいした価値はないでしょうけれど……
咲耶今や災害や戦争のせいで、たくさんの自然が失われています。一部の歴史ある植物たちも、とっくに姿を消してしまった……
咲耶でも、あの花屋になら、絶滅したとされていた希少な品種が置かれていると聞いて……
デュパンそうだったのか……
いずれにせよ、ここは危険だ。次はより安全な道を通っていくことだな。
俺たちが花屋まで送ろう。それとも、今日のところは出直すか?
咲耶いえ、大丈夫です。あちらの安全な商店街から向かいますから。
咲耶皆さん、本当に助けて頂きありがとうございました。急いでおりますので、私はこれで。
 デュパンは小さく頷くと、再び考え込んだ。
 謎は解けていないばかりか、さらなる靄(もや)が黄昏へと覆いかぶさる。